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夏の国
青空と大海原
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「たっっだいまー!!!!!木材と水持ってきたよー!!!あとご飯取ってきたしシーツ洗濯してきた!!干してある!!」
「お、う、おかえり……。ご飯……?鹿が有るだろう」
「増えた!」
「……悪魔に遭遇して狩った、というところか……」
「うん!」
「ん、ほら少年。これが仲間だ。あれはお前の猫だろう」
「ぁ……ソラ!」
「ウナー!」
今まで背中に隠れていた少年は、猫を見つけるとルミエの背中から飛び出し、猫を抱きしめた。
猫はとても嬉しそうに喉を鳴らし、少年は泣きそうになっている。
「起きてて良かったね~猫ちゃん。猫ちゃんソラっていうの?」
「あ、あ、そう、です……ソラ……です……」
「君はー?」
「ぼ、僕は……ミシェル……」
「そっか!僕は三海 波瑠!よろしくね~!」
「!海……僕、ミシェル・シーランドっていいます!」
「シー……シーって、夏の国の古い言葉で海って意味だよね?」
「そうです!シーランドは、この国の名前です!」
「ん?……ん?」
ミシェルの発言に、波瑠は脳の回転をフリーズさせた。今波瑠の脳内には宇宙が拡がっているだろう。
シーランドという国だということは分かった。春の国にもそれぞれ区域と言うには広すぎる、国のようなものが有る。要はそういうことだろう。だが春の国には、国の名前が自身の名前の人間など居ないのである。
「お兄さ……波瑠さんは、お名前の通り春の国の人でしょうか?でしたら分からないのもご無理無いかと……。僕は、この国で第1王子と呼ばれる立場の人間でした。春の国に、王政は無いとお聞きしております」
「王子……王子……王子様!?!?本当にいるの!?!?!?おとぎ話だと……!!!」
「あぁ。そういえば王などというものが居たな。お前はその息子か。視察に来てはいたが、王族など見る機会は無い」
「えっと…この方は…」
「ん、すまない。名乗る習慣が無くてな。私はルミエだ。まぁ…信じるわけもないが、天使だ」
今度は、ミシェルがきょとんとした顔をした。同じく、頭には宇宙が拡がっているだろう。おかしな事を言う大人に対しての哀れみの目すら滲み出ている。
「ミシェルく…ミシェル、おうじさま……!!!この人は本当に天使です…!!」
「ミシェルくん、でいいですよ波瑠お兄さん…!天使というのは…教典にも登場される、エデンの住人であり、人間の先導者たるあの天使様でしょうか…。天使様には、名前など無いと教皇様よりお教え頂いておりますが…」
「間違いでは無いが、正解でもない。名前のあるものも一定数いる。それに、私の名は波瑠がくれたものだ。元々は名など無い。友人であるジャスや、エデンの現管理者のユストフ、春の国の守護天使アイシェは名のある天使だ。階級による」
「そ、そうなのですね…本当であるのならば、大変失礼致しました…!ましてや、先導者様の膝で眠ってしまうなど…!」
「構わん。私が寝かせたんだ。さて、火を炊こう。夏の国と言えど夜は冷えるだろう」
「あっ…!それでしたら、私の城においでください。この民家よりは頑丈ですし、薪を燃やせば暖かくなりやすい構造の部屋もあります。城内に何もいなければ…ですが…」
ミシェルは不安げに2人を見つめた。一緒に来てくれるだろうか。家には何もいないのだろうか。
不安がいっぱいになった顔をして見つめられたふたりは、断る理由も無い所を更に断れなくなる。
「もちろんいいよ!でもどうして、ミシェルくんはその頑丈な城に居ないの?」
「この事態が起こった頃、僕は辺境伯の元へ伺っていました。この国の辺境にて、他国からこの国を守ってくださる4人の伯爵のうちの一人でした。ですから、この地には居なかったのです。帰るさなか、悪魔に襲われました。そして、私はソラと逃げる中でこの衣服を拾いました。血の気が引いて寒くて…着たら、戦えるように…」
「なるほど…やはり、そのパーカーは能力の素のようだ。ミシェル、波瑠も同じく、今着ているパーカーの力を持っている。見たところ…まだ使い慣れていないのだな。波瑠、教えてやるといい」
「ん?分かった!どんな力か分からないけど…」
「海…海を呼べます」
「大災害で笑っちゃった」
「あっ!いいえ!あのっ津波とかじゃなくて!空間を切り取って、海の水をそのピンポイントに呼び寄せるだけです!呼び寄せた海水は自由に操れますし、物質なので保管も可能です」
「なんだびっくりしたあ。なら大丈夫!お役に立てるよきっと!」
そう言って、波瑠はミシェルの頭を撫でた。不安そうに見上げていた大きな瞳から、不安の色がその行動で消えたことを波瑠は知らない。だが、ミシェルは、頭を撫でられニコニコとしている。
だが、パッと波瑠は手を離す。
「?…波瑠さん?」
「あっ、ごめんっ王子様にこんな気安く…!!」
「えっえっ!いや、あの……も、もう、…人も居ませんから、ぼ、僕のことはその…ふつうにっ!普通にしてくださいっ!」
「そ、そう…?」
「だからその……。…もっと、撫でてくださっても、良いのですよ…」
「…!!かっ………かわいい…!!!ルミエさん大変だ…!!!!可愛すぎる!!!!」
「よかったな。行くぞ」
「つめたいっ!」
ミシェルが先導し、街中を歩きながら城を目指す。
重いものは波瑠が持ち、細々したものはソラが背に乗せて運んだ。
ミシェルは不安げに街の路地裏や街路樹、暗がりをチラチラと見た。
その度に、波瑠とルミエは自分がいるから大丈夫だと、ミシェルの頭を撫でた。
その度に、ミシェルは可愛らしく笑うのだった。
向かう途中で、ルミエはふとある事に気付く。
「そういえば…。ミシェル、城というのは、お前の家以外に有るか?」
「え?いえ…この国には私の家しか有りません。それが何か…?」
「なに。私たちの旅の目的なのだが…、最上級の天使に、非正規ルートで謁見に向かう旅なのだ。その過程で、集めねばならないものがあってな。夏の国にあるソレは、城が関わっているらしい」
「……もしや、口伝の歌でしょうか?」
「ほう、何か知っているのか」
「私の母が、時折寝室で歌って聞かせてくれたおとぎ話の童謡が有るのです。もう12歳なのに…と思っていましたが…」
「…良ければ、歌って聞かせてはくれないだろうか」
「えっ!?う、うたっ!?」
「なんだ、嫌か?」
「あっいっ、いえ、先導者様のお願いであれば…!!お任せ下さい、聖国シーランドの皇子たるもの、恥など…!!!」
「なら期待しよう」
「うっ…」
ミシェルは少し顔を赤くし、咳払いをした。
そして、道を歩きながら、その童謡を口ずさむ。
「星が照らす聖なる国よ、陽が照らすこの大地よ、光の筋を追い続けよ…輝く未来に必ず通じる…固き門も、白く輝くあの城も、全てそこに通じるだろう。夢と希望の城は必ずそこに、過去のことは捨て去って…歌の導くままに…」
「…ほう。お前、歌が上手いじゃないか。何を恥じていた?」
「そうだよ!すごく綺麗な声じゃん!」
「い、いやその…。た、他国の方や、先導者たる天使様にお聞かせするのは恥ずかしいです…。教皇の息子ですから、そりゃあ…聖歌隊にも居ましたし…枢機卿としての未来を約束されていたので…人よりは…上手いかもしれませんが…」
「私は好むぞ。というよりは、心地が良い。この歌がではなく、お前の歌声がだ。天使というのはどうにも、心の根にある本能の感覚に逆らえない。これが心地よいのは、お前が神聖なものに対して真摯に向き合ってきたからだろう」
「ほ、ホントですか…!?!?う、嬉しい、ぼく、ぼく天使様に褒められたんだ…!!」
「はは、口調崩れてて可愛い~」
「はっ…!失礼致しました…!」
「いいんだよ~、気楽に行こうよお」
「は、はい…。それで、歌の内容はどうでしたか…?なにか分かることは…」
「あぁ…この国の宝玉が城にあることは確定したが、それがお前の城かどうかは分からないな…。なにか書庫のようなものは城にあるか?」
「はい。着いたらご案内します!」
ルミエはそれに頷き、早く行くぞと歩を早めた。
波瑠は重いものを持ちながら、ひぃひぃと着いていくのだった。
「お、う、おかえり……。ご飯……?鹿が有るだろう」
「増えた!」
「……悪魔に遭遇して狩った、というところか……」
「うん!」
「ん、ほら少年。これが仲間だ。あれはお前の猫だろう」
「ぁ……ソラ!」
「ウナー!」
今まで背中に隠れていた少年は、猫を見つけるとルミエの背中から飛び出し、猫を抱きしめた。
猫はとても嬉しそうに喉を鳴らし、少年は泣きそうになっている。
「起きてて良かったね~猫ちゃん。猫ちゃんソラっていうの?」
「あ、あ、そう、です……ソラ……です……」
「君はー?」
「ぼ、僕は……ミシェル……」
「そっか!僕は三海 波瑠!よろしくね~!」
「!海……僕、ミシェル・シーランドっていいます!」
「シー……シーって、夏の国の古い言葉で海って意味だよね?」
「そうです!シーランドは、この国の名前です!」
「ん?……ん?」
ミシェルの発言に、波瑠は脳の回転をフリーズさせた。今波瑠の脳内には宇宙が拡がっているだろう。
シーランドという国だということは分かった。春の国にもそれぞれ区域と言うには広すぎる、国のようなものが有る。要はそういうことだろう。だが春の国には、国の名前が自身の名前の人間など居ないのである。
「お兄さ……波瑠さんは、お名前の通り春の国の人でしょうか?でしたら分からないのもご無理無いかと……。僕は、この国で第1王子と呼ばれる立場の人間でした。春の国に、王政は無いとお聞きしております」
「王子……王子……王子様!?!?本当にいるの!?!?!?おとぎ話だと……!!!」
「あぁ。そういえば王などというものが居たな。お前はその息子か。視察に来てはいたが、王族など見る機会は無い」
「えっと…この方は…」
「ん、すまない。名乗る習慣が無くてな。私はルミエだ。まぁ…信じるわけもないが、天使だ」
今度は、ミシェルがきょとんとした顔をした。同じく、頭には宇宙が拡がっているだろう。おかしな事を言う大人に対しての哀れみの目すら滲み出ている。
「ミシェルく…ミシェル、おうじさま……!!!この人は本当に天使です…!!」
「ミシェルくん、でいいですよ波瑠お兄さん…!天使というのは…教典にも登場される、エデンの住人であり、人間の先導者たるあの天使様でしょうか…。天使様には、名前など無いと教皇様よりお教え頂いておりますが…」
「間違いでは無いが、正解でもない。名前のあるものも一定数いる。それに、私の名は波瑠がくれたものだ。元々は名など無い。友人であるジャスや、エデンの現管理者のユストフ、春の国の守護天使アイシェは名のある天使だ。階級による」
「そ、そうなのですね…本当であるのならば、大変失礼致しました…!ましてや、先導者様の膝で眠ってしまうなど…!」
「構わん。私が寝かせたんだ。さて、火を炊こう。夏の国と言えど夜は冷えるだろう」
「あっ…!それでしたら、私の城においでください。この民家よりは頑丈ですし、薪を燃やせば暖かくなりやすい構造の部屋もあります。城内に何もいなければ…ですが…」
ミシェルは不安げに2人を見つめた。一緒に来てくれるだろうか。家には何もいないのだろうか。
不安がいっぱいになった顔をして見つめられたふたりは、断る理由も無い所を更に断れなくなる。
「もちろんいいよ!でもどうして、ミシェルくんはその頑丈な城に居ないの?」
「この事態が起こった頃、僕は辺境伯の元へ伺っていました。この国の辺境にて、他国からこの国を守ってくださる4人の伯爵のうちの一人でした。ですから、この地には居なかったのです。帰るさなか、悪魔に襲われました。そして、私はソラと逃げる中でこの衣服を拾いました。血の気が引いて寒くて…着たら、戦えるように…」
「なるほど…やはり、そのパーカーは能力の素のようだ。ミシェル、波瑠も同じく、今着ているパーカーの力を持っている。見たところ…まだ使い慣れていないのだな。波瑠、教えてやるといい」
「ん?分かった!どんな力か分からないけど…」
