20 / 21
エピローグ「魔王の娘がこちらを見ている」
しおりを挟む
翌日。俺とラキア、魔王の3人は、町へと繰り出していた。
「おい、カツヒト! お前はどんなケーキが欲しいんだ?」
「んなもん、お前のおすすめセレクションでいいって。だいたいこの世界の食べ物とか、俺は詳しくねーんだ。また揚げ物の時みたいに、美味いものを頼むぞ」
「わかったぞ! えへへー、期待しててほしいなー!」
俺たちが街に出たのは、ラキアポイント100を達成した祝いに、ラキア及び魔王からケーキを奢らせて欲しいと言われたからだ。俺はそれを無下にするわけにもいかず、「いいぜ」と2人に笑いかけた。
ラキアは楽しそうに跳ねながら、前へ、前へと進んでいく。その背中を見ながら、俺はふと、思った。
――ラキアはもう、俺が利用しようとしていたことなんざ気にしていないだろう。だが、あれしきのことで許されるとは、俺には思えない。
「どうした、カツヒト? ボーッとして?」
「あ? ああ、いや、なんでもない」
そうだ。俺は、変わらなければならない。
ラキアが変わったように。そして、魔王が変わったように。俺自身が強く、そして大きくならなければならない。
なら、ここから始めよう。この異世界でもう一度、俺は人生をやり直して、そして自分を変えるんだ。
いつか現代に戻っても、母ちゃんたちに恥ずかしくないように。俺は決意を胸に秘めた。
と――
「カツヒトよ」
魔王が突然話しかけてきた。
「どうした、魔王さん?」
「いや。ふと、以前お前に言われた言葉を思い出してな。それで――訂正があるのだ」
訂正――? 一体なんだというんだ。俺は首を傾げると、魔王は一度咳払いをし、そして語った。
「お前は以前、ラキアには我こそが必要で、お前自身はそうではないと言った。――だが、それは間違いだ。
あの子には、我が必要だ。しかし、カツヒト。お前も同時に、ラキアにとって、必要な人間なのだぞ」
「――ああ。そう、だな。そうだ。あんたの言う通りだよ、魔王」
心が救われた気がした。ラキアが俺の事を大切に思ってくれている。その確信は確かにあったが、他人から認めて貰えるのは、より強固な自信に繋がるのだ。
「おーい、お父さん、カツヒト! 早く来てよ!」
ラキアは笑顔で、俺たちに手を振っていた。
――魔王の娘が、こちらを見ている。何をしてもうまくいかなかった人生だが、俺はあの笑顔を守れた、この唯一の成功に、誇りを持つことにした。
「おい、カツヒト! お前はどんなケーキが欲しいんだ?」
「んなもん、お前のおすすめセレクションでいいって。だいたいこの世界の食べ物とか、俺は詳しくねーんだ。また揚げ物の時みたいに、美味いものを頼むぞ」
「わかったぞ! えへへー、期待しててほしいなー!」
俺たちが街に出たのは、ラキアポイント100を達成した祝いに、ラキア及び魔王からケーキを奢らせて欲しいと言われたからだ。俺はそれを無下にするわけにもいかず、「いいぜ」と2人に笑いかけた。
ラキアは楽しそうに跳ねながら、前へ、前へと進んでいく。その背中を見ながら、俺はふと、思った。
――ラキアはもう、俺が利用しようとしていたことなんざ気にしていないだろう。だが、あれしきのことで許されるとは、俺には思えない。
「どうした、カツヒト? ボーッとして?」
「あ? ああ、いや、なんでもない」
そうだ。俺は、変わらなければならない。
ラキアが変わったように。そして、魔王が変わったように。俺自身が強く、そして大きくならなければならない。
なら、ここから始めよう。この異世界でもう一度、俺は人生をやり直して、そして自分を変えるんだ。
いつか現代に戻っても、母ちゃんたちに恥ずかしくないように。俺は決意を胸に秘めた。
と――
「カツヒトよ」
魔王が突然話しかけてきた。
「どうした、魔王さん?」
「いや。ふと、以前お前に言われた言葉を思い出してな。それで――訂正があるのだ」
訂正――? 一体なんだというんだ。俺は首を傾げると、魔王は一度咳払いをし、そして語った。
「お前は以前、ラキアには我こそが必要で、お前自身はそうではないと言った。――だが、それは間違いだ。
あの子には、我が必要だ。しかし、カツヒト。お前も同時に、ラキアにとって、必要な人間なのだぞ」
「――ああ。そう、だな。そうだ。あんたの言う通りだよ、魔王」
心が救われた気がした。ラキアが俺の事を大切に思ってくれている。その確信は確かにあったが、他人から認めて貰えるのは、より強固な自信に繋がるのだ。
「おーい、お父さん、カツヒト! 早く来てよ!」
ラキアは笑顔で、俺たちに手を振っていた。
――魔王の娘が、こちらを見ている。何をしてもうまくいかなかった人生だが、俺はあの笑顔を守れた、この唯一の成功に、誇りを持つことにした。
0
あなたにおすすめの小説
無自覚人たらしマシュマロ令嬢、王宮で崇拝される ――見た目はぽっちゃり、中身は只者じゃない !
恋せよ恋
ファンタジー
富豪にして美食家、オラニエ侯爵家の長女ステファニー。
もっちり体型から「マシュマロ令嬢」と陰口を叩かれる彼女だが、
本人は今日もご機嫌に美味しいものを食べている。
――ただし、この令嬢、人のオーラが色で見える。
その力をひけらかすこともなく、ただ「気になるから」と忠告した結果、
不正商会が摘発され、運気が上がり、気づけば周囲には信奉者が増えていく。
十五歳で王妃に乞われ、王宮へ『なんでも顧問』として迎えられたステファニー。
美食を愛し、人を疑わず、誰にでも礼を尽くすその姿勢は、
いつの間にか貴族たちの心を掴み、王子たちまで惹きつけていく。
これは、
見た目はぽっちゃり、されど中身は只者ではないマシュマロ令嬢が、
無自覚のまま王宮を掌握していく、もっちり系・人たらし王宮譚。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 エール📣いいね❤️励みになります!
🔶表紙はAI生成画像です🤖
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる