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第17話
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◇――第4土曜日 AM10時20分――◇
怜斗は詩恵の言葉を聞いて、頭を抱えた。
「マジかよ。あいつ、ウッちゃんにも手を出していたのか……!」
「も」という言葉に詩恵が困惑するのがわかる。だが、怜斗にはそんなことより大きなことが頭に響く。
と、さらに怜斗は、詩恵の言葉を思い出した。
『日曜には家にも入れたし』
日曜日。竜輝はこの家に入った、パソコンにパスワードはなしで、未来の画像が投稿されたのは日曜日……!
直後、怜斗は未来の顔へ視線を向けた。
「未来、ウッちゃんが言ってることは本当かもしれない」
「でも、怜斗くん! この子のパソコンから私の画像が見つかったのよ、信じられるわけが……」
「ウッちゃん。お前は一度、この家に竜輝を入れてるな?」
と、詩恵は困惑したようにコクリと頷いた。
「えっと、前の前の日曜日……突然、家に来たいって……」
「アドバイスをしとくがな。断ることを覚えろ、そんで、もう1つは。パスワードは、かけたほうがいい」
怜斗の言葉に全員が「?」と首を傾げた。そして怜斗は、説明を始める。
「俺の予想が正しければだがな。おそらく、竜輝は美和からあの写真を受け取っている。そして、竜輝はその後ウッちゃんを狙った。二股かける気だったんだろう、だから手紙をよこして告白したんだ。
そんでもってその後、ウッちゃんの家に来た。ウッちゃんはパソコンにパスワードをかけてなくて、誰でも触れる状態だった。そんで竜輝は、携帯に保存した画像をパソコンに取り込んで、そしてネットに投稿した。これが、たぶん一連の流れだ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
詩恵が怜斗の言葉に割り込む。
「な、なんの話なの、コレ? 竜輝くんが二股かけたとか、未来さんの画像を投稿したとか……そんなこと、あるんけないよ!」
「ウッちゃん……。わかってる、辛い現実だ。でも、全部事実だ。少なくとも、ウッちゃんが二股かけられたこと、そしてウッちゃんのパソコンから画像を投稿できたのはアイツしかいないこと。この2つは、な」
「おかしいよ、おかしいよおかしいよおかしいよ! だって、竜輝くんがそんなことするはずが……」
詩恵は目をたるませて、口をへの字に歪めてふるふると震え出す。怜斗がそれに次の言葉が浮かばなくなった時、
「いえ、後藤竜輝は確実にやってるわ」
突然、扉の方から声がした。見ると、そこには腰まで伸びた黒髪をなびかせた、威風堂々とした女の人がいた。
「か、奏先輩! なんでここに!」
雄が声を出す。奏が「詩恵さんの家に行くって言ったのはあなたよ?」と告げると、3枚、ポケットから写真を取り出して、それを詩恵に見せ付ける。
「コレ。私が個人的に調べた結果よ」
写真には、竜輝と、誰だかわからない女の人が写っていた。3枚の写真それぞれ、写った女の人は別々で。
「彼はあなたと、美和って人以外に3人の人と付き合っている。つまり二股どころか五つも股にかけていたわけよ」
詩恵はそれを目の当たりにして、口を押さえてぺたりとへたれこんだ。
「ウソ、ウソ、ウソ……」
「ウソじゃないわ。彼にとってあなたは、都合よく言いなりになってくれそうな子。その程度にしか見られていなかった。だから、あなたの家のパソコンなんかを使ったのよ」
どうやら、話の流れを把握していたようだ。奏は悲しそうな目を、泣いている詩恵に向けて。やがて怜斗の方を見て、強く。
「あなたが、水野の言っていた男の子ね」
「……ああ。カメラの件、聞いたぞ」
「そう。ありがとう、あなたが水野のカメラを保護したおかげで失わずに済んだわ。例の、写真をね」
怜斗はデータとして残っていたあの写真を、頭の中に思い浮かべる。そして、ゆっくりそれを反芻して。
「なあ。竜輝を面目をぶっ潰す方法、浮かばねーか?」
「……どういうつもり?」
「いいや。別に特別なことじゃねぇ。ただ、今までの情報から、話の繋がりが見えてきた。
それを、あいつに突きつける。それであいつを、打ち倒す」
怜斗が言うと、奏はニッと笑って。
「なる、ほど。なら、話の繋がりを聞く必要があるわね。どんな……」
「その前に、ウッちゃんに手伝って欲しい」
怜斗はそう言うと、へたれこむ詩恵の横に屈み込んだ。
小さく、くす、くすと泣いている。震えている。怜斗は、彼女の言葉を思い出していた。
『なにもしなくていい』
あの言葉がなかったら。今、未来がここで立ち向かおうとしていなかった。怜斗はだから、詩恵を支えようと思っていた。
俺が未来を支えたんじゃない。俺が、みんなが、そしてウッちゃんが。未来を支えたんだ。
怜斗はその背中に、そっと、触れ。
「ウッちゃん。こんな、辛いこと言って悪かった。お前の幸せを奪ったのは、本当にすまないと思っている。殴られても俺は、文句を言えない」
詩恵はそれを聞いて、怜斗をジッと見て、言葉の続きを待った。
「でも、ウッちゃん。ここであと少し、俺たちに協力して欲しい。わかってる、お前を傷つけることってくらい。でも、俺たちは、アイツを、竜輝たちをどうにか打ち倒したい。未来にあんなことをして、みんなに火を飛ばして、あまつさえウッちゃんさえ利用しようとするアイツを。だから、ウッちゃん」
詩恵は、それを聞いて涙を拭いていた。そして。
「――わかった。わたしも、みんなと戦う」
怜斗は詩恵の声から、確かな意思を感じていた。だから彼は、笑って。
「終わったら、みんなでカラオケでも行こうぜ」
詩恵の背中を、トン、と叩いた。直後、怜斗は目に強く力を込めて立ち上がった。
「そんじゃ、みんな。今から、繋がりってのを説明する。……意見があったら、どんどん言ってくれ」
怜斗は自分の推理を、声に出して披露した。
怜斗は詩恵の言葉を聞いて、頭を抱えた。
「マジかよ。あいつ、ウッちゃんにも手を出していたのか……!」
「も」という言葉に詩恵が困惑するのがわかる。だが、怜斗にはそんなことより大きなことが頭に響く。
と、さらに怜斗は、詩恵の言葉を思い出した。
『日曜には家にも入れたし』
日曜日。竜輝はこの家に入った、パソコンにパスワードはなしで、未来の画像が投稿されたのは日曜日……!
直後、怜斗は未来の顔へ視線を向けた。
「未来、ウッちゃんが言ってることは本当かもしれない」
「でも、怜斗くん! この子のパソコンから私の画像が見つかったのよ、信じられるわけが……」
「ウッちゃん。お前は一度、この家に竜輝を入れてるな?」
と、詩恵は困惑したようにコクリと頷いた。
「えっと、前の前の日曜日……突然、家に来たいって……」
「アドバイスをしとくがな。断ることを覚えろ、そんで、もう1つは。パスワードは、かけたほうがいい」
怜斗の言葉に全員が「?」と首を傾げた。そして怜斗は、説明を始める。
「俺の予想が正しければだがな。おそらく、竜輝は美和からあの写真を受け取っている。そして、竜輝はその後ウッちゃんを狙った。二股かける気だったんだろう、だから手紙をよこして告白したんだ。
そんでもってその後、ウッちゃんの家に来た。ウッちゃんはパソコンにパスワードをかけてなくて、誰でも触れる状態だった。そんで竜輝は、携帯に保存した画像をパソコンに取り込んで、そしてネットに投稿した。これが、たぶん一連の流れだ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
詩恵が怜斗の言葉に割り込む。
「な、なんの話なの、コレ? 竜輝くんが二股かけたとか、未来さんの画像を投稿したとか……そんなこと、あるんけないよ!」
「ウッちゃん……。わかってる、辛い現実だ。でも、全部事実だ。少なくとも、ウッちゃんが二股かけられたこと、そしてウッちゃんのパソコンから画像を投稿できたのはアイツしかいないこと。この2つは、な」
「おかしいよ、おかしいよおかしいよおかしいよ! だって、竜輝くんがそんなことするはずが……」
詩恵は目をたるませて、口をへの字に歪めてふるふると震え出す。怜斗がそれに次の言葉が浮かばなくなった時、
「いえ、後藤竜輝は確実にやってるわ」
突然、扉の方から声がした。見ると、そこには腰まで伸びた黒髪をなびかせた、威風堂々とした女の人がいた。
「か、奏先輩! なんでここに!」
雄が声を出す。奏が「詩恵さんの家に行くって言ったのはあなたよ?」と告げると、3枚、ポケットから写真を取り出して、それを詩恵に見せ付ける。
「コレ。私が個人的に調べた結果よ」
写真には、竜輝と、誰だかわからない女の人が写っていた。3枚の写真それぞれ、写った女の人は別々で。
「彼はあなたと、美和って人以外に3人の人と付き合っている。つまり二股どころか五つも股にかけていたわけよ」
詩恵はそれを目の当たりにして、口を押さえてぺたりとへたれこんだ。
「ウソ、ウソ、ウソ……」
「ウソじゃないわ。彼にとってあなたは、都合よく言いなりになってくれそうな子。その程度にしか見られていなかった。だから、あなたの家のパソコンなんかを使ったのよ」
どうやら、話の流れを把握していたようだ。奏は悲しそうな目を、泣いている詩恵に向けて。やがて怜斗の方を見て、強く。
「あなたが、水野の言っていた男の子ね」
「……ああ。カメラの件、聞いたぞ」
「そう。ありがとう、あなたが水野のカメラを保護したおかげで失わずに済んだわ。例の、写真をね」
怜斗はデータとして残っていたあの写真を、頭の中に思い浮かべる。そして、ゆっくりそれを反芻して。
「なあ。竜輝を面目をぶっ潰す方法、浮かばねーか?」
「……どういうつもり?」
「いいや。別に特別なことじゃねぇ。ただ、今までの情報から、話の繋がりが見えてきた。
それを、あいつに突きつける。それであいつを、打ち倒す」
怜斗が言うと、奏はニッと笑って。
「なる、ほど。なら、話の繋がりを聞く必要があるわね。どんな……」
「その前に、ウッちゃんに手伝って欲しい」
怜斗はそう言うと、へたれこむ詩恵の横に屈み込んだ。
小さく、くす、くすと泣いている。震えている。怜斗は、彼女の言葉を思い出していた。
『なにもしなくていい』
あの言葉がなかったら。今、未来がここで立ち向かおうとしていなかった。怜斗はだから、詩恵を支えようと思っていた。
俺が未来を支えたんじゃない。俺が、みんなが、そしてウッちゃんが。未来を支えたんだ。
怜斗はその背中に、そっと、触れ。
「ウッちゃん。こんな、辛いこと言って悪かった。お前の幸せを奪ったのは、本当にすまないと思っている。殴られても俺は、文句を言えない」
詩恵はそれを聞いて、怜斗をジッと見て、言葉の続きを待った。
「でも、ウッちゃん。ここであと少し、俺たちに協力して欲しい。わかってる、お前を傷つけることってくらい。でも、俺たちは、アイツを、竜輝たちをどうにか打ち倒したい。未来にあんなことをして、みんなに火を飛ばして、あまつさえウッちゃんさえ利用しようとするアイツを。だから、ウッちゃん」
詩恵は、それを聞いて涙を拭いていた。そして。
「――わかった。わたしも、みんなと戦う」
怜斗は詩恵の声から、確かな意思を感じていた。だから彼は、笑って。
「終わったら、みんなでカラオケでも行こうぜ」
詩恵の背中を、トン、と叩いた。直後、怜斗は目に強く力を込めて立ち上がった。
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