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訪ね歩くは静かなる水
老魔法使い
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ビオンは、静まり返った街の中を下へ下へと降りていく。
白い階段が、水とよくマッチしている。
下層階は石の道路ではなく、水路のようだった。
水路に使われているのは生活用水になる水とは違う水のようで、綺麗ではあるが飲めるかと言われると無理だと言わざるを得ない。
だが、そこには使われていない木船が何隻かあるだけで、気配は何も感じなかった。
水路にはどうやら、生物が居るようだった。魚型の何か、もしくは魚ですらないか。老人がここで釣りをしていたらどれほど分かりやすかっただろうか。
浮かんでいる古びた木船を眺めながら、川の上を飛行していく。
すると、1隻だけまだ使用感のある船が浮かんでいた。
「お…?」
そちらを眺めていると、傍の建物の扉が開き、小さい何かが出てきた。
いや、なにかでは無い。年老いて男か女かも判別がつかない。
が、微量な魔力を感じとった。ビオンは確信した。この人がリジェネの師匠だ。
「オゥ…?なぁんじゃーい、わはぞうか」
「わはぞう。…若造?」
「そーじゃ!わはぞう!きはまじゃ!」
「きはま。貴様か……これはたしかにセイカには無理だねえ…。こんにちは老師」
「お?きはま、ぷぁひなか!」
「えっ、あっぉ、…あ!そう、プラチナ魔法司書のビオンです!あの…リジェネのお師匠様ですよね?」
「そーじゃ!なんじゃよーか?」
「はい、聞きたい話しがありまして」
「ほーかほーか!!ほれ、こっちきなさい」
老師に言われるがまま、ビオンは家の中へと入る。
中は石造りのせいか比較的涼しく、過ごしやすい気温だった。
老師は少し背の低い机と椅子に座り、お前も座れと促してくる。
170cm程の身長があるビオンには、かなり座り心地が悪かったが諦めた。
「しへ、はなしっれなんじゃ」
「ええと。この花についてです。人間が花になったやつです。老師なら、自由に動けた最古の人として何か知ってはいないかと」
「ああこぇじゃな!さっと5万年前じゃ、1部にコイぅはあっれな。こんなにあぅのは不自然じゃが、女神の口伝同様、災いろしれふぃかかっらようじゃ」
「ふむ、ということは、あるにはあったんですね?花について詳しいことは分かりますか?」
「ひろじゃろいうころじゃ。そうじゃなあろは…ああ、まょくが抽出できる。…人間じゃかや、やぃはせんが」
「ひろじゃ…人だということと、まょ…魔力!なるほど。そうですよね、魔力が抽出できるとしても、元は人間ですからね」
「そーじゃ。んんーわしがわかるのはこのくゃいじゃ。すまんの」
「分かりました。ありがとうございました。ところで老師、先程は何をしに外へ?」
「あぁー!そうじゃ!夕飯のかいらしじゃ!」
「あぁー!じゃあお礼に、僕が何か取ってきましょうか。老師1人では疲れるでしょう」
老師はおお!と嬉しそうな顔をした。ビオンには老いた感覚はまだ分からないが、リジェネの師匠である魔法使いでも、老いと共に魔力は衰えていくということだろうかと思うことは出来た。
ビオンは必要なものをメモし、街の無人販売店に買い物に行く。
野菜や果物はここにあるが、肉類は自分がもう持っているため買う必要は無いだろう。
元々無人だった販売店の品ぞろえはまだ新鮮なところを見ると、入荷作業や品物の管理は魔法使いがしているようだ。
「えーと…空菜と…月卵と…トイルとあとは燈菜か」
無人販売店から品物を買い、また老師の家へ向かう。
「おぉー!あぃがょのぉビオン。そういえば、ここにはお前ひとぃで来らのか?」
「あぁいや、友人と妖精、友人の弟子と来ました」
「ほう?そやぅは?」
「今、女神様に同じく話を聞きに行っているところです。自覚ないみたいですけど、セイカは女神に好かれてるので」
「セイカ…そやぅセイカょいうのか?」
「ええ。あの花の名前と同じ…なんですよね?」
「そうじゃ…。…そうか、女神に好かぇておぅか。良かっらなあ」
「……老師、やっぱり入れ歯入れましょ?」
「やじゃ!」
ビオンはその後、老師の家をあとにするとリジェネの屋敷へ戻る。
戻る頃には夕方もそろそろ終わる時刻。とはいえ、まだセイカは戻っていないだろう。
リジェネの屋敷に到着し、中に入るとマホは昼寝をしているところだった。
「ただいまリジェネ。マホちゃんお昼寝?」
「あぁ。菓子を食べて沢山遊んで寝ている。フン、どうやら本当にセイカの事が大好きみたいだな」
「不思議だよねぇ、どんな女の子にも振り向かないセイカが、こんなちっちゃい子に弱いなんて」
「この世で唯一、セイカの事を振り向かせた女だな。良い女になるぞ」
「ははっ、楽しみだねえ」
「お前はさっさとアンジュに告白しないのか」
「え!?ぁっ…し、しないよそんな、僕は見てるだけで…」
ビオンが慌てると、リジェネはおかしそうに笑う。
本来魔法使いは、個々で繁殖する必要が無い。ならなぜ恋心など持つのだろうか。
それは誰も知らないが、恋は悪いものでは無い。抱いてしまうのだから仕方がない。
それに対してセイカは、そんな恋心など持ち合わせていないかのように全ての女に興味が無い。
1度でいいから恋しているところも見てみたいというのが、ビオン含めセイカを知っている魔法使い共通の意見だ。
すやすやと寝息を立てていたマホは、ビオンが帰ってきてから30分後に目を覚ました。
「ぁ…あ!ビオン様おかえりなさい!」
「ただいまマホちゃん。いい夢見れた?」
「うん!あのねあのね、セイカ様が女の人と並んでにこにこしてる夢!マホもそれを見てるの!女の人もね、お手手繋いでくれたんだよ!」
「えー!素敵な夢だね。どんな女の人だったの?」
「えっとね、真っ赤っかの長い髪のね、おむねおっきい美人なおねーさん!!!」
「……。…もしかして、おめめは黄緑かな?」
「え!?どーしてわかったのお!?」
「ふふ、そっか~。僕は凄いからね、なんでも分かっちゃうよ」
「すごいすごーい!!!」
「……」
ビオンはそれから、少し考え込んでしまった。
赤くて長い髪、発育のいい身体、そして、セイカと同じ黄緑の瞳。
それは、ビオンが昔から目で追いかけているアンジュそのものだった。
とはいえ、たかが夢であると気を取り直す。何故、見たこともないアンジュを夢の中でマホが見たのかは分からないが、夢は夢。正夢などというものもあるが、それだって根拠としての文献は世界図書の中にもない。
それならば、必要以上に気にする必要は無いのだろう。
「…元気出せビオン。セイカがアンジュに興味あるわけが無いだろう」
「そうだよね~、恋愛も興味無いんだから…」
「…まぁ、あいつも生き物だからな、そういうことはいつかあるのかもしれんが…。幸いなことに、我々は魔法使いだ。人間のようにすぐ死んだりはしないからこそ、いつかでいいんだ」
「…そだね、ふふ、ありがとリジェネ」
リジェネがビオンを励ましている光景を、マホは不思議そうに眺めた。まだそういった感情は、マホには難しい。
そして、3人はセイカの帰りを待つ間、スイーツと紅茶を用意し談笑していた。
大人2人の話に、マホは興味津々で質問を繰り返している。
「ねぇねぇ、好きって、マホがセイカ様のこと好きっていうのとは違うの?」
「そーだねぇ。好きって色々有るんだけど、マホちゃんはセイカの事が師匠としてかっこいいから好き、でしょ?」
「うん!」
「それは憧れとか尊敬っていう好きなんだよ」
「じゃあ、ビオン様がアンジュ様?を好きなのは?」
「あっ、えとそれは…」
「ハハッ、やっぱり聞いていたか。それは恋愛的に好き、という事だ。その子がいるだけでドキドキしたり、彼女になって欲しいって思ったり、嬉しかったこととかを1番に共有したくなる。そういうものだよ」
「わあぁ…!すてきなんだねえ!ね!リリィ!」
