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夏の国
騎士の護るもの
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しばらく歩いていくと、城門が出迎えた。門は既に錆びれており、キィキィと音を立てて守護の意味を成していなかった。
「やっぱり、結構朽ちていますね…。もうここに人が居ないのは一目瞭然です。でも、思ったより城は崩れてないみたいです」
「そうだな。やはり頑丈なのだろう。入ろうか」
「はい!」
一行は、錆びた城門を抜け城に入る。
城の中は勿論朽ちていて、崩れた壁や床から植物が生えている。
ミシェルは城の中を進んでいく度に、切ない表情になって行った。
数ヶ月前までは、恐らく人の様々な感情で溢れかえっていた場所なのだろう。
朽ちていても、その生活感は残ったままだった。
「わぁ……すっごく広いなぁ」
「えぇ、まぁ……城と呼ばれるものですから、王の間まで複雑になるように造られていますよ」
「ああ。そうだろうな。……それにしてもこの城は、不思議な歴史を感じるな」
城の内装は、白を基調とした様相だが、朽ちているのとは違う趣ある古さを感じた。
夏の国の伝統として使用している壁材は一緒だが、建築の方法がまるで違うようだった。
城に入ると大広間になっており、その広間から3方向に広い階段が伸びて様々な部屋へと繋がっている。
階段の先にはまた二股に別れた階段、そしてその階段の先には空間が広がり、枝のように内装が広がる。
「すっごい迷いそう……」
「僕の部屋はこっちです。……まぁ、この様子を見るともうボロボロだとは思いますが」
「あぁ、かなり朽ちてはいるな。…この朽ちようでは、悪魔とやらは確実に干渉したのだろう」
「そうですね…。…。もう、誰も残ってはおりませんが、なにか役に立つものだけでも残っていれば…」
「ミシェルくんの家族…えっと、国王さま?とか王妃さま?とか…なにか、残ってないかな」
「そうですね、陛下の痕跡が少しでもあると、…弔いにはならないかもしれませんが、ふふ、ボクの心は少しだけ…救われるのでしょうね」
「弔いは、故人の為でなく遺族の為のものだと言う。まぁ、故人とて見ていない訳では無いが…心の整理をするために、葬儀を執り行うものなのだと聞いている。であれば、それを探すのもまた弔いなのではないか」
「…先導者様はお優しい方ですね。これが弔いになるのであれば、ボクはそれを探し、保管致しましょう」
「その、あの…先導者様とやらはやめてくれ。ルミエでいい、なんだかむず痒い。私はそのような者ではない」
「それでは、ルミエ様。…ありがとうございます」
「…なに、礼を言われるようなことは何もしていない。さぁ、探すぞ」
ルミエは、ふいとミシェルから顔を逸らした。
ミシェルからすれば相当に高い位置にあるルミエの顔は、簡単に見えなくなってしまった。だが、長い耳の先端がほんのり色付いているのは一目瞭然だった。
一行はまず、ミシェルの部屋を捜索した。ミシェルの部屋は子供部屋と言うにはあまりに広く、だが内装は愛されて育った子供の部屋…といった内装であった。
ベッドに掛かった天蓋は朽ち、汚れてはいたものの原型を留めている。
天蓋の上部、ベッドに仰向けになると見える位置には汚れた写真があった。
「…ミシェル、この写真は?」
「あっ!そ、それ、それは!あのっそのっ……父上と、母上…です。…僕とプライベートで撮ってくださった、最後の写真なのです。…それ以降は、ぼくも教育や王政の手伝いなどで忙しく、父上も母上も忙しくされていたので…」
「そうか。汚れてはいるが、いい笑顔だな」
「へへ、愛されてたんだねぇミシェルくん」
「……ええ、大変良い両親だったと、自分のことながら思います。最後に訪れていた辺境伯のヘンリー殿も、ぼくに会うと必ずと言っていいほど両親を褒めていました。このような良い皇子を良くぞ育てられたと…。それを言うのであれば、こんなに良いお兄さんのご両親も…」
「あぁ、僕の両親は人殺しだからさ」
「え?あ、えとっ…」
「いいのいいのもう死んだし。時効?ってやつ?だと思うし。…人の性格とかってさ、親の影響も大きいと思うけど。結局は自分自身で歩んできた道なんじゃないかな。と、僕は思ってる!」
「…も、申し訳ございません。僕、そんな…」
「え!?いやいやそんな謝らないで!?いーのいーの!まぁ人殺しとはいえ、優しくしてくれたとは思うよ。結局僕は、どっちの親に育てられても愛されて育ったと思うから良いんだよ」
「…そう、ですか」
笑顔でそう語る波瑠を、ルミエはただ無言で見つめた。そして、ふいと顔を逸らし、手を動かす。
ルミエが手元の机にあった引き出しを開ける。鍵は掛かっていなかった。
中を見ると、奥に何やら光るものがある。
「ミシェル、この…奥のものはなんだ?」
「えっ?あ!それっ!えっと、昔母上からいただいた物です、誕生日にと…。ですが、他のプレゼントは箱や包み紙に丁寧に梱包されていたのに、その指輪だけは母上の手から直接、隠すように渡されました。そのため、奥にしまっていたのです」
「そうか……。何故着けようとは思わない?」
「隠されるように渡されたことが気になって…。あまり、僕が着けていてはいいものでもないような気がしているからです。……でも、母上にこの指輪のことについて質問しても、はぐらかされるばかりでした。ただ、必要になったら、騎士像のところに持っていきなさいと」
「騎士像?鎧のレプリカのことか?」
ルミエがそう聞くと、ミシェルは大きく首を振った。
部屋のタンスの1番上を開け、そのさらに奥に手を伸ばし何かを取り出す。
取り出したものは羊皮紙で、絵が描かれている。
「こちらの絵…これは、僕が大好きで仲良くしていた、宮廷絵師のアンリが描いてくれた騎士像の絵です。彼はこの城の逐一を後世に残すため、城の内部の様々なものを絵として記録していました。これはその一部です」
「……ほう、中々立派な像だ。それにこの絵……かなり緻密な様だな。友人のジャスが以前、冬国の天使堂に供えられた絵が俺にそっくりなんだと大喜びで見せてきたのだ。それに似ている」
「冬国……たしかアンリは、冬国の出身です。何故正反対な気候の夏国に来たのかは分かりませんが、フルネームをアンリ・ミツォタキスといいます」
「たしかに、冬国の姓だな。ミツォタキス…ああやはり、あの絵に書いていたサインもミツォタキスと書いてあった。と言っても私が言う以前だ。お前たちにとってはかなりの年月。先祖かもしれないな」
「そうですね……。あ!で、えっと。この像なんですが、これは城の1番上の大聖堂に有ります。陽の光が良く入るので、1番上に作ってあるとの事で……」
ルミエは、その話を聞いてまた考えるように指を顎に置く。
指輪、騎士像、歌。
この3つのピースから何を導き出したら良いのかがハッキリとしなかった。
「ミシェル、その像に連れて行ってくれないか」
「ええもちろんです!僕の大好きな場所です!」
ミシェルは眩しいほどの笑顔を見せると、ルミエと波瑠を騎士像へ案内する。
やはり城の中はボロボロで、騎士像までには多くの階段を登る必要があった。
迷路のような城の中を、ミシェルは迷いなく進んで行く。
「あ、どうしよう…この階段を登ったら着くのですが…」
「崩れてるね、階段」
「回り道して、他の道も無事だといいのですが」
「さすがに、2人を持ち運ぶことは出来ない。迂回してみよう」
ミシェルは少しキョロキョロとした後、左の道を進む。
1度下の階に降り、向かい側にある階段を上る。
すると、先程居た階層の反対側の廊下に出た。
騎士像のある部屋へは階段が幾本も伸びており、それぞれが別の場所から繋がっていた。
「ここなら崩れてませんね。安全性は大丈夫でしょうか…」
「私が先に行こう。万が一崩れても、私は飛べるので問題ないだろう」
「ありがとうございます、ルミエ様」
ルミエは階段を1、2と慎重に登っていく。
特に崩れる様子はなく、ルミエは扉の前に辿り着いた。
「大丈夫そうだ。何かあっても私が助けよう、登ってこい」
「じゃあ、ミシェルくんから行きなよ。こういうの、1番最後が1番危ないから」
「あ、わ、分かりました…では、お言葉に甘えて…」
次にミシェルが階段を上る。ミシェルも特に問題なく登りきることが出来た。
最後に波瑠の番。
「さ!行くよー。ルミエさーん?なんかあったら助けてよねー?」
「ああ、まぁ崩れはしないはずだ」
「そゆのフラグっていうんだよー」
波瑠が階段を登る。
1、2、3…順調に足を置いていく中で、波瑠の耳に音が聞こえた。
「…ルミエさん、なんか、こう…欠片みたいなの落ちた音しない?」
