14 / 27
青い本と棺
1度あることは2度ある
しおりを挟む
姿が見えなくなった本棚の代わりに、そこにあるのは垂直の穴だった。下に向けて、梯子が掛けられている。
「…またか、蒼柊」
「ぼ、僕ほんとに何もしてないんですって!」
「じゃあなんでこんな所が動くんだ、何した言ってみろ」
蒼柊は蒼月に詰め寄られ、先程の自分の行動を思い返す。
「えっとぉ…本を数冊引き出して…あ、で、今この手に持ってる本のえっと…このページの…これ…」
「この言葉か?」
「そう、これを読みました…。なんか気になって」
「…声に出したのか。なるほど」
「…はい」
蒼月は、その突如現れた穴を見やるが、見覚えなど無いようだった。
すると、上にフラヴィアーナが上がって来る。轟音に驚いたようだ。
「ァ、アオト…?なに、した?」
「うんと、本棚動いちゃった」
「Wow…」
続いて紅月も上がってくるが、ぽかんとした後に両手を腰に当てて耐えきれなくなった笑いを零した。
「あっははは!愉快だねえ君!開けちゃったのぉ?こんな所に隠し通路あるなんて知らなかったよー」
「え、知らないんですか?」
「知らなかったさ!これどういう仕組みなんだい?」
「いや、紅月これは…。新しく出来たものだぞ。このハシゴもまだサビが付いていない。それに、穴の側面も削りだされたものだろうが、劣化した形跡が見えない」
蒼月はそう言って、穴を凝視する。耳を澄ますと、風の音が聞こえた。それと共に、何やら空気の揺れる気配がする。
音だ。
「おい、降りるぞ」
「え!?降りるんですか!?」
「誰かいる。ここは父様と私たち以外の家では無いぞ。入口がここにある以上、不法侵入だろう」
「…たしかに。でも僕やフラヴィアーナちゃんは何も出来ませんよ…?」
「構わん、私たち2人がいれば問題ない」
その後は、有無を言わさずに蒼月、蒼柊、フラヴィアーナ、紅月の順で穴へと降りていった。
垂直のハシゴを降りる際、蒼柊は絶対に上だけは見まいと必死に目の前か下を見た。
少し深めな穴を降りていくと、地面に1、2分で降り立つことが出来た。
中は荒く削られた洞窟のようになっていて、壁には申し訳程度の松明が掲げられている。
松明に照らされている通路、入口にあったであろう持ち出し用の松明は無く、少し薄暗い中を歩いていく。
「やはり居るな、人」
「ひぃ…な、何人くらい…?」
「…3人、低級の吸血鬼の成れの果てが3人、だ。…だがアイツらに知能など存在しない…」
「ボスが居るってことだね。なに、倒せばいいだけだよ」
奥からは、次第に人の声のようなものが聞こえてきた。声と言うよりは、ただ喉から出した音を無造作に放っているような、言葉とも言えないただの音だった。
次第に、声だけでなく、太鼓の音と火の爆ぜる音も聞こえてくる。
「なんだろ…お祭りみたいな音ですね…?」
「ふむ…儀式のようなものだろうか」
音を立てないように、忍び足で歩を進めていく。岩壁の曲がり角から、向こう側を覗き込むと、目の前には肌の色が悪い、おおよそ人とは言えない形の何かが、先程から聞こえていた音を出してギィギィと鳴いていた。
その中心の炎を囲むように、3匹はグルグルと移動しながらギィギィ鳴いている。炎のてっぺんには、棺があった。
「っ…あれ、父上か…」
「おおよそ、棺の蓋を無理やり開ける儀式だろう。自分から言った封印とはいえ、自分では破れない。それを無理やり…」
「でもその儀式は、生贄がいるでしょ?…自分から踊ってるアレが、生贄って事?」
「そうだろうな。見ろ、知性はないが嬉しそうに踊ってるじゃないか」
吸血鬼の2人は平然と語るが、フラヴィアーナの目を、蒼柊は両手で隠した。フラヴィアーナは混乱しているが、「これは見たらダメ」と静止する。
明らかな人ではない生物。自身の記憶の中にはひとつも無い生物が、目の前でギィギィと地面を這いずりながら踊るように回っている。
時折跳ねる度、ビチャッという生々しい音もする。
「蓋を開けられれば、無理やり開けられたことで半覚醒も出来ていない父様を引きずり出せる。そうすれば少しの間だけ、言うことも聞かせられるだろう…」
「…でも何をする気だろう」
「…あの青い本、鎖で目の前にいた人間の魂は呼び戻すことが出来たが、まだ中にいるようだった。…それも、膨大な数。死者の魂もある事だろうな」
「…もしかしてですけど…。それを全部、外に出す、とか?」
「…さぁな。まだ部屋は続いている。調べるに越したことはないが、あの儀式と棺をどうにかしたいな…」
眺めている中で、何かが進展する様子も見られない。ただ、あの不可解な生物が踊るだけだ。
ボスらしき影も無く、現在地の向かい側に扉が見えた。他に道は無いようだ。
「…あの、蒼月さん。あの生き物強いですか?」
「いや、雑魚だ。お前でも踏み潰せる」
