女子に追いかけられて死んで転生した:ヌルゲーで異世界生活:

涼雪 涼

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鉱山都市ロイハイゲン編

59 下水珍道中

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 パシャッ。

「はぁはぁ、取り敢えず撒いたか」

「何とか、ですが…」

「し、しんどいわ…」

 絶賛逃走中。リヴィアンを立ち直らせてから数時間後、いとも簡単に見つかり今こうして逃げおおせたところだ。

「そういえば、ここには奴がいるとかクロビア公爵が言ってたけど…。何なのか結局分かんなかったな」

 そう言ったときだった。リヴィアンが小さく悲鳴を上げる。異様に震えている。トラウマでもフラッシュバックでもしたのん?そんな呑気な考えはリヴィアンの言葉で改めさせられる。

「ここに奴って、言った、の?」

「え、いやまぁ。そうだけど。どうかしたのか?」

「私ね。小さい頃にいたずらをして叱られた時によくクロビアおじ様が、『悪い事をしているとに連れていかれるぞ』って聞かされてたの」

 もうリヴィアンの顔は顔面蒼白だ。これぞ血の気が引くと言うのだろうか。

「それとこの件がどう関係しているのですか?」

 訝しげにリヴィアンに質問をするマグだが、リヴィアンはぶんぶんの首を振り違う違うと呟いている。

「早くしてくれ!そうじゃないと対策が練れないだろ!」

「んー!分かったわよ!笑ったら承知しないんだから!」

「笑わないので早く言ってください」

「それ絶対笑うやつじゃん!もうっ。それである日疑問が生じたわ。バンシーはどこから来るのかって。クロビアおじ様に聞いたところによると、この下水道らしいの」


 バンシー。地方により呼び方は様々だが、子供を産むため早く死んでしまった女性で「浅瀬の濯ぎ女」とも呼ばれる。目は燃えるような赤い目。髪は黒く長く、緑色の服に灰色のマントを着ている。

「いわゆる幽霊というものですね」

「ああ、バンシーの泣き声を聞けばその家に住んでいる誰かが死ぬってやつ」

 それのどこが危ないのか。よくわからん。対して強い訳では無い筈だ。…幽霊、リヴィアン、顔面蒼白…あ。

「リヴィアン、もしかして幽霊とかアンデッドが嫌いなのか?」

「な、何よぅ…。なんか悪い!?」

 口を尖らせぐすんと鼻をすする。リヴィアンはその場にしゃがみこむ。

「そうよ。怖いわよ。おばっ、んん!幽霊なんか大嫌い!不気味な格好で気持ち悪いし…」

 なんというか、可愛い!この萎え萎え感が半端なく萌える!きゃわわっ!

「さて。くだらない与太話は終わりにして先に進みましょう。次はどっちですか」

「くだらないって何よ!いるんだからね!バンシーいるんだから!」

 リヴィアンはムキになりマグに食い下がる。そのとき、とんとんと肩を叩かれる。

「ん?なんだよマグ。肩なんて叩かなくても話せばいいだろ?」

 が、マグは顔を傾げる。

「は?私ではないですよ。どうせリヴィアンが驚かせてやろうとして肩を」

 それを聞いてリヴィアンは首を横に振る。

「私じゃないわ」

 ゾワッ。急に寒気が襲ってくる。恐る恐る後ろを振り向く。燃えるような赤い目。黒く長い髪。灰色のマントの隙間から見える緑色の服。

"うふふっ"

 ニタリとそいつは笑う。俺の顔を見て、笑う。

「は」

 あまりの恐怖に声が出ない。マグも同じようで顔も青ざめている。リヴィアンに関しては失神している。

"こんばんは"

 次の瞬間には、見事バタンキューでした。
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