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双新星編
裏本編2 残念ながらぼうけんの書は呪われました
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ぼくは女神様に会ってから、拠点で活動できるようになった。
部隊の隊長さんにも顔を出しに行き、頭を下げた。
「俺も昔そうだったよ。気にすんな。接敵なんて滅多にしないけど、とにかく人手が居るから顔出してくれるとありがたいぜ~。」
隊長さんは怒ることもせず、許してくれた上、ぼくにあまりプレッシャーにならないように気遣いながら話してくれた。
この人にあまり迷惑を掛けたくないな、という思いもぼくの背中を押して、ぼくはその日から部隊の活動に参加出来るようになった。
隊長は任務中もぼくのそばで気を使ってくれた。
ぼくは荷物を輸送しながら、女神様のことについて聞いてみた。
「え?君はあのルーキー君と同室なのか。それじゃあその小柄な女の子って言ったら、あの人しかいないよ。ここではトップクラスのランカーのヘッドシューターさんだよ。かなりの古参らしいよ~」
凄く優しくしてくれてそんな風には・・・いや・・・軽戦士君を圧倒したときの気迫は歴戦の戦士そのものだった。彼女がそんなすごい人で大先輩だったとは・・・。
クタクタになって帰ってくると入口のエントランスで第一のヘッドシューターさんの独立部隊が被害を受けたとそこら中で噂になっていた。
ぼくは噂話をしている人に詳しい話を聞くと、どうやら上層と中層の間の第一病棟で治療受けているとのこと。
教えてもらった第一病棟の治療室に急いで行くと先輩が治療を受けていた。
「せ、先輩!・・・ああ!か、肩に怪我が!」
ぼくがあわあわしていると、
「あ・・・君は、新人君の同室の。先輩って私のこと!?」
少し驚いてから先輩は
「こんなのかすり傷よ!・・・いちち」
笑いながら怪我をした側で力こぶを作るような動作をしたが、痛むのか顔をしかめる。
治療をしてる人には「傷口が開くでしょ!!!!!」とすごい剣幕で怒られて「すみません・・・」と、小っちゃくなっていた。
(可愛らしい人だな。)
ぼくが呆けていると先輩が、
「私はたいしたことないけど、君の友達が・・・ね」
剣士君のことだろうか?実は剣士君は凄く忙しくしていて殆どしゃべったことないのだが、重症なのだろうか!?
「剣士君がどうかしたんですか!?」
「うん・・・いや、一先ず命には別条は無いんだ。身体はボロボロなんだけど・・・倒れちゃって。
よかったら見舞いに行ってあげて。」
親しくは無いけど、思えば最初の挨拶をしてくれたのは彼だけだ。
ぼくは「わかりました。」と、言って彼の様子を見に行った。
剣士君は病室で寝かされ、ピンク髪の女の子から治療魔法を受けていたが、ピクリとも動かなかった。
ヒーラーの子があまりに真剣な様子だったので、声を掛けずそのまま病室を後にした。
次の朝、ぼく達の部隊は荷物をポータルに運び入れる作業のため倉庫部屋からエントランスまで荷物を運んでいた。
大きい荷物のみエレベーターを使用したが、それ以外は手作業だ。
ぼくは上着を腰に巻きつけ汗だくになりながら荷物を持って階段をあがる。
するといきなり後ろから背中を「バチン!」と叩かれた。
「やあ!やってるね~。偉いぞ~。」
先輩だった。先輩の部隊は先の戦闘で負傷者が出て暫く作戦に出ないらしい。
それで少しゆっくり出来るそうだ。
「あ、汗だくなんで汚いですよ。」
(もっとちゃんとした恰好の時に会いたかった。)
「なーに言ってるの。働き者の背中じゃない。よきかな、よきかな。」
と、「うんうん」と頷きながら、軽口を言い、ぼくに並んで登る。
「先輩はどちらに?」
「医務室にね~。あいつの様子を見に。」
剣士君のところか。あれから剣士君はまだピクリとも目を覚まさない。
「そ、そうですか。お気をつけて。」
「君も頑張ってね~」
手を振りながらウインクして、軽いステップでスキップするように登って行ってしまった。
(可愛い)
あの人に会うたびぼくの心は惹かれて行っていた。
「おーい!足止まってるぞー。」
後ろから登ってきた隊長に言われて気づく。
呆けて棒立ちしていたらしい。
ぼくはきっと病気になってしまったんだ・・・
心の病気に。
剣士君が運び込まれて3日後、目を覚ましたということを聞きつけ、ぼくは剣士君のところに急いで走って行った。
ガシャッ!っと勢いよくカーテンを開ける。
まず第一声は彼を気づかおう。そう思っていたのに、
「なあ!あんた!せせせせ先輩の好きなもの教えてくれ!!!」
先輩への気持ちが先走りすぎて口が言うこと聞いてくれなかった。
彼には失礼なことをしてしまった。
そう気づいたのは自分の部屋に帰ってからだった。
また、彼の病室を訪れよう。報告もかねて。
部隊の隊長さんにも顔を出しに行き、頭を下げた。
「俺も昔そうだったよ。気にすんな。接敵なんて滅多にしないけど、とにかく人手が居るから顔出してくれるとありがたいぜ~。」
隊長さんは怒ることもせず、許してくれた上、ぼくにあまりプレッシャーにならないように気遣いながら話してくれた。
この人にあまり迷惑を掛けたくないな、という思いもぼくの背中を押して、ぼくはその日から部隊の活動に参加出来るようになった。
隊長は任務中もぼくのそばで気を使ってくれた。
ぼくは荷物を輸送しながら、女神様のことについて聞いてみた。
「え?君はあのルーキー君と同室なのか。それじゃあその小柄な女の子って言ったら、あの人しかいないよ。ここではトップクラスのランカーのヘッドシューターさんだよ。かなりの古参らしいよ~」
凄く優しくしてくれてそんな風には・・・いや・・・軽戦士君を圧倒したときの気迫は歴戦の戦士そのものだった。彼女がそんなすごい人で大先輩だったとは・・・。
クタクタになって帰ってくると入口のエントランスで第一のヘッドシューターさんの独立部隊が被害を受けたとそこら中で噂になっていた。
ぼくは噂話をしている人に詳しい話を聞くと、どうやら上層と中層の間の第一病棟で治療受けているとのこと。
教えてもらった第一病棟の治療室に急いで行くと先輩が治療を受けていた。
「せ、先輩!・・・ああ!か、肩に怪我が!」
ぼくがあわあわしていると、
「あ・・・君は、新人君の同室の。先輩って私のこと!?」
少し驚いてから先輩は
「こんなのかすり傷よ!・・・いちち」
笑いながら怪我をした側で力こぶを作るような動作をしたが、痛むのか顔をしかめる。
治療をしてる人には「傷口が開くでしょ!!!!!」とすごい剣幕で怒られて「すみません・・・」と、小っちゃくなっていた。
(可愛らしい人だな。)
ぼくが呆けていると先輩が、
「私はたいしたことないけど、君の友達が・・・ね」
剣士君のことだろうか?実は剣士君は凄く忙しくしていて殆どしゃべったことないのだが、重症なのだろうか!?
「剣士君がどうかしたんですか!?」
「うん・・・いや、一先ず命には別条は無いんだ。身体はボロボロなんだけど・・・倒れちゃって。
よかったら見舞いに行ってあげて。」
親しくは無いけど、思えば最初の挨拶をしてくれたのは彼だけだ。
ぼくは「わかりました。」と、言って彼の様子を見に行った。
剣士君は病室で寝かされ、ピンク髪の女の子から治療魔法を受けていたが、ピクリとも動かなかった。
ヒーラーの子があまりに真剣な様子だったので、声を掛けずそのまま病室を後にした。
次の朝、ぼく達の部隊は荷物をポータルに運び入れる作業のため倉庫部屋からエントランスまで荷物を運んでいた。
大きい荷物のみエレベーターを使用したが、それ以外は手作業だ。
ぼくは上着を腰に巻きつけ汗だくになりながら荷物を持って階段をあがる。
するといきなり後ろから背中を「バチン!」と叩かれた。
「やあ!やってるね~。偉いぞ~。」
先輩だった。先輩の部隊は先の戦闘で負傷者が出て暫く作戦に出ないらしい。
それで少しゆっくり出来るそうだ。
「あ、汗だくなんで汚いですよ。」
(もっとちゃんとした恰好の時に会いたかった。)
「なーに言ってるの。働き者の背中じゃない。よきかな、よきかな。」
と、「うんうん」と頷きながら、軽口を言い、ぼくに並んで登る。
「先輩はどちらに?」
「医務室にね~。あいつの様子を見に。」
剣士君のところか。あれから剣士君はまだピクリとも目を覚まさない。
「そ、そうですか。お気をつけて。」
「君も頑張ってね~」
手を振りながらウインクして、軽いステップでスキップするように登って行ってしまった。
(可愛い)
あの人に会うたびぼくの心は惹かれて行っていた。
「おーい!足止まってるぞー。」
後ろから登ってきた隊長に言われて気づく。
呆けて棒立ちしていたらしい。
ぼくはきっと病気になってしまったんだ・・・
心の病気に。
剣士君が運び込まれて3日後、目を覚ましたということを聞きつけ、ぼくは剣士君のところに急いで走って行った。
ガシャッ!っと勢いよくカーテンを開ける。
まず第一声は彼を気づかおう。そう思っていたのに、
「なあ!あんた!せせせせ先輩の好きなもの教えてくれ!!!」
先輩への気持ちが先走りすぎて口が言うこと聞いてくれなかった。
彼には失礼なことをしてしまった。
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