羊頭狗肉のベルゼブブ

人の心無いんか?

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幕間蛇足編

蛇足編その3

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「ん~・・・いい朝だ~」
 朝日を浴びて身体を伸ばす。隣には金髪の美女がまだスヤスヤと寝息を立てていた。
 引き締まった身体、胸にたわわに実った双実、張りのある臀部。一言に言ってエロい!!なのに何故だ・・・!何故、我が息子はここ数十年ピクリともしないんだ~~~~~!!!
 エロいとは感じるんだ!でもいざそう言う行為をしようとすると頭がチリついて途端にマイサンは萎んでしまう・・・。くそう!以前はマイサンのヌープ硬度7000はあったね!それほどご立派ぁ!だったんだよ?ホントだよ?だが今は0ですよ!0!童貞のままEDなんて悲しすぎる・・・。この事実を知った頃はよく枕を濡らして女騎士さんにナデナデして貰ったもんよ。ぐへへ・・・。そういや、最近してくれないな?なんでかな?


 魔女っ子おばあちゃんにこのことを知られたときには散々ネタにされて笑われたあげく、「無理じゃ!それは治らん。それはきっとお主の失ったものなんじゃろう・・・」って真面目な顔で宣告された。
 失ったもの・・・きっとあの儀式に関するものなんだ。窓辺を見る。並べて置いてある二つの骨壺。そこにお供えしているかのように置いてある蘭奢待(仮)の破片。それらに静かに手を合わせ、僕は相方を起こさぬよう静かにベッドから出た。

 小屋を出て日課の薪割りをする。男としての機能を失って日々の暮らしの為だけに従事する・・・ああ・・・その内に僕も”玉無し”の仲間入りだな。いや、もうなってんのか?

「ん?呼びました?」
 
「おわっ!急に湧かないでくださいよ!!・・・ってあれ?」

 気配を消しながら急に後ろから声を掛けてきたのは玉無し禿げこと放浪者さん。それと珍しい、久しぶりのお客さんが居た。

「お久しぶりです。トータルワークスさん。フォーチュンさんに呼ばれたんですか?」

「元気にやってるみたいだな、小僧。今日は俺の方から用事で来たんだ。」

「珍しいですね。トータルワークスさんから会いに来るなんて・・・久しぶりじゃないですか?」

「まぁ・・・な。・・・そうだ、小僧。女騎士は元気にやってるか?」

「昨日遅かったんで、まだ寝てます。」

「すまないが起こしてきてくれ。義手のメンテナンスをしておきたいのでな。」

「トータルワークスさんの力作ですから、おかしなところなんて出てませんよ?メンテナンスなんて一生要らないんじゃないですか?」

 女騎士さんの義手は改良に改良を重ねて今ではもう見た目で義手とは分からないレベルになっている。おまけに多機能で最早どういう機能ついているのか僕には全く分からない。
 トータルさんは自分の作品が褒められて嬉しかったのか、小さく微笑み、

「それでも一応・・・な?何かあっても暫く修理は出来なくなるから・・・。」

「どういうことです!?まさか・・・どこか行ってしまうんですか!?」
 次元斬さんとぼんぼんが旅立って数か月、彼らに続いて数十年付き合いのあるトータルワークスさんまで・・・何がどうなっているんだ!?

「そんな不安そうな顔するな。・・・おい禿げ。やっぱりこいつらも知っておくべきじゃないか?」

「それはフォーチュンが決めることです。」

「ふんっ・・・放棄しやがって。お前が拾って来たんだろうが!」

 非難めいた言葉を放浪者さんはガキンチョみたいにプイっと横を向いて受け止めない。

「ま、こいつに言っても無駄か。玉無しだからな。」

 そう言ってトータルワークスさんはフォーチュンさんの小屋に入って行った。放浪者も「ちゃんと付いてますから」とぶつぶつ文句を言いながらその後に続く。僕はトータルワークスさんに言われた通り女騎士さんを起こしに小屋に戻った。



「え?トータルワークスさんがそんなことを?」

「そうなんだよ。なんかいつもとちょっと雰囲気が違うっていうか・・・」

 僕は女騎士さんを起こして先ほどの事を話していた。因みに女騎士さんは着替え中でその美しいプロポーションの身体が丸見えで・・・すっぽんぽんなのだ。眼福なのだが、やはり僕のは無反応なのである。

「ねえ、女騎士さん?話は変わるけど僕めっちゃ見てるよ?」

「ん?・・・ああ。別にいいぞ?君、私とできないだろ?」

「い、いや!そんなこと・・・。女騎士さんは凄く魅力的ですよ!」

 女性として魅力が無いと勘違いされそうだったのでしどろもどろに弁明した。

「はは。ありがとう。気を使わせたな。そうじゃなくて、あの儀式の影響で欲情しないんだろ?」

「・・・知ってたんですか?」

「わかるさ。私も・・・だからな。」

 女騎士さんはそう言って寂しく笑った。
 僕は一緒に暮らすうちに女騎士さんに惹かれていた。元々魅力的な人だったし、互いに協力して生活するというのは、より関係を密接にした。しかし、彼女の魅力に惹かれて男と女として彼女に接しようとすると心の奥底からとてつもない罪悪感がこみ上げてきて、全く機能しないどころか、触れることすら憚られた。僕だけだと思っていたが・・・そうか、彼女も同じように思っていたのか・・・ん?同じよう・・・に?

「それって僕は・・・もしかして~、脈ありってことです~?」

 からかうように言うとボンっ!と音がするほど顔が赤くなり、肌を隠すようにそそくさと着替えてしまった。

「いや~良かった~。僕も男として見られてないかと思っちゃってましたよ~。そっかー、そっかー、ふ~ん。」

 ニヤニヤとしながらからかう僕。女騎士さんは顔を背けながら

「・・・・見てるさ。」

「え?何です?」

 女騎士さんが僕の方を向く。目を潤ませはにかみながら

「見てるさ、男として。君の男らしいところ、ちゃんと知ってるからな。」

 その言葉、その姿を見て僕は顔が一瞬で熱くなった。するとそれを見た女騎士さんがフォーチュンさんみたいな”してやった”という顔をして言ったのだ。

「お・か・え・し」

 くっそー・・・やられた。あのおばあちゃんの影響だ、これ。
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