魔王の娘がこちらを見ている〜人間に手違いで召喚された俺は、魔王たちと仲良くやります〜

オニオン太郎

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エピローグ「魔王の娘がこちらを見ている」

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 翌日。俺とラキア、魔王の3人は、町へと繰り出していた。

「おい、カツヒト! お前はどんなケーキが欲しいんだ?」
「んなもん、お前のおすすめセレクションでいいって。だいたいこの世界の食べ物とか、俺は詳しくねーんだ。また揚げ物の時みたいに、美味いものを頼むぞ」
「わかったぞ! えへへー、期待しててほしいなー!」

 俺たちが街に出たのは、ラキアポイント100を達成した祝いに、ラキア及び魔王からケーキを奢らせて欲しいと言われたからだ。俺はそれを無下にするわけにもいかず、「いいぜ」と2人に笑いかけた。

 ラキアは楽しそうに跳ねながら、前へ、前へと進んでいく。その背中を見ながら、俺はふと、思った。

 ――ラキアはもう、俺が利用しようとしていたことなんざ気にしていないだろう。だが、あれしきのことで許されるとは、俺には思えない。

「どうした、カツヒト? ボーッとして?」
「あ? ああ、いや、なんでもない」

 そうだ。俺は、変わらなければならない。
 ラキアが変わったように。そして、魔王が変わったように。俺自身が強く、そして大きくならなければならない。
 なら、ここから始めよう。この異世界でもう一度、俺は人生をやり直して、そして自分を変えるんだ。
 いつか現代に戻っても、母ちゃんたちに恥ずかしくないように。俺は決意を胸に秘めた。

 と――

「カツヒトよ」

 魔王が突然話しかけてきた。

「どうした、魔王さん?」
「いや。ふと、以前お前に言われた言葉を思い出してな。それで――訂正があるのだ」

 訂正――? 一体なんだというんだ。俺は首を傾げると、魔王は一度咳払いをし、そして語った。

「お前は以前、ラキアには我こそが必要で、お前自身はそうではないと言った。――だが、それは間違いだ。
 あの子には、我が必要だ。しかし、カツヒト。お前も同時に、ラキアにとって、必要な人間なのだぞ」
「――ああ。そう、だな。そうだ。あんたの言う通りだよ、魔王」

 心が救われた気がした。ラキアが俺の事を大切に思ってくれている。その確信は確かにあったが、他人から認めて貰えるのは、より強固な自信に繋がるのだ。

「おーい、お父さん、カツヒト! 早く来てよ!」

 ラキアは笑顔で、俺たちに手を振っていた。

 ――魔王の娘が、こちらを見ている。何をしてもうまくいかなかった人生だが、俺はあの笑顔を守れた、この唯一の成功に、誇りを持つことにした。
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