キモい田中

オニオン太郎

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キモイ田中

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「やあ、中島くん。ところで僕の話を聞いて欲しいのだが」

 またアホの田中がなんか言ってる。
 俺は中島。目の前にいる学生服を着た男はアホの田中だ。田中はアホすぎるので周りから浮きまくり、せっかくの高校生活を見事ぼっちとして過ごし棒に振っている。かわいそうだなと思って絡んでやったらこうも面倒臭いくらいに話しかけられるようになったというわけだ。


「聞きたくないんだけど」

「中島くんはこんな実験があるのを知ってるかい?」

「さっそく聞いてねーな」

「2つの女性用トイレを用意して、片方にはなにもせず、もう片方には男性ホルモンを散布したんだ。すると男性ホルモンを撒き散らした方は行列ができたらしい」

「へー」

「この結果からわかるのは、男性ホルモンに女性は無意識のうちに惹きつけられるという点だ。そして故に男性ホルモンが高い、言わば男らしい人間ほど女の子にモテるということさ」

「へー」

「だがだとしたらこれは非常におかしい!」

「へー」

「一般に男性ホルモンは性欲が強い人ほど多くなる! つまりスケベほどモテるって言うのが大自然の理なのだが、しかし僕は日に10回はオナニーをするのにまったく女子からモテない! これはどういうことか!」

「キモいからじゃないか?」

「だがこの研究は僕のモテモテハーレム計画に大きな前進を与えた。これを見よ!」


 田中はそう言ってなんか透明な洗剤の容器みたいなのを取り出した。


「ふふん、興味津々だね」

「今日の晩飯ナニカナー」

「さて。人間はホルモンを鼻から受信する。ホルモンは一般に無臭だが、しかしある程度臭いとの相関もある。女の子の体臭が非常に興奮をそそるのは、女性ホルモンが理由とも言われているねハァハァ」

「お前がキモいからだろ」

「そこで男性ホルモン――つまり男らしい臭いとは何かを考えた結果、僕はこの液体に答えが至った!」

「………………ちなみにそれなに?」

「僕の精液さ!」

「きっしょお前マジで死ね」

「大変だったよ、容器一杯分の体液を集めるのは。100回は出したね」

「聞きたくねーよ死ね」

「そしてこの精液を体に塗りだくれば、すなわち体から男性ホルモンの臭いが出て僕は全身媚薬状態。女の子の輪に入った瞬間僕は超モテモテというわけさ」

「死ね」

「ところで僕は実はすでに全身を精液で濡らしている」

「うっわ元から臭いから気づかんかったわ死ね近寄んなマジで死ね」

「というわけで、次は体育だ。僕はちょっと女子更衣室へと行ってくるよ」

「きっしょお前マジ死ね」


◇ ◇ ◇ ◇


 その後。


「くそう、僕の計画は完璧だったはずだ。なのにどうしてだ、女子更衣室に全裸で入った途端僕はボコボコに殴られてしまったよ」

「キモいからじゃないか?」

「これは明らかな人権侵害だ、傷害罪の適応だ。刑法に訴えて裁いてもらうべきだ」

「そうだなお前はさっさとブタ箱行ったほうがいいな」

「ところで中島くん。僕はどうしてモテないと思う? こんなにもモテるために日々努力を重ねているのに、いい加減効果が認められて然るべきじゃあないかい?」

「無理だろ」

「なんで?」

「キモいからな」


終わり終わり。
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