「そうか?ふむ…まぁ気をつけて…」
ルミエがそう言いかけた途端、轟音が辺り一面に鳴り響いたのだった。
「やっぱり、結構朽ちていますね…。もうここに人が居ないのは一目瞭然です。でも、思ったより城は崩れてないみたいです」
「そうだな。やはり頑丈なのだろう。入ろうか」
「はい!」
一行は、錆びた城門を抜け城に入る。
城の中は勿論朽ちていて、崩れた壁や床から植物が生えている。
ミシェルは城の中を進んでいく度に、切ない表情になって行った。
数ヶ月前までは、恐らく人の様々な感情で溢れかえっていた場所なのだろう。
朽ちていても、その生活感は残ったままだった。
「わぁ……すっごく広いなぁ」
「えぇ、まぁ……城と呼ばれるものですから、王の間まで複雑になるように造られていますよ」
「ああ。そうだろうな。……それにしてもこの城は、不思議な歴史を感じるな」
城の内装は、白を基調とした様相だが、朽ちているのとは違う趣ある古さを感じた。
夏の国の伝統として使用している壁材は一緒だが、建築の方法がまるで違うようだった。
城に入ると大広間になっており、その広間から3方向に広い階段が伸びて様々な部屋へと繋がっている。
階段の先にはまた二股に別れた階段、そしてその階段の先には空間が広がり、枝のように内装が広がる。
「すっごい迷いそう……」
「僕の部屋はこっちです。……まぁ、この様子を見るともうボロボロだとは思いますが」
「あぁ、かなり朽ちてはいるな。…この朽ちようでは、悪魔とやらは確実に干渉したのだろう」
「そうですね…。…。もう、誰も残ってはおりませんが、なにか役に立つものだけでも残っていれば…」
「ミシェルくんの家族…えっと、国王さま?とか王妃さま?とか…なにか、残ってないかな」
「そうですね、陛下の痕跡が少しでもあると、…弔いにはならないかもしれませんが、ふふ、ボクの心は少しだけ…救われるのでしょうね」
「弔いは、故人の為でなく遺族の為のものだと言う。まぁ、故人とて見ていない訳では無いが…心の整理をするために、葬儀を執り行うものなのだと聞いている。であれば、それを探すのもまた弔いなのではないか」
「…先導者様はお優しい方ですね。これが弔いになるのであれば、ボクはそれを探し、保管致しましょう」
「その、あの…先導者様とやらはやめてくれ。ルミエでいい、なんだかむず痒い。私はそのような者ではない」
「それでは、ルミエ様。…ありがとうございます」
「…なに、礼を言われるようなことは何もしていない。さぁ、探すぞ」
ルミエは、ふいとミシェルから顔を逸らした。
ミシェルからすれば相当に高い位置にあるルミエの顔は、簡単に見えなくなってしまった。だが、長い耳の先端がほんのり色付いているのは一目瞭然だった。
一行はまず、ミシェルの部屋を捜索した。ミシェルの部屋は子供部屋と言うにはあまりに広く、だが内装は愛されて育った子供の部屋…といった内装であった。
ベッドに掛かった天蓋は朽ち、汚れてはいたものの原型を留めている。
天蓋の上部、ベッドに仰向けになると見える位置には汚れた写真があった。
「…ミシェル、この写真は?」
「あっ!そ、それ、それは!あのっそのっ……父上と、母上…です。…僕とプライベートで撮ってくださった、最後の写真なのです。…それ以降は、ぼくも教育や王政の手伝いなどで忙しく、父上も母上も忙しくされていたので…」
「そうか。汚れてはいるが、いい笑顔だな」
「へへ、愛されてたんだねぇミシェルくん」
「……ええ、大変良い両親だったと、自分のことながら思います。最後に訪れていた辺境伯のヘンリー殿も、ぼくに会うと必ずと言っていいほど両親を褒めていました。このような良い皇子を良くぞ育てられたと…。それを言うのであれば、こんなに良いお兄さんのご両親も…」
「あぁ、僕の両親は人殺しだからさ」
「え?あ、えとっ…」
「いいのいいのもう死んだし。時効?ってやつ?だと思うし。…人の性格とかってさ、親の影響も大きいと思うけど。結局は自分自身で歩んできた道なんじゃないかな。と、僕は思ってる!」
「…も、申し訳ございません。僕、そんな…」
「え!?いやいやそんな謝らないで!?いーのいーの!まぁ人殺しとはいえ、優しくしてくれたとは思うよ。結局僕は、どっちの親に育てられても愛されて育ったと思うから良いんだよ」
「…そう、ですか」
笑顔でそう語る波瑠を、ルミエはただ無言で見つめた。そして、ふいと顔を逸らし、手を動かす。
ルミエが手元の机にあった引き出しを開ける。鍵は掛かっていなかった。
中を見ると、奥に何やら光るものがある。
「ミシェル、この…奥のものはなんだ?」
「えっ?あ!それっ!えっと、昔母上からいただいた物です、誕生日にと…。ですが、他のプレゼントは箱や包み紙に丁寧に梱包されていたのに、その指輪だけは母上の手から直接、隠すように渡されました。そのため、奥にしまっていたのです」
「そうか……。何故着けようとは思わない?」
「隠されるように渡されたことが気になって…。あまり、僕が着けていてはいいものでもないような気がしているからです。……でも、母上にこの指輪のことについて質問しても、はぐらかされるばかりでした。ただ、必要になったら、騎士像のところに持っていきなさいと」
「騎士像?鎧のレプリカのことか?」
ルミエがそう聞くと、ミシェルは大きく首を振った。
部屋のタンスの1番上を開け、そのさらに奥に手を伸ばし何かを取り出す。
取り出したものは羊皮紙で、絵が描かれている。
「こちらの絵…これは、僕が大好きで仲良くしていた、宮廷絵師のアンリが描いてくれた騎士像の絵です。彼はこの城の逐一を後世に残すため、城の内部の様々なものを絵として記録していました。これはその一部です」
「……ほう、中々立派な像だ。それにこの絵……かなり緻密な様だな。友人のジャスが以前、冬国の天使堂に供えられた絵が俺にそっくりなんだと大喜びで見せてきたのだ。それに似ている」
「冬国……たしかアンリは、冬国の出身です。何故正反対な気候の夏国に来たのかは分かりませんが、フルネームをアンリ・ミツォタキスといいます」
「たしかに、冬国の姓だな。ミツォタキス…ああやはり、あの絵に書いていたサインもミツォタキスと書いてあった。と言っても私が言う以前だ。お前たちにとってはかなりの年月。先祖かもしれないな」
「そうですね……。あ!で、えっと。この像なんですが、これは城の1番上の大聖堂に有ります。陽の光が良く入るので、1番上に作ってあるとの事で……」
ルミエは、その話を聞いてまた考えるように指を顎に置く。
指輪、騎士像、歌。
この3つのピースから何を導き出したら良いのかがハッキリとしなかった。
「ミシェル、その像に連れて行ってくれないか」
「ええもちろんです!僕の大好きな場所です!」
ミシェルは眩しいほどの笑顔を見せると、ルミエと波瑠を騎士像へ案内する。
やはり城の中はボロボロで、騎士像までには多くの階段を登る必要があった。
迷路のような城の中を、ミシェルは迷いなく進んで行く。
「あ、どうしよう…この階段を登ったら着くのですが…」
「崩れてるね、階段」
「回り道して、他の道も無事だといいのですが」
「さすがに、2人を持ち運ぶことは出来ない。迂回してみよう」
ミシェルは少しキョロキョロとした後、左の道を進む。
1度下の階に降り、向かい側にある階段を上る。
すると、先程居た階層の反対側の廊下に出た。
騎士像のある部屋へは階段が幾本も伸びており、それぞれが別の場所から繋がっていた。
「ここなら崩れてませんね。安全性は大丈夫でしょうか…」
「私が先に行こう。万が一崩れても、私は飛べるので問題ないだろう」
「ありがとうございます、ルミエ様」
ルミエは階段を1、2と慎重に登っていく。
特に崩れる様子はなく、ルミエは扉の前に辿り着いた。
「大丈夫そうだ。何かあっても私が助けよう、登ってこい」
「じゃあ、ミシェルくんから行きなよ。こういうの、1番最後が1番危ないから」
「あ、わ、分かりました…では、お言葉に甘えて…」
次にミシェルが階段を上る。ミシェルも特に問題なく登りきることが出来た。
最後に波瑠の番。
「さ!行くよー。ルミエさーん?なんかあったら助けてよねー?」
「ああ、まぁ崩れはしないはずだ」
「そゆのフラグっていうんだよー」
波瑠が階段を登る。
1、2、3…順調に足を置いていく中で、波瑠の耳に音が聞こえた。
「…ルミエさん、なんか、こう…欠片みたいなの落ちた音しない?」
「そうか?ふむ…まぁ気をつけて…」
ルミエがそう言いかけた途端、轟音が辺り一面に鳴り響いたのだった。
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