84 / 157
黄金都市編
黄金都市編その23
しおりを挟む
盾になるように土壁を召喚するや否や、銃声と共に壁におびただしい衝撃音が起こる。周りに居た人達が撃たれ倒れてゆく。
「ちっ・・・もう少しだったのに!!!お前ら!全員殺してやる!アドミラル!お前は最も苦痛を与え、死なせてくれと懇願するまで痛めつけ殺してやる!!!お前のせいで・・・お前のせいで・・・くそくそくそ!!!どうしてくれるんだこのビッチが!!」
「無理矢理犯ったのはお前だろ!イージス!逆切れしてんじゃねぇよ!」
「うるさい、うるさい!死ね死ね死ね死ね死ね!!!!」
イージスは自身を止めようとした者までお構いなしに殺していく。塔の周辺は悲鳴と恐怖に包まれていった。
「あいつ・・・見境なしかよ。とはいえどうしたものか・・・。何かいい方法はないか?」
「すみません・・・あたしには・・・。てっちゃんもこの距離じゃどうしようも・・・それにあんな銃弾の雨の中じゃ・・・」
「私もどうしようも・・・目くらましなら閃光弾と煙幕があるが・・・。代表のイージスシステムは照準が自動だから役に立つか怪しい。」
「アイスエイジ。あのつららのミサイルみたいなの打ち込めないのか?」
「目視出来ないと誘導出来ないわ。でも、あんだけ乱射されたらどうしようも・・・体を晒したらハチの巣にされちゃう!」
「僕達が戦ったときみたいに覗き穴を作ったらどうだ?」
「それなら・・・うん・・・いけるかも。」
「いえ、待ってください。」
纏まりそうになった話に待ったをかけたのは長くイージスの側近を務めたアドミラルさんだった。
「代表のイージスシステムだと覗き穴に銃弾を通してくる可能性があります。お勧めできません。私に任せていただけませんか?女騎士さんの義手は他に機能がありますね?闘技場でワイヤーを使ってましたから。」
「ええ。確かに。物を引き寄せたり、相手を拘束する細い鋼糸に移動の為のグラップリングのワイヤー。他にはスリングショットとかが・・・」
「スリングショットはここからイージスを狙えますか?」
「狙えます。トータルワークスさんの作品ですからね。人半人分くらいの誤差が出るかもしれませんが・・・」
「充分です。剣士さん、ストラクチャーはどの程度地形を変化させられるのですか?」
「射程距離があって遠くなればなるほど発動に時間が掛かりますし、大きく変化させるには集中して発動しないといけないので足が止まっちゃいますね。」
「足が止まるのは不味いですね・・・。あのストラクチャー・グレイブはどうですか?」
「少し近づけば小さく隆起させるくらいなら動きながらラグ無しでいけます。」
「ちょっと!ストラクチャー!あんたのその能力、なんでそんなに弱いわけ?・・・もしかして?あんたその能力まだ乗りこなせてないんでしょ!?」
ギクッ!
僕はアイスエイジの指摘に目を逸らす。図星だったからだ。その様子が肯定と取られ、
「あっきれた・・・。私こんな奴に負けたのか・・・。ちょっと自信が無くなって来たわ・・・。」
アイスエイジが怒りも呆れも通り越して、何故か自省をしてる。くそ・・・なんか悔しいぞ!