『そうね、マホにも出来るといいわね』
「うん!」
「その時は、もしかしたらセイカが落ち込むかもしれんな?ハハハッ」
セイカを待つ間、この空間にはただ平和な会話が続いていた。
白い階段が、水とよくマッチしている。
下層階は石の道路ではなく、水路のようだった。
水路に使われているのは生活用水になる水とは違う水のようで、綺麗ではあるが飲めるかと言われると無理だと言わざるを得ない。
だが、そこには使われていない木船が何隻かあるだけで、気配は何も感じなかった。
水路にはどうやら、生物が居るようだった。魚型の何か、もしくは魚ですらないか。老人がここで釣りをしていたらどれほど分かりやすかっただろうか。
浮かんでいる古びた木船を眺めながら、川の上を飛行していく。
すると、1隻だけまだ使用感のある船が浮かんでいた。
「お…?」
そちらを眺めていると、傍の建物の扉が開き、小さい何かが出てきた。
いや、なにかでは無い。年老いて男か女かも判別がつかない。
が、微量な魔力を感じとった。ビオンは確信した。この人がリジェネの師匠だ。
「オゥ…?なぁんじゃーい、わはぞうか」
「わはぞう。…若造?」
「そーじゃ!わはぞう!きはまじゃ!」
「きはま。貴様か……これはたしかにセイカには無理だねえ…。こんにちは老師」
「お?きはま、ぷぁひなか!」
「えっ、あっぉ、…あ!そう、プラチナ魔法司書のビオンです!あの…リジェネのお師匠様ですよね?」
「そーじゃ!なんじゃよーか?」
「はい、聞きたい話しがありまして」
「ほーかほーか!!ほれ、こっちきなさい」
老師に言われるがまま、ビオンは家の中へと入る。
中は石造りのせいか比較的涼しく、過ごしやすい気温だった。
老師は少し背の低い机と椅子に座り、お前も座れと促してくる。
170cm程の身長があるビオンには、かなり座り心地が悪かったが諦めた。
「しへ、はなしっれなんじゃ」
「ええと。この花についてです。人間が花になったやつです。老師なら、自由に動けた最古の人として何か知ってはいないかと」
「ああこぇじゃな!さっと5万年前じゃ、1部にコイぅはあっれな。こんなにあぅのは不自然じゃが、女神の口伝同様、災いろしれふぃかかっらようじゃ」
「ふむ、ということは、あるにはあったんですね?花について詳しいことは分かりますか?」
「ひろじゃろいうころじゃ。そうじゃなあろは…ああ、まょくが抽出できる。…人間じゃかや、やぃはせんが」
「ひろじゃ…人だということと、まょ…魔力!なるほど。そうですよね、魔力が抽出できるとしても、元は人間ですからね」
「そーじゃ。んんーわしがわかるのはこのくゃいじゃ。すまんの」
「分かりました。ありがとうございました。ところで老師、先程は何をしに外へ?」
「あぁー!そうじゃ!夕飯のかいらしじゃ!」
「あぁー!じゃあお礼に、僕が何か取ってきましょうか。老師1人では疲れるでしょう」
老師はおお!と嬉しそうな顔をした。ビオンには老いた感覚はまだ分からないが、リジェネの師匠である魔法使いでも、老いと共に魔力は衰えていくということだろうかと思うことは出来た。
ビオンは必要なものをメモし、街の無人販売店に買い物に行く。
野菜や果物はここにあるが、肉類は自分がもう持っているため買う必要は無いだろう。
元々無人だった販売店の品ぞろえはまだ新鮮なところを見ると、入荷作業や品物の管理は魔法使いがしているようだ。
「えーと…空菜と…月卵と…トイルとあとは燈菜か」
無人販売店から品物を買い、また老師の家へ向かう。
「おぉー!あぃがょのぉビオン。そういえば、ここにはお前ひとぃで来らのか?」
「あぁいや、友人と妖精、友人の弟子と来ました」
「ほう?そやぅは?」
「今、女神様に同じく話を聞きに行っているところです。自覚ないみたいですけど、セイカは女神に好かれてるので」
「セイカ…そやぅセイカょいうのか?」
「ええ。あの花の名前と同じ…なんですよね?」
「そうじゃ…。…そうか、女神に好かぇておぅか。良かっらなあ」
