95 / 157
塔内編
塔内編その7
しおりを挟む
「こっち!!!」
閃光の中、誰か手を引いて先導してくれる。全員で巨木のうろにぎゅうぎゅう詰めになりながら隠れてやり過ごす。小声で『あいつは目は良いけど鼻や耳は大したこと無いのよ』という声が聞こえる。暫くすると諦めたのか気配が薄れて、森に音が戻ってきた。
「ふぅ・・・行ったわね。」
全員で木のうろから出る。私達を助けてくれたのはスラリとした優し気なお姉さん。男なら無条件で惚れてしまいそうな外見をしているが、何よりも目について巨悪なのが、
(胸が・・・超でかい・・・。くっ・・・悔しくないもん!いや、ちょっと待て、私。それよりも先にお礼を言わないと!)
「助けてくれてありがとう。私はアイスエイジ。こっちの喋るガルムがてっちゃん。そして・・・。」
私は気を取り直し、お礼もかねて自己紹介をする。
「え・・・!?」
仲間の紹介をしていたら目の前の優し気なお姉さんが驚愕の表情を浮かべる。
「アドミラル・・・さん・・・。」
「あ、あなたは・・・どう・・・して・・・いき・・・て・・・。」
アドミラルさんはお姉さんを見て何か呟いたが、毒の所為か声がか細くよく聞き取れない。
「彼女を知っているの!?お願い!彼女、毒にやられて・・・。」
「た、たいへん!もしかしてキリングバイト・・・ええっとさっきの原生生物なんだけど、そいつのしっぽに噛まれたの?」
「そうみたい・・・。」
既にアドミラルさんの様子は息が荒く、意識も胡乱な状態で会話に参加できないほどだった。
「しっかりしなさい!私達の村に行ったら解毒薬があるから!ここから結構距離があるからすぐに移動しましょう。彼女の体力が無くなる前に。」
「解毒できるの!?助かったわ!ありがとう!ええっと・・・あなたは?」
「アーセナルよ。彼女とは拠点の知り合いだったの。さ、急ぎましょう。」
「二人ともアドミラルを我の背に。」
アーセナルと協力してアドミラルさんをてっちゃんの背に固定する。
「さあ、急ごう。アーセナルとやら、案内頼む。」
「出発前にちょっといいかしら?」
「はい?」
「私達、この森でずっと変な奴らにつけられていたんだけど・・・。」
「猩々ですね・・・一匹一匹は大したことないですが、知能が高く、群れで行動する所が厄介です。でも、臆病な奴等で、よっぽど弱った状態でなければ手を出してきません。チャンスを伺ってつけては来ますが・・・」
「じゃあ今の状態って危ないんじゃないの!?」
「彼女・・・アドミラルさんだけなら危険ですが、我々が居ますから、手は出してこないでしょう。」
「それなら、安心ね。」
「では、行きます。ついて来てください。」
アーセナルの先導の元、三人で再び森を疾走する。仲間とはぐれるし、初っ端から強力な原生生物に遭遇するし、なんなのよ、この塔は!!
閃光の中、誰か手を引いて先導してくれる。全員で巨木のうろにぎゅうぎゅう詰めになりながら隠れてやり過ごす。小声で『あいつは目は良いけど鼻や耳は大したこと無いのよ』という声が聞こえる。暫くすると諦めたのか気配が薄れて、森に音が戻ってきた。
「ふぅ・・・行ったわね。」
全員で木のうろから出る。私達を助けてくれたのはスラリとした優し気なお姉さん。男なら無条件で惚れてしまいそうな外見をしているが、何よりも目について巨悪なのが、
(胸が・・・超でかい・・・。くっ・・・悔しくないもん!いや、ちょっと待て、私。それよりも先にお礼を言わないと!)
「助けてくれてありがとう。私はアイスエイジ。こっちの喋るガルムがてっちゃん。そして・・・。」
私は気を取り直し、お礼もかねて自己紹介をする。
「え・・・!?」
仲間の紹介をしていたら目の前の優し気なお姉さんが驚愕の表情を浮かべる。
「アドミラル・・・さん・・・。」
「あ、あなたは・・・どう・・・して・・・いき・・・て・・・。」
アドミラルさんはお姉さんを見て何か呟いたが、毒の所為か声がか細くよく聞き取れない。
「彼女を知っているの!?お願い!彼女、毒にやられて・・・。」
「た、たいへん!もしかしてキリングバイト・・・ええっとさっきの原生生物なんだけど、そいつのしっぽに噛まれたの?」
「そうみたい・・・。」
既にアドミラルさんの様子は息が荒く、意識も胡乱な状態で会話に参加できないほどだった。
「しっかりしなさい!私達の村に行ったら解毒薬があるから!ここから結構距離があるからすぐに移動しましょう。彼女の体力が無くなる前に。」
「解毒できるの!?助かったわ!ありがとう!ええっと・・・あなたは?」
「アーセナルよ。彼女とは拠点の知り合いだったの。さ、急ぎましょう。」
「二人ともアドミラルを我の背に。」
アーセナルと協力してアドミラルさんをてっちゃんの背に固定する。
「さあ、急ごう。アーセナルとやら、案内頼む。」
「出発前にちょっといいかしら?」
「はい?」
「私達、この森でずっと変な奴らにつけられていたんだけど・・・。」
「猩々ですね・・・一匹一匹は大したことないですが、知能が高く、群れで行動する所が厄介です。でも、臆病な奴等で、よっぽど弱った状態でなければ手を出してきません。チャンスを伺ってつけては来ますが・・・」
「じゃあ今の状態って危ないんじゃないの!?」
「彼女・・・アドミラルさんだけなら危険ですが、我々が居ますから、手は出してこないでしょう。」
「それなら、安心ね。」
「では、行きます。ついて来てください。」
アーセナルの先導の元、三人で再び森を疾走する。仲間とはぐれるし、初っ端から強力な原生生物に遭遇するし、なんなのよ、この塔は!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
〈完結〉βの兎獣人はαの王子に食べられる
ごろごろみかん。
恋愛
α、Ω、βの第二性別が存在する獣人の国、フワロー。
「運命の番が現れたから」
その一言で二年付き合ったαの恋人に手酷く振られたβの兎獣人、ティナディア。
傷心から酒を飲み、酔っ払ったティナはその夜、美しいαの狐獣人の青年と一夜の関係を持ってしまう。
夜の記憶は一切ないが、とにかくαの男性はもうこりごり!と彼女は文字どおり脱兎のごとく、彼から逃げ出した。
しかし、彼はそんなティナに向かってにっこり笑って言ったのだ。
「可愛い兎の娘さんが、ヤリ捨てなんて、しないよね?」
*狡猾な狐(α)と大切な記憶を失っている兎(β)の、過去の約束を巡るお話
*オメガバース設定ですが、独自の解釈があります
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる