68 / 157
黄金都市編
黄金都市編その7
しおりを挟む
「おー、降りてきましたね~。」
声をした方を見ると禿げの人がテーブルについており、テーブルに並べられた料理にちょうどご機嫌で舌鼓を打っているところだった。それを見た剣士さんが非難するようなジト目になっている。
「優雅な食事はどうですか?」
「いやぁ~!最高ですね!」
「嫌味のつもりだったんですけど!」
「知ってますよ。」
剣士さんの嫌味をサラッと流す禿げの人。
「最後のガルムの動きは放浪者さん見えてたんじゃないですか?なんで止めてくれなかったんです?そしたら気絶することも無かった。」
ん?この禿げの人・・・放浪者って・・・?
「おかしなことを聞きますね~、君・・・」
ご機嫌の放浪者さんの目がスッと細まり、その顔から笑みが消える。
「今後も同じように言うのですか?私が居ない所で・・・『どうして助けてくれなかったんだ!』って。命を落とした後に。」
失言だった・・・と言わんばかりにバツが悪そうにする剣士さん。そんな様子の剣士さんに放浪者さんは容赦無く言葉で追い打ちをかけた。
「がっかりですよ。さっきの動きも、今の発言も・・・甘ったれの小僧ですよ。君の飛ばされた転移世界はよっぽどイージーだったんでしょうね?それとも強力な能力におんぶに抱っこか。その能力も、もう満足に使えないんじゃ意味ないですがね。せっかく女騎士さんが君の現状を思って鍛えてくれたのに、あれじゃ彼女に申し訳が立たないでしょ?」
「放浪者殿、もうその辺に・・・」
見かねた女騎士さんが仲裁に入るも放浪者さんの小言は止まらなかった。
「あなたもフォーチュンも甘やかしすぎでは?まぁ、殆ど手を掛けなかった私が言うのもなんですが。あの程度じゃ登塔なんて諦めてママの作った安全地帯で過ごすんですね。」
「え?フォーチュンって・・・やっぱり・・・。」
あたしは思わず呟くように声が出る。この人、アーカイブさんが言ってた原初の人だ。
「どうしました?お嬢さん?」
あたしの呟きが聞こえたのか、放浪者さんが剣士さんから目線を外し、あたしに向かって柔らかい顔を向ける。
「・・・ッの!」
言われたい放題だった剣士さんが怒りに任せて、ついに手を出した。しかし、放浪者さんはジョッキを片手に目線があたしに向いているにも関わらず、まるで見えているかのように軽々と剣士さんのパンチを片手で受け止め表情一つ変えず、そのまま豪快に投げ飛ばした。
「安い挑発も受け流せない。そんなのでよくもまぁフォーチュンのとこに行くだなんて言ったものです。口だけは一丁前ですね。」
床に倒れている剣士さんに向かってさらに追い打ちをかけるもんだから、いたたまれなかったのか、剣士さんは勢いよく立ち上がり店を出ていこうとする。
「け、剣士君!?どこに!?」
女騎士さんが呼び止めるが関係ないと言わんばかりに剣士さんは歩いて行こうとする。しかし放浪者さんの手が伸びグイっと剣士さんの首根っこを掴み椅子に投げ飛ばした。
「座れ。座って食事にしなさい。このお嬢さん方は君の目が覚めるのを待ってたんですよ。食事も取らずにずっと・・・。ちょっと言われたくらいで拗ねてからに。あなたが食べないと彼女らも食事を摂れないではないですか。そちらの手が面白いことになってるお嬢さんから聞く事もあるのに。大丈夫。心配しなくても君のそう言う子供っぽいところとかみんな知ってますから、今更ですよ。」
剣士さんが椅子に座ったまま拗ねていると、放浪者さんのフォローになってるのか分からないフォローが飛ぶ。
「・・・手が面白い事になってる彼女には知られていないじゃ無いですか!」
剣士さんが抗議めいた声をあげると、放浪者さんは少し目を泳がしてから
「あ~・・・ん~・・・どうせバレますって♪」
てへっ♪という様な音が聞こえてきそうな顔。
剣士さんは大人しく席につく様子だったが、拳を固く握ってワナワナ震えていた。気持ちは分かる。確かに傍から見ていてもムカつく顔をしていた。
声をした方を見ると禿げの人がテーブルについており、テーブルに並べられた料理にちょうどご機嫌で舌鼓を打っているところだった。それを見た剣士さんが非難するようなジト目になっている。
「優雅な食事はどうですか?」
「いやぁ~!最高ですね!」
「嫌味のつもりだったんですけど!」
「知ってますよ。」
剣士さんの嫌味をサラッと流す禿げの人。
「最後のガルムの動きは放浪者さん見えてたんじゃないですか?なんで止めてくれなかったんです?そしたら気絶することも無かった。」
ん?この禿げの人・・・放浪者って・・・?
