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友情編
閑話3
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※今回は極めて性的なネタを扱った内容ですので、読む場合はご留意してください。
◇ ◇ ◇ ◇
河野真白、20歳。身長は166cm、運動経験ゼロにして女性経験ゼロの陰キャ童貞である。そんな彼はある日、女友達である姫川詩子に『家に泊まって欲しい』と懇願された。
それは決して恋愛的な意味も、性的な意味も含まれていない。ただ彼女が現在ストーカー被害に逢う可能性があったので、防犯的な意味で真白にそばにいて欲しいという話であった。
当初こそ彼女の女友達が引き受けていたのだが、事情がありその女子が泊まってくれなくなったので、『信頼できる友人が真白しかいない』と言う理由で彼に白羽の矢が立ってしまったのだ。
真白としては複雑な感情だった。それは彼女が自分を信頼している証であると共に、今後の身の振り方が面倒になるのが目に見えていたからだ。
そんな出来事から3日程度が経ち。真白は早々に、姫川詩子の部屋に入り浸る生活に音を上げていた。
「……どうにかなりそうだ、四郎」
真白は自室にて、茶髪の陽キャ男、青山四郎にそうと漏らした。
真白と四郎は親友同士である。陰キャと陽キャと言えば水と油に思えるが、ことこの2人についてはそれは当てはまらない。真白は四郎を信頼しており、そして彼の口の硬さはそれこそダイヤモンドでさえも遥かに凌駕しているところであった。
そして、彼には真白の事情が伝わっている。真白も少しばかり言おうか迷ったが、漫研部の人間には割れていることと、誰かに愚痴をこぼさねばどうにかなりそうな精神状態に耐えかねたこととが合わさり相談をすることにしたのだ。
「そりゃあそうだよな、真白。……ていうか、本当にお前ら、なにもないのか?」
「何度も話している通りだよ。僕と姫川は友達であって恋人じゃない」
「いやでもお前、絶対あっちもお前に気があるって。部屋に誘われてるんだろ? しかも明日明後日はアイツと予定あるんだろ? そんなのもう、付き合ってるって言うようなもんだぞ」
「よ、世の中にはいくらでも例外はある。僕と彼女がそうだ」
「う~ん……なんか、釈然としねぇなぁ」
四郎は悩ましげに腕を組みそうと言った。真白は彼の様子に『そりゃあそうだよな』と一定の理解を示した。
「まあいいが。でまあ、お前は連日部屋に入り浸って、もう性欲が限界突破していると」
「……恥ずかしいが、そういうことだよ」
「……本当、どんまいって言うか。しかもそれで、あっちに何もしちゃいけないわけだろ?」
「姫川から言及があったわけじゃないが、ちょっとでも間違いを犯したら間違いなく僕らの関係性は切れる」
「うわっ、辛……」
四郎はそう言って、真白の感情に同調するように肩を落とした。
河野真白は紛うことなき男子である。彼が健全な男子である以上、やはりそこに性欲という感情が存在している。
そんな彼が、連日女の子の部屋に入り浸るとはどういうことか。即ち、とてつもない生殺しを延々と受けるのと同じなのだ。
ましてや姫川は真白がいても入浴はする。加えてシャワー室と部屋はそのまま繋がっているため、たとえば真白が部屋の机の前でスマホをいじっていたら、そこからシャワー室より出た姫川を一望出来てしまうのだ(無論そのような事態が無いよう真白はロフトに上がり彼女の姿を物理的に遮断しているのだが)。
男としてここまで辛い状況は中々無い。真白は鋼の精神力と理性と瞑想によりどうにか耐えているが、ある意味で姫川は襲われても文句を言えない状況に彼を晒し続けているも同然なのだ(無論実際にしたら文句どころか警察が飛んできても文句を言えないのだが)。
「……姫川ってさ、これ言うとアレだが、割とお前のタイプに合うよな」
四郎がジトッとした目で真白を見つめる。真白は「うぐっ」と声を詰まらせ、罰が悪そうに口の端を引き攣らせた。
「……なんというか。見た目に関しては、確かに、黒髪ロングで眼鏡で……とまあ、僕の好みではあるが……」
「趣味がオタクだよなお前も。んでまあ、おっぱいデカいし……」
「……いや正直、胸は小さい方が好みだ。なんというか、こう……ハートが近いというか……」
「キモ……」
「ガチめに言わないでくれ。僕だって傷付くんだぞ?」
「まあとにかく、それでそんな状況って。んー、なんていうか。お前、1回抜いてもらうとか……」
「無いよ。姫川は人間だぞ? 性処理の道具じゃない」
「まそりゃそうだよなぁ。河野真白さんはフェ○○○○だもんなぁ」
「確かに女の子が可哀想なのは嫌だって言うのを拗らせてMになったが、僕はフェ○じゃないぞ。当たり前のことを言ってるだけだからな。
……とにかく、本当に頭がおかしくなりそうだ。おかげで人生初のオ○禁チャレンジが3日間成功している」
「お前性欲無さそうに見えて超ヤバイもんな」
四郎は肩を落としながら言った。
真白は以前、姫川に18禁の小説を書いてる旨をポロリと話してしまったことがあったが。事実として、彼は極めて性に対しての欲求が強い。
基本的に、毎日致すことは当たり前の人間なのだ。外ではそんな態度を出さないし、無論姫川などの女性の前ではより一層そうなのだが。一人で部屋にいる時などは、それはもう凄いことになる。
真白も男友達と一緒にいる時は割と下ネタを言うことがある。というより、結構話す。他人の恥はおいそれと言わない真白だが、自分の恥は割と簡単に話してしまう、そんな軽い性格でもあるのだ。故に四郎は彼の性事情を何気にいくつか知っている(最高で一日に10回致したことがある、など)。
「……それにしたって、女子の話題でこうもこういう話をする俺らってどうなんよ」
「……それは、まあ。なんか、誰かに見られてたら絶対できないが。でも今は僕たちしかいないし」
「まあそりゃそうだが。……いつかお前言ってたよな、陰口はマナーって。こういうことだよな、まさしく」
「……僕の知らない話は僕にとって無いのと同じだからね」
姫川が知らない話もまた然りである。
「とにかく、無理がある。大体僕だって男なんだ、そりゃあ目の前に女子がいたら性的な目で見てしまうものだよ。相手にもよるけど。それが日々隣にいるって、しかも彼女でもなく女友達がだぞ? 童貞の僕には刺激が強すぎる」
「……童貞だからって訳じゃねぇと思うが。けどまあ、そうだよな。彼女なら逆にあっさり見切れるんだが、女友達って状態だと余計拗れそうな気がするわ」
「しかも流石に姫川の家で隠れてオ○○ーをする訳にもいかない。なんとかならないのかこれ」
「……もう泊まるのやめたら?」
「それは、ちょっと、できない」
「なんで?」
「いやまあ……その……事情があるんだ」
真白はそう言って四郎の質問をごまかした。流石に、部屋に泊まっていることは言えても、その理由までは言えなかったのである。
四郎はため息を吐いて「わけわかんねぇ」と肩を落とした。
「……まあ、流石にお得意の心理学とやらでもお手上げか。メンタリストにも不可能はあるんだな」
「僕はD○○○oじゃない。まあでも、対応はしているから耐えられてるって言うのもある」
「へぇ。どんな?」
「性欲はまず副交感神経性の感情だと僕は思う。これは副交感神経由来という意味じゃなくて、リラックスすると出る感情という意味なのだけど。なぜなら、そもそも交尾は安全な場所でしかしないものだからだ。そう考えると、性欲が高ぶった時にはとりあえず運動をして交感神経を働かせれば落ち着く」
「意味わかんねぇけどエロい興奮を別の興奮で沈める感じか」
「そういうこと。あとは瞑想でやり過ごす手もある。両方併用して僕はとりあえず冷静に過ごせているよ」
「なるほどなぁ。今度不意勃ちしたら参考にするわ」
ついでだが、勃起は副交感神経性の反応である。付け加えると射精は交感神経性の反射・反応である。所謂朝勃ちというのは睡眠により副交感神経が活性化され、その反応が現れているがために起きている。正真正銘一切の誇張なくやましいことではない、言わばくしゃみや鼻水の類と同じなのだ。
「……ていうか、その……真白、お前さ。思ったんだけど、あんましキツくてアレだったらさ。ぶっちゃけ、ここで抜いてきゃいいんじゃねぇの?」
「……あっ」
「別に姫川が講義中でお前と鉢合わない時もあるだろ。そういう時にさ、ちょっと家帰ってすればまあ落ち着くだろ。もうそれでいいじゃん」
「……確かに」
「そうだよ。こればっかりはさ、女の方が理解してあげなきゃならねぇ問題だと俺は思うぞ? そりゃ世の中には性欲なんて無いって奴もいるだろうけど、だからって俺たちからそれが消えるわけじゃないし、我慢しなきゃならねぇのもおかしいだろ。多様性って奴だよ。オ○○ーする分には自由にさせろって。なにも、ムラムラしたからしてくれって言ってるわけじゃないんだしさ」
四郎がそう言って話を締めくくった。真白は「あー、なるほど。そっか。それでよかったのか」と納得したように呟き続けた。
「……こんなことくらいすぐ思いつくだろうけどな。お前って、たまにとんでもないバカになるよな」
「……灯台もと暗しと言うか」
「変にマジメ過ぎるんだよお前は。ちょっとくらいテキトーにやった方がいい」
「ん……そう、だよな。……なんか、ごめん、ありがとう」
「別にいいよ。……そんで、今からどうするんだ? その、アレだ。するんか?」
「えっ、流石に今からは無理だよ」
「まあ俺とこんな話した後じゃな」
そう言うと、四郎は途端にスマートフォンを取りだし画面を見た。すると「おっ、彼女から連絡」と言って立ち上がり、荷物を持って歩き始める。
「とりま俺帰るわ。なんか彼女から呼び出されたし」
「ん、オッケ。わかった。……ありがとう、四郎」
「いいよいいよ。男にしか分からない話も世の中にはある」
四郎はそうして真白の部屋から出ていった。真白はそれを見送り、しばらくして落ち着いてから、「さて、」と小さく声を漏らした。
「…………なんか、暇になったな。……小説でも書くか……」
真白はそう言って、スマートフォンを取りだしそれと向かい合った。
◇ ◇ ◇ ◇
河野真白、20歳。身長は166cm、運動経験ゼロにして女性経験ゼロの陰キャ童貞である。そんな彼はある日、女友達である姫川詩子に『家に泊まって欲しい』と懇願された。
それは決して恋愛的な意味も、性的な意味も含まれていない。ただ彼女が現在ストーカー被害に逢う可能性があったので、防犯的な意味で真白にそばにいて欲しいという話であった。
当初こそ彼女の女友達が引き受けていたのだが、事情がありその女子が泊まってくれなくなったので、『信頼できる友人が真白しかいない』と言う理由で彼に白羽の矢が立ってしまったのだ。
真白としては複雑な感情だった。それは彼女が自分を信頼している証であると共に、今後の身の振り方が面倒になるのが目に見えていたからだ。
そんな出来事から3日程度が経ち。真白は早々に、姫川詩子の部屋に入り浸る生活に音を上げていた。
「……どうにかなりそうだ、四郎」
真白は自室にて、茶髪の陽キャ男、青山四郎にそうと漏らした。
真白と四郎は親友同士である。陰キャと陽キャと言えば水と油に思えるが、ことこの2人についてはそれは当てはまらない。真白は四郎を信頼しており、そして彼の口の硬さはそれこそダイヤモンドでさえも遥かに凌駕しているところであった。
そして、彼には真白の事情が伝わっている。真白も少しばかり言おうか迷ったが、漫研部の人間には割れていることと、誰かに愚痴をこぼさねばどうにかなりそうな精神状態に耐えかねたこととが合わさり相談をすることにしたのだ。
「そりゃあそうだよな、真白。……ていうか、本当にお前ら、なにもないのか?」
「何度も話している通りだよ。僕と姫川は友達であって恋人じゃない」
「いやでもお前、絶対あっちもお前に気があるって。部屋に誘われてるんだろ? しかも明日明後日はアイツと予定あるんだろ? そんなのもう、付き合ってるって言うようなもんだぞ」
「よ、世の中にはいくらでも例外はある。僕と彼女がそうだ」
「う~ん……なんか、釈然としねぇなぁ」
四郎は悩ましげに腕を組みそうと言った。真白は彼の様子に『そりゃあそうだよな』と一定の理解を示した。
「まあいいが。でまあ、お前は連日部屋に入り浸って、もう性欲が限界突破していると」
「……恥ずかしいが、そういうことだよ」
「……本当、どんまいって言うか。しかもそれで、あっちに何もしちゃいけないわけだろ?」
「姫川から言及があったわけじゃないが、ちょっとでも間違いを犯したら間違いなく僕らの関係性は切れる」
「うわっ、辛……」
四郎はそう言って、真白の感情に同調するように肩を落とした。
河野真白は紛うことなき男子である。彼が健全な男子である以上、やはりそこに性欲という感情が存在している。
そんな彼が、連日女の子の部屋に入り浸るとはどういうことか。即ち、とてつもない生殺しを延々と受けるのと同じなのだ。
ましてや姫川は真白がいても入浴はする。加えてシャワー室と部屋はそのまま繋がっているため、たとえば真白が部屋の机の前でスマホをいじっていたら、そこからシャワー室より出た姫川を一望出来てしまうのだ(無論そのような事態が無いよう真白はロフトに上がり彼女の姿を物理的に遮断しているのだが)。
男としてここまで辛い状況は中々無い。真白は鋼の精神力と理性と瞑想によりどうにか耐えているが、ある意味で姫川は襲われても文句を言えない状況に彼を晒し続けているも同然なのだ(無論実際にしたら文句どころか警察が飛んできても文句を言えないのだが)。
「……姫川ってさ、これ言うとアレだが、割とお前のタイプに合うよな」
四郎がジトッとした目で真白を見つめる。真白は「うぐっ」と声を詰まらせ、罰が悪そうに口の端を引き攣らせた。
「……なんというか。見た目に関しては、確かに、黒髪ロングで眼鏡で……とまあ、僕の好みではあるが……」
「趣味がオタクだよなお前も。んでまあ、おっぱいデカいし……」
「……いや正直、胸は小さい方が好みだ。なんというか、こう……ハートが近いというか……」
「キモ……」
「ガチめに言わないでくれ。僕だって傷付くんだぞ?」
「まあとにかく、それでそんな状況って。んー、なんていうか。お前、1回抜いてもらうとか……」
「無いよ。姫川は人間だぞ? 性処理の道具じゃない」
「まそりゃそうだよなぁ。河野真白さんはフェ○○○○だもんなぁ」
「確かに女の子が可哀想なのは嫌だって言うのを拗らせてMになったが、僕はフェ○じゃないぞ。当たり前のことを言ってるだけだからな。
……とにかく、本当に頭がおかしくなりそうだ。おかげで人生初のオ○禁チャレンジが3日間成功している」
「お前性欲無さそうに見えて超ヤバイもんな」
四郎は肩を落としながら言った。
真白は以前、姫川に18禁の小説を書いてる旨をポロリと話してしまったことがあったが。事実として、彼は極めて性に対しての欲求が強い。
基本的に、毎日致すことは当たり前の人間なのだ。外ではそんな態度を出さないし、無論姫川などの女性の前ではより一層そうなのだが。一人で部屋にいる時などは、それはもう凄いことになる。
真白も男友達と一緒にいる時は割と下ネタを言うことがある。というより、結構話す。他人の恥はおいそれと言わない真白だが、自分の恥は割と簡単に話してしまう、そんな軽い性格でもあるのだ。故に四郎は彼の性事情を何気にいくつか知っている(最高で一日に10回致したことがある、など)。
「……それにしたって、女子の話題でこうもこういう話をする俺らってどうなんよ」
「……それは、まあ。なんか、誰かに見られてたら絶対できないが。でも今は僕たちしかいないし」
「まあそりゃそうだが。……いつかお前言ってたよな、陰口はマナーって。こういうことだよな、まさしく」
「……僕の知らない話は僕にとって無いのと同じだからね」
姫川が知らない話もまた然りである。
「とにかく、無理がある。大体僕だって男なんだ、そりゃあ目の前に女子がいたら性的な目で見てしまうものだよ。相手にもよるけど。それが日々隣にいるって、しかも彼女でもなく女友達がだぞ? 童貞の僕には刺激が強すぎる」
「……童貞だからって訳じゃねぇと思うが。けどまあ、そうだよな。彼女なら逆にあっさり見切れるんだが、女友達って状態だと余計拗れそうな気がするわ」
「しかも流石に姫川の家で隠れてオ○○ーをする訳にもいかない。なんとかならないのかこれ」
「……もう泊まるのやめたら?」
「それは、ちょっと、できない」
「なんで?」
「いやまあ……その……事情があるんだ」
真白はそう言って四郎の質問をごまかした。流石に、部屋に泊まっていることは言えても、その理由までは言えなかったのである。
四郎はため息を吐いて「わけわかんねぇ」と肩を落とした。
「……まあ、流石にお得意の心理学とやらでもお手上げか。メンタリストにも不可能はあるんだな」
「僕はD○○○oじゃない。まあでも、対応はしているから耐えられてるって言うのもある」
「へぇ。どんな?」
「性欲はまず副交感神経性の感情だと僕は思う。これは副交感神経由来という意味じゃなくて、リラックスすると出る感情という意味なのだけど。なぜなら、そもそも交尾は安全な場所でしかしないものだからだ。そう考えると、性欲が高ぶった時にはとりあえず運動をして交感神経を働かせれば落ち着く」
「意味わかんねぇけどエロい興奮を別の興奮で沈める感じか」
「そういうこと。あとは瞑想でやり過ごす手もある。両方併用して僕はとりあえず冷静に過ごせているよ」
「なるほどなぁ。今度不意勃ちしたら参考にするわ」
ついでだが、勃起は副交感神経性の反応である。付け加えると射精は交感神経性の反射・反応である。所謂朝勃ちというのは睡眠により副交感神経が活性化され、その反応が現れているがために起きている。正真正銘一切の誇張なくやましいことではない、言わばくしゃみや鼻水の類と同じなのだ。
「……ていうか、その……真白、お前さ。思ったんだけど、あんましキツくてアレだったらさ。ぶっちゃけ、ここで抜いてきゃいいんじゃねぇの?」
「……あっ」
「別に姫川が講義中でお前と鉢合わない時もあるだろ。そういう時にさ、ちょっと家帰ってすればまあ落ち着くだろ。もうそれでいいじゃん」
「……確かに」
「そうだよ。こればっかりはさ、女の方が理解してあげなきゃならねぇ問題だと俺は思うぞ? そりゃ世の中には性欲なんて無いって奴もいるだろうけど、だからって俺たちからそれが消えるわけじゃないし、我慢しなきゃならねぇのもおかしいだろ。多様性って奴だよ。オ○○ーする分には自由にさせろって。なにも、ムラムラしたからしてくれって言ってるわけじゃないんだしさ」
四郎がそう言って話を締めくくった。真白は「あー、なるほど。そっか。それでよかったのか」と納得したように呟き続けた。
「……こんなことくらいすぐ思いつくだろうけどな。お前って、たまにとんでもないバカになるよな」
「……灯台もと暗しと言うか」
「変にマジメ過ぎるんだよお前は。ちょっとくらいテキトーにやった方がいい」
「ん……そう、だよな。……なんか、ごめん、ありがとう」
「別にいいよ。……そんで、今からどうするんだ? その、アレだ。するんか?」
「えっ、流石に今からは無理だよ」
「まあ俺とこんな話した後じゃな」
そう言うと、四郎は途端にスマートフォンを取りだし画面を見た。すると「おっ、彼女から連絡」と言って立ち上がり、荷物を持って歩き始める。
「とりま俺帰るわ。なんか彼女から呼び出されたし」
「ん、オッケ。わかった。……ありがとう、四郎」
「いいよいいよ。男にしか分からない話も世の中にはある」
四郎はそうして真白の部屋から出ていった。真白はそれを見送り、しばらくして落ち着いてから、「さて、」と小さく声を漏らした。
「…………なんか、暇になったな。……小説でも書くか……」
真白はそう言って、スマートフォンを取りだしそれと向かい合った。
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