「なら踏んできます。出てこねぇなら強行突破ですよ」
「お前大胆だな…。たしかに策も思い付かんが…いや、踏む必要は無い、お前その代わり、あの岩に血を付けてこい。膝でも切れ」
「はっ?」
「傷は治してやる。アイツらも吸血鬼だ、血の匂いに寄ってくる」
急な扱いの雑さに少々驚きながらも、ソロリソロリと目標の岩に近づく。
到着するが、故意にケガをするのは相当に痛い。だが、やらねば先には進めない。治してくれると言うのだからこの際大胆に怪我してやろうと思った。
だが、切る物など持ち合わせてはいない。手を顎に当てて少し考えるが、特にいい案は思い浮かばなかったようだ。
ので、
「ふー。……せいっ」
思い切り膝を出して岩の尖った部分に勢いよく擦りつけた。
ズリッと皮の剥ける感覚と、血の熱さがする。ここで大声を出してしまえば作戦の意味が無いため、蒼柊は唇を噛んだ。
「ッッッ……!!」
涙目で蒼月を見やる。蒼月は親指を立てた。
蒼月の所へゆっくりゆっくり戻ると、あの生物がギィギィと言いながら血の岩へ寄っていく。ビチャッと時折跳ねながら、岩へと辿り着き血を舐めている。
蒼月の所へ戻ると、蒼月に姫抱きをされ、後ろの紅月もフラヴィアーナを抱えて部屋を越えた。
幸い、扉は空いていた。4人は、扉の向こうへと注意しながら入っていくのだった。
「…またか、蒼柊」
「ぼ、僕ほんとに何もしてないんですって!」
「じゃあなんでこんな所が動くんだ、何した言ってみろ」
蒼柊は蒼月に詰め寄られ、先程の自分の行動を思い返す。
「えっとぉ…本を数冊引き出して…あ、で、今この手に持ってる本のえっと…このページの…これ…」
「この言葉か?」
「そう、これを読みました…。なんか気になって」
「…声に出したのか。なるほど」
「…はい」
蒼月は、その突如現れた穴を見やるが、見覚えなど無いようだった。
すると、上にフラヴィアーナが上がって来る。轟音に驚いたようだ。
「ァ、アオト…?なに、した?」
「うんと、本棚動いちゃった」
「Wow…」
続いて紅月も上がってくるが、ぽかんとした後に両手を腰に当てて耐えきれなくなった笑いを零した。
「あっははは!愉快だねえ君!開けちゃったのぉ?こんな所に隠し通路あるなんて知らなかったよー」
「え、知らないんですか?」
「知らなかったさ!これどういう仕組みなんだい?」
「いや、紅月これは…。新しく出来たものだぞ。このハシゴもまだサビが付いていない。それに、穴の側面も削りだされたものだろうが、劣化した形跡が見えない」
蒼月はそう言って、穴を凝視する。耳を澄ますと、風の音が聞こえた。それと共に、何やら空気の揺れる気配がする。
音だ。
「おい、降りるぞ」
「え!?降りるんですか!?」
「誰かいる。ここは父様と私たち以外の家では無いぞ。入口がここにある以上、不法侵入だろう」
「…たしかに。でも僕やフラヴィアーナちゃんは何も出来ませんよ…?」
「構わん、私たち2人がいれば問題ない」
その後は、有無を言わさずに蒼月、蒼柊、フラヴィアーナ、紅月の順で穴へと降りていった。
垂直のハシゴを降りる際、蒼柊は絶対に上だけは見まいと必死に目の前か下を見た。
少し深めな穴を降りていくと、地面に1、2分で降り立つことが出来た。
中は荒く削られた洞窟のようになっていて、壁には申し訳程度の松明が掲げられている。
松明に照らされている通路、入口にあったであろう持ち出し用の松明は無く、少し薄暗い中を歩いていく。
「やはり居るな、人」
「ひぃ…な、何人くらい…?」
「…3人、低級の吸血鬼の成れの果てが3人、だ。…だがアイツらに知能など存在しない…」
「ボスが居るってことだね。なに、倒せばいいだけだよ」
奥からは、次第に人の声のようなものが聞こえてきた。声と言うよりは、ただ喉から出した音を無造作に放っているような、言葉とも言えないただの音だった。
次第に、声だけでなく、太鼓の音と火の爆ぜる音も聞こえてくる。
「なんだろ…お祭りみたいな音ですね…?」
「ふむ…儀式のようなものだろうか」
音を立てないように、忍び足で歩を進めていく。岩壁の曲がり角から、向こう側を覗き込むと、目の前には肌の色が悪い、おおよそ人とは言えない形の何かが、先程から聞こえていた音を出してギィギィと鳴いていた。
その中心の炎を囲むように、3匹はグルグルと移動しながらギィギィ鳴いている。炎のてっぺんには、棺があった。
「っ…あれ、父上か…」
「おおよそ、棺の蓋を無理やり開ける儀式だろう。自分から言った封印とはいえ、自分では破れない。それを無理やり…」
「でもその儀式は、生贄がいるでしょ?…自分から踊ってるアレが、生贄って事?」
「そうだろうな。見ろ、知性はないが嬉しそうに踊ってるじゃないか」
吸血鬼の2人は平然と語るが、フラヴィアーナの目を、蒼柊は両手で隠した。フラヴィアーナは混乱しているが、「これは見たらダメ」と静止する。