「おかしなことを聞きますね~、君・・・」
ご機嫌の放浪者さんの目がスッと細まり、その顔から笑みが消える。
「今後も同じように言うのですか?私が居ない所で・・・『どうして助けてくれなかったんだ!』って。命を落とした後に。」
失言だった・・・と言わんばかりにバツが悪そうにする剣士さん。そんな様子の剣士さんに放浪者さんは容赦無く言葉で追い打ちをかけた。
「がっかりですよ。さっきの動きも、今の発言も・・・甘ったれの小僧ですよ。君の飛ばされた転移世界はよっぽどイージーだったんでしょうね?それとも強力な能力におんぶに抱っこか。その能力も、もう満足に使えないんじゃ意味ないですがね。せっかく女騎士さんが君の現状を思って鍛えてくれたのに、あれじゃ彼女に申し訳が立たないでしょ?」
「放浪者殿、もうその辺に・・・」
見かねた女騎士さんが仲裁に入るも放浪者さんの小言は止まらなかった。
「あなたもフォーチュンも甘やかしすぎでは?まぁ、殆ど手を掛けなかった私が言うのもなんですが。あの程度じゃ登塔なんて諦めてママの作った安全地帯で過ごすんですね。」
「え?フォーチュンって・・・やっぱり・・・。」
あたしは思わず呟くように声が出る。この人、アーカイブさんが言ってた原初の人だ。
「どうしました?お嬢さん?」
あたしの呟きが聞こえたのか、放浪者さんが剣士さんから目線を外し、あたしに向かって柔らかい顔を向ける。
「・・・ッの!」
言われたい放題だった剣士さんが怒りに任せて、ついに手を出した。しかし、放浪者さんはジョッキを片手に目線があたしに向いているにも関わらず、まるで見えているかのように軽々と剣士さんのパンチを片手で受け止め表情一つ変えず、そのまま豪快に投げ飛ばした。
「安い挑発も受け流せない。そんなのでよくもまぁフォーチュンのとこに行くだなんて言ったものです。口だけは一丁前ですね。」
床に倒れている剣士さんに向かってさらに追い打ちをかけるもんだから、いたたまれなかったのか、剣士さんは勢いよく立ち上がり店を出ていこうとする。
「け、剣士君!?どこに!?」
女騎士さんが呼び止めるが関係ないと言わんばかりに剣士さんは歩いて行こうとする。しかし放浪者さんの手が伸びグイっと剣士さんの首根っこを掴み椅子に投げ飛ばした。
「座れ。座って食事にしなさい。このお嬢さん方は君の目が覚めるのを待ってたんですよ。食事も取らずにずっと・・・。ちょっと言われたくらいで拗ねてからに。あなたが食べないと彼女らも食事を摂れないではないですか。そちらの手が面白いことになってるお嬢さんから聞く事もあるのに。大丈夫。心配しなくても君のそう言う子供っぽいところとかみんな知ってますから、今更ですよ。」
剣士さんが椅子に座ったまま拗ねていると、放浪者さんのフォローになってるのか分からないフォローが飛ぶ。
「・・・手が面白い事になってる彼女には知られていないじゃ無いですか!」
剣士さんが抗議めいた声をあげると、放浪者さんは少し目を泳がしてから
「あ~・・・ん~・・・どうせバレますって♪」
てへっ♪という様な音が聞こえてきそうな顔。
剣士さんは大人しく席につく様子だったが、拳を固く握ってワナワナ震えていた。気持ちは分かる。確かに傍から見ていてもムカつく顔をしていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
〈完結〉βの兎獣人はαの王子に食べられる
ごろごろみかん。
恋愛
α、Ω、βの第二性別が存在する獣人の国、フワロー。
「運命の番が現れたから」
その一言で二年付き合ったαの恋人に手酷く振られたβの兎獣人、ティナディア。
傷心から酒を飲み、酔っ払ったティナはその夜、美しいαの狐獣人の青年と一夜の関係を持ってしまう。
夜の記憶は一切ないが、とにかくαの男性はもうこりごり!と彼女は文字どおり脱兎のごとく、彼から逃げ出した。
しかし、彼はそんなティナに向かってにっこり笑って言ったのだ。
「可愛い兎の娘さんが、ヤリ捨てなんて、しないよね?」
*狡猾な狐(α)と大切な記憶を失っている兎(β)の、過去の約束を巡るお話
*オメガバース設定ですが、独自の解釈があります
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる