青春ラブコメと無関係な世界

涼雪 涼

文字の大きさ
5 / 19
河鷺昂莉はイジメの対象

取嶺結汰の憂鬱

しおりを挟む
 あの後俺は、河鷺を生徒会執行部へ連れて行った。河鷺は、イジメの件については臥京には話さないで欲しいと俺に頼み込んだ。まぁ元より話す気は無かったので問題ない無いのだが。

生徒会執行部に戻ってすぐに臥京は

「何故、昂莉が泣いてるの?」

と反応した。

 コイツには分かるのだろう。だがここで正直に話す訳にはいかない。

「泣いたんじゃなくて目にゴミが入ったらしくてな。水で目を洗ったんだと」

「ああ、そう」

 それきり臥京は黙りこくった。俺の脳内警報が告げている。あの女は危険だ、と。

 勘が良すぎる。鋭く深く突き刺さる突っ込みもそうなんだけど…。

 問題は臥京に気付かれず如何にして河鷺のイジメを止めるかだ。イジメ団に直接取り合うという手が最善策ではあるのだが、話が出来るならイジメには発展しない。

ならどうするか。せーんせいに言ってやろーというのが正しいと思う。でもそれをしたら更に状況は悪化するだろう。

 手っ取り早く終わらせるには臥京にガツンと言って貰えばいい。だがこれもダメだ。状況が悪化するうえに臥京にバレてしまう。

 河鷺にいじめ返さすか?それもダメだな。アイツ妙にビクビクしやがる。

 難しい。俺が介入なんてした日には酷いことになってそうだ。

 「どうするかなぁ」

 生徒会執行部の隅で溜息を吐いて窓の外を眺める。

 ふと、後ろから声がかけられる。

「のうのう」

 このジジくさい話し方、城桜だ。

「んあ?」

 後ろから見上げるように城桜を見る。

「お主、コウに何かあるのを知っておるな?」

 コウとは河鷺の事だろう。というか、何で分かるんだ?

「全部顔に出ておる」

 かんらからと城桜は笑う。こういう時だけ美人だよな、コイツ。

「ほれ、話してみろ」

 さて、どうしたものか。話してはいけないと言われていたのだが、城桜に言わないでくれとは言っていない。

 気は進まないが、相談に乗って貰うとしよう。

「実は」

 そこで河鷺が苛められていること、それを俺は傍観していたこと、そして罪悪感から河鷺へのイジメを止めさそうとしていること。

 俺が話している間、城桜は神妙なかおをしていた。

「なるほどのう。ところで話は変わるんじゃがコウのパンツの色、お主には分かるかのう?」

 こ、コイツには期待するんじゃなかった!!

「知らねぇよ!」

「私は知っておるぞ」

「何でそこを誇り高く思って堂々たる態度なんだよ!それお前絶対合法的なやり方でパンツ見てないだろ!」

 問題ないと城桜はニヤリと笑う。

「女子トイレでスカートめくりをしたからのう!」

「最低だ…」

「最低などではない。だいたい、スカートめくりは男子がするから最低なんじゃ。女子同士ならスキンシップなのじゃ」

「確かに。男子は下心マックスでめくるけど女子同士ならスキンシップで済ませる」 

 という事は、俺も女子に生まれて来ていたらスキンシップと言う名目でパンツをみれたのでは!?勿体ないな!

「そうじゃろ?だからコウのパンツの色も知っておるのもおかしくなかろう」

 って待て待て。なんで俺が丸め込まれてんだ?

「おい。お前も下心マックスじゃねぇか」

 そう突っ込むと、明らか図星ですと言わんばかりに挙動がおかしくなった。

「そっ、ソソンナコトアルワケナイ二キマッテオロウ?」

 カタカナのとこ全て棒読み。明らか下心マックスだな。

「で、どうしたらいいんだ?」

「何がじゃ?」

「さっき話してたろ!?」

「お主と話していると楽しくて忘れてしまったわい。パンツの話じゃったかのう?」

 またもかんらからと笑う。

 物忘れが激しい性格なのかしらと少し不安になる。ジジくさい話し方だし。

「だから、河鷺の事だよ」

「ああ。その事か。諦めろ」

「は?今なんて」

 聞き間違いか?今諦めろって…。

「諦めろ、と言ったのじゃ」

「何、言ってんだよ。おかしいだろ。あいつがどれだけ苦しんでいると思って…!」

 そうだよ。あいつが苦しむ理由なんてないに決まっている。

「いや。コウは苦しまなければならん。それは当然であり必然なのじゃ」

「何を根拠に」

「蹴落としじゃ」

「は?」

 さて。と城桜は話し始める。

「どこから話せば良いのやら。」「コウはあんな性格じゃから友人は少なかったんじゃ。」「少なかっただけで別段友人がいなかったわけではない。」「そうじゃ。」「コウの友人は今コウをイジメている奴らなのじゃ。」「あの性格を快く受け入れたのがあやつらじゃの。」「暗いと言うよりオドオドした印象のコウに話しかけた変わり者とも言えよう。」「おいおいお主よ。」「そんな顔をするでない。」「儂はコウを慕っておるよ。」「話が逸れてしまったの。」「最初はぎこちなかった双方じゃったが少女漫画で話が広がり以降よく話す本を貸し借りする仲になっていた。」「何ともそこいらに転がっている物語じゃのぉ。」「くく。」「スマンスマン。」「あまりに馬鹿らしくての。」「イジメている奴らのリーダーがの生徒会執行部の"書記"をしたかったらしいのじゃ。」「じゃがコウもまた書記になりたがっていた。」「そんな騙し騙しの生活の中取り巻きの一言で全てが変わった。」「取り巻きの1人が偶然会長とあっての。」「イジメのリーダーを推したのじゃ。」「そしたら会長がのもう1人の小さい娘はどうなのかと聞いたのじゃ。」「そしたらその取り巻きはなんて言ったと思う?」「あの女は私達の評判を良くするために利用しただけだと口を滑らしたのじゃ。」「そしてその翌日に事は大きく進んだ。」「いや。」「発展したと言った方が良いか。」「会長がコウを選んだのじゃよ。」「その日以来彼女達と話す事は無くなった。」「代わりに出来たのは深い亀裂。」「違うな。」「亀裂ではなく溝の方がしっくりくるのう。」「そこで生じたのがイジメ。」「ん?」「コウは何も悪いことをしていない?」「そこじゃよ。」「何もしなかったからこの様な事態に陥ったのじゃ。」「友情と言う糸を離さなければこうはなっておらんかったじゃろうな。」「コウは諦めたのじゃ。」「周囲の関係を断ち切りイジメを受け入れたのじゃよ。」「理由?」「そんなもの決まっておる。」「罪悪感じゃよ。」「お主みたいにな」

 ふう。城桜は溜息を吐く。

 罪悪感がイジメに負荷されることにより、河鷺はこの状態を正しいことに仕立てようとしているのか。

 自らを陥れるために、いつまでも優しさを忘れない為に、友人達を悪人にさせないために、彼女は傷を負っているのだとしたらそれは、

「自己満足、か」

 俺はもう一度窓の外を眺め、眩しい夕日に目を細めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私がガチなのは内緒である

ありきた
青春
愛の強さなら誰にも負けない桜野真菜と、明るく陽気な此木萌恵。寝食を共にする幼なじみの2人による、日常系百合ラブコメです。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。 将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。 サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。 そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。 サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

処理中です...