明らかな人ではない生物。自身の記憶の中にはひとつも無い生物が、目の前でギィギィと地面を這いずりながら踊るように回っている。
時折跳ねる度、ビチャッという生々しい音もする。
「蓋を開けられれば、無理やり開けられたことで半覚醒も出来ていない父様を引きずり出せる。そうすれば少しの間だけ、言うことも聞かせられるだろう…」
「…でも何をする気だろう」
「…あの青い本、鎖で目の前にいた人間の魂は呼び戻すことが出来たが、まだ中にいるようだった。…それも、膨大な数。死者の魂もある事だろうな」
「…もしかしてですけど…。それを全部、外に出す、とか?」
「…さぁな。まだ部屋は続いている。調べるに越したことはないが、あの儀式と棺をどうにかしたいな…」
眺めている中で、何かが進展する様子も見られない。ただ、あの不可解な生物が踊るだけだ。
ボスらしき影も無く、現在地の向かい側に扉が見えた。他に道は無いようだ。
「…あの、蒼月さん。あの生き物強いですか?」
「いや、雑魚だ。お前でも踏み潰せる」
「なら踏んできます。出てこねぇなら強行突破ですよ」
「お前大胆だな…。たしかに策も思い付かんが…いや、踏む必要は無い、お前その代わり、あの岩に血を付けてこい。膝でも切れ」
「はっ?」
「傷は治してやる。アイツらも吸血鬼だ、血の匂いに寄ってくる」
急な扱いの雑さに少々驚きながらも、ソロリソロリと目標の岩に近づく。
到着するが、故意にケガをするのは相当に痛い。だが、やらねば先には進めない。治してくれると言うのだからこの際大胆に怪我してやろうと思った。
だが、切る物など持ち合わせてはいない。手を顎に当てて少し考えるが、特にいい案は思い浮かばなかったようだ。
ので、
「ふー。……せいっ」
思い切り膝を出して岩の尖った部分に勢いよく擦りつけた。
ズリッと皮の剥ける感覚と、血の熱さがする。ここで大声を出してしまえば作戦の意味が無いため、蒼柊は唇を噛んだ。
「ッッッ……!!」
涙目で蒼月を見やる。蒼月は親指を立てた。
蒼月の所へゆっくりゆっくり戻ると、あの生物がギィギィと言いながら血の岩へ寄っていく。ビチャッと時折跳ねながら、岩へと辿り着き血を舐めている。
蒼月の所へ戻ると、蒼月に姫抱きをされ、後ろの紅月もフラヴィアーナを抱えて部屋を越えた。
幸い、扉は空いていた。4人は、扉の向こうへと注意しながら入っていくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
烏の王と宵の花嫁
水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。
唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。
その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。
ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。
死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。
※初出2024年7月
完結‼️翡翠の歌姫は 後宮で声を隠す―2人の皇子と失われた記憶【1/23本編完結】
雪城 冴
キャラ文芸
本編完結‼️【中華サスペンス】
皇帝が隠した禁忌の秘密。
それを“思い出してはいけない少女”がいた。
「その眼で見るな――」
特殊な眼を持つ少女・翠蓮は、忌み嫌われ、村を追われた。
居場所を失った彼女が頼れたのは、歌だけ。
宮廷歌姫を目指して辿り着いた都でも、待っていたのは差別と孤立。
そんな翠蓮に近づいたのは、
危険な香りをまとう皇子と、天女のように美しいもう一人の皇子だった。
だが、その出会いをきっかけに皇位争い、皇后の執着、命を狙われる日々。
追い詰められる中で、翠蓮の忘れていた記憶が揺り動く。
かつて王家が封じた“力”とは?
翠蓮の正体とは?
声を隠して生き延びるか。
それとも、すべてを賭けて歌うのか。
運命に選ばれた少女が、最後に下す決断とは――?
※架空の中華風ファンタジーです
※アルファポリス様で先行公開しており、書き溜まったらなろう、カクヨム様に移しています
※表紙絵はAI生成
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫(299)
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
シリアス成分が少し多めとなっています。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる