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双新星編
サブストーリー1 異世界食育推進計画
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これははじめて組織で食事を取った日のこと。
食事を済ませた僕たちは今後のことについて話していた。
「心配するな、剣士君。聖女様は私が守ってやるさ。」
女騎士さんが勇ましい戦士の顔つきでそう言ってくれる。
「うう・・・でも~心配だなぁ。」
「君はまず自分の身の心配をした方がいいな。」
「そうですよ、勇者様。私は勇者様の方が心配です・・・。なんでも最前線だっていうじゃないですか・・・。」
聖女様が不安そうに僕を見つめる。いけないな、こんな顔させちゃ・・・
「だ、大丈夫ですよ!僕が本気出したら凄い事知っているでしょう?」
「で、でもぉ・・・あれは・・・」
「君もやはりすごい能力を持っているのか?」
「あー・・・っと。まぁ・・・。そ、そういえば女騎士さんと一緒に居た彼は防御系の能力だったんですか?」
話題を逸らすために亡くなったあの重騎士の話題を出してしまい後から『しまった』と内心焦る。向かい側の女騎士さんの隣に座ている聖女様も『何やっているんですか!?』と非難めいた目を送ってきていた。
「そうだな・・・。私は彼が傷を負うのを初めてみたよ。もっともその初めてが彼の死に様になるとは思ってもみなかったが・・・。」
「す、すみません・・・。」
「ん?気にするな。なんでかな?あまり悲しくないんだ・・・麻痺してしまったんだろうか?元居た世界で色々ありすぎて・・・私は疲れてしまったんだろうか・・・。」
「元居た世界ってそんなに・・・あっ・・・何でもないです。」
口を滑らせかけたところでテーブルの下に於いてふくれっ面の聖女様のキックが脛に飛んでくる。
「ははは・・・。聞いても面白くない話さ・・・本当にね・・・。」
そう言う彼女の瞳はどす黒く曇っていた。その様子に聖女様が不安げな顔を彼女に向ける。おそらく僕も同じような顔をしていることだろう。
「いや、すまない。変なことを言ってしまったな。気にしないでくれ。それに君たちにはちょっと感謝しているんだ。」
「それはどういう・・・」
聖女様が女騎士さんに向かって問いかける。
「ちょっと、目的を見失っていたからね。こうして成り行きだけど君たちと一緒になれて、一時的にも剣士君の代わりとしてあなたをお守りするという目的が出来たからね。今の空っぽの私にはありがたい事なんだ。」
「女騎士様・・・」
目を潤ませて女騎士さんを見つめる聖女様。その聖女様の髪を優しく掬って見つめ返す女騎士さん。
やばいやばい!何だこの雰囲気!?百合NTRされる!?
そこに・・・
(ん?あれは?・・・この雰囲気を壊すゲームチェンジャー!)
さっき見知った顔があったので何気なしに手を降ってみる。相手も気づいたみたいでこちらにやってきた。
「あんたたちも来てたのね。」
さっき僕を部隊に入れるよう取り計らってくれたナントカシューターさんだ。
手にはトレイを持っていてこれから食事のようだ。彼女を巻き込んでこの百合百合しい雰囲気をぶち壊してもらおう!
「これから食事なんですね。お姉さま。」
「あんたたちはもう済ませたのね。新入りのくせに先輩より先に取るなんて良い身分ね~。」
冗談よ!と言いながら悪戯っぽく笑う。気さくな人だ。
「何か聞きたいことがあったら何時でも尋ねに来なさい。私は白金の34号室に居るから。」
勿論あなたたちもね、と女騎士さんや聖女様にも声を掛けてる。本当に”お姉さん”なんだな。
「あ、じゃあ一つ。」
「はい!何かな?ルーキー君。」
ノリノリだな、この人。
「ナントカシューターとかヴォイスとか呼び合ってましたけど、あれが名前って事じゃないですよね?」
「ヴォイスは覚えてるのに上司のは覚えてないってあんたは・・・」
ワナワナ震えてる。ごめんって
「まぁ、いいわ。当然本名じゃないわよ。ヘッドシューターって言うのは二つ名?通り名っていうやつ?気づいたらなんか色んな奴に【百発百中】とか”ヘッドシューター”とか、そう呼ばれちゃってたのよ。二つ名は上位ランカーに付きやすいわね。それにこの世界じゃ本名言っちゃだめだよ。偽名使いなさい。」
「それはどうしてなのでしょうか?」
元の雰囲気に戻った女騎士さんが聞き返す。
「この世界じゃ殺し合いが行われているわ。それに味方同士でだって気が抜けないわよ。力はあっても倫理観が欠如している奴なんていっぱい居るもの。だからどうしてもここで生きていくには相手を殺すことがある。そしたら恨みも買うわ。そんな訳でもしも戻れた時のことを考えて本名は隠すのよ。」
「なるほどね~。じゃあ僕が女騎士さんって呼んでいたのは正解だったか。」
「ま、そう言うことね。話を戻すけど、ランカーっていうのは成績上位者。この穴の中央に巨大な柱があるでしょ?あそこにモニターみたいなものあったのに気づいた?そこに毎月発表があるのよ。」
聖女様と女騎士が「もにたーって?」とか「さあ?」とか話して二人して?マークが浮かんでる。
ヘッドシューターさんが二人に「後でちゃんと説明するね」、と滅茶苦茶優しい笑顔をみせる。
なんかお二人と僕で扱い違いません?気のせいかな?気のせいだよね?
「あそこのモニターは他にもお知らせや緊急の呼び出しとか色々表示されるからチェックしとくのね。」
「わかりました、ありがとうございます。ところで・・・」
チラッとお姉さまのトレイを見る。豆乳、豆腐、納豆、煮豆・・・
「大豆イソフラボンの取りすぎは豊胸にはよくn・・・」
すべて言い終わる前に女騎士と聖女様に足を蹴られた。イッタイ!!!
お姉さまは涙目になりながらプルプル震え、「ち、違うもーん!好きなだけだもーん!」と捨て台詞を吐いて去っていった。
うーん、何あの可愛い生物。ところで聖女様ずっと蹴り続けるのやめてもらえませんかね?
お隣のご令嬢なんてちゃんと一発で済ましているんですよ。
膨れすぎると将来頬肉垂れちゃうかもしれませんよ。
女騎士は『はぁ・・・』と深いため息をついて眉間に手を当てた。
将来僕のせいで小じわが増えたらごめんなさい。
因みにヘッドシューターさんは後で二人のところにモニターという物の説明に来たらしい。
面倒見良すぎでしょ、お姉さま。
それとごめん。先に僕が説明しちゃった。
食事を済ませた僕たちは今後のことについて話していた。
「心配するな、剣士君。聖女様は私が守ってやるさ。」
女騎士さんが勇ましい戦士の顔つきでそう言ってくれる。
「うう・・・でも~心配だなぁ。」
「君はまず自分の身の心配をした方がいいな。」
「そうですよ、勇者様。私は勇者様の方が心配です・・・。なんでも最前線だっていうじゃないですか・・・。」
聖女様が不安そうに僕を見つめる。いけないな、こんな顔させちゃ・・・
「だ、大丈夫ですよ!僕が本気出したら凄い事知っているでしょう?」
「で、でもぉ・・・あれは・・・」
「君もやはりすごい能力を持っているのか?」
「あー・・・っと。まぁ・・・。そ、そういえば女騎士さんと一緒に居た彼は防御系の能力だったんですか?」
話題を逸らすために亡くなったあの重騎士の話題を出してしまい後から『しまった』と内心焦る。向かい側の女騎士さんの隣に座ている聖女様も『何やっているんですか!?』と非難めいた目を送ってきていた。
「そうだな・・・。私は彼が傷を負うのを初めてみたよ。もっともその初めてが彼の死に様になるとは思ってもみなかったが・・・。」
「す、すみません・・・。」
「ん?気にするな。なんでかな?あまり悲しくないんだ・・・麻痺してしまったんだろうか?元居た世界で色々ありすぎて・・・私は疲れてしまったんだろうか・・・。」
「元居た世界ってそんなに・・・あっ・・・何でもないです。」
口を滑らせかけたところでテーブルの下に於いてふくれっ面の聖女様のキックが脛に飛んでくる。
「ははは・・・。聞いても面白くない話さ・・・本当にね・・・。」
そう言う彼女の瞳はどす黒く曇っていた。その様子に聖女様が不安げな顔を彼女に向ける。おそらく僕も同じような顔をしていることだろう。
「いや、すまない。変なことを言ってしまったな。気にしないでくれ。それに君たちにはちょっと感謝しているんだ。」
「それはどういう・・・」
聖女様が女騎士さんに向かって問いかける。
「ちょっと、目的を見失っていたからね。こうして成り行きだけど君たちと一緒になれて、一時的にも剣士君の代わりとしてあなたをお守りするという目的が出来たからね。今の空っぽの私にはありがたい事なんだ。」
「女騎士様・・・」
目を潤ませて女騎士さんを見つめる聖女様。その聖女様の髪を優しく掬って見つめ返す女騎士さん。
やばいやばい!何だこの雰囲気!?百合NTRされる!?
そこに・・・
(ん?あれは?・・・この雰囲気を壊すゲームチェンジャー!)
さっき見知った顔があったので何気なしに手を降ってみる。相手も気づいたみたいでこちらにやってきた。
「あんたたちも来てたのね。」
さっき僕を部隊に入れるよう取り計らってくれたナントカシューターさんだ。
手にはトレイを持っていてこれから食事のようだ。彼女を巻き込んでこの百合百合しい雰囲気をぶち壊してもらおう!
「これから食事なんですね。お姉さま。」
「あんたたちはもう済ませたのね。新入りのくせに先輩より先に取るなんて良い身分ね~。」
冗談よ!と言いながら悪戯っぽく笑う。気さくな人だ。
「何か聞きたいことがあったら何時でも尋ねに来なさい。私は白金の34号室に居るから。」
勿論あなたたちもね、と女騎士さんや聖女様にも声を掛けてる。本当に”お姉さん”なんだな。
「あ、じゃあ一つ。」
「はい!何かな?ルーキー君。」
ノリノリだな、この人。
「ナントカシューターとかヴォイスとか呼び合ってましたけど、あれが名前って事じゃないですよね?」
「ヴォイスは覚えてるのに上司のは覚えてないってあんたは・・・」
ワナワナ震えてる。ごめんって
「まぁ、いいわ。当然本名じゃないわよ。ヘッドシューターって言うのは二つ名?通り名っていうやつ?気づいたらなんか色んな奴に【百発百中】とか”ヘッドシューター”とか、そう呼ばれちゃってたのよ。二つ名は上位ランカーに付きやすいわね。それにこの世界じゃ本名言っちゃだめだよ。偽名使いなさい。」
「それはどうしてなのでしょうか?」
元の雰囲気に戻った女騎士さんが聞き返す。
「この世界じゃ殺し合いが行われているわ。それに味方同士でだって気が抜けないわよ。力はあっても倫理観が欠如している奴なんていっぱい居るもの。だからどうしてもここで生きていくには相手を殺すことがある。そしたら恨みも買うわ。そんな訳でもしも戻れた時のことを考えて本名は隠すのよ。」
「なるほどね~。じゃあ僕が女騎士さんって呼んでいたのは正解だったか。」
「ま、そう言うことね。話を戻すけど、ランカーっていうのは成績上位者。この穴の中央に巨大な柱があるでしょ?あそこにモニターみたいなものあったのに気づいた?そこに毎月発表があるのよ。」
聖女様と女騎士が「もにたーって?」とか「さあ?」とか話して二人して?マークが浮かんでる。
ヘッドシューターさんが二人に「後でちゃんと説明するね」、と滅茶苦茶優しい笑顔をみせる。
なんかお二人と僕で扱い違いません?気のせいかな?気のせいだよね?
「あそこのモニターは他にもお知らせや緊急の呼び出しとか色々表示されるからチェックしとくのね。」
「わかりました、ありがとうございます。ところで・・・」
チラッとお姉さまのトレイを見る。豆乳、豆腐、納豆、煮豆・・・
「大豆イソフラボンの取りすぎは豊胸にはよくn・・・」
すべて言い終わる前に女騎士と聖女様に足を蹴られた。イッタイ!!!
お姉さまは涙目になりながらプルプル震え、「ち、違うもーん!好きなだけだもーん!」と捨て台詞を吐いて去っていった。
うーん、何あの可愛い生物。ところで聖女様ずっと蹴り続けるのやめてもらえませんかね?
お隣のご令嬢なんてちゃんと一発で済ましているんですよ。
膨れすぎると将来頬肉垂れちゃうかもしれませんよ。
女騎士は『はぁ・・・』と深いため息をついて眉間に手を当てた。
将来僕のせいで小じわが増えたらごめんなさい。
因みにヘッドシューターさんは後で二人のところにモニターという物の説明に来たらしい。
面倒見良すぎでしょ、お姉さま。
それとごめん。先に僕が説明しちゃった。
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