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第1章
はじめての魔法実戦――放て、水の刃
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「依頼の内容は、街道沿いに現れた魔物の討伐ですね」
ギルドの受付嬢が、依頼書を差し出しながらソウマに説明する。
「昨日の夜、グルドフ街道近くで荷馬車を襲われた旅人がいまして……
どうやら、中型の獣型魔物が複数うろついているとのこと。Eランクですが、魔法職の方がいると助かると判断されました」
「なるほど。“水刃”を試すにはちょうどいいってわけか」
ソウマは肩を回して気合を入れる。
隣では、ミタマが変わらずふわりと微笑んでいた。
「初陣じゃな。“命のやりとり”を前にして、どれだけ“冷静に制御”できるか――見ものじゃぞ」
「お前は来ないのか?」
「おぬしの実戦じゃ。ワシが出たら意味がなかろう?」
「……たしかに」
依頼を受けたのは、ソウマと、街の下級冒険者パーティ“イアル組”の3人。
剣士、弓使い、盾役のオーソドックスな編成。
そこに魔法職としてソウマが加わる形となった。
初対面の彼らにとって、ソウマは「最近登録された謎の新人」だ。
「魔法、使えるんだよな? 俺たち、あんたの援護なしじゃキツいぜ」
「任せといて。使えるよ、“少しだけ”だけどな」
現場へ到着すると、森沿いの茂みが揺れていた。
「来るぞ……!」
現れたのは、体長1.5メートルほどのフロッグハウンド。
カエルのような皮膚を持ちながら、犬のように素早く飛びかかってくる獣型魔物だ。
「一匹目、前から来るぞ!」
盾役の前衛が対応するも、フロッグハウンドは跳躍し、空中から頭上に――!
「ッ、今だッ!!」
ソウマは左手の水球を即座に刃へ。
構えていた“踏み込み位置”に魔物が着地する直前、地面から鋭く突き上がる水刃――
“ザシュッ!”
魔物は空中で切り裂かれ、悲鳴と共に後方に吹き飛んだ。
「なっ……今の、魔法か……!?」
「へぇ……魔法って“タイミング”で使えるんだな……!」
仲間たちが目を見張る中、ソウマは冷静に魔力を練り直す。
「あと2体、右から!」
弓使いが叫ぶ。
木々の間をすり抜けてきた2体目に向け、ソウマは“連続射出”に切り替えた。
一発、左旋回。
避けられるのを承知で、右方向に追い込む。
二発目、反応狙撃!
“ピシィッ!”
水刃が魔物の脚を斬り裂くと、剣士がとどめを刺す。
三体目は背後から回り込んできた。
咄嗟に後方へ飛び下がりながら、水球を足元に設置――
「食らえッ!」
魔物の前足が踏み込んだ瞬間、地面から**“収束回転水刃”**が跳ね上がり、顎下を貫通した。
「……全処理、完了」
ソウマは深く息を吐いた。
両手の魔力は切れかけ、足もわずかに震えていた。
でも――
「ふぅ……何とかなったな」
仲間たちは呆然と、血を流して倒れた魔物を見ていた。
「……すごいな……。
お前、もしかして“魔法剣士”とか、上位の職か何かか?」
「いや……ただの“魔法初心者”さ。少し、動き慣れてるだけで」
ソウマは苦笑いしながら、初めての実戦を終えた達成感に胸を撫でおろした。
その夜、ギルドで報酬を受け取ったあと、
ミタマに報告するため、宿の一室に戻る。
「ただいま……。任務完了だ」
「ふむ、おかえり。“無事に帰った”ことが、一番の成果じゃ」
ミタマは微笑み、湯を差し出した。
「で、どうじゃった。“戦い”は?」
ソウマは静かに答えた。
「……怖かった。けど、“通じた”。
この魔法、“本当に武器になる”って、初めて思えた」
ミタマは満足そうに頷くと、言った。
「ならば、次は“より強き敵”との戦いに備えるとしよう。
……“放出”の真の力、そろそろ見えてくるぞ」
翌朝。訓練場ではいつものようにソウマが魔力制御の準備をしていた。
けれど今日のテーマは、これまでと違う。
「今日は“放出スキル”そのものの特性を掘り下げていこうと思う」
「ふむ……やっと“本命”に目を向ける気になったか」
ミタマが腕を組み、木陰に腰かけた。
この《放出》スキルは、最初に与えられた“微妙”な能力――
ただし使い方次第では、魔法とは異なる**“異質なチート”**になり得ると、ミタマも感じていた。
「今までは、“魔力の刃”を放つことに使ってた。
でも本来は、“魔力以外”も応用できるんじゃないかって思ってさ」
「なるほど、たとえば――“物理的な斥力”か」
まずソウマは、小石を拾って手のひらに乗せる。
そして《放出》スキルを発動――
「出ろ」と念じると、小石が“ボフッ”という軽い音とともに、前方に弾き飛ばされた。
「……今の、魔法じゃないよな? 魔力も使ってないし」
「うむ。“意思を込めて対象を手放す”という、まさに“押し出す力”じゃ。
このスキル、“魔力を飛ばす”だけではなく、“あらゆる対象を外に押し出す”力の応用が可能なようじゃな」
ソウマは続けて、自分の身体を囲うように魔力の膜を展開し、その外周に《放出》を使ってみた。
すると――
「うおっ……なんか空気がバチって弾けたぞ!」
空気が一瞬“跳ね返った”ように、熱を帯びて炸裂した。
「これは……“衝撃波”みたいなもんか?」
「まさに。“放出”は、対象を外へ押すだけでなく、“空間への干渉”にも及ぶ可能性がある。
上手く使えば、“防御壁”や“反射フィールド”のようにもなるじゃろうな」
次に試したのは、“接触反応型放出”。
自分に向かって飛んできた小石に対し、掌で迎え撃ちながら《放出》を発動。
“ピシュッ!”
小石が逆方向に弾き返され、草むらへ飛び込んだ。
「すげえ……これ、反射に使える。魔法に当てはめたら、“魔法跳ね返す”とかできたりして……」
「それこそが“放出”の真の可能性じゃ」
ミタマが静かに頷く。
「魔法を押し返す力、“衝突時の解放”による反魔法フィールド、
あるいは“術式そのもの”を打ち破る暴力的な干渉。
使いようによっては、“この世界の常識を崩す”スキルになるじゃろう」
ソウマは無言で拳を握る。
思っていた以上にこのスキルは、“本質”が深い。
魔法とも、物理攻撃とも違う。
まさに“純粋な干渉力”――世界に対する、“拒絶”や“開放”の力だ。
「これ……マジで、神の力なんじゃ……?」
「ふむ……おそらく、“異世界から来たおぬし”と、“落ちてきた神であるワシ”が混ざった結果、
“世界の理から少し外れた力”が生まれたのであろうな」
「じゃあ、これからはもっと“型にはまらない戦い方”ができるかもしれないな……!」
「じゃが、改めて思うのう……《放出》、本当に妙なスキルじゃ」
ミタマがそう呟きながら、石ころを放出で跳ね飛ばしていた。
「最初は、“微妙スキル”とか言ってたじゃん」
「うむ、事実じゃ。最初は“力の向き”すら選べなかったからの。
じゃが、使い手次第でここまで“変化”するとは、予想以上じゃ」
ソウマは、すでに魔力を両手に展開している。
今日の訓練テーマは《放出》の**“移動補助”と“連携運用”**。
「まずやってみたかったのは、ジャンプの補助な」
「なるほど、“足裏放出”で地面を蹴る……か。理屈は分かりやすい」
試しにソウマは、足裏に放出の魔力を集中。
タイミングを合わせて、地面を蹴ると同時に――
“バシュッ!”
一気に2メートルほどのジャンプを成功させた。
「うおっ!? 高っ!」
「ふむ、十分な“推進力”じゃ。
もし戦闘中にこれを応用できれば、“位置取り”にも使えるし、“魔法の射線”も広がる」
「……空中で回避して、反撃とか……やってみたいな」
次は、“物を飛ばす”。
ソウマは短剣を手に取り、試しに《放出》を使って前方に押し出す。
――“キィンッ!”――
短剣は、弓で撃ったかのようなスピードで飛び、木の板に突き刺さった。
「マジか……剣、弾丸にできるじゃん」
「ふむ、それも“威力は魔力次第”じゃな。
放出の特徴は“何をどう動かすか”を完全にコントロールできることにある。
つまり、“自分”をも、“仲間”をも、“道具”をも……押せる」
ソウマは一瞬、ひらめいた。
「待って。ってことはさ……たとえば、“魔法”そのものも押し出せる?」
「ほう? 面白いことを言うのう。試してみるか?」
ソウマは両手に水球を生成。
だが、今までのように“放出で刃を作る”のではなく、
あくまで“水球”のまま、《放出》で前方に押し出す。
“ボフッ”という音と共に、水球は弾丸のように飛んでいき、的にぶつかった瞬間――
“ドシュッ!”
ぶつかった衝撃で水が炸裂。的は水圧でベコリとへこんだ。
「こ、これって――爆弾だ!」
「ふふ、まさに“放出式水弾”。
圧縮すれば、“破裂水球”、広げれば“水撒き”、高速回転させれば“ドリル”。
放出は、“自在な形”で魔力を射出できる、極めて“自由なスキル”じゃ」
ソウマは興奮気味に次々と試す。
・跳ね返す壁:放出で作る斥力の面。物理も軽度な魔法も弾く。
・ダッシュ:足裏から連続放出でステップ強化。
・水球ジャンプ→空中からの水刃射出:立体戦の応用。
「これ……今までのスキルの中でも、一番“動き”が出る!」
「うむ。“支援にも攻撃にも使える”のがこのスキルの強み。
むしろ……ワシが少し羨ましいほどじゃ」
ソウマは、じわりと胸が熱くなった。
“微妙スキル”と呼ばれた《放出》。
だが今は、自分にとっての“可能性の塊”に思えた。
「これ、もっと鍛えたら――“空中戦”も、“連撃”も、何でもいけそうだな……!」
「ふむ、そのためには次に、“複合制御”に挑むべきじゃな。
たとえば、“連続で違う方向に放出”したり、“空中で静止”したり……」
「面白くなってきた……!」
放出の可能性は、まだまだ拡がる。
ソウマの戦い方は、もはや“魔法使い”の枠を超えつつあった。
ギルドの受付嬢が、依頼書を差し出しながらソウマに説明する。
「昨日の夜、グルドフ街道近くで荷馬車を襲われた旅人がいまして……
どうやら、中型の獣型魔物が複数うろついているとのこと。Eランクですが、魔法職の方がいると助かると判断されました」
「なるほど。“水刃”を試すにはちょうどいいってわけか」
ソウマは肩を回して気合を入れる。
隣では、ミタマが変わらずふわりと微笑んでいた。
「初陣じゃな。“命のやりとり”を前にして、どれだけ“冷静に制御”できるか――見ものじゃぞ」
「お前は来ないのか?」
「おぬしの実戦じゃ。ワシが出たら意味がなかろう?」
「……たしかに」
依頼を受けたのは、ソウマと、街の下級冒険者パーティ“イアル組”の3人。
剣士、弓使い、盾役のオーソドックスな編成。
そこに魔法職としてソウマが加わる形となった。
初対面の彼らにとって、ソウマは「最近登録された謎の新人」だ。
「魔法、使えるんだよな? 俺たち、あんたの援護なしじゃキツいぜ」
「任せといて。使えるよ、“少しだけ”だけどな」
現場へ到着すると、森沿いの茂みが揺れていた。
「来るぞ……!」
現れたのは、体長1.5メートルほどのフロッグハウンド。
カエルのような皮膚を持ちながら、犬のように素早く飛びかかってくる獣型魔物だ。
「一匹目、前から来るぞ!」
盾役の前衛が対応するも、フロッグハウンドは跳躍し、空中から頭上に――!
「ッ、今だッ!!」
ソウマは左手の水球を即座に刃へ。
構えていた“踏み込み位置”に魔物が着地する直前、地面から鋭く突き上がる水刃――
“ザシュッ!”
魔物は空中で切り裂かれ、悲鳴と共に後方に吹き飛んだ。
「なっ……今の、魔法か……!?」
「へぇ……魔法って“タイミング”で使えるんだな……!」
仲間たちが目を見張る中、ソウマは冷静に魔力を練り直す。
「あと2体、右から!」
弓使いが叫ぶ。
木々の間をすり抜けてきた2体目に向け、ソウマは“連続射出”に切り替えた。
一発、左旋回。
避けられるのを承知で、右方向に追い込む。
二発目、反応狙撃!
“ピシィッ!”
水刃が魔物の脚を斬り裂くと、剣士がとどめを刺す。
三体目は背後から回り込んできた。
咄嗟に後方へ飛び下がりながら、水球を足元に設置――
「食らえッ!」
魔物の前足が踏み込んだ瞬間、地面から**“収束回転水刃”**が跳ね上がり、顎下を貫通した。
「……全処理、完了」
ソウマは深く息を吐いた。
両手の魔力は切れかけ、足もわずかに震えていた。
でも――
「ふぅ……何とかなったな」
仲間たちは呆然と、血を流して倒れた魔物を見ていた。
「……すごいな……。
お前、もしかして“魔法剣士”とか、上位の職か何かか?」
「いや……ただの“魔法初心者”さ。少し、動き慣れてるだけで」
ソウマは苦笑いしながら、初めての実戦を終えた達成感に胸を撫でおろした。
その夜、ギルドで報酬を受け取ったあと、
ミタマに報告するため、宿の一室に戻る。
「ただいま……。任務完了だ」
「ふむ、おかえり。“無事に帰った”ことが、一番の成果じゃ」
ミタマは微笑み、湯を差し出した。
「で、どうじゃった。“戦い”は?」
ソウマは静かに答えた。
「……怖かった。けど、“通じた”。
この魔法、“本当に武器になる”って、初めて思えた」
ミタマは満足そうに頷くと、言った。
「ならば、次は“より強き敵”との戦いに備えるとしよう。
……“放出”の真の力、そろそろ見えてくるぞ」
翌朝。訓練場ではいつものようにソウマが魔力制御の準備をしていた。
けれど今日のテーマは、これまでと違う。
「今日は“放出スキル”そのものの特性を掘り下げていこうと思う」
「ふむ……やっと“本命”に目を向ける気になったか」
ミタマが腕を組み、木陰に腰かけた。
この《放出》スキルは、最初に与えられた“微妙”な能力――
ただし使い方次第では、魔法とは異なる**“異質なチート”**になり得ると、ミタマも感じていた。
「今までは、“魔力の刃”を放つことに使ってた。
でも本来は、“魔力以外”も応用できるんじゃないかって思ってさ」
「なるほど、たとえば――“物理的な斥力”か」
まずソウマは、小石を拾って手のひらに乗せる。
そして《放出》スキルを発動――
「出ろ」と念じると、小石が“ボフッ”という軽い音とともに、前方に弾き飛ばされた。
「……今の、魔法じゃないよな? 魔力も使ってないし」
「うむ。“意思を込めて対象を手放す”という、まさに“押し出す力”じゃ。
このスキル、“魔力を飛ばす”だけではなく、“あらゆる対象を外に押し出す”力の応用が可能なようじゃな」
ソウマは続けて、自分の身体を囲うように魔力の膜を展開し、その外周に《放出》を使ってみた。
すると――
「うおっ……なんか空気がバチって弾けたぞ!」
空気が一瞬“跳ね返った”ように、熱を帯びて炸裂した。
「これは……“衝撃波”みたいなもんか?」
「まさに。“放出”は、対象を外へ押すだけでなく、“空間への干渉”にも及ぶ可能性がある。
上手く使えば、“防御壁”や“反射フィールド”のようにもなるじゃろうな」
次に試したのは、“接触反応型放出”。
自分に向かって飛んできた小石に対し、掌で迎え撃ちながら《放出》を発動。
“ピシュッ!”
小石が逆方向に弾き返され、草むらへ飛び込んだ。
「すげえ……これ、反射に使える。魔法に当てはめたら、“魔法跳ね返す”とかできたりして……」
「それこそが“放出”の真の可能性じゃ」
ミタマが静かに頷く。
「魔法を押し返す力、“衝突時の解放”による反魔法フィールド、
あるいは“術式そのもの”を打ち破る暴力的な干渉。
使いようによっては、“この世界の常識を崩す”スキルになるじゃろう」
ソウマは無言で拳を握る。
思っていた以上にこのスキルは、“本質”が深い。
魔法とも、物理攻撃とも違う。
まさに“純粋な干渉力”――世界に対する、“拒絶”や“開放”の力だ。
「これ……マジで、神の力なんじゃ……?」
「ふむ……おそらく、“異世界から来たおぬし”と、“落ちてきた神であるワシ”が混ざった結果、
“世界の理から少し外れた力”が生まれたのであろうな」
「じゃあ、これからはもっと“型にはまらない戦い方”ができるかもしれないな……!」
「じゃが、改めて思うのう……《放出》、本当に妙なスキルじゃ」
ミタマがそう呟きながら、石ころを放出で跳ね飛ばしていた。
「最初は、“微妙スキル”とか言ってたじゃん」
「うむ、事実じゃ。最初は“力の向き”すら選べなかったからの。
じゃが、使い手次第でここまで“変化”するとは、予想以上じゃ」
ソウマは、すでに魔力を両手に展開している。
今日の訓練テーマは《放出》の**“移動補助”と“連携運用”**。
「まずやってみたかったのは、ジャンプの補助な」
「なるほど、“足裏放出”で地面を蹴る……か。理屈は分かりやすい」
試しにソウマは、足裏に放出の魔力を集中。
タイミングを合わせて、地面を蹴ると同時に――
“バシュッ!”
一気に2メートルほどのジャンプを成功させた。
「うおっ!? 高っ!」
「ふむ、十分な“推進力”じゃ。
もし戦闘中にこれを応用できれば、“位置取り”にも使えるし、“魔法の射線”も広がる」
「……空中で回避して、反撃とか……やってみたいな」
次は、“物を飛ばす”。
ソウマは短剣を手に取り、試しに《放出》を使って前方に押し出す。
――“キィンッ!”――
短剣は、弓で撃ったかのようなスピードで飛び、木の板に突き刺さった。
「マジか……剣、弾丸にできるじゃん」
「ふむ、それも“威力は魔力次第”じゃな。
放出の特徴は“何をどう動かすか”を完全にコントロールできることにある。
つまり、“自分”をも、“仲間”をも、“道具”をも……押せる」
ソウマは一瞬、ひらめいた。
「待って。ってことはさ……たとえば、“魔法”そのものも押し出せる?」
「ほう? 面白いことを言うのう。試してみるか?」
ソウマは両手に水球を生成。
だが、今までのように“放出で刃を作る”のではなく、
あくまで“水球”のまま、《放出》で前方に押し出す。
“ボフッ”という音と共に、水球は弾丸のように飛んでいき、的にぶつかった瞬間――
“ドシュッ!”
ぶつかった衝撃で水が炸裂。的は水圧でベコリとへこんだ。
「こ、これって――爆弾だ!」
「ふふ、まさに“放出式水弾”。
圧縮すれば、“破裂水球”、広げれば“水撒き”、高速回転させれば“ドリル”。
放出は、“自在な形”で魔力を射出できる、極めて“自由なスキル”じゃ」
ソウマは興奮気味に次々と試す。
・跳ね返す壁:放出で作る斥力の面。物理も軽度な魔法も弾く。
・ダッシュ:足裏から連続放出でステップ強化。
・水球ジャンプ→空中からの水刃射出:立体戦の応用。
「これ……今までのスキルの中でも、一番“動き”が出る!」
「うむ。“支援にも攻撃にも使える”のがこのスキルの強み。
むしろ……ワシが少し羨ましいほどじゃ」
ソウマは、じわりと胸が熱くなった。
“微妙スキル”と呼ばれた《放出》。
だが今は、自分にとっての“可能性の塊”に思えた。
「これ、もっと鍛えたら――“空中戦”も、“連撃”も、何でもいけそうだな……!」
「ふむ、そのためには次に、“複合制御”に挑むべきじゃな。
たとえば、“連続で違う方向に放出”したり、“空中で静止”したり……」
「面白くなってきた……!」
放出の可能性は、まだまだ拡がる。
ソウマの戦い方は、もはや“魔法使い”の枠を超えつつあった。
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