「……老師、やっぱり入れ歯入れましょ?」
「やじゃ!」
ビオンはその後、老師の家をあとにするとリジェネの屋敷へ戻る。
戻る頃には夕方もそろそろ終わる時刻。とはいえ、まだセイカは戻っていないだろう。
リジェネの屋敷に到着し、中に入るとマホは昼寝をしているところだった。
「ただいまリジェネ。マホちゃんお昼寝?」
「あぁ。菓子を食べて沢山遊んで寝ている。フン、どうやら本当にセイカの事が大好きみたいだな」
「不思議だよねぇ、どんな女の子にも振り向かないセイカが、こんなちっちゃい子に弱いなんて」
「この世で唯一、セイカの事を振り向かせた女だな。良い女になるぞ」
「ははっ、楽しみだねえ」
「お前はさっさとアンジュに告白しないのか」
「え!?ぁっ…し、しないよそんな、僕は見てるだけで…」
ビオンが慌てると、リジェネはおかしそうに笑う。
本来魔法使いは、個々で繁殖する必要が無い。ならなぜ恋心など持つのだろうか。
それは誰も知らないが、恋は悪いものでは無い。抱いてしまうのだから仕方がない。
それに対してセイカは、そんな恋心など持ち合わせていないかのように全ての女に興味が無い。
1度でいいから恋しているところも見てみたいというのが、ビオン含めセイカを知っている魔法使い共通の意見だ。
すやすやと寝息を立てていたマホは、ビオンが帰ってきてから30分後に目を覚ました。
「ぁ…あ!ビオン様おかえりなさい!」
「ただいまマホちゃん。いい夢見れた?」
「うん!あのねあのね、セイカ様が女の人と並んでにこにこしてる夢!マホもそれを見てるの!女の人もね、お手手繋いでくれたんだよ!」
「えー!素敵な夢だね。どんな女の人だったの?」
「えっとね、真っ赤っかの長い髪のね、おむねおっきい美人なおねーさん!!!」
「……。…もしかして、おめめは黄緑かな?」
「え!?どーしてわかったのお!?」
「ふふ、そっか~。僕は凄いからね、なんでも分かっちゃうよ」
「すごいすごーい!!!」
「……」
ビオンはそれから、少し考え込んでしまった。
赤くて長い髪、発育のいい身体、そして、セイカと同じ黄緑の瞳。
それは、ビオンが昔から目で追いかけているアンジュそのものだった。
とはいえ、たかが夢であると気を取り直す。何故、見たこともないアンジュを夢の中でマホが見たのかは分からないが、夢は夢。正夢などというものもあるが、それだって根拠としての文献は世界図書の中にもない。
それならば、必要以上に気にする必要は無いのだろう。
「…元気出せビオン。セイカがアンジュに興味あるわけが無いだろう」
「そうだよね~、恋愛も興味無いんだから…」
「…まぁ、あいつも生き物だからな、そういうことはいつかあるのかもしれんが…。幸いなことに、我々は魔法使いだ。人間のようにすぐ死んだりはしないからこそ、いつかでいいんだ」
「…そだね、ふふ、ありがとリジェネ」
リジェネがビオンを励ましている光景を、マホは不思議そうに眺めた。まだそういった感情は、マホには難しい。
そして、3人はセイカの帰りを待つ間、スイーツと紅茶を用意し談笑していた。
大人2人の話に、マホは興味津々で質問を繰り返している。
「ねぇねぇ、好きって、マホがセイカ様のこと好きっていうのとは違うの?」
「そーだねぇ。好きって色々有るんだけど、マホちゃんはセイカの事が師匠としてかっこいいから好き、でしょ?」
「うん!」
「それは憧れとか尊敬っていう好きなんだよ」
「じゃあ、ビオン様がアンジュ様?を好きなのは?」
「あっ、えとそれは…」
「ハハッ、やっぱり聞いていたか。それは恋愛的に好き、という事だ。その子がいるだけでドキドキしたり、彼女になって欲しいって思ったり、嬉しかったこととかを1番に共有したくなる。そういうものだよ」
「わあぁ…!すてきなんだねえ!ね!リリィ!」
『そうね、マホにも出来るといいわね』
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