【R18】異種族娼館〜あなたが異世界に行くんですよ?〜

林檎雪

文字の大きさ
5 / 5

第五夜 ハーピィとセイレーン

しおりを挟む
受付嬢:「今夜は“夢の国の鳥籠”へようこそ……ふふ、どうぞ、心ゆくまで囚われてくださいね」



(部屋の扉が開いた瞬間、ふわりと流れ込んでくる甘やかな香りと、
かすかに耳に届く旋律──それはこの世のものとは思えない美しさだった)

(ふっと意識が霞む。香に包まれ、心地よい音色に抱かれながら、
あなたは静かに眠りに落ちていく……まるで優しく堕とされるように)

(──夢の中、まぶたを上げると、
そこには柔らかく笑う二人の美女がいた)



(ひとりは翡翠色の羽根をもつハーピィ。切れ長の目元に妖艶な笑みを浮かべ、
鋭くも美しい爪先をすうっと喉元へ這わせてくる)

ハーピィ:「ふふ……お目覚めのキスでもしてあげようか?」

(囁くような声には、くすぐったい魔力が宿っていた。
羽根がふわりと頬を撫で、同時にその爪が下腹部へと辿っていく)

ハーピィ:「まだ何もしてないのに……こんなに、うずいてるなんて……
かわいい。今夜はわたしの“囀り”に、全部、反応してもらうから──」

(ハーピィが囁くたび、心臓が跳ねるように疼く。
耳元で羽ばたくような吐息が、全身を電気のように駆け巡る)

(彼女は脚を組んであなたの上にまたがると、
ふわりと羽を広げて、音を紡ぎ始める──)

(それは“声”ではなかった。
喉奥で震える、鳥のさえずりにも似た官能的な音。
本能を溶かすような振動が、皮膚ごと性感帯に変えていく)

ハーピィ:「どう? ゾクゾクするでしょ……?
わたしの羽根で、もっと……奥まで感じさせてあげる──」

(柔らかな羽根が首筋をなぞり、
胸元から脚の間、敏感な場所をくすぐるように滑っていく)

(羽根は軽く、でも確実に神経を刺激していく。
さわさわ、すり……ふわ……時に風のように、時に唇のように──)

(たった一本の羽先が、
わずかに触れるだけで、甘い痺れが弾ける)

(空を舞う鳥のように彼女はあなたの身体の上を自在に滑空し、
その度に視線を絡め、甘く嘲るように笑った)

ハーピィ:「ほら、ここも……こっちも……こんなにびくびくしてる。
ぜんぶ、ぜんぶ、鳴かせてあげる……わたしの羽で──」

(翼で、唇で、舌で……すべてを使ってあなたの快楽を引き出していくハーピィ。
そして次第に、その歌が直接、脳と肉体に侵入してくる)

(音の振動が、性感を煽り、
羽根のひと撫でが、臨界に近づく)

(甘く痺れ、張りつめていたそれが──)

(びくり、と跳ねる。
ハーピィの囀りに乗せられ、身体の奥からせり上がってくる快感が、
まるで羽ばたくように解放されていく)

ハーピィ:「あら……まだ終わらせないわよ?
ほら、次は……こっちの羽でも、あなたの奥をかき回してあげる……♡」

(妖しく笑いながら、ハーピィは一層深くあなたへと沈み込む。
その羽根はもう、ただの羽ではない──
夢と現の境界を蕩かす、快楽の魔具だった)

(──次の瞬間、ざわりと羽根が広がる。
両腕、胸元、下腹部、足の付け根……
全身の性感帯を撫で回すように、音もなくくちづける羽の感触)

(しっとりとした艶を含んだ羽毛は、まるで舌のようにうねりながら滑る。
その一本一本が神経を撫で、吸い付き、愛撫する)

ハーピィ:「ねぇ……もっと乱れて。
あたしの羽で、何回も、いじられて……ぐちゃぐちゃにされるの、好きでしょ?」

(囁きながら、ハーピィは片方の羽を広げ、
羽先をあなたの太腿の裏からぐいっと這い上げる)

(ぞくり──という熱が、背筋から腰へ落ちていく。
息が詰まり、思考がぼやけ、下腹部がきゅっと跳ねた)

(まるで媚薬を溶かした蜜を塗り込まれているような感覚。
羽根が触れるだけで、疼き、昂ぶり、爆ぜそうなほど膨張する)

ハーピィ:「……あら、もうこんなに。
まだ一度、咲いたばかりなのに……わたしの“羽音”がそんなに気持ちよかった?」

(指先が、今度は羽根の間からにゅるりと滑り出す。
爪先まで艶めいた感触のそれが、敏感な場所をくすぐるように叩く)

(ぴしゅっ──と跳ねる。
一瞬で膨らんだ快感の圧力が、皮膚の奥から押し上げるように弾け、
びくんびくんと身体が反応する)

(果てる──また、果ててしまう)

(意識が白く、熱く塗り潰される中、ハーピィは笑う)

ハーピィ:「ふふっ……でも、ダメよ? まだ“歌”は終わってないんだから」

(もう一度、羽根が広がる。
今度は両脇から抱き締めるようにあなたを包み込み、
まるで鳥籠の中へ閉じ込めるかのように動きを封じる)

(そのまま、囁きが耳に──)

ハーピィ:「あたしの羽根の中で、全部感じて。
びくびくして、痺れて、もう何がどうなってるか分からなくなるまで──
あたしの声で、わたしの音で、わたしの羽で、あなたを溺れさせてあげる」

(高鳴る心音。
それに呼応するように、ハーピィが囀り始める)

(ぴぃ、ぃ……ひぃ、ぃぃ──)

(その音はもう“声”ではなかった。
鼓膜を震わせ、脳を蕩かし、快楽として神経に注ぎ込まれる)

(──肉体に触れずとも、絶頂を迎えさせる音)

(まるで、歌声そのものが欲情の波として身体を叩く)

(震える。吐息が掠れる。脳が熱に浸かる。
なのに、身体は勝手に果ててしまう)

(何度も、何度も、止まらず、終わらない)

(夢の中、あなたの肉体は限界を持たない。
精は搾り尽くされることなく、甘美に誘われ続ける)

ハーピィ:「気持ちいいわよね……何度も……終わらなくて……♡
ほら、もっと蕩けて……もっと、わたしの“音”に溺れて……♡」

(ハーピィが首を傾ける。
視線が交差し、刹那、心臓が跳ねるような衝撃)

(その瞬間、羽根が股間に触れ──指先が、乳首を撫で──
同時に歌声が、脳へと突き刺さる)

(快感の“同時多発”──)

(ビクッ、ビクン──)

(果てる。
身体が跳ね、背を反らせ、指が床を掴む)

(果てたはずなのに、また一つ、波が来る)

(何度も、何度も──)

ハーピィ:「……ふふ。壊れないのが、不思議なくらい」

(囁きは甘く、でもその奥に、
もっと深く沈めてやろうとする猛禽の狡猾さが潜んでいた)

(羽根が絡みつき、羽音が脳を震わせ、声が奥を突き上げるように響く)

(快楽の檻。抜け出せない、鳥籠の中)

(ただ果てて、蕩けて、また果てて……)

(ハーピィの羽に包まれ、何度も限界を越えて果てた身体──
そこへ、まるで海の底から湧き上がるように、もう一つの旋律が重なり始める)

(セイレーン──甘やかで柔らかな、
愛そのもののような歌声が、そっと忍び寄る)

(それは、次の甘美な地獄の始まりだった──)

(やわらかく、あたたかく、息を吐きかけるような声。
それは耳ではなく、胸の奥に直接触れる“優しい愛撫”)

(ぼんやりとした意識の中、気づけばあなたの傍らには、
長い髪をゆらし、しっとりとした微笑みを浮かべるセイレーンがいた)

(香る──甘く、眠りを誘うような花の香。
それでいて、ふわりと芯を疼かせる、淫らな熱を孕んだ香気)

(身体が拒否できない。
むしろ求めてしまう。彼女の手、声、熱──すべてを)

セイレーン:「……苦しくないように、ゆっくり……
あなたの一番深いところまで、わたしが溶かしてあげるから」

(囁きながら、セイレーンはあなたの横に寝そべり、
まるで恋人を抱くように、優しく、そっと両腕を回す)

(その指先は羽のように繊細で、
肌に触れるたび、全神経がそこに集中する)

(喉元から鎖骨、胸元へと指が滑る。
なぞるだけなのに、全身の血が熱に染まっていく)

(舌先が、ぴたりと肌に触れた──)

(ちろ、ちろ……)

(軽く、柔らかく、吐息とともに這う舌。
濡れた熱が、乳首の先を甘くくすぐる)

(ぴくん、と跳ねた身体に、セイレーンがくすりと微笑む)

セイレーン:「可愛い……
わたしの声だけじゃなく、ちゃんと身体も反応してくれるんだね」

(唇が、ふわりと重なった。
そのまま、音を立てて吸い上げられる──)

(ちゅっ、ちゅる……)

(乳首が柔らかく引き込まれ、舌がそこを転がす。
一方の手は下腹部に伸び、太腿を撫で上げるように動く)

(その手つきは決して荒くない。
けれども、その優しさこそが、逆に限界を押し上げてくる)

(穏やかな愛撫が続く──
なのに、奥の奥が疼いて、もう、ひとつの絶頂がすぐそこにあると悟ってしまう)

(胸が熱い。喉が震える。
耳元では、セイレーンの“歌”がささやくように続いている)

(それは、あまりに心地よく──
意識ごと蕩けてしまうような、母性と性愛が混じった魔性の調べ)

セイレーン:「まだ焦らなくていいのよ。
ゆっくり、じっくり、あなたの“いちばん奥”をあたためてあげる……♡」

(吐息がふわりと下腹部へかかる。
そこへ、舌が──)

(熱く、湿った舌が、ぬるりと這い上がってくる)

(瞬間、ビクッと腰が跳ねた。
呼吸が止まり、脳がかっと熱に染まる)

(ぴちゃ……ちゅぷ……)

(音が、熱が、振動が、奥から這い上がってくる)

(ハーピィの時とは違う、甘く、やさしく、包み込むような責め──
けれども、それは確かに“壊れるほどの絶頂”を導く予兆だった)

(セイレーンは微笑んだまま、あなたの脚を開かせ、
吐息と舌先で、何度も何度も、粘膜を愛撫し続ける)

(音が鳴る。濡れる。震える。
“外”だけで、もう果ててしまいそうになる)

(セイレーンの目が潤むように細められ、
まるで恋人に語りかけるように、唇が形を作る)

セイレーン:「たくさん気持ちよくなってね……♡
全部、わたしが受け止めてあげる……♡」

(その優しさは、夢の中でさえ抗えない甘美の罠)

(快楽が、じわじわと、限界の輪郭を溶かし始めていた──)

(セイレーンの舌が、もう何度も、何度もあなたの最奥をなぞり、
唇で愛撫するたび、肉体の奥がとろけるように緩んでいった)

(胸を、腹を、足先まで。すべてが蕩けきっていて、
なのに、不思議と身体は、彼女の動きに合わせて自然と反応してしまう)

(それを見たセイレーンが、そっと身体を起こす)

(胸元の布が滑り落ち、白くしっとりとした乳房があらわになる──
それはまるで波間に浮かぶ月光のようで、穏やかな色気を放っていた)

(そして、あなたの上に跨ると、ふわりと腰を落とす)

(……ぬる、ぬちゅ……)

(入り口が、わずかにすぼまり、迎え入れる)

(濃密な肉の膜が、するりとあなたをくわえ込み──)

(ゆっくり、ゆっくり、沈み込んでいく。まるで、
深い海の底へと誘われるように)

(ぬぷ……ぬく……)

(中は、異常なほど熱く、やわらかい。
それでいて、優しく、しっとりと包み込まれる感覚)

(セイレーンは目を細め、ぴたりと密着したまま、あなたの頬を撫でる)

セイレーン:「はぁ……♡ 奥まで……入ってきたね……♡
大丈夫、わたしが全部、きもちよくしてあげるから……」

(膣壁が、きゅうっと締めつける)

(ただ入っているだけなのに、全身がびくびくと痺れる)

(そのまま、彼女は上下に動こうとはしない。
ただ、深く沈み込んだまま、ゆっくりと中を蠢かせる)

(きゅ……くちゅ……ぬちゅ……)

(内側の肉が、まるで意志を持っているかのように絡みついてくる。
波打ち、絞り、押し当てる──
そして、そのすべてが甘く、やわらかく、優しい)

(セイレーンは、指を絡めながら、あなたの額に口づけを落とす)

セイレーン:「声も出さなくていいよ……
ただ、気持ちよくなって。わたしの中で、
とろけて、全部、溶けちゃって……♡」

(密着した身体が、ぴくん、と跳ねる)

(奥で締まる。ひときわ強く、深く)

(それだけで、もう堪えきれないものが、臨界に達しそうになる)

(けれど、セイレーンはまだ焦らない)

(彼女は腰をわずかに揺らし、あなたの耳元で囁く)

セイレーン:「まだ……もう少し、
わたしの“奥”に届かせて……ね……♡」

(そう言って、ふたたび、ぬるぬるとゆっくり、
深く──深く沈み直す)

(ふたりの腰が完全に重なり、
もう、これ以上入らないほどに結合した瞬間──)

(意識が、ふっと白く染まりかける)

(音は、ぬちゅ、くちゅ……と柔らかく響き、
密着する肌が、熱に染まり、溶け合っていく)

(ひとつになっている──
夢の中で、心と身体のすべてが)

(セイレーンは微笑みながら、軽く中を締めつけた)

(きゅぅっ……)

(その一瞬で、また、果ててしまいそうになる──)

(けれど、その先を許してはくれない。セイレーンは、ただ静かに微笑んだまま──)

(そのぬめるような内奥で、ふわりと包み込みながら、ぎゅうっとやさしく締めてくる)

(それはまるで、波間に浮かぶ身体が、静かに潮に引かれていくような──心ごと、さらわれてしまう感覚)

(セイレーンの唇が、肌のどこかにふれては離れ、またそっと撫でていく)

(それだけで、熱が胸の奥で溶け出して、指先まで甘さで満ちてしまいそうになる)

(見上げれば、濡れ羽色の髪が揺れ、深海のような瞳が、蕩けそうなほどやさしく細められていた)

セイレーン:「……また来そうなの? ふふ……がんばり屋さん」

(囁きはまるで、心に直接届く歌声だった)

(その声を聞くだけで、奥が、喉が、胸が、反応してしまう)

(ふわりと腰を揺らしながら、セイレーンは自らを奥まで沈めていく)

(甘く、ゆっくりと、絡み合いながら──)

(なだめるように、溶かすように、それでも深く、さらに深く──)

(重なるたび、意識の境界がぼやけていく)

(どこからが夢で、どこからが快楽なのか、わからなくなってしまう)

セイレーン:「大丈夫……わたしが、ちゃんと導いてあげる」

(ふいに、内側でやさしい震え)

(その直後──)

(どろり、と深くまで押し拡げられるようなぬくもりが満ちて)

(それに応えるように、きゅうっと強く奥が締まり、絡め取る)

(指先から、胸元から、内側から……甘さが、甘さが、あふれて、どうしようもない)

(セイレーンの吐息がふわりとこぼれる。その温度が、体の内にまで浸透してくるようで──)

セイレーン:「……ねぇ、もっと一緒に、気持ちよくなろ?」

(ぎゅう、と結合部がひとつに重なり、鼓動すら同期していく)

(心臓の音が、ひとつの律動になって全身を揺らし──)

(ひとつの鼓動のたびに、深く、甘く、快楽の波が訪れる)

(セイレーンの手が、そっと頬を撫でる)

(優しく、でも逃さないように)

セイレーン:「わたしの中で、溶けちゃえばいいの……なにもかも、もう考えられなくなるくらいに」

(その囁きの瞬間──また、果てた)

(どろりと濃い快楽が脳まで駆け抜けて、思考がふわりと空へ浮かぶ)

(手足の先が痺れるように熱くて、けれど心はただ満たされていた)

(それでもセイレーンは動きを止めない。微笑みながら、また優しく揺れて──)

(終わりなき甘い海へ、何度も何度も引き戻される)

(夢の奥底で、やさしく絡めとられて──快楽の波が、またひとつ、打ち寄せた)

(まるで海の底に溶けていくような、静かな揺らぎが全身を包んでいた)

(セイレーンの瞳がふわりと細まり、指先がそっと主人公の頬をなぞる)

(触れられたところから、ぬくもりが広がっていく──潮騒のような静かな甘さが)

(深く結ばれたまま、セイレーンは身を重ね、鼓動を密やかに共鳴させていく)

(身体の奥で、ふわりと、ひとつに溶けていくような感覚)

(それはまるで、夜明け前の海が静かに星を呑み込む瞬間のように、優しく、やわらかい)

(セイレーンの唇がそっと耳元へ)

セイレーン:「……だいじょうぶ。ゆっくり、溶けていこうね……」

(甘く、低く囁かれたその声は、心の奥底にまで波紋のように染み渡っていく)

(ぬるり、としたうねりが、奥を満たしてくる)

(内側を撫でるように、焦らすように──けれど決して止まらない、静かな律動)

(快楽の奔流ではなく、心を撫で上げるような余韻)

(呼吸が重なり、ぬくもりが交わり、魂がゆっくりと絡み合っていく)

(身体だけでなく、心まで、甘く染められていく)

(セイレーンの髪が頬に触れる。濡れ羽色の糸のようなそれは、夢の続きのようにやわらかく)

(ふいに──)

(奥で、やさしく、震えるような波が広がった)

(じんわりと、心の芯にまで届く甘さ)

(言葉にならないほどの充足感が、胸の奥から零れそうになる)

(セイレーンは微笑みながら、指を絡めて、優しく額にキスを落とす)

セイレーン:「──ねえ、もっと……感じていいの。心のままに……」

(囁きとともに、内側がそっと締められる)

(そこにゆっくりと、ぬめるような愛の動きが重なって──)

(快感の波が、やさしく、何度も──繰り返し、押し寄せてくる)

(決して激しくはない、けれど深く、深く、波打つように)

(果ての先に、また果てがあった)

(意識の縁をふわりと撫で、熱に浮かされた身体が小さく震える)

(すべてが甘く、とろけるようで──)

(まるで、優しさだけで堕とされてしまうような、そんな陶酔)

(心が解けるたび、セイレーンの中でまた、ひとつに満たされていく)

◇ ◇ ◇

(……どれほど繰り返したのだろう)

(終わりが来ないほどの愛に抱かれながら、夢の奥へ、さらに奥へと沈んでいく)

その一瞬で、また、果ててしまいそうになる)

(けれど、許されない──甘い罰のように)

セイレーン:「……焦らないで。まだ、深くへ行けるわ。……ねぇ、心まで全部、ほどけるまで──」

(ふわり、と唇が肌に触れる……けれど、それはもう肉体の話ではなかった)

(言葉にならない旋律が耳奥を揺らし、香りが神経の隙間を滑り込む。意識の深層が泡立つ)

(くちづけが波となり、波は光となり、光はしずくとなって全身を濡らしていく)

ハーピィ:「ずるいなぁ、セーちゃんばっかり。ねえ、次はわたしの番──」

(ハーピィの羽根が、風のようにそっと触れる。その一撫でで、呼吸が跳ねる)

(ひとふりの羽根が、胸を、腰を、意識そのものを弄ぶように撫でていく)

(声にできない熱が、触れられてもいないのに、そこに“ある”と錯覚させる)

(快感の幻影が、皮膚と神経の間にじゅるりと入り込んでくる)

セイレーン:「あなた、いま触れてないのに……また、びくってした。ふふ、可愛い」

ハーピィ:「じゃあ、もっと教えてあげようかな……“触れない悦び”っていうのを──」

(ぴたり、と指が触れる前の空間に留まる。それだけで、ぶるりと震えが走る)

(何もないはずなのに、そこに“何か”がいる。まるで、触れていないはずの愛撫が、確かに感じられる)

(脳が溶けそうな甘さ。神経の先端が風景と混ざり合い、花のように痙攣する)

(セイレーンの歌声が高まり、ハーピィの羽音が重なる。二重螺旋のような快楽の旋律が、深層をかき混ぜる)

ハーピィ:「──いち、にぃ、さん……」

セイレーン:「……よん、いつつ……だんだん……溶けて、ゆくの……」

(カウントされるごとに、何かが開いていく)

(奥へ、奥へ、奥へ。言葉の層の裏側にまで潜っていく感覚)

(“その先”にある絶頂は、果てではなく……再生だった)

(ひとつイったあとの余韻。全身が空気のように柔らかくなり、世界との境界が曖昧になる)

(それでも、そっと頬をなぞられるだけで、また果ててしまう)

(鼓動がリズムになり、息が音楽になる。何もせず、ただ寄り添われるだけで──)

(とろけるような余韻イキが何度も、何度も、静かに咲く)

ハーピィ:「ふふ……また、びくびくしてる。こんなに可愛くなるなんて、罪だね……♡」

セイレーン:「……まだ、満たしてあげたい。もっと深く、もっと、あなたのいちばん奥まで……」

(ふたりの声が絡まり、夢そのものが熱を持ちはじめる)

(ここに時間はない。ただ、続く。果てても、また溺れる。終わらない甘やかな波)

(愛撫という言葉では足りない。快楽という言葉さえ、今はもう意味を成さない)

(ただ、心ごと包みこまれて、愛されている

(夢は終わらない──)

(花の香りが泡のように浮かび、空気すらとろけていくこの世界で
ふたりの魔女のような愛撫は、まだ、終わりを知らなかった)

セイレーン:「……だいじょうぶ、何度でも……あなたの心が壊れないように、わたしたちで包んであげる」

(その声は羽毛のように柔らかく、指先のように敏感で──
ひとつ音を聞くだけで、肌が粟立ち、奥の奥が疼く)

(目が合っただけで、またひとつ、快感の火花が脳を滑る)

ハーピィ:「ふふ……やっぱりまだ蕩けきれてないよ。
もっと奥まで、もっと……ふたりで一緒に、連れてってあげる──いちばん深くて甘い場所へ」

(ハーピィの羽が肌のすぐ上をなぞる。触れていないのに、触れられたように熱い)

(その羽が描く弧のたびに、全身が波紋のように震え、息がとろけるように乱れていく)

(ふたりの気配が交互に、あるいは重なり、静かに心を愛撫する
まるで──内側から“感じること”そのものを操られているかのように)

(歌声がひとつ、またひとつと重なり合う。旋律が脳をとろけさせ、思考を押し流していく)

(気づけば、指先も、声も、温度も、夢の中の波に沈んでいった)

セイレーン:「……今の、感じたの? ふふ……すごい。ほんの少しの声だけで、びくってなった──
まるで、言葉にイかされてるみたい」

ハーピィ:「じゃあ、言葉だけで溺れちゃうくらい、気持ちよくしてあげる……」

(“触れずに果てる”──そんなこと、ありえないと思っていた)

(けれど今はもう、触れられるよりも、ずっと深い場所に
羽ばたきと歌だけで、連れていかれてしまっている)

(軽く囁かれるだけで、腰が跳ねる。指を滑らせるような旋律だけで、喉が甘く震える)

(快感の波は、体の中心からではなく、心の奥から──
言葉にならない領域で、じゅくじゅくと生まれてくる)

(果てたあともなお、ふたりの愛撫は止まらない)

(優しい声が背中をなぞり、幻の羽根が胸元を包む。
そのたびに、“もう果てたはずの場所”がまた疼きだす)

(何度目かの“終わり”を越えたあとでさえ、そこにはまだ“余韻”があった)

(触れられずに……果てて、また余韻に震えて、そして──
快感が零れるように、また“イってしまう”)

ハーピィ:「あっ……また、とろけてる……すごいね、セーちゃん。
ふたりでこんなに愛してあげたら……もう、全部わたしたちのもの、だよね?」

セイレーン:「ええ……この子の心も、身体も、全部、夢のなかで包んであげる。
壊さずに、でも、戻れないくらい……深く、深く、愛して──」

(ふたりの手は触れず、ただ想いだけが肌に落ちてくる)

(想いが、歌となり、羽となり、温度となり──果てしない夢へと誘う)

(果てることも、溺れることも、もう怖くない。ここでは、すべてが甘い)

(心が蕩けてゆく。嬉しくて、気持ちよくて、どうしようもなくて)

(それでも……ふたりに包まれている限り、安心だった)

(ふたりの“愛”が、夢の中の蜜のように、あなたをやさしく満たし続けていく)

(──それは、終わりのない終わりだった)

(羽ばたく気配と、揺らめく歌声。肌を撫でる風と、心を蕩かす吐息)

(愛撫はもう、言葉にも形にもならない──ただ“存在”そのものが、快楽へと変わっていく)

(触れずに、見つめるだけで、
あるいは音に耳を傾けるだけで──)

(数えきれないほどの“イキ”が波のように押し寄せ、
そのたびに、甘く、とろけるように意識が白く弾けていく)

(果てたあとでさえ、まだふたりはやめてくれなかった)

(繰り返すように、歌と羽が絡まり合い、
ふたりの甘やかな愛が、あなたの内奥にまで染み込んでいく)

(心が蕩け、時間が崩れ、夢の世界そのものが甘美の波に呑まれていく──)

セイレーン:「……もう、すっかりとろけちゃって……
可愛い……全部、わたしたちの愛で、溺れさせてあげる」

ハーピィ:「うん、もっと、もっと……さいごの、いちばん深いところまで……♡」

(もう何度目の絶頂かもわからない──)

(ふたりの気配が絡まり、重なり、螺旋のように渦を描く)

(その渦が、あなたを、ふたりを、すべてを抱き込んでいく)

(溶けた時間、交わる心、蕩けた身体。すべてがひとつに重なり──)

(──果てる)

(音も、光も、香りも、
愛も、熱も、すべてが重なり合って、ただひとつの甘い光に昇華する)

(歓喜とやすらぎの最奥で、すべてが満たされる──)

(──そのあとに訪れたのは、静かな、温かさだった)

(まるで、世界のすべてが抱きしめてくれるかのような、やさしさ)

(白い羽に包まれて、透明な声に撫でられながら──)

(気づけば、あなたはふたりのあいだに抱かれていた)

(セイレーンの腕が胸元に回り、ハーピィの羽が背中に寄り添う)

セイレーン:「……ねぇ……気持ちよかった、でしょう……?
いっぱいいっぱい……愛してあげられた……」

ハーピィ:「もう、眠ってもいいんだよ……
ここは夢のなか。まだ、目覚めたくないなら……わたしたちがそばにいるから」

(どこか遠くで、鈴の音が揺れる)

(セイレーンの髪が頬に触れ、ハーピィの羽がやさしくあなたを包む)

(肌の温もり、呼吸の音、抱きしめられる心地よさ──)

(すべてが、安らぎに溶けていく)

(深い、深い、やさしい眠りへ)

(ふたりの体温に挟まれて、あなたの意識は、微笑みながら夢の底へ沈んでいく──)

(やがて、夢の扉が静かに閉じられた)

◇ ◇ ◇
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

処理中です...