愛と友情は紙一重!|キュンとしないのになぜか尊い、陰キャ同士の捻くれた純愛ヒューマンドラマ

オニオン太郎

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友情編

第4話「女ってのは面倒くさい生き物なんです、とか知ったようにほざいてる奴が一番めんどくさい」

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 その後、私は由希に誘われてカラオケへと来ていた。

 狭い個室の中で、由希が曲を歌い終えてソファーに座り込む。採点の画面が89点の数値を叩き出し、由希が舌打ちをしてから「90行かなかった」と呟いた。


「アレ? 詩子、また次の曲入れてないじゃん」


 由希が端末をいじりながら私に話しかけた。私はスマホを見つめながら、由希の言葉に「ん……」と返した。


「……詩子?」


 由希が私の顔をじっと見つめてくる。私はハッとして「あ、ああごめん」と言ってから、由希から端末を受け取り、ピピピッと操作を始めた。


「次歌う曲決めあぐねてた感じ?」

「え? う、うん、そんな感じかな」


 私は言いながら『○○裁判』を予約する。画面上に曲のタイトルが映され、しばらくの無音の後イントロが流れ出す。

 由希が私を訝しむような目で見つめている。なんだろう、少し集中できない。私は少し気がはやるのを感じながら、歌詞が表示されるのに合わせて歌い始めた。


 なんだかんだと最後まで歌い終わり、採点が表示される。点数は90点、かなり良い調子だ。


「よっしゃ、なんとか壁行けた」

「相変わらず上手いよな~詩子。歌手にでもなった方がいいんじゃない?」

「カラオケが上手いからって歌手になれるってわけじゃないのよ」

「でも最近ネットの歌ってみたから歌手デビューする人多いじゃん。米○○〇とか」

「あの手の歌い手さんって輩はカラオケが上手いんじゃなくて歌も上手いんじゃよ」


 私はそう言って「どっこいしょ」とソファーに座る。端末を手に持ちピピピっと操作すると、どうやら由希が次の曲を入れていないらしいことがわかった。


「由希、入れないの? アレならまた私入れるけど」

「……詩子。もしかしてだけど、最近何かあった?」


 キュッと私の心臓が縮み上がった。ぬおお、なんだこの子、突然核心突いてくるな。コ○ンか? 未来少年の方じゃなくて青酸カリをぺろぺろする方のコ○ンか?


「なんでそう思ったの?」

「勘。それと、当たりっぽいね」

「うわあ、相変わらず人のことよく見てるなあ」

「そりゃあ、ね」


 由希がそう言って顔を逸らす。さすがにこれは誤魔化せないな、と、私は観念して、大きくため息をついた。


「あ、ごめん。迷惑だった?」

「いやいやいや! 由希のそういう所には助けられてる部分もあるし――。……うん、まあ、話すわ。正直に。
 ……んっとね。まあ、実はね。…………最近、河野とLI○E交換したの」

「は?」

「いや、別に深い意味はないよ! 友達としてよ、友達」

「…………うん、まあ」

「そんで、なんだろ。ああ、経緯から言わなきゃ、か。実は私、変なことでアイツと関わっちゃってさ。そんで色々あって…………」


 あぶね。小説のこと話してしまいそうになった。アレはアイツの『秘密』だ。私のためにさらけ出してくれた奴の弱みだ。それをおいそれと口軽く喋るのは、いくらなんでも不誠実が過ぎる。


「…………まあ、漫画を読んでくれるようになったのよ」

「……へえ」

「それでね! いや、とにかく、アイツ結構感想の書き方が凄くてね! 私がこの前描いた奴見せたら、凄い長い文章で、どこが良くてどこが悪いかっての送ってくれたの! 漫研の2人とは違ってて、こう、いやらしさがなかったって言うかさ!」

「この前って、部室でやたら熱中して描いてたの?」

「え? あ、うん……それ」

「…………なるほど」


 由希がこちらを見据えて頷く。んんん、なんだこの……尋問をさせられてる気分は。なんか雰囲気が重たいぞ。なにかやったのか私?


「ま、まあ、でも、その……。……感想を読んで、少し引っかかった部分があって。いや、別に悪いことじゃないし、仕方ないし、感想そのものに不服があるってわけじゃないけど……なんか、こう……。
 ……作品、読んで欲しいって思ったの。私が見せた部分の、その先を。ただ、なんかちょっと気が引けちゃって。アレだけしっかりしてるんだもん、時間もかかってるだろうし迷惑じゃないかーとか、もしかしたらボロカス言われるんじゃないかって不安もあるし」

「それで悩んでいたの?」

「ん、うん。……まあ」

「…………なるほどねえ」


 ……なんか妙に気恥ずかしいな。由希と居る時に男の話するなんてほとんどないからな(せいぜい吉田の影口をいいまくるくらいだ)。

 男女一皮剥けばその先はセク口スとはよく言うが(言わないか)。よくわからんが、男女セットになるととにかく恋愛話に絡められてしまうことが多々ある。そうなると妙に変な意識を持ってしまう。
 アイツとは別にそういう関係じゃない。ていうかそういう関係になりたいなんて思ってないし(想像するだけでちょっとゾッとする)。


「だからまあ、どうしても考え過ぎちゃって」

「…………て言ってもなあ。正直詩子の作品見てないからなんとも言えないよ」

「ん……ま、まあ、確かに」

「だからさ、詩子。ちょっと、作品って言うの見せてよ。そしたらなんか、私からも色々言えるかもしれないし」


 ぬおお、やべぇ。こう繋がってしまったか。
 いや、アレを由希見せるのは本当に嫌だ。後ろめたい……というのもあるけど、なにより恥ずかしい。高校時代から私の親友やってるコイツには、あの内容を悟られるわけにはいかない。特にコイツカ○ジばりに洞察力あるんだし。


「あ、あはは……えっと、まあ、考えとく」

「…………。まあ、いっか」


 そして由希は端末をピッピッピと弄り、次の曲を予約した。

 歌い終えた後の点数は平均点くらい。由希にしては低い方だった。

 その後、由希はちょっとだけ、不機嫌そうに私と一緒にいた。
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