6 / 9
真尋
しおりを挟む
俺の体が安定すると、右足のリハビリが始まった。
事故の瞬間とか覚えてはいない。
死ぬ、と思ったら病室で目が覚めた。
でも、確かに真尋が死なないように導いてくれたような、交通事故あるあるが思い出された。
「猫谷さん、ゆっくり、ゆっくり、歩こうね。」
「いっだ、、くそっ、、」
「その調子!右足はそうそう、ゆっくり前に出す。」
「くっ、、」
涙が出るほど痛い。
手すりを握る力が限界までいく。
「あそこのソファまで頑張ろ!」
「はい、、。」
「はい!お疲れ様!まだ2回目だから、痛みが勝つけど、いい調子だよ!」
ニコニコも人当たりの良さそうな作業療法士だ。
「車椅子で部屋まで送るよ。」
「ありがとうございます。」
病室までポツポツと会話はしたものの、病院にはいい思い出がない俺には居心地悪い。
「はい、到着。」
部屋には誰もいない。
月曜日は誰も来ない日。
「どうも。」
「少しお話いいかな?」
びっくりした。さっきまで苦々しい空気で話していたのに、まだ話したいって、何なんだこの人。
「は、はい、、」
「これ、俺の弟が返しといてって。」
チャリ
手のひらに落ちた、俺の宝物。
「ーーーこれっ!!!あのクソ野郎が持ってたのか、、!!」
ギュッと握りしめて、心の中で真尋に謝る。
ごめん、、真尋。
でも、帰ってきてくれてありがとう。
「そのクソ野郎の兄でーす。」
ちょっと拗ねた様子の作業療法士に、俺は少し吹き出した。
パチ
宝物を腕に付ける。
これこれ、この感じ。
「すいません、口悪くて、俺、、」
「いーのいーの!アイツ、可愛くないし!」
「猫谷ちゃん?」
ひょこっとドアから顔を覗かせた三毛野。
「あ、ごめんね、猫谷さん。お友達来ちゃったね。またリハビリ頑張ろね。」
「はい。先生。」
「何、さっきの雰囲気、、。」
何に拗ねてんのか分からねぇ。女みてぇに妬く三毛野にため息が漏れる。
「何がだよ。」
「猫谷ちゃん、楽しそうだった、、。」
いつもの椅子に腰掛けて、切なそうにしょぼくれて。ポツポツと話し出す。
「腕時計返してもらったんだよ。」
あーあ。めんどい。何から何まで話さねぇとダメとか。死ぬほどダルい。
「さっきの人が持ってたの?!」
目が開かれて、驚いたのか椅子から立ち上がる。
「クソ野郎の兄だとさ。」
俺はやれやれと言った顔で説明を簡潔にした。
「時計見せて!」
「んな、高いものじゃねぇって。」
手首から外して三毛野に渡す。
三毛野が時計の裏をみた時だった。
「また会えたら愛を伝えるBy M」
は?
は?
「貸せっ!!!」
強引に三毛野から時計を取り上げて、時計の裏を見た。
本当に彫ってある。
真尋、、。
真尋、、!!
「猫谷ちゃん、泣いて、、!?」
「真尋っ、、!!まひろっ、、!!」
俺、やっぱり真尋以上に好きになれる人いない。
さり気なくチラつく見知った顔を、俺は見ないふりをした。
「、、、猫谷ちゃん。」
三毛野は俯いていた。
「帰るね。」
無言の時間が刻々と過ぎて、三毛野は帰っていった。
もう、アイツは来ない。
漠然とそう思った。
ゴロンと寝返りを打った。
これでいい。
三毛野はネコだし、俺たちどの道合わないんだって。
いれでいいんだよ。
真尋、いつ俺に愛を伝えにくんだよ。
俺、いつまでも待つから。
真尋?
「なんでここに来たの、猫谷。」
半透明の真尋。
「ダメだよ、ここは。」
俺、俺も真尋のこと、、!!
スーッと伸びてした指が口を塞ぐ。
「俺は幸せだよ。猫谷も幸せになれ。」
嫌だ、真尋がいい。
真尋と幸せにたりたい。
「猫谷ちゃーーーん!!こっちこっちー!!」
「さぁ、猫谷、行っておいで。」
いやだ、真尋、、!!真尋!!!
後ろから、ぎゅと三毛野の腕が首にまとわりく。
「猫谷ちゃん、帰ろ?」
嬉しそうに目を細めてる三毛野。
真尋は微笑んで眺めてる。
違う、違う!!!俺は、俺は真尋が好きだ!
「ーーーーーー」
ガバッと飛び起きた。
「なんだ、なんだ、今の夢。」
たった5分しか経ってない。
悪夢?いや、そうじゃない。
「俺の影を追わないで」
真尋は最後にそう言った。
涙が溢れて、胸が痛くて、苦しくて。
幻相手にすがりついた自分が情けなくて。
時計を外した。
事故の瞬間とか覚えてはいない。
死ぬ、と思ったら病室で目が覚めた。
でも、確かに真尋が死なないように導いてくれたような、交通事故あるあるが思い出された。
「猫谷さん、ゆっくり、ゆっくり、歩こうね。」
「いっだ、、くそっ、、」
「その調子!右足はそうそう、ゆっくり前に出す。」
「くっ、、」
涙が出るほど痛い。
手すりを握る力が限界までいく。
「あそこのソファまで頑張ろ!」
「はい、、。」
「はい!お疲れ様!まだ2回目だから、痛みが勝つけど、いい調子だよ!」
ニコニコも人当たりの良さそうな作業療法士だ。
「車椅子で部屋まで送るよ。」
「ありがとうございます。」
病室までポツポツと会話はしたものの、病院にはいい思い出がない俺には居心地悪い。
「はい、到着。」
部屋には誰もいない。
月曜日は誰も来ない日。
「どうも。」
「少しお話いいかな?」
びっくりした。さっきまで苦々しい空気で話していたのに、まだ話したいって、何なんだこの人。
「は、はい、、」
「これ、俺の弟が返しといてって。」
チャリ
手のひらに落ちた、俺の宝物。
「ーーーこれっ!!!あのクソ野郎が持ってたのか、、!!」
ギュッと握りしめて、心の中で真尋に謝る。
ごめん、、真尋。
でも、帰ってきてくれてありがとう。
「そのクソ野郎の兄でーす。」
ちょっと拗ねた様子の作業療法士に、俺は少し吹き出した。
パチ
宝物を腕に付ける。
これこれ、この感じ。
「すいません、口悪くて、俺、、」
「いーのいーの!アイツ、可愛くないし!」
「猫谷ちゃん?」
ひょこっとドアから顔を覗かせた三毛野。
「あ、ごめんね、猫谷さん。お友達来ちゃったね。またリハビリ頑張ろね。」
「はい。先生。」
「何、さっきの雰囲気、、。」
何に拗ねてんのか分からねぇ。女みてぇに妬く三毛野にため息が漏れる。
「何がだよ。」
「猫谷ちゃん、楽しそうだった、、。」
いつもの椅子に腰掛けて、切なそうにしょぼくれて。ポツポツと話し出す。
「腕時計返してもらったんだよ。」
あーあ。めんどい。何から何まで話さねぇとダメとか。死ぬほどダルい。
「さっきの人が持ってたの?!」
目が開かれて、驚いたのか椅子から立ち上がる。
「クソ野郎の兄だとさ。」
俺はやれやれと言った顔で説明を簡潔にした。
「時計見せて!」
「んな、高いものじゃねぇって。」
手首から外して三毛野に渡す。
三毛野が時計の裏をみた時だった。
「また会えたら愛を伝えるBy M」
は?
は?
「貸せっ!!!」
強引に三毛野から時計を取り上げて、時計の裏を見た。
本当に彫ってある。
真尋、、。
真尋、、!!
「猫谷ちゃん、泣いて、、!?」
「真尋っ、、!!まひろっ、、!!」
俺、やっぱり真尋以上に好きになれる人いない。
さり気なくチラつく見知った顔を、俺は見ないふりをした。
「、、、猫谷ちゃん。」
三毛野は俯いていた。
「帰るね。」
無言の時間が刻々と過ぎて、三毛野は帰っていった。
もう、アイツは来ない。
漠然とそう思った。
ゴロンと寝返りを打った。
これでいい。
三毛野はネコだし、俺たちどの道合わないんだって。
いれでいいんだよ。
真尋、いつ俺に愛を伝えにくんだよ。
俺、いつまでも待つから。
真尋?
「なんでここに来たの、猫谷。」
半透明の真尋。
「ダメだよ、ここは。」
俺、俺も真尋のこと、、!!
スーッと伸びてした指が口を塞ぐ。
「俺は幸せだよ。猫谷も幸せになれ。」
嫌だ、真尋がいい。
真尋と幸せにたりたい。
「猫谷ちゃーーーん!!こっちこっちー!!」
「さぁ、猫谷、行っておいで。」
いやだ、真尋、、!!真尋!!!
後ろから、ぎゅと三毛野の腕が首にまとわりく。
「猫谷ちゃん、帰ろ?」
嬉しそうに目を細めてる三毛野。
真尋は微笑んで眺めてる。
違う、違う!!!俺は、俺は真尋が好きだ!
「ーーーーーー」
ガバッと飛び起きた。
「なんだ、なんだ、今の夢。」
たった5分しか経ってない。
悪夢?いや、そうじゃない。
「俺の影を追わないで」
真尋は最後にそう言った。
涙が溢れて、胸が痛くて、苦しくて。
幻相手にすがりついた自分が情けなくて。
時計を外した。
0
あなたにおすすめの小説
君と秘密の部屋
325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。
「いつから知っていたの?」
今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。
対して僕はただのモブ。
この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。
それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。
筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子
月鏡(工藤×良太42)
chatetlune
BL
工藤×良太42、残月の後エピソードです。
工藤も良太も相変わらず忙しい毎日を送っているが、良太の悪友でプロ野球関西タイガースの四番打者沢村に問題が起こる。確執がある父親が沢村を人を使って素行調査をしていると知った沢村が激怒して、弁護士に相談することになる。この件にクリエイターの佐々木や、青山プロダクションの面々も巻き込んで、由々しき事態に。それと同時期に、良太は事態を収めるべくして代理店プラグインの発案で開かれたハロウインパーティの夜、意外な人物と出くわして、さらに忙しさ倍増となっていく。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
愛する人
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」
応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。
三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。
『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる