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双新星編
裏本編7 ぼくの女神は便器様 その3
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「馬鹿野郎。なんでサディスティッククイーンのところなんて行った。」
翌日、次元斬さんの所に行ったらいきなり殴られてしまう。
「と、友達を助けたくて・・・」
「あのキチガイが本当に約束守ると思ってんのか!」
その言葉にぼくは何も言えない。
本当に約束を守ってくれるのか・・・ぼく自身、疑心暗鬼だったからだ。
「いいか?あいつは何一つ本当のことなんざ言ってねぇ。それぐらいは思っておけ!」
そう言ってぼくに竹刀を投げて渡す。
「今日は、とことんしごく。折角のバカ弟子をみすみす死なすのも寝覚めが悪いんでね。言っておくが今までとは違うぞ。ここで成長出来なきゃどうせ命は無ぇんだからよ。」
『いつでもかかってこい!』と手で合図する次元斬さんにぼくは斬りかかる、しかし簡単にいなされ、胴に一撃をモロにくらう。その一発で次元斬さんの竹刀が折れ、ぼくは嘔吐した。
「すぐ立て!実戦でもそうやって一発貰ったらカタツムリみてーに蹲るのか!殺してほしいのか!お前は!えぇ!!!!!」
次元斬さんはぼくを叱咤しながら竹刀を取り換える。
ぼくは、言われてすぐ立ち構え直し、
「も、もう一度お願いします!次は・・・」
そう言った瞬間、距離を詰められ、やくざキックを貰い吹っ飛び、もんどりをうって倒れる。
次元斬さんの顔には青筋が立つほどブチギレていた。
「お前は、まだわかってねぇのか。戦場に出たら”もう一度”とか”次”とか無いんだよ。やられたら終わり。今度お前さんが行くところはそういう世界なんだよ。わかったらすぐ立て。立ったら考えて動け!どうしたら生き残れるか、どうやったら勝てるか、それだけを考えて、あるものはなんでも使え!セオリーなんぞ捨てろ!全部使って、みじめでも、情けなくても最後に立て、ぼん!」
「うあああああああああああああああ!!!!!」
勝つためになんでもする!!!
ぼくは立つや否や道場の畳や壁に掛けてる竹刀を風魔法で次元斬さんに次々投げ飛ばすが、次元斬さんはそれを竹刀で簡単に細切れにしてしまう。
(なんなんだ!この人は!常識外れじゃないか!)
ぼくは突っ込み距離を縮め、
「そのまま突撃とは・・・甘いぜ・・・ぼん。」
ぼくは空中を舞っている、い草に火魔法で着火して目くらましを試み、
背後から切り上げるが・・・
「まあまあ、だったな。今のは。」
防がれてしまう。だが・・・
「あたれーーーー!!!」
風魔法で竹刀を顔に向けて射出する。しかしそれも首を捻り避けられてしまった。
「・・・はぁ、ま。及第点だな。」
ポカっと竹刀で軽く頭を叩かれる。
「いっちょ前に気を使いやがって。もっと殺傷力のある火魔法とか風魔法とかあっただろう。どうせ、稽古だから、相手竹刀だからとか思ってたんだろ。お前が本気で殺しに来てもこちとら捌けるわ。」
「す、すいません・・・」
「ま、ちょっとは良くなったな。俺が型も素振りもさせないのは、そういう強さもあるが、型にはまるとその形に執着ができる。予想外の動きに対処できずに死んだ奴も沢山見てきた。
それに対して死に際に『汚い』とか『卑怯』とか喚いていたよ。
だけど殺し合いにルールなんてものがあるのかい?
殺し合いに綺麗も汚いも無ぇよ。最後に立ってりゃいいんだから。勝ち方にこだわるな。立ってろよ、ぼん。みっともなくてもいいから立ってろ。そして死ぬなら卑怯とか汚ねぇとか喚かず納得して死ね。その為に型にはまるな。セオリーを捨てろ。」
そう言って頭を撫でてくれる次元斬さんの目は優しかった。
「ありがとう・・・ございました!」
ぼくは、道場を出ようとして振り返り、
「あ、あの・・・!」
「どうした?」
キセルに火をつけ一服する次元斬さん。
「どうして・・・ぼくを鍛えてくれたんですか?以前、次元斬さんはぼくの事を気に入っている、と言ってくれましたが、ぼくは・・・あなたに気に入られるような人物じゃないです。・・・あのとき・・・ぼくがリンチにあっていた時に次元斬さんが”つまらない奴”と言った人達と同じじゃないですか。
強い人には震えて立ち向かえず、下を見てる。今の立ち合いだって次元斬さんが竹刀だからやれたんだ。あなたが愛刀の『薄氷』を抜いていたらぼくは震えて戦えなかった・・・」
そう告白すると、次元斬さんは『ふぅ~』と煙を吐いてから、
「強い奴を避けるのは恥ずかしいことじゃない。勝機も無いのに突っ込むやつは馬鹿だ。蛮勇だな。
勝てないと判断して引くのは賢い選択だ。俺がお前さんを買っているところはな。立ち向かえない自分に後悔と恥じ入る気持ちを持っているからだ。それを向上心につなげるところもある。」
「伸びるかどうかは別だがな。」と付け加える次元斬さん。
そこは伸びると言い切ってほしかったが、こればかりは仕方がない。
「その気持ちを持たない奴はどうなるか?自身が勝てる相手と対峙したときどうなるか?たいていの奴はな。勝負じゃないんだ。嬲り殺しだよ。
自分より下をひたすら探す・・・嗜虐心を満たすために自分より弱い奴を相手にするんだ。リンチだよ。
そして強い相手はひたすら避けるし、『へーこら』おべっかだって使う。
そう言うつまんねぇ奴になる。お前さんとあいつらの違いはそこにある。
お前さんが合流する、あのイカれたサド女やベルセルクの部隊はそう言うつまんねぇ奴らの固まりだ。覚悟しておけよ。」
ぼくは『ごくり』と唾をのみ、次元斬さんに頭を下げ道場を出た。
木こりを助けるために自ら志願した。そのことに後悔は無い。
しかし、次元斬さんの言っていること。”覚悟”を持つにはそのときのぼくはあまりに考えも経験も浅すぎたのだった・・・。
翌日、次元斬さんの所に行ったらいきなり殴られてしまう。
「と、友達を助けたくて・・・」
「あのキチガイが本当に約束守ると思ってんのか!」
その言葉にぼくは何も言えない。
本当に約束を守ってくれるのか・・・ぼく自身、疑心暗鬼だったからだ。
「いいか?あいつは何一つ本当のことなんざ言ってねぇ。それぐらいは思っておけ!」
そう言ってぼくに竹刀を投げて渡す。
「今日は、とことんしごく。折角のバカ弟子をみすみす死なすのも寝覚めが悪いんでね。言っておくが今までとは違うぞ。ここで成長出来なきゃどうせ命は無ぇんだからよ。」
『いつでもかかってこい!』と手で合図する次元斬さんにぼくは斬りかかる、しかし簡単にいなされ、胴に一撃をモロにくらう。その一発で次元斬さんの竹刀が折れ、ぼくは嘔吐した。
「すぐ立て!実戦でもそうやって一発貰ったらカタツムリみてーに蹲るのか!殺してほしいのか!お前は!えぇ!!!!!」
次元斬さんはぼくを叱咤しながら竹刀を取り換える。
ぼくは、言われてすぐ立ち構え直し、
「も、もう一度お願いします!次は・・・」
そう言った瞬間、距離を詰められ、やくざキックを貰い吹っ飛び、もんどりをうって倒れる。
次元斬さんの顔には青筋が立つほどブチギレていた。
「お前は、まだわかってねぇのか。戦場に出たら”もう一度”とか”次”とか無いんだよ。やられたら終わり。今度お前さんが行くところはそういう世界なんだよ。わかったらすぐ立て。立ったら考えて動け!どうしたら生き残れるか、どうやったら勝てるか、それだけを考えて、あるものはなんでも使え!セオリーなんぞ捨てろ!全部使って、みじめでも、情けなくても最後に立て、ぼん!」
「うあああああああああああああああ!!!!!」
勝つためになんでもする!!!
ぼくは立つや否や道場の畳や壁に掛けてる竹刀を風魔法で次元斬さんに次々投げ飛ばすが、次元斬さんはそれを竹刀で簡単に細切れにしてしまう。
(なんなんだ!この人は!常識外れじゃないか!)
ぼくは突っ込み距離を縮め、
「そのまま突撃とは・・・甘いぜ・・・ぼん。」
ぼくは空中を舞っている、い草に火魔法で着火して目くらましを試み、
背後から切り上げるが・・・
「まあまあ、だったな。今のは。」
防がれてしまう。だが・・・
「あたれーーーー!!!」
風魔法で竹刀を顔に向けて射出する。しかしそれも首を捻り避けられてしまった。
「・・・はぁ、ま。及第点だな。」
ポカっと竹刀で軽く頭を叩かれる。
「いっちょ前に気を使いやがって。もっと殺傷力のある火魔法とか風魔法とかあっただろう。どうせ、稽古だから、相手竹刀だからとか思ってたんだろ。お前が本気で殺しに来てもこちとら捌けるわ。」
「す、すいません・・・」
「ま、ちょっとは良くなったな。俺が型も素振りもさせないのは、そういう強さもあるが、型にはまるとその形に執着ができる。予想外の動きに対処できずに死んだ奴も沢山見てきた。
それに対して死に際に『汚い』とか『卑怯』とか喚いていたよ。
だけど殺し合いにルールなんてものがあるのかい?
殺し合いに綺麗も汚いも無ぇよ。最後に立ってりゃいいんだから。勝ち方にこだわるな。立ってろよ、ぼん。みっともなくてもいいから立ってろ。そして死ぬなら卑怯とか汚ねぇとか喚かず納得して死ね。その為に型にはまるな。セオリーを捨てろ。」
そう言って頭を撫でてくれる次元斬さんの目は優しかった。
「ありがとう・・・ございました!」
ぼくは、道場を出ようとして振り返り、
「あ、あの・・・!」
「どうした?」
キセルに火をつけ一服する次元斬さん。
「どうして・・・ぼくを鍛えてくれたんですか?以前、次元斬さんはぼくの事を気に入っている、と言ってくれましたが、ぼくは・・・あなたに気に入られるような人物じゃないです。・・・あのとき・・・ぼくがリンチにあっていた時に次元斬さんが”つまらない奴”と言った人達と同じじゃないですか。
強い人には震えて立ち向かえず、下を見てる。今の立ち合いだって次元斬さんが竹刀だからやれたんだ。あなたが愛刀の『薄氷』を抜いていたらぼくは震えて戦えなかった・・・」
そう告白すると、次元斬さんは『ふぅ~』と煙を吐いてから、
「強い奴を避けるのは恥ずかしいことじゃない。勝機も無いのに突っ込むやつは馬鹿だ。蛮勇だな。
勝てないと判断して引くのは賢い選択だ。俺がお前さんを買っているところはな。立ち向かえない自分に後悔と恥じ入る気持ちを持っているからだ。それを向上心につなげるところもある。」
「伸びるかどうかは別だがな。」と付け加える次元斬さん。
そこは伸びると言い切ってほしかったが、こればかりは仕方がない。
「その気持ちを持たない奴はどうなるか?自身が勝てる相手と対峙したときどうなるか?たいていの奴はな。勝負じゃないんだ。嬲り殺しだよ。
自分より下をひたすら探す・・・嗜虐心を満たすために自分より弱い奴を相手にするんだ。リンチだよ。
そして強い相手はひたすら避けるし、『へーこら』おべっかだって使う。
そう言うつまんねぇ奴になる。お前さんとあいつらの違いはそこにある。
お前さんが合流する、あのイカれたサド女やベルセルクの部隊はそう言うつまんねぇ奴らの固まりだ。覚悟しておけよ。」
ぼくは『ごくり』と唾をのみ、次元斬さんに頭を下げ道場を出た。
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