26 / 27
青い本と棺
荒んだ心
しおりを挟む
見つけた魂を、2人は血相を変えて追い掛ける。
魂は、捕まることに対してでなく、この顔から逃げているようにも思えた。
「蒼月さん!足速いでしょ、向こうから周り込んでください!」
「お前が私に指図するか?ふん、いいだろう」
蒼月は、蒼柊に指図されたのは気に食わないが、その策が1番妥当だと向こう側に走った。
踵を返し、魂を挟み込む。
「蒼柊!今だ壺を向けろ!」
「はい!」
言われた通り、蒼柊は壺を魂に向ける。必死に逃げていた魂は、壺を向けられた瞬間に動きを止め、そして吸い込まれて行った。
「おぉ……おおお~!!」
「うるさいヤツだ。これをあと……沢山やる。覚悟しておけ」
「数えるの辞めました?ねぇ、蒼月さん?」
蒼柊の問いかけに、蒼月は答えず前を歩く。
蒼柊もしつこくはせず、後ろを着いて行った。
しばらく歩いても、一向に変化のない土地だった。
これが紅月の本の中なのが、本人を知っているが故に不思議だった。
「蒼月さん。ここって、紅月さんの本の中なんですよね?」
「ああ、そうだ。あの青い本のな」
「どうしてこんな世界なんですか?蒼月さんの本の中も、こうなんですか?」
「さあな……この本の中というのは、想いの塊だと前に話しただろう。と考えれば、紅月の本の中がこの世界であるならば、これが紅月の想い…心の中なのではないか?」
「……荒れた土地に、赤い空に、遠くの崖にはお城……?一体どういう……?」
「長年本の中を見てきた勘を頼るのだったら、そうだな……ストレスだらけで、かなり心は荒んでるな。大切なものをあの城の中にしまい込んでいる。本音って言うやつがあの中にあるんだろう。だが、城だと言うところを見る限り、本人でもここまで荒んでいるとは気付いていないな」
蒼月の解釈に、蒼柊は首を傾げた。なぜその解釈に至るのか、蒼柊には分からなかった。
何故、城があるが故に気づいてないという解釈に至るのか?
ひとしきり自分で考えてみるが、今回が初めて人の心を見る機会だった蒼柊には分からないものだった。
「なぜ?という顔だな。城というのは、城主の自尊心そのものだろう。そして見栄だ。城主が紅月だとしたら、あれは見栄そのものだ。そして、城を建て城に住んでいるうちは、主観でしかない。外に出て城の良さに初めて気付く。そこに引きこもり外を見ないという事は、この荒れ果てた荒野を知らないということだ。だから気付いていないということだ。わかったか?」
「なるほど……。……紅月さん、笑顔で居るしおちゃらけてるから分かんなかったな……」
「自分でも気づけていないものに、他人が気づけるものか。……まぁ、ずっと近くで見てきた私からしたら、奴は最近おかしいがな」
「そうなんですか?」
「ああ。昔はもっと……そうだな、人間味があった。もっと人情に溢れていたよ。私よりも、ずっとずっとな」
「…………そう、ですか」
それを聞いて、少しだけ紅月の事が心配になった。
なぜ、ここまで荒んだのか。どうしてそれに気付いていないのか。
もし壊れたら、それはどうなるのか?
ここに、花が咲いたらどれだけいいのか。
そう思いながら、荒れた地面を踏みしめていくと、また視界にふわりと白いものが見えた。
「蒼月さん、また魂……」
「いや……アレは、ちがうな」
「え?」
蒼月が違うというものをよく見てみる。
先程は紙人形のような形をしていたが、今回は女性のシルエットだ。
「女の、ひと……?」
「……あぁ、なんだ……そうか、そうか」
「蒼月さん?」
蒼柊が蒼月の顔を見ると、少しだけ微笑んでいるようにも見えた。
「お前、恋してたんだな」
「え!?ちょ、恋!?」
「お前じゃない。紅月だ。なんだお前、図星なのか?」
「ちっちがいます!!!」
「あいつはな、多分だが、紅月が好きだった女だ」
「えっ!?」
女性はシルエットだけだが、長い髪に、スレンダーなライン、衣服はワンピースだろうか。荒野に吹いている微かな風に、時折ふわりと靡いている。
花があったらと思ったが、この人もまた、花であろう。
「あの女、多分……大正頃か。紅月がヨーロッパから帰ってきた時に一緒にいた女だ。名をなんと言ったか……たしか、リズ……。姓は日本のものだった。お前と同じハーフだ。だがコイツは生まれも育ちもフランスだったな。日本語は親が話すから少しわかると言っていた。……いつの間にか死んでいたよ、紅月はその辺から変なんだ」
「……じゃあ、最愛の人だったのかな」
「さぁな。……私にその気持ちはわからん。だが、その日から少しだけ寂しそうだな」
「双子だから分かるんですか?」
「いいや、紅月はわかりやすい。……と思う」
そうして話していると、女が2人に近づいて行く。
危険な雰囲気は無いが、目的が分からないが故に少し不気味だった。
そして、2人の目の前に来ると、女はひとつお辞儀をした。
そして、頭をあげると、遠くを指さした。
「……あちらに行けと?」
蒼月が聞くと、女はうなづいた。
だが、困惑して中々動かない2人に痺れを切らしたのか、2人の手首を掴んで引っ張った。
そんなに力は強くないが、頑張って引っ張っているのを見ると着いていかざるを得ない。
「なんか……リズ、さん?ちょっと可愛いかも……」
「ほう……浮ついているな、フラヴィアーナに言ってしまおうか」
「えっ!?や、やだなぁ、そんなつもりじゃないですよ~」
可愛いと言われたリズは、一瞬手を離し、頬を両手で押さえ喜んでいるように見えた。
また掴まれついて行くと、そこには膝を抱えて座る影が居た。
リズとは違い、黒い澱んだ影だ。
「これも、魂では無い……ですよね?」
「ああ……だが、多分この黒いヤツが大半の魂を含んでいるんだろう。だからこんなに澱んでいるんだ」
「えっ、……というか、じゃあ、これは誰なんですか?」
「…………」
蒼月は、黙り込むと影に近づき、影の前でしゃがみ込む。
影はひたすら、黙り込み、涙のようなものを流している。
それを少しだけ眺め、蒼月はゆっくりと話し掛けた。
「なぁ、紅月。お前はどうして泣いている?」
「えっ?紅月……えっ?」
目の前の影を、よく知るこの空間の持ち主の名で呼ぶ。
蒼柊は意味がわからず、困惑することしか出来ない。
しかし、紅月と呼ばれた影は、黙り込んでいた口を開いた。
『リズが、しんじゃったんだ』
「ああ、そうだな。リズは死んだ」
『さみしいんだ、リズがいないから』
「そんなことは無い。リズはいるぞ」
『リズは……吸血鬼じゃないから……いないよ……』
「そうだな、でも、お前の心の中でずっと生きてるだろう?」
『わすれられないんだ、リズのことが。そーげつ、そーげつもだいすきなんだ、でも、でもリズとそーげつはちがうんだ』
「ああ、そうだな、違うだろうな」
2人は、何事もないように会話をする。
涙を流していたのは、寂しくて泣いている紅月の本心だったようだ。
いつも笑顔でテレビや雑誌に映り、自分たちの前でも頼れる兄、陽気な男と思っていた。
だが、紅月が頼れるのは一体誰だったのだろうか。
「紅月、どうして話してくれなかったんだ?寂しいと伝えてくれたら良かっただろう」
『そーげつには、やさしいおにーちゃんでいたかったんだ。おにーちゃんは、つよいほうがいーでしょ?』
「強くないお兄ちゃんで何が悪い。そもそも私たちは双子だろう?兄や弟など、本来関係ない。紅月と私は同じだ」
『……よわいわたしでもいいのかい?』
「いいさ。影ですら泣かないようじゃ、何百年経っても不器用な子供だぞ」
『リズがいなくてさみしいって、ないてもよかったのかい?』
「ああ、良かったんだ。泣いてもいい。リズが居ないって大泣きしてみろ。羨ましかったんだろう、フラヴィアーナと蒼柊が」
「えっ……僕と?」
急に矢面に立たされた蒼柊は、あたふたとするしか無かった。
自分とフラヴィアーナが羨ましい?どういうことだ……と、ひとしきり考えるが、蒼柊には分かるはずもなかった。
『うらやましかった……むかしのリズとわたしみたいで、……それでいて、結ばれてもいいかんけいで……うらやましかった』
「そうだな、羨ましかったな」
『わたしも……わたしも、リズとっ……リズといっしょに、なりたかっ…うぅ……』
「そうだな、一緒になりたいとずっと言っていたものな」
『もぉいないから……すきも、いえないし、だきしめることもできない……あいたいよぉ……』
「全く、そうやって早く泣いてくれたら良かったものを。もう泣いていい、傷ついたままのお前の心は、これだけの魂を吸っても治らないぞ」
『ごめんねえ……ぜんぶ、かえすからぁ……』
そう言った後、紅月の本心は声を上げて泣いた。
しくしくと今まで静かに泣いていたが、溜まったものを吐き出すように泣き出す。
泣いている紅月の本心から、次第に魂達が抜け黒ずみが白く染っていく。
大泣きしている双子の兄を、蒼月は珍しく抱きしめた。
そうすると、紅月の本心は更に大泣きをする。
そうした時間が、しばらく流れた。
魂は、捕まることに対してでなく、この顔から逃げているようにも思えた。
「蒼月さん!足速いでしょ、向こうから周り込んでください!」
「お前が私に指図するか?ふん、いいだろう」
蒼月は、蒼柊に指図されたのは気に食わないが、その策が1番妥当だと向こう側に走った。
踵を返し、魂を挟み込む。
「蒼柊!今だ壺を向けろ!」
「はい!」
言われた通り、蒼柊は壺を魂に向ける。必死に逃げていた魂は、壺を向けられた瞬間に動きを止め、そして吸い込まれて行った。
「おぉ……おおお~!!」
「うるさいヤツだ。これをあと……沢山やる。覚悟しておけ」
「数えるの辞めました?ねぇ、蒼月さん?」
蒼柊の問いかけに、蒼月は答えず前を歩く。
蒼柊もしつこくはせず、後ろを着いて行った。
しばらく歩いても、一向に変化のない土地だった。
これが紅月の本の中なのが、本人を知っているが故に不思議だった。
「蒼月さん。ここって、紅月さんの本の中なんですよね?」
「ああ、そうだ。あの青い本のな」
「どうしてこんな世界なんですか?蒼月さんの本の中も、こうなんですか?」
「さあな……この本の中というのは、想いの塊だと前に話しただろう。と考えれば、紅月の本の中がこの世界であるならば、これが紅月の想い…心の中なのではないか?」
「……荒れた土地に、赤い空に、遠くの崖にはお城……?一体どういう……?」
「長年本の中を見てきた勘を頼るのだったら、そうだな……ストレスだらけで、かなり心は荒んでるな。大切なものをあの城の中にしまい込んでいる。本音って言うやつがあの中にあるんだろう。だが、城だと言うところを見る限り、本人でもここまで荒んでいるとは気付いていないな」
蒼月の解釈に、蒼柊は首を傾げた。なぜその解釈に至るのか、蒼柊には分からなかった。
何故、城があるが故に気づいてないという解釈に至るのか?
ひとしきり自分で考えてみるが、今回が初めて人の心を見る機会だった蒼柊には分からないものだった。
「なぜ?という顔だな。城というのは、城主の自尊心そのものだろう。そして見栄だ。城主が紅月だとしたら、あれは見栄そのものだ。そして、城を建て城に住んでいるうちは、主観でしかない。外に出て城の良さに初めて気付く。そこに引きこもり外を見ないという事は、この荒れ果てた荒野を知らないということだ。だから気付いていないということだ。わかったか?」
「なるほど……。……紅月さん、笑顔で居るしおちゃらけてるから分かんなかったな……」
「自分でも気づけていないものに、他人が気づけるものか。……まぁ、ずっと近くで見てきた私からしたら、奴は最近おかしいがな」
「そうなんですか?」
「ああ。昔はもっと……そうだな、人間味があった。もっと人情に溢れていたよ。私よりも、ずっとずっとな」
「…………そう、ですか」
それを聞いて、少しだけ紅月の事が心配になった。
なぜ、ここまで荒んだのか。どうしてそれに気付いていないのか。
もし壊れたら、それはどうなるのか?
ここに、花が咲いたらどれだけいいのか。
そう思いながら、荒れた地面を踏みしめていくと、また視界にふわりと白いものが見えた。
「蒼月さん、また魂……」
「いや……アレは、ちがうな」
「え?」
蒼月が違うというものをよく見てみる。
先程は紙人形のような形をしていたが、今回は女性のシルエットだ。
「女の、ひと……?」
「……あぁ、なんだ……そうか、そうか」
「蒼月さん?」
蒼柊が蒼月の顔を見ると、少しだけ微笑んでいるようにも見えた。
「お前、恋してたんだな」
「え!?ちょ、恋!?」
「お前じゃない。紅月だ。なんだお前、図星なのか?」
「ちっちがいます!!!」
「あいつはな、多分だが、紅月が好きだった女だ」
「えっ!?」
女性はシルエットだけだが、長い髪に、スレンダーなライン、衣服はワンピースだろうか。荒野に吹いている微かな風に、時折ふわりと靡いている。
花があったらと思ったが、この人もまた、花であろう。
「あの女、多分……大正頃か。紅月がヨーロッパから帰ってきた時に一緒にいた女だ。名をなんと言ったか……たしか、リズ……。姓は日本のものだった。お前と同じハーフだ。だがコイツは生まれも育ちもフランスだったな。日本語は親が話すから少しわかると言っていた。……いつの間にか死んでいたよ、紅月はその辺から変なんだ」
「……じゃあ、最愛の人だったのかな」
「さぁな。……私にその気持ちはわからん。だが、その日から少しだけ寂しそうだな」
「双子だから分かるんですか?」
「いいや、紅月はわかりやすい。……と思う」
そうして話していると、女が2人に近づいて行く。
危険な雰囲気は無いが、目的が分からないが故に少し不気味だった。
そして、2人の目の前に来ると、女はひとつお辞儀をした。
そして、頭をあげると、遠くを指さした。
「……あちらに行けと?」
蒼月が聞くと、女はうなづいた。
だが、困惑して中々動かない2人に痺れを切らしたのか、2人の手首を掴んで引っ張った。
そんなに力は強くないが、頑張って引っ張っているのを見ると着いていかざるを得ない。
「なんか……リズ、さん?ちょっと可愛いかも……」
「ほう……浮ついているな、フラヴィアーナに言ってしまおうか」
「えっ!?や、やだなぁ、そんなつもりじゃないですよ~」
可愛いと言われたリズは、一瞬手を離し、頬を両手で押さえ喜んでいるように見えた。
また掴まれついて行くと、そこには膝を抱えて座る影が居た。
リズとは違い、黒い澱んだ影だ。
「これも、魂では無い……ですよね?」
「ああ……だが、多分この黒いヤツが大半の魂を含んでいるんだろう。だからこんなに澱んでいるんだ」
「えっ、……というか、じゃあ、これは誰なんですか?」
「…………」
蒼月は、黙り込むと影に近づき、影の前でしゃがみ込む。
影はひたすら、黙り込み、涙のようなものを流している。
それを少しだけ眺め、蒼月はゆっくりと話し掛けた。
「なぁ、紅月。お前はどうして泣いている?」
「えっ?紅月……えっ?」
目の前の影を、よく知るこの空間の持ち主の名で呼ぶ。
蒼柊は意味がわからず、困惑することしか出来ない。
しかし、紅月と呼ばれた影は、黙り込んでいた口を開いた。
『リズが、しんじゃったんだ』
「ああ、そうだな。リズは死んだ」
『さみしいんだ、リズがいないから』
「そんなことは無い。リズはいるぞ」
『リズは……吸血鬼じゃないから……いないよ……』
「そうだな、でも、お前の心の中でずっと生きてるだろう?」
『わすれられないんだ、リズのことが。そーげつ、そーげつもだいすきなんだ、でも、でもリズとそーげつはちがうんだ』
「ああ、そうだな、違うだろうな」
2人は、何事もないように会話をする。
涙を流していたのは、寂しくて泣いている紅月の本心だったようだ。
いつも笑顔でテレビや雑誌に映り、自分たちの前でも頼れる兄、陽気な男と思っていた。
だが、紅月が頼れるのは一体誰だったのだろうか。
「紅月、どうして話してくれなかったんだ?寂しいと伝えてくれたら良かっただろう」
『そーげつには、やさしいおにーちゃんでいたかったんだ。おにーちゃんは、つよいほうがいーでしょ?』
「強くないお兄ちゃんで何が悪い。そもそも私たちは双子だろう?兄や弟など、本来関係ない。紅月と私は同じだ」
『……よわいわたしでもいいのかい?』
「いいさ。影ですら泣かないようじゃ、何百年経っても不器用な子供だぞ」
『リズがいなくてさみしいって、ないてもよかったのかい?』
「ああ、良かったんだ。泣いてもいい。リズが居ないって大泣きしてみろ。羨ましかったんだろう、フラヴィアーナと蒼柊が」
「えっ……僕と?」
急に矢面に立たされた蒼柊は、あたふたとするしか無かった。
自分とフラヴィアーナが羨ましい?どういうことだ……と、ひとしきり考えるが、蒼柊には分かるはずもなかった。
『うらやましかった……むかしのリズとわたしみたいで、……それでいて、結ばれてもいいかんけいで……うらやましかった』
「そうだな、羨ましかったな」
『わたしも……わたしも、リズとっ……リズといっしょに、なりたかっ…うぅ……』
「そうだな、一緒になりたいとずっと言っていたものな」
『もぉいないから……すきも、いえないし、だきしめることもできない……あいたいよぉ……』
「全く、そうやって早く泣いてくれたら良かったものを。もう泣いていい、傷ついたままのお前の心は、これだけの魂を吸っても治らないぞ」
『ごめんねえ……ぜんぶ、かえすからぁ……』
そう言った後、紅月の本心は声を上げて泣いた。
しくしくと今まで静かに泣いていたが、溜まったものを吐き出すように泣き出す。
泣いている紅月の本心から、次第に魂達が抜け黒ずみが白く染っていく。
大泣きしている双子の兄を、蒼月は珍しく抱きしめた。
そうすると、紅月の本心は更に大泣きをする。
そうした時間が、しばらく流れた。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる