2 / 35
本編2 不穏な新生活
しおりを挟む
「おいおい。全滅かと思ったら、とんでもねえ奴が混じってたな。」
がっちりとした鎧を着こんだ男があたし達付近の壁上から降りてきて、掘り出し物を見つけたように驚きを見せていた。
「スタンピード。今回は君に任せたが、止めるのが遅いんじゃないのかい?」
逆側の壁上からチャラチャラとしたなりのサングラスをかけた男がもう一人降りて、あたしたちの元に寄ってきて、先の男を諫める。
「なんだよヴォイス。あんな雑魚でも欲しいくらいお前さんの所は困ってるのか?言っちゃ悪いが、あんな奴ら拾っても穀潰しだぜ?違うか?」
ヴォイスと呼ばれた男は言われたことに反論の余地がないのか、サングラスを『クイ』っと直して、それ以上何も言わなかった。
「ふぅ・・・こいつらしか残らなかったし、もうここで聞いてもいいだろ?」
スタンピードと呼ばれた男がヴォイスさんにそう提案する。
ヴォイスさんも、
「問題ない。」
と、提案を了承した。
「んじゃま。そういうことで、お前さんたちどっちにつく?」
あたしが言い淀んでいると、白髪の少女が、
「人が多い方。」
と答えた。
「君はどっちにするんだい?」
チャラチャラしたヴォイスと言う男があたしに聞いてきた。あたしは・・・
「彼女と同じが良いです。」
そう答えた。
「うっし!わりいな!ヴォイス。」
「こればかりは仕方ないさ。次回に期待するよ。」
そう言って去っていくヴォイスさんに
「そうね・・・待って!」
白髪の少女が呼びかける。
「なにかな~、気が変わった~?」
お茶らけてそういうヴォイスさん。
白髪の少女はそのノリを一切無視し、憎悪を孕んだ鋭い目で相手を見据え、
「あなた・・・天秤を持った神様を知らない?」
そう聞いた。その質問をした時の彼女は殺気をむき出しにして隠す気も無かった。
ヴォイスさんはその殺気に当てられても平然としながら、
「悪いけど知らないっちゃ~。」
と、飄々と答えて去っていった。
「あなた達も知らないかしら?天秤の神。」
ヴォイスさんに向けていた殺気と憎悪を今度はあたしとスタンピードさんに向けてそう聞いてくる。
「俺は知らないぜ。」
スタンピードさんは肩をすくめて全く臆さずにそう答え、目線をあたしに向けてくる。
「あ、あたしも知りません・・・ごめんなさい。」
あたしは余りに怖くて何故か謝りながら答えていた。
「そう・・・」
彼女は答えを聞くと、さっきの殺戮ショーを眺めていた時の様なつまらなそうな表情に戻り、目を伏せた。いつの間にか赤い目も黒い瞳に戻っていた。
「じゃ、拠点に案内するぜ。ついてきてくれ。」
スタンピードさんが先導する。それにあたしはついて行こうとするが、白髪の彼女がその場から動かない。あたしは不思議そうに彼女を見ると、彼女は自分のハルバードを見つめて立ち尽くしていた。
「ねぇ、雑魚。これ持って。」
あたしに向かってそう言って地面に転がっている自分のハルバードを指した。
え?あたしが運ぶの?これを?
あたしが面食らって迷っていると、
「はやくして、雑魚。」
心の底から『早くして、役目でしょ?』という、何一つ疑いのない曇りなき眼で見られる。
あたしは彼女のハルバードを抱えて拠点まで運んだ。
だって・・・なんか断れる空気じゃ無かったんだもん!
拠点につくとあたしたちは同室、同部隊であることが告げられ、ここでの決まりを聞かされた。
敵対勢力と戦争していること、相手を全滅させて勝利しなければこの狭間の世界から出られないこと、貢献しなければお金が手に入らないこと。
ただ、スタンピードさんは最後に、
「あんまデカい声で言えないけどさ。テキトーに流しとけよ。ガチで勝とうだなんて思わなくていい。相手さんも異世界でよろしくやってた転生者や転移者だ。命の削り合いになる。それにどうせあの神様連中はここから出す気なんてさらさら無いよ。俺もここに数十年居てたらそれくらい分かったよ。だからお前らも生活できるくらいに頑張りな。」
そう言って去っていった。白髪の彼女は終始つまらなそうにして聞いてるのか聞いていないのか、いまいち分からなかった。
拠点内部は戦時下の基地のように入り組んでおりまるで迷路のようだった。
彷徨いながら割り当てられた部屋に着くとそこは四人部屋で、ベッドが一つだけ使われている状態だった。
「あなた達、ここのお部屋になったの?」
先住の眼鏡に三つ編みの優しそうな少女が話しかけてくる。
「は、はい。そうです。よろしくお願いします。」
「私はリコ。よろしくね~。」
笑顔を向けて自己紹介してくれる。
「あたしはカルディア!よろしく~。」
二人で和気あいあいとしていると、白髪の彼女はマイペースにベッドに潜り込み横になった。
「ね、ねぇ~あなたも自己紹介・・・」
あたしが恐る恐る話しかけると、
「なに?」
鋭い目つきが邪魔すんな!と言っていた。
怖い、ちびっちゃいそう。
「えっと・・・自己紹介を・・・」
「知らない・・・。ねえ、雑魚。無駄なことしてるくらいならパンでも果物でも貰ってきて。」
呟いてからあたしに命令してくる。
「あ、あの・・・あたし『雑魚』じゃなくて、カルディア・・・」
「は?仕事しろ雑魚。」
滅茶苦茶怖い!めっちゃキレてる!
「ね、ねぇ・・・ここで生活するための物も買い揃えないといけないし、服もあの生き物の血で血まみれで・・・」
「じゃあ、それもよろしく。服はこれ以外着ないから要らない。」
「あ、あの~・・・」
リコちゃんが諫めようとしたのだろうか?話しかけると、
「うるさいな!!!いいでしょ!!!ほっといてよ!!!」
喚くようにそう言って布団をすっぽり被る彼女。
それ以上何か言える雰囲気ではなかった
がっちりとした鎧を着こんだ男があたし達付近の壁上から降りてきて、掘り出し物を見つけたように驚きを見せていた。
「スタンピード。今回は君に任せたが、止めるのが遅いんじゃないのかい?」
逆側の壁上からチャラチャラとしたなりのサングラスをかけた男がもう一人降りて、あたしたちの元に寄ってきて、先の男を諫める。
「なんだよヴォイス。あんな雑魚でも欲しいくらいお前さんの所は困ってるのか?言っちゃ悪いが、あんな奴ら拾っても穀潰しだぜ?違うか?」
ヴォイスと呼ばれた男は言われたことに反論の余地がないのか、サングラスを『クイ』っと直して、それ以上何も言わなかった。
「ふぅ・・・こいつらしか残らなかったし、もうここで聞いてもいいだろ?」
スタンピードと呼ばれた男がヴォイスさんにそう提案する。
ヴォイスさんも、
「問題ない。」
と、提案を了承した。
「んじゃま。そういうことで、お前さんたちどっちにつく?」
あたしが言い淀んでいると、白髪の少女が、
「人が多い方。」
と答えた。
「君はどっちにするんだい?」
チャラチャラしたヴォイスと言う男があたしに聞いてきた。あたしは・・・
「彼女と同じが良いです。」
そう答えた。
「うっし!わりいな!ヴォイス。」
「こればかりは仕方ないさ。次回に期待するよ。」
そう言って去っていくヴォイスさんに
「そうね・・・待って!」
白髪の少女が呼びかける。
「なにかな~、気が変わった~?」
お茶らけてそういうヴォイスさん。
白髪の少女はそのノリを一切無視し、憎悪を孕んだ鋭い目で相手を見据え、
「あなた・・・天秤を持った神様を知らない?」
そう聞いた。その質問をした時の彼女は殺気をむき出しにして隠す気も無かった。
ヴォイスさんはその殺気に当てられても平然としながら、
「悪いけど知らないっちゃ~。」
と、飄々と答えて去っていった。
「あなた達も知らないかしら?天秤の神。」
ヴォイスさんに向けていた殺気と憎悪を今度はあたしとスタンピードさんに向けてそう聞いてくる。
「俺は知らないぜ。」
スタンピードさんは肩をすくめて全く臆さずにそう答え、目線をあたしに向けてくる。
「あ、あたしも知りません・・・ごめんなさい。」
あたしは余りに怖くて何故か謝りながら答えていた。
「そう・・・」
彼女は答えを聞くと、さっきの殺戮ショーを眺めていた時の様なつまらなそうな表情に戻り、目を伏せた。いつの間にか赤い目も黒い瞳に戻っていた。
「じゃ、拠点に案内するぜ。ついてきてくれ。」
スタンピードさんが先導する。それにあたしはついて行こうとするが、白髪の彼女がその場から動かない。あたしは不思議そうに彼女を見ると、彼女は自分のハルバードを見つめて立ち尽くしていた。
「ねぇ、雑魚。これ持って。」
あたしに向かってそう言って地面に転がっている自分のハルバードを指した。
え?あたしが運ぶの?これを?
あたしが面食らって迷っていると、
「はやくして、雑魚。」
心の底から『早くして、役目でしょ?』という、何一つ疑いのない曇りなき眼で見られる。
あたしは彼女のハルバードを抱えて拠点まで運んだ。
だって・・・なんか断れる空気じゃ無かったんだもん!
拠点につくとあたしたちは同室、同部隊であることが告げられ、ここでの決まりを聞かされた。
敵対勢力と戦争していること、相手を全滅させて勝利しなければこの狭間の世界から出られないこと、貢献しなければお金が手に入らないこと。
ただ、スタンピードさんは最後に、
「あんまデカい声で言えないけどさ。テキトーに流しとけよ。ガチで勝とうだなんて思わなくていい。相手さんも異世界でよろしくやってた転生者や転移者だ。命の削り合いになる。それにどうせあの神様連中はここから出す気なんてさらさら無いよ。俺もここに数十年居てたらそれくらい分かったよ。だからお前らも生活できるくらいに頑張りな。」
そう言って去っていった。白髪の彼女は終始つまらなそうにして聞いてるのか聞いていないのか、いまいち分からなかった。
拠点内部は戦時下の基地のように入り組んでおりまるで迷路のようだった。
彷徨いながら割り当てられた部屋に着くとそこは四人部屋で、ベッドが一つだけ使われている状態だった。
「あなた達、ここのお部屋になったの?」
先住の眼鏡に三つ編みの優しそうな少女が話しかけてくる。
「は、はい。そうです。よろしくお願いします。」
「私はリコ。よろしくね~。」
笑顔を向けて自己紹介してくれる。
「あたしはカルディア!よろしく~。」
二人で和気あいあいとしていると、白髪の彼女はマイペースにベッドに潜り込み横になった。
「ね、ねぇ~あなたも自己紹介・・・」
あたしが恐る恐る話しかけると、
「なに?」
鋭い目つきが邪魔すんな!と言っていた。
怖い、ちびっちゃいそう。
「えっと・・・自己紹介を・・・」
「知らない・・・。ねえ、雑魚。無駄なことしてるくらいならパンでも果物でも貰ってきて。」
呟いてからあたしに命令してくる。
「あ、あの・・・あたし『雑魚』じゃなくて、カルディア・・・」
「は?仕事しろ雑魚。」
滅茶苦茶怖い!めっちゃキレてる!
「ね、ねぇ・・・ここで生活するための物も買い揃えないといけないし、服もあの生き物の血で血まみれで・・・」
「じゃあ、それもよろしく。服はこれ以外着ないから要らない。」
「あ、あの~・・・」
リコちゃんが諫めようとしたのだろうか?話しかけると、
「うるさいな!!!いいでしょ!!!ほっといてよ!!!」
喚くようにそう言って布団をすっぽり被る彼女。
それ以上何か言える雰囲気ではなかった
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる