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塔内編
塔内編その20
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「はぁ~・・・お姉さん、失敗したわぁ~。はぁ~・・・。カルディアちゃんとバニラちゃんがいい子だったから騙されたわぁ~。はぁ~・・・。」
現在、僕達はミナモさんが紹介したという、女騎士さん達が泊まっていた宿に向かっているのだが・・・大通りを歩きながらげんなりとして溜息をつくミナモさん。
「そんなに溜息付かないでくださいよ・・・。傷つきます・・・。」
「ああっと・・・ごめんごめん!」
「これはもうぎゅーってして貰わないと元気出ません・・・。はぁ・・・。」
「え?え?えーっと・・・それじゃあ、はい。」
よーっし!よーっし!!少し照れながら両手を広げてくれるミナモさん!素晴らしい!据え膳食わねば何とやら!ではでは早速・・・。
「やめておきなさい。その愚民あなたに抱きつきたいだけですから。」
僕も手を広げてそのユートピアに飛び込もうとした瞬間、僕らのすぐ傍を横切りながらボソッと呟いて行くお嬢様。目の前のお姉さんの眼差しは既に恥じらいを含む母性溢れる目から軽蔑の眼差しに変わっているッッ!!
お姉さんはそのまま軽蔑の流し目を僕に送りながら、ヴェスパ様の後をスタスタと無言で行ってしまった。悲しいねバナージ。
「ここよ。」
外観から見て取れる安宿。大通りから少し外れていて日当たりもイマイチだ。仲間との合流と情報収集の為に切り詰めていたのだろう。
「それでは、ミナモ。店の方に説明をお願いできるかしら?わたくし達は先んじて部屋を調べてまいります。」
「分かったわ。」
店主に二人の部屋番号だけ聞いて、ヴェスパ様と二人で先に部屋を調べる。部屋の中は寝間着や普段着、日用品などの生活用品がそのまま残されていて今にも部屋の借主が帰ってきそうな状態だ。
そんな二人の荷物を調べていた時だった。
「なんだこれ?」
「何か見つけまして?」
「ああ、えっと・・・入塔前にはこんな物無かったと思うのですが・・・。」
見つけた”それ”をヴェスパ様に見せる。
「でかしましたわ!それが探していたものです!」
「え?こんな笛のようなものが?」
「それは携帯電話のより遥かに安価な連絡手段で用いられる笛ですわ。笛と笛が対になっていて吹くとおおよその位置が個人間で共有できる物ですわ。あくまでアバウトにしか位置が分からないようになっていますし、どういった用件で、”誰が”呼び出しているかも分かりませんから、あまり重要な場面では使われませんわ。奪われると悪用されますしね。こんな風にね。」
お嬢様は僕から笛をひったくると勢いよく笛を吹く。少し間隔を開けつつ何度も。暫くすると部屋の前に誰かが立つ気配がした。
「来ましたわね。」
「あんたら、誰だ!カルディアさん達はどうした!?俺は人の気配や臭いを手繰れるんだ。そこに彼女たちは居ない!誰なんだアンタら!」
男の声がドアの向こうからするが、警戒して入ってこない。当然か。
「待ってくれ!彼女たちは攫われたんだ!僕達はそれを助けに行きたい!手を貸してくれ。」
「その話を信じろと?馬鹿言うな。俺からしたら誰かも分からない奴等が彼女たちの部屋を漁ってるんだぞ。」
ごもっともです・・・。僕が逆の立場でも不審者扱いするよなぁ。すぐ逃げだしたりしなかっただけありがたい。
「それにその話が本当だとしても協力できない。俺は戦闘職じゃ無いんだ。そんな危ないこと出来ないよ。」
「まぁ!ブリッツラインの危ない話に首突っ込ませておいてそんな事おっしゃるの?あなた、彼女の情報出し渋っていたのではなくて?」
「そ、それは・・・。でも本当に出来ない。彼女たちには悪いけど幸運を祈るよ。それじゃ・・・。」
ドアの向こうで人が離れる気配がする。それを察知してすかさずヴェスパ様が叫んだ。
「ミナモ!逃がさないで!!」
「分かってますわ!!」
「何を・・・ごぼっごぼっ・・・するんだ!・・・や、やめ・・・ごぼっ・・・」
ドア向こうで激しくやり合う音がする。それを聞き、僕らもドア向こうへ出た。廊下では水が激しく飛び散りおり、びしょ濡れになっている男が肩で息をしながら四つん這いになっていた。ミナモさんはその男の傍らに立ち逃がさないよう見張っていた。
その男の首筋にベスパ様が手のひらを持っていく。その手のひらには小さな蜘蛛が乗っており・・・
「・・・っつ!」
男の首を噛んだ。そして男の目の前に蜘蛛を持っていき・・・
「ご覧になって。可愛いでしょう?今噛んだのはこの子なの。これでも原生生物なんですのよ。凄く珍しい個体でね。滅多に出会えませんの。毒は・・・どうだったかしら?わたくしったらいけないわ~。ど忘れしてしまいました。協力してくださったら思い出しそうですけど、無いといいですわね~、ど・く♪」
「クソ!お前ら、最低だ!それが人間のすることかよ!!俺はお前らみたいな戦闘職じゃないんだ!そんな奴を危ないことに駆り出すなんてやってることは殺人と一緒じゃないか!!」
ごもっともです・・・。ぐぅの根も出ない。
男の傍らに立っていたミナモさんが口を開く。
「戦闘は私達が行うわ。あなたは隠れてなさい。」
「巻き込まれるかもしれないじゃん!それにあんたらが負けたり、死んだりしたら俺の命はどうなる!?どうしてくれるんだ!」
「あなた・・・ライカちゃんにもそんな風だったの?だから、愛想尽かされたんじゃないの?」
「だって!ライカは!!・・・ライカは戦闘職じゃないか・・・戦える能力があるんだ!・・・俺には・・・それが無いんだ・・・仕方ないじゃないか・・・。」
「仕方ないですって?それでずっとライカちゃんを矢面に立たせてたの!?・・・それは聖夜に流れて当然だわ。」
「俺は!・・・ライカの彼氏だ・・・。」
「は?何言ってのアンタ。アンタはライカちゃんの後ろで隠れてずっと守って貰ってたかもしれないけど、アンタはライカちゃんに何をしてあげれてたのよ?」
「ぷ、プレゼントとか・・・生活費も少し渡して・・・。」
「他には?」
「・・・非戦闘職の俺が出来ることなんて経済的な事以外無いよ・・・。」
不貞腐れるように男はそう言った。
「はぁ・・・。ヴェスパちゃん、剣士君。もういい行こう。こんな奴加えてもダメだ。」
ミナモさんはそう言うと男を置いてスタスタと行ってしまう。ヴェスパ様も一瞥をくれてから行ってしまった。残ったのは男と僕だけ。
「あー・・・僕は・・・さ。君の言い分もちょっと分かる。非戦闘職の人が戦闘職の人の前に立つなんてそれだけでも凄い恐怖だと・・・思う。君からすると僕達戦闘職が何言ってんだ!って感じだろうけどさ。それでも・・・ごめん。君にはすごく負担かけるけど、君は追跡のプロなんだろ?力を貸してくれるとすごく助かる。毒の件はたぶんあの蜘蛛、無毒だよ。」
たぶんね・・・おそらく?メイビー?
僕は伝えたいことだけ伝えると彼の元を後にする。
去り際、背中越しに彼の呟きが聞こえた。
(『俺だって戦闘職なら・・・』か・・・。)
彼の苦しみは彼にしか・・・同じ非戦闘職の人しか分からないだろう。それを安直に『分かるよ』、と言っても何もかも空虚になる。
僕は外に出て不機嫌なミナモさんに問いかける。
「あのー・・・後学の為に聞きたいんですけど・・・。」
「なに!?」
うわー、めっちゃ不機嫌。
「非戦闘員の彼がライカって子に何が出来たんでしょう・・・?」
「何って!!!はぁ・・・。あのね・・・剣士君。あなたもこの世界で人殺ししたでしょ?」
「ええ・・・」
「どうだった?」
「どうって・・・最悪な気分でした・・・。」
「そうよ!幾ら守るためだって言っても精神は痛んでるのよ!」
「ああ、そういうことか・・・。」
「そういうことよ!」
僕の場合はヘッドシューターさんが居てくれたなぁ。本当に短い間だったのに隊長にはお世話になりっぱなしだった。
「それなのに何よ!あの男!口を開けば『金の事はしてる』って!女の子はこう・・・沈んでるときに『大丈夫だよ』って抱きしめてくれたりする人がいいのよ~。はぁぁ~・・・」
途中から私見が入って一人でトリップしているミナモさん。
「うわーめんどくさー・・・。」
「何か言った?」
「あ、いえ・・・ナンデモアリマセン。」
つい思ったことが口に出るとギロリと睨みつけられてしまう。
「まぁあの様子でしたら、どのみち無理に連れて行っても足を引っ張られてしまいますし、役には立たないでしょうね。仕方ありませんわ。わたくしの古い情報になりますが、本隊が進行するはずだった予定地まで行って、後は痕跡でも探すしかありませんわね。切り替えていきましょう。次は軍資金の調達に行きますわよ?後を追うにも人数分の水、食料が必要なのですから。」
きびきびと予定を立てていくヴェスパ様。う~ん、こんな芯の通った強そうな人でも心が痛み、抱きしめて欲しかったりするのだろうか?よし・・・!
「ヴェスパ様、ヴェスパ様!はい!」
僕はニッコリと笑顔で両手を広げて、いつ胸に飛び込んでくれていいように構えるが、彼女はそんな僕に対して『は?』とゴミを見るような視線を送ってから、ミナモさんと共に脇をすり抜けていった。僕は行き場の無くなった両手で自分を抱きしめて誰も居ない空に向かって呟く。
「大丈夫だよ、僕。この扱いにもそろそろ慣れたじゃないか。・・・ふふ・・・」
現在、僕達はミナモさんが紹介したという、女騎士さん達が泊まっていた宿に向かっているのだが・・・大通りを歩きながらげんなりとして溜息をつくミナモさん。
「そんなに溜息付かないでくださいよ・・・。傷つきます・・・。」
「ああっと・・・ごめんごめん!」
「これはもうぎゅーってして貰わないと元気出ません・・・。はぁ・・・。」
「え?え?えーっと・・・それじゃあ、はい。」
よーっし!よーっし!!少し照れながら両手を広げてくれるミナモさん!素晴らしい!据え膳食わねば何とやら!ではでは早速・・・。
「やめておきなさい。その愚民あなたに抱きつきたいだけですから。」
僕も手を広げてそのユートピアに飛び込もうとした瞬間、僕らのすぐ傍を横切りながらボソッと呟いて行くお嬢様。目の前のお姉さんの眼差しは既に恥じらいを含む母性溢れる目から軽蔑の眼差しに変わっているッッ!!
お姉さんはそのまま軽蔑の流し目を僕に送りながら、ヴェスパ様の後をスタスタと無言で行ってしまった。悲しいねバナージ。
「ここよ。」
外観から見て取れる安宿。大通りから少し外れていて日当たりもイマイチだ。仲間との合流と情報収集の為に切り詰めていたのだろう。
「それでは、ミナモ。店の方に説明をお願いできるかしら?わたくし達は先んじて部屋を調べてまいります。」
「分かったわ。」
店主に二人の部屋番号だけ聞いて、ヴェスパ様と二人で先に部屋を調べる。部屋の中は寝間着や普段着、日用品などの生活用品がそのまま残されていて今にも部屋の借主が帰ってきそうな状態だ。
そんな二人の荷物を調べていた時だった。
「なんだこれ?」
「何か見つけまして?」
「ああ、えっと・・・入塔前にはこんな物無かったと思うのですが・・・。」
見つけた”それ”をヴェスパ様に見せる。
「でかしましたわ!それが探していたものです!」
「え?こんな笛のようなものが?」
「それは携帯電話のより遥かに安価な連絡手段で用いられる笛ですわ。笛と笛が対になっていて吹くとおおよその位置が個人間で共有できる物ですわ。あくまでアバウトにしか位置が分からないようになっていますし、どういった用件で、”誰が”呼び出しているかも分かりませんから、あまり重要な場面では使われませんわ。奪われると悪用されますしね。こんな風にね。」
お嬢様は僕から笛をひったくると勢いよく笛を吹く。少し間隔を開けつつ何度も。暫くすると部屋の前に誰かが立つ気配がした。
「来ましたわね。」
「あんたら、誰だ!カルディアさん達はどうした!?俺は人の気配や臭いを手繰れるんだ。そこに彼女たちは居ない!誰なんだアンタら!」
男の声がドアの向こうからするが、警戒して入ってこない。当然か。
「待ってくれ!彼女たちは攫われたんだ!僕達はそれを助けに行きたい!手を貸してくれ。」
「その話を信じろと?馬鹿言うな。俺からしたら誰かも分からない奴等が彼女たちの部屋を漁ってるんだぞ。」
ごもっともです・・・。僕が逆の立場でも不審者扱いするよなぁ。すぐ逃げだしたりしなかっただけありがたい。
「それにその話が本当だとしても協力できない。俺は戦闘職じゃ無いんだ。そんな危ないこと出来ないよ。」
「まぁ!ブリッツラインの危ない話に首突っ込ませておいてそんな事おっしゃるの?あなた、彼女の情報出し渋っていたのではなくて?」
「そ、それは・・・。でも本当に出来ない。彼女たちには悪いけど幸運を祈るよ。それじゃ・・・。」
ドアの向こうで人が離れる気配がする。それを察知してすかさずヴェスパ様が叫んだ。
「ミナモ!逃がさないで!!」
「分かってますわ!!」
「何を・・・ごぼっごぼっ・・・するんだ!・・・や、やめ・・・ごぼっ・・・」
ドア向こうで激しくやり合う音がする。それを聞き、僕らもドア向こうへ出た。廊下では水が激しく飛び散りおり、びしょ濡れになっている男が肩で息をしながら四つん這いになっていた。ミナモさんはその男の傍らに立ち逃がさないよう見張っていた。
その男の首筋にベスパ様が手のひらを持っていく。その手のひらには小さな蜘蛛が乗っており・・・
「・・・っつ!」
男の首を噛んだ。そして男の目の前に蜘蛛を持っていき・・・
「ご覧になって。可愛いでしょう?今噛んだのはこの子なの。これでも原生生物なんですのよ。凄く珍しい個体でね。滅多に出会えませんの。毒は・・・どうだったかしら?わたくしったらいけないわ~。ど忘れしてしまいました。協力してくださったら思い出しそうですけど、無いといいですわね~、ど・く♪」
「クソ!お前ら、最低だ!それが人間のすることかよ!!俺はお前らみたいな戦闘職じゃないんだ!そんな奴を危ないことに駆り出すなんてやってることは殺人と一緒じゃないか!!」
ごもっともです・・・。ぐぅの根も出ない。
男の傍らに立っていたミナモさんが口を開く。
「戦闘は私達が行うわ。あなたは隠れてなさい。」
「巻き込まれるかもしれないじゃん!それにあんたらが負けたり、死んだりしたら俺の命はどうなる!?どうしてくれるんだ!」
「あなた・・・ライカちゃんにもそんな風だったの?だから、愛想尽かされたんじゃないの?」
「だって!ライカは!!・・・ライカは戦闘職じゃないか・・・戦える能力があるんだ!・・・俺には・・・それが無いんだ・・・仕方ないじゃないか・・・。」
「仕方ないですって?それでずっとライカちゃんを矢面に立たせてたの!?・・・それは聖夜に流れて当然だわ。」
「俺は!・・・ライカの彼氏だ・・・。」
「は?何言ってのアンタ。アンタはライカちゃんの後ろで隠れてずっと守って貰ってたかもしれないけど、アンタはライカちゃんに何をしてあげれてたのよ?」
「ぷ、プレゼントとか・・・生活費も少し渡して・・・。」
「他には?」
「・・・非戦闘職の俺が出来ることなんて経済的な事以外無いよ・・・。」
不貞腐れるように男はそう言った。
「はぁ・・・。ヴェスパちゃん、剣士君。もういい行こう。こんな奴加えてもダメだ。」
ミナモさんはそう言うと男を置いてスタスタと行ってしまう。ヴェスパ様も一瞥をくれてから行ってしまった。残ったのは男と僕だけ。
「あー・・・僕は・・・さ。君の言い分もちょっと分かる。非戦闘職の人が戦闘職の人の前に立つなんてそれだけでも凄い恐怖だと・・・思う。君からすると僕達戦闘職が何言ってんだ!って感じだろうけどさ。それでも・・・ごめん。君にはすごく負担かけるけど、君は追跡のプロなんだろ?力を貸してくれるとすごく助かる。毒の件はたぶんあの蜘蛛、無毒だよ。」
たぶんね・・・おそらく?メイビー?
僕は伝えたいことだけ伝えると彼の元を後にする。
去り際、背中越しに彼の呟きが聞こえた。
(『俺だって戦闘職なら・・・』か・・・。)
彼の苦しみは彼にしか・・・同じ非戦闘職の人しか分からないだろう。それを安直に『分かるよ』、と言っても何もかも空虚になる。
僕は外に出て不機嫌なミナモさんに問いかける。
「あのー・・・後学の為に聞きたいんですけど・・・。」
「なに!?」
うわー、めっちゃ不機嫌。
「非戦闘員の彼がライカって子に何が出来たんでしょう・・・?」
「何って!!!はぁ・・・。あのね・・・剣士君。あなたもこの世界で人殺ししたでしょ?」
「ええ・・・」
「どうだった?」
「どうって・・・最悪な気分でした・・・。」
「そうよ!幾ら守るためだって言っても精神は痛んでるのよ!」
「ああ、そういうことか・・・。」
「そういうことよ!」
僕の場合はヘッドシューターさんが居てくれたなぁ。本当に短い間だったのに隊長にはお世話になりっぱなしだった。
「それなのに何よ!あの男!口を開けば『金の事はしてる』って!女の子はこう・・・沈んでるときに『大丈夫だよ』って抱きしめてくれたりする人がいいのよ~。はぁぁ~・・・」
途中から私見が入って一人でトリップしているミナモさん。
「うわーめんどくさー・・・。」
「何か言った?」
「あ、いえ・・・ナンデモアリマセン。」
つい思ったことが口に出るとギロリと睨みつけられてしまう。
「まぁあの様子でしたら、どのみち無理に連れて行っても足を引っ張られてしまいますし、役には立たないでしょうね。仕方ありませんわ。わたくしの古い情報になりますが、本隊が進行するはずだった予定地まで行って、後は痕跡でも探すしかありませんわね。切り替えていきましょう。次は軍資金の調達に行きますわよ?後を追うにも人数分の水、食料が必要なのですから。」
きびきびと予定を立てていくヴェスパ様。う~ん、こんな芯の通った強そうな人でも心が痛み、抱きしめて欲しかったりするのだろうか?よし・・・!
「ヴェスパ様、ヴェスパ様!はい!」
僕はニッコリと笑顔で両手を広げて、いつ胸に飛び込んでくれていいように構えるが、彼女はそんな僕に対して『は?』とゴミを見るような視線を送ってから、ミナモさんと共に脇をすり抜けていった。僕は行き場の無くなった両手で自分を抱きしめて誰も居ない空に向かって呟く。
「大丈夫だよ、僕。この扱いにもそろそろ慣れたじゃないか。・・・ふふ・・・」
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