「海…海を呼べます」
「大災害で笑っちゃった」
「あっ!いいえ!あのっ津波とかじゃなくて!空間を切り取って、海の水をそのピンポイントに呼び寄せるだけです!呼び寄せた海水は自由に操れますし、物質なので保管も可能です」
「なんだびっくりしたあ。なら大丈夫!お役に立てるよきっと!」
そう言って、波瑠はミシェルの頭を撫でた。不安そうに見上げていた大きな瞳から、不安の色がその行動で消えたことを波瑠は知らない。だが、ミシェルは、頭を撫でられニコニコとしている。
だが、パッと波瑠は手を離す。
「?…波瑠さん?」
「あっ、ごめんっ王子様にこんな気安く…!!」
「えっえっ!いや、あの……も、もう、…人も居ませんから、ぼ、僕のことはその…ふつうにっ!普通にしてくださいっ!」
「そ、そう…?」
「だからその……。…もっと、撫でてくださっても、良いのですよ…」
「…!!かっ………かわいい…!!!ルミエさん大変だ…!!!!可愛すぎる!!!!」
「よかったな。行くぞ」
「つめたいっ!」
ミシェルが先導し、街中を歩きながら城を目指す。
重いものは波瑠が持ち、細々したものはソラが背に乗せて運んだ。
ミシェルは不安げに街の路地裏や街路樹、暗がりをチラチラと見た。
その度に、波瑠とルミエは自分がいるから大丈夫だと、ミシェルの頭を撫でた。
その度に、ミシェルは可愛らしく笑うのだった。
向かう途中で、ルミエはふとある事に気付く。
「そういえば…。ミシェル、城というのは、お前の家以外に有るか?」
「え?いえ…この国には私の家しか有りません。それが何か…?」
「なに。私たちの旅の目的なのだが…、最上級の天使に、非正規ルートで謁見に向かう旅なのだ。その過程で、集めねばならないものがあってな。夏の国にあるソレは、城が関わっているらしい」
「……もしや、口伝の歌でしょうか?」
「ほう、何か知っているのか」
「私の母が、時折寝室で歌って聞かせてくれたおとぎ話の童謡が有るのです。もう12歳なのに…と思っていましたが…」
「…良ければ、歌って聞かせてはくれないだろうか」
「えっ!?う、うたっ!?」
「なんだ、嫌か?」
「あっいっ、いえ、先導者様のお願いであれば…!!お任せ下さい、聖国シーランドの皇子たるもの、恥など…!!!」
「なら期待しよう」
「うっ…」
ミシェルは少し顔を赤くし、咳払いをした。
そして、道を歩きながら、その童謡を口ずさむ。
「星が照らす聖なる国よ、陽が照らすこの大地よ、光の筋を追い続けよ…輝く未来に必ず通じる…固き門も、白く輝くあの城も、全てそこに通じるだろう。夢と希望の城は必ずそこに、過去のことは捨て去って…歌の導くままに…」
「…ほう。お前、歌が上手いじゃないか。何を恥じていた?」
「そうだよ!すごく綺麗な声じゃん!」
「い、いやその…。た、他国の方や、先導者たる天使様にお聞かせするのは恥ずかしいです…。教皇の息子ですから、そりゃあ…聖歌隊にも居ましたし…枢機卿としての未来を約束されていたので…人よりは…上手いかもしれませんが…」
「私は好むぞ。というよりは、心地が良い。この歌がではなく、お前の歌声がだ。天使というのはどうにも、心の根にある本能の感覚に逆らえない。これが心地よいのは、お前が神聖なものに対して真摯に向き合ってきたからだろう」
「ほ、ホントですか…!?!?う、嬉しい、ぼく、ぼく天使様に褒められたんだ…!!」
「はは、口調崩れてて可愛い~」
「はっ…!失礼致しました…!」
「いいんだよ~、気楽に行こうよお」
「は、はい…。それで、歌の内容はどうでしたか…?なにか分かることは…」
「あぁ…この国の宝玉が城にあることは確定したが、それがお前の城かどうかは分からないな…。なにか書庫のようなものは城にあるか?」
「はい。着いたらご案内します!」
ルミエはそれに頷き、早く行くぞと歩を早めた。
波瑠は重いものを持ちながら、ひぃひぃと着いていくのだった。
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