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#016 『呪いボール』

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 80年代中頃の話。

 ある中学校の体育の時間に、ドッジボールが行われていた。

 と。勢いよく投げられたボールを上手くキャッチした ある男子生徒が、首を傾げながら「先生ー」と挙手した。

「先生、これ、中に何か入ってるみたいですけどー?」

 何を言っている?先生はコートの中に入り、生徒からボールを受け取ると、上下に振ってみた。

 ぼす、ぼす、ぼす。

「えぇ?!本当だな。中に何かあるな・・・」

 そんなばかな、とは思ったが、生徒達が不審げに顔を見合わせているのを見て、「これはイカン」と思った。直ぐに代わりのボールを持ってきて、授業を続行させた。

 さて、くだんのボールはどうしたものか。

「あらっ、本当に何か音がしますね」
「どうしたら、こんなボールの中に異物が入るものなんでしょうね?」

 授業終了後、職員室に持って行って他の先生にも見て貰ったが、全員、首を捻るばかり。
 埒が明かないので、校長の承諾を取ってボールを切り裂いてみることとなった。
 大型のカッターナイフを使って、苦心しながら刃を食い込ませ、勢いよくザクザク切った。
 ぽろり、と何かが転げ落ちた。
 目撃した先生方は、みな、目を剥いて絶句した。

 ぐずぐずに腐敗しながら なお その形を保っている、藁人形だった。

 一も二もなく、燃やした。



 2日後、ドッジボールをしていたクラスの生徒達の過半数が原因不明の高熱で寝込み、異例の学級閉鎖と相成った。
 皆、示し合わせたように朝の6時くらいから熱を出し、その日の深夜0時きっかりに熱は下がったという。
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