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河鷺昂莉はイジメの対象
取嶺結汰の憂鬱
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あの後俺は、河鷺を生徒会執行部へ連れて行った。河鷺は、イジメの件については臥京には話さないで欲しいと俺に頼み込んだ。まぁ元より話す気は無かったので問題ない無いのだが。
生徒会執行部に戻ってすぐに臥京は
「何故、昂莉が泣いてるの?」
と反応した。
コイツには分かるのだろう。だがここで正直に話す訳にはいかない。
「泣いたんじゃなくて目にゴミが入ったらしくてな。水で目を洗ったんだと」
「ああ、そう」
それきり臥京は黙りこくった。俺の脳内警報が告げている。あの女は危険だ、と。
勘が良すぎる。鋭く深く突き刺さる突っ込みもそうなんだけど…。
問題は臥京に気付かれず如何にして河鷺のイジメを止めるかだ。イジメ団に直接取り合うという手が最善策ではあるのだが、話が出来るならイジメには発展しない。
ならどうするか。せーんせいに言ってやろーというのが正しいと思う。でもそれをしたら更に状況は悪化するだろう。
手っ取り早く終わらせるには臥京にガツンと言って貰えばいい。だがこれもダメだ。状況が悪化するうえに臥京にバレてしまう。
河鷺にいじめ返さすか?それもダメだな。アイツ妙にビクビクしやがる。
難しい。俺が介入なんてした日には酷いことになってそうだ。
「どうするかなぁ」
生徒会執行部の隅で溜息を吐いて窓の外を眺める。
ふと、後ろから声がかけられる。
「のうのう」
このジジくさい話し方、城桜だ。
「んあ?」
後ろから見上げるように城桜を見る。
「お主、コウに何かあるのを知っておるな?」
コウとは河鷺の事だろう。というか、何で分かるんだ?
「全部顔に出ておる」
かんらからと城桜は笑う。こういう時だけ美人だよな、コイツ。
「ほれ、話してみろ」
さて、どうしたものか。話してはいけないと言われていたのだが、城桜に言わないでくれとは言っていない。
気は進まないが、相談に乗って貰うとしよう。
「実は」
そこで河鷺が苛められていること、それを俺は傍観していたこと、そして罪悪感から河鷺へのイジメを止めさそうとしていること。
俺が話している間、城桜は神妙なかおをしていた。
「なるほどのう。ところで話は変わるんじゃがコウのパンツの色、お主には分かるかのう?」
こ、コイツには期待するんじゃなかった!!
「知らねぇよ!」
「私は知っておるぞ」
「何でそこを誇り高く思って堂々たる態度なんだよ!それお前絶対合法的なやり方でパンツ見てないだろ!」
問題ないと城桜はニヤリと笑う。
「女子トイレでスカートめくりをしたからのう!」
「最低だ…」
「最低などではない。だいたい、スカートめくりは男子がするから最低なんじゃ。女子同士ならスキンシップなのじゃ」
「確かに。男子は下心マックスでめくるけど女子同士ならスキンシップで済ませる」
という事は、俺も女子に生まれて来ていたらスキンシップと言う名目でパンツをみれたのでは!?勿体ないな!
「そうじゃろ?だからコウのパンツの色も知っておるのもおかしくなかろう」
って待て待て。なんで俺が丸め込まれてんだ?
「おい。お前も下心マックスじゃねぇか」
そう突っ込むと、明らか図星ですと言わんばかりに挙動がおかしくなった。
「そっ、ソソンナコトアルワケナイ二キマッテオロウ?」
カタカナのとこ全て棒読み。明らか下心マックスだな。
「で、どうしたらいいんだ?」
「何がじゃ?」
「さっき話してたろ!?」
「お主と話していると楽しくて忘れてしまったわい。パンツの話じゃったかのう?」
またもかんらからと笑う。
物忘れが激しい性格なのかしらと少し不安になる。ジジくさい話し方だし。
「だから、河鷺の事だよ」
「ああ。その事か。諦めろ」
「は?今なんて」
聞き間違いか?今諦めろって…。
「諦めろ、と言ったのじゃ」
「何、言ってんだよ。おかしいだろ。あいつがどれだけ苦しんでいると思って…!」
そうだよ。あいつが苦しむ理由なんてないに決まっている。
「いや。コウは苦しまなければならん。それは当然であり必然なのじゃ」
「何を根拠に」
「蹴落としじゃ」
「は?」
さて。と城桜は話し始める。
「どこから話せば良いのやら。」「コウはあんな性格じゃから友人は少なかったんじゃ。」「少なかっただけで別段友人がいなかったわけではない。」「そうじゃ。」「コウの友人は今コウをイジメている奴らなのじゃ。」「あの性格を快く受け入れたのがあやつらじゃの。」「暗いと言うよりオドオドした印象のコウに話しかけた変わり者とも言えよう。」「おいおいお主よ。」「そんな顔をするでない。」「儂はコウを慕っておるよ。」「話が逸れてしまったの。」「最初はぎこちなかった双方じゃったが少女漫画で話が広がり以降よく話す本を貸し借りする仲になっていた。」「何ともそこいらに転がっている物語じゃのぉ。」「くく。」「スマンスマン。」「あまりに馬鹿らしくての。」「イジメている奴らのリーダーがの生徒会執行部の"書記"をしたかったらしいのじゃ。」「じゃがコウもまた書記になりたがっていた。」「そんな騙し騙しの生活の中取り巻きの一言で全てが変わった。」「取り巻きの1人が偶然会長とあっての。」「イジメのリーダーを推したのじゃ。」「そしたら会長がのもう1人の小さい娘はどうなのかと聞いたのじゃ。」「そしたらその取り巻きはなんて言ったと思う?」「あの女は私達の評判を良くするために利用しただけだと口を滑らしたのじゃ。」「そしてその翌日に事は大きく進んだ。」「いや。」「発展したと言った方が良いか。」「会長がコウを選んだのじゃよ。」「その日以来彼女達と話す事は無くなった。」「代わりに出来たのは深い亀裂。」「違うな。」「亀裂ではなく溝の方がしっくりくるのう。」「そこで生じたのがイジメ。」「ん?」「コウは何も悪いことをしていない?」「そこじゃよ。」「何もしなかったからこの様な事態に陥ったのじゃ。」「友情と言う糸を離さなければこうはなっておらんかったじゃろうな。」「コウは諦めたのじゃ。」「周囲の関係を断ち切りイジメを受け入れたのじゃよ。」「理由?」「そんなもの決まっておる。」「罪悪感じゃよ。」「お主みたいにな」
ふう。城桜は溜息を吐く。
罪悪感がイジメに負荷されることにより、河鷺はこの状態を正しいことに仕立てようとしているのか。
自らを陥れるために、いつまでも優しさを忘れない為に、友人達を悪人にさせないために、彼女は傷を負っているのだとしたらそれは、
「自己満足、か」
俺はもう一度窓の外を眺め、眩しい夕日に目を細めた。
生徒会執行部に戻ってすぐに臥京は
「何故、昂莉が泣いてるの?」
と反応した。
コイツには分かるのだろう。だがここで正直に話す訳にはいかない。
「泣いたんじゃなくて目にゴミが入ったらしくてな。水で目を洗ったんだと」
「ああ、そう」
それきり臥京は黙りこくった。俺の脳内警報が告げている。あの女は危険だ、と。
勘が良すぎる。鋭く深く突き刺さる突っ込みもそうなんだけど…。
問題は臥京に気付かれず如何にして河鷺のイジメを止めるかだ。イジメ団に直接取り合うという手が最善策ではあるのだが、話が出来るならイジメには発展しない。
ならどうするか。せーんせいに言ってやろーというのが正しいと思う。でもそれをしたら更に状況は悪化するだろう。
手っ取り早く終わらせるには臥京にガツンと言って貰えばいい。だがこれもダメだ。状況が悪化するうえに臥京にバレてしまう。
河鷺にいじめ返さすか?それもダメだな。アイツ妙にビクビクしやがる。
難しい。俺が介入なんてした日には酷いことになってそうだ。
「どうするかなぁ」
生徒会執行部の隅で溜息を吐いて窓の外を眺める。
ふと、後ろから声がかけられる。
「のうのう」
このジジくさい話し方、城桜だ。
「んあ?」
後ろから見上げるように城桜を見る。
「お主、コウに何かあるのを知っておるな?」
コウとは河鷺の事だろう。というか、何で分かるんだ?
「全部顔に出ておる」
かんらからと城桜は笑う。こういう時だけ美人だよな、コイツ。
「ほれ、話してみろ」
さて、どうしたものか。話してはいけないと言われていたのだが、城桜に言わないでくれとは言っていない。
気は進まないが、相談に乗って貰うとしよう。
「実は」
そこで河鷺が苛められていること、それを俺は傍観していたこと、そして罪悪感から河鷺へのイジメを止めさそうとしていること。
俺が話している間、城桜は神妙なかおをしていた。
「なるほどのう。ところで話は変わるんじゃがコウのパンツの色、お主には分かるかのう?」
こ、コイツには期待するんじゃなかった!!
「知らねぇよ!」
「私は知っておるぞ」
「何でそこを誇り高く思って堂々たる態度なんだよ!それお前絶対合法的なやり方でパンツ見てないだろ!」
問題ないと城桜はニヤリと笑う。
「女子トイレでスカートめくりをしたからのう!」
「最低だ…」
「最低などではない。だいたい、スカートめくりは男子がするから最低なんじゃ。女子同士ならスキンシップなのじゃ」
「確かに。男子は下心マックスでめくるけど女子同士ならスキンシップで済ませる」
という事は、俺も女子に生まれて来ていたらスキンシップと言う名目でパンツをみれたのでは!?勿体ないな!
「そうじゃろ?だからコウのパンツの色も知っておるのもおかしくなかろう」
って待て待て。なんで俺が丸め込まれてんだ?
「おい。お前も下心マックスじゃねぇか」
そう突っ込むと、明らか図星ですと言わんばかりに挙動がおかしくなった。
「そっ、ソソンナコトアルワケナイ二キマッテオロウ?」
カタカナのとこ全て棒読み。明らか下心マックスだな。
「で、どうしたらいいんだ?」
「何がじゃ?」
「さっき話してたろ!?」
「お主と話していると楽しくて忘れてしまったわい。パンツの話じゃったかのう?」
またもかんらからと笑う。
物忘れが激しい性格なのかしらと少し不安になる。ジジくさい話し方だし。
「だから、河鷺の事だよ」
「ああ。その事か。諦めろ」
「は?今なんて」
聞き間違いか?今諦めろって…。
「諦めろ、と言ったのじゃ」
「何、言ってんだよ。おかしいだろ。あいつがどれだけ苦しんでいると思って…!」
そうだよ。あいつが苦しむ理由なんてないに決まっている。
「いや。コウは苦しまなければならん。それは当然であり必然なのじゃ」
「何を根拠に」
「蹴落としじゃ」
「は?」
さて。と城桜は話し始める。
「どこから話せば良いのやら。」「コウはあんな性格じゃから友人は少なかったんじゃ。」「少なかっただけで別段友人がいなかったわけではない。」「そうじゃ。」「コウの友人は今コウをイジメている奴らなのじゃ。」「あの性格を快く受け入れたのがあやつらじゃの。」「暗いと言うよりオドオドした印象のコウに話しかけた変わり者とも言えよう。」「おいおいお主よ。」「そんな顔をするでない。」「儂はコウを慕っておるよ。」「話が逸れてしまったの。」「最初はぎこちなかった双方じゃったが少女漫画で話が広がり以降よく話す本を貸し借りする仲になっていた。」「何ともそこいらに転がっている物語じゃのぉ。」「くく。」「スマンスマン。」「あまりに馬鹿らしくての。」「イジメている奴らのリーダーがの生徒会執行部の"書記"をしたかったらしいのじゃ。」「じゃがコウもまた書記になりたがっていた。」「そんな騙し騙しの生活の中取り巻きの一言で全てが変わった。」「取り巻きの1人が偶然会長とあっての。」「イジメのリーダーを推したのじゃ。」「そしたら会長がのもう1人の小さい娘はどうなのかと聞いたのじゃ。」「そしたらその取り巻きはなんて言ったと思う?」「あの女は私達の評判を良くするために利用しただけだと口を滑らしたのじゃ。」「そしてその翌日に事は大きく進んだ。」「いや。」「発展したと言った方が良いか。」「会長がコウを選んだのじゃよ。」「その日以来彼女達と話す事は無くなった。」「代わりに出来たのは深い亀裂。」「違うな。」「亀裂ではなく溝の方がしっくりくるのう。」「そこで生じたのがイジメ。」「ん?」「コウは何も悪いことをしていない?」「そこじゃよ。」「何もしなかったからこの様な事態に陥ったのじゃ。」「友情と言う糸を離さなければこうはなっておらんかったじゃろうな。」「コウは諦めたのじゃ。」「周囲の関係を断ち切りイジメを受け入れたのじゃよ。」「理由?」「そんなもの決まっておる。」「罪悪感じゃよ。」「お主みたいにな」
ふう。城桜は溜息を吐く。
罪悪感がイジメに負荷されることにより、河鷺はこの状態を正しいことに仕立てようとしているのか。
自らを陥れるために、いつまでも優しさを忘れない為に、友人達を悪人にさせないために、彼女は傷を負っているのだとしたらそれは、
「自己満足、か」
俺はもう一度窓の外を眺め、眩しい夕日に目を細めた。
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