「いえ、今はそれで充分です。あと、女騎士さんがスリングショットで飛ばすための石ころを生成してください。なるべく先端を尖らせて、それくらいなら出来ますよね?」
アドミラルさんにはすでに今の能力で計算がされているみたいで、現状の能力の低さは問題ではないらしい。
「え、ええ!出来ます。」
「後は私が指示を出します。」
アドミラルさんは荷物から手鏡を出すと僕らの側面に無造作に放り投げる。手鏡が壁から出て射線に入ると凄まじい銃撃でバラバラになりその破片の幾つかは地面に突き刺さるようにして散らばった。
「・・・ふぅ・・・演算領域・・・ブレインユニオン!」
アドミラルさんは深呼吸すると能力を使い始める。すると脳内に直接指示と割れた鏡で確保した僅かな視界が流れてくる。数十メートル先にイージスと左右に浮いている機銃が見える。
(アイスエイジ。目標に向かって氷槍を連続射出。1秒遅れで剣士、遮蔽左から出て突撃。)
つららのミサイルは高く山なりにイージスに向かうように飛んで行く。それを見て僕は遮蔽から飛び出した。思考がクリアに感じる。ピッタリと指示通りに動ける。それに妙に動きが遅く感じられた。それはアイスエイジも同じみたいでアドミラルさんの要求通りに動く。
(続いて女騎士。半身を晒してスリングショット、すぐさま遮蔽に。続いてアイスエイジ、遮蔽右から出て目標に最速突撃。突撃しながら氷槍射出。)
イージスシステムはまず迫りくる空中のつららのミサイルを撃ち落とす。続いて僕に照準を合わせようとするが、女騎士さんのスリング弾が迫りそちらに照準が向き、撃ち落とす。続いて、地面を凍らせスケーター様に滑りながら肉薄しつつ撃ち出したアイスエイジのつららミサイルを。イージスシステムはその操り手である主人を守るために照準が上下左右に動いて突撃してくる僕らに合わせることが出来ない。
(剣士、ストラクチャーグレイブ、銃身を狙え。女騎士、再び半身を晒してスリングショット。)
ようやく僕とアイスエイジに照準を合わせたが、ストラクチャーグレイブで地面を隆起させ銃身を跳ね上げ、機銃は空に向かって連射する。
「こいつらぁ!!ちょこまかと!!」
急いで銃身をコントロールするが既にスリングショットが目の前まで来ている。機銃は自動で主人を守るため石弾に狙いをつけ粉々にするが、アイスエイジはさすがのスピードで僕を追い越して既にかなり近距離まで近づいている。
(アイスエイジ。左右に氷槍を分けて迂回するように射出。レイピアを構え。)
「なんで!なんで止められないんだ!!」
イージスは左右のつららのミサイルを優先して落としてからアイスエイジに狙いをつける。かなり際どいタイミングだが・・・
「一手遅い!貰ったぁ!!!」
勝利を確信して機銃を向けるイージス。しかし・・・
(アイスエイジ、ブレーキ。剣士、ストラクチャーで円形ドームを出現させ彼女を守れ。そのまま突撃、ドームを足場にして・・・)
「チェック。」
「ちっ・・・もう少しだったのに!!!お前ら!全員殺してやる!アドミラル!お前は最も苦痛を与え、死なせてくれと懇願するまで痛めつけ殺してやる!!!お前のせいで・・・お前のせいで・・・くそくそくそ!!!どうしてくれるんだこのビッチが!!」
「無理矢理犯ったのはお前だろ!イージス!逆切れしてんじゃねぇよ!」
「うるさい、うるさい!死ね死ね死ね死ね死ね!!!!」
イージスは自身を止めようとした者までお構いなしに殺していく。塔の周辺は悲鳴と恐怖に包まれていった。
「あいつ・・・見境なしかよ。とはいえどうしたものか・・・。何かいい方法はないか?」
「すみません・・・あたしには・・・。てっちゃんもこの距離じゃどうしようも・・・それにあんな銃弾の雨の中じゃ・・・」
「私もどうしようも・・・目くらましなら閃光弾と煙幕があるが・・・。代表のイージスシステムは照準が自動だから役に立つか怪しい。」
「アイスエイジ。あのつららのミサイルみたいなの打ち込めないのか?」
「目視出来ないと誘導出来ないわ。でも、あんだけ乱射されたらどうしようも・・・体を晒したらハチの巣にされちゃう!」
「僕達が戦ったときみたいに覗き穴を作ったらどうだ?」
「それなら・・・うん・・・いけるかも。」
「いえ、待ってください。」
纏まりそうになった話に待ったをかけたのは長くイージスの側近を務めたアドミラルさんだった。
「代表のイージスシステムだと覗き穴に銃弾を通してくる可能性があります。お勧めできません。私に任せていただけませんか?女騎士さんの義手は他に機能がありますね?闘技場でワイヤーを使ってましたから。」
「ええ。確かに。物を引き寄せたり、相手を拘束する細い鋼糸に移動の為のグラップリングのワイヤー。他にはスリングショットとかが・・・」
「スリングショットはここからイージスを狙えますか?」
「狙えます。トータルワークスさんの作品ですからね。人半人分くらいの誤差が出るかもしれませんが・・・」
「充分です。剣士さん、ストラクチャーはどの程度地形を変化させられるのですか?」
「射程距離があって遠くなればなるほど発動に時間が掛かりますし、大きく変化させるには集中して発動しないといけないので足が止まっちゃいますね。」
「足が止まるのは不味いですね・・・。あのストラクチャー・グレイブはどうですか?」
「少し近づけば小さく隆起させるくらいなら動きながらラグ無しでいけます。」
「ちょっと!ストラクチャー!あんたのその能力、なんでそんなに弱いわけ?・・・もしかして?あんたその能力まだ乗りこなせてないんでしょ!?」
ギクッ!
僕はアイスエイジの指摘に目を逸らす。図星だったからだ。その様子が肯定と取られ、
「あっきれた・・・。私こんな奴に負けたのか・・・。ちょっと自信が無くなって来たわ・・・。」
アイスエイジが怒りも呆れも通り越して、何故か自省をしてる。くそ・・・なんか悔しいぞ!
「いえ、今はそれで充分です。あと、女騎士さんがスリングショットで飛ばすための石ころを生成してください。なるべく先端を尖らせて、それくらいなら出来ますよね?」
アドミラルさんにはすでに今の能力で計算がされているみたいで、現状の能力の低さは問題ではないらしい。
「え、ええ!出来ます。」
「後は私が指示を出します。」
アドミラルさんは荷物から手鏡を出すと僕らの側面に無造作に放り投げる。手鏡が壁から出て射線に入ると凄まじい銃撃でバラバラになりその破片の幾つかは地面に突き刺さるようにして散らばった。
「・・・ふぅ・・・演算領域・・・ブレインユニオン!」
アドミラルさんは深呼吸すると能力を使い始める。すると脳内に直接指示と割れた鏡で確保した僅かな視界が流れてくる。数十メートル先にイージスと左右に浮いている機銃が見える。
(アイスエイジ。目標に向かって氷槍を連続射出。1秒遅れで剣士、遮蔽左から出て突撃。)
つららのミサイルは高く山なりにイージスに向かうように飛んで行く。それを見て僕は遮蔽から飛び出した。思考がクリアに感じる。ピッタリと指示通りに動ける。それに妙に動きが遅く感じられた。それはアイスエイジも同じみたいでアドミラルさんの要求通りに動く。
(続いて女騎士。半身を晒してスリングショット、すぐさま遮蔽に。続いてアイスエイジ、遮蔽右から出て目標に最速突撃。突撃しながら氷槍射出。)
イージスシステムはまず迫りくる空中のつららのミサイルを撃ち落とす。続いて僕に照準を合わせようとするが、女騎士さんのスリング弾が迫りそちらに照準が向き、撃ち落とす。続いて、地面を凍らせスケーター様に滑りながら肉薄しつつ撃ち出したアイスエイジのつららミサイルを。イージスシステムはその操り手である主人を守るために照準が上下左右に動いて突撃してくる僕らに合わせることが出来ない。
(剣士、ストラクチャーグレイブ、銃身を狙え。女騎士、再び半身を晒してスリングショット。)
ようやく僕とアイスエイジに照準を合わせたが、ストラクチャーグレイブで地面を隆起させ銃身を跳ね上げ、機銃は空に向かって連射する。
「こいつらぁ!!ちょこまかと!!」
急いで銃身をコントロールするが既にスリングショットが目の前まで来ている。機銃は自動で主人を守るため石弾に狙いをつけ粉々にするが、アイスエイジはさすがのスピードで僕を追い越して既にかなり近距離まで近づいている。
(アイスエイジ。左右に氷槍を分けて迂回するように射出。レイピアを構え。)
「なんで!なんで止められないんだ!!」
イージスは左右のつららのミサイルを優先して落としてからアイスエイジに狙いをつける。かなり際どいタイミングだが・・・
「一手遅い!貰ったぁ!!!」
勝利を確信して機銃を向けるイージス。しかし・・・
(アイスエイジ、ブレーキ。剣士、ストラクチャーで円形ドームを出現させ彼女を守れ。そのまま突撃、ドームを足場にして・・・)
「チェック。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
〈完結〉βの兎獣人はαの王子に食べられる
ごろごろみかん。
恋愛
α、Ω、βの第二性別が存在する獣人の国、フワロー。
「運命の番が現れたから」
その一言で二年付き合ったαの恋人に手酷く振られたβの兎獣人、ティナディア。
傷心から酒を飲み、酔っ払ったティナはその夜、美しいαの狐獣人の青年と一夜の関係を持ってしまう。
夜の記憶は一切ないが、とにかくαの男性はもうこりごり!と彼女は文字どおり脱兎のごとく、彼から逃げ出した。
しかし、彼はそんなティナに向かってにっこり笑って言ったのだ。
「可愛い兎の娘さんが、ヤリ捨てなんて、しないよね?」
*狡猾な狐(α)と大切な記憶を失っている兎(β)の、過去の約束を巡るお話
*オメガバース設定ですが、独自の解釈があります
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる