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塔内編
塔内編その28
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「・・・で、この操縦桿を握って後はどうすればいいのよ?」
「あとは念じれば担当の各パーツが動きますよ。ライカさんなら左足っすね。」
「そんなたいして複雑に出来てませんわよ。作った本人の頭がアレですもの。」
「はい!そこの右手担当のお嬢様!事実でもリーダーに暴言吐かないように!ガラスのハートが割れちゃうので・・・。僕のハートはバカラグラス!」
「なーにがバカラグラスよ。バカなグラスの誤りでしょ?」
戦闘始まる前から味方の精神的なフレンドリーファイアが酷いよぅ・・・。
「なー!兄ちゃん!もう準備いいか~!」
「あ、ごめん!大変長らくお待たせしましたああああ!!!」
全員乗り込んだゴーレムで深々と頭を下げる。
「こら!簡単に頭を下げるんじゃありませんの!わたくしも乗ってるのですから、わたくしの品位にも関わるのですよ!」
「え~、でも待ってもらったから・・・。」
「もういいか?いいだろ?兄ちゃん。もう、いくぜぇ!来い!ムラクモブレーーーード!!!」
タケミカヅチが手を掲げると空から剣が降ってきて、それをかっこよくキャッチ!そして構えるサ●ライズ立ち!完璧なヒーローモーション!
「なにあれ~。ちょ~カッコいい~。ね、ね!うちらも何か武器出そーよ。」
「ファ●ネルくらい出してもらわないと困りますわよ?」
ほほぅ?あの良さがわかるなんてライカちゃんはなかなか見どころのあるメスだな。
無茶ぶりばかり言うお嬢様の方はもう無視よ、無視!そもそもだなぁ・・・何と言うか・・・うん・・・
「・・・。」
「ど、どうしたんだ、剣士君?急に押し黙ってしまって・・・。」
ヴェスパ様を補佐しているチェイサーさんはすでに僕の表情から何かを感じ取っているような様子。
「武器・・・考えてなかった♪」
頭に拳骨をやり、可愛らしく舌をだしてウインクして謝る。
同時にタケミカヅチが突撃してきて、斬撃を繰り出してくる。
「はあ~~!?あんたふざけ・・・ちょ!右右右右右~~~~!!!」
右足担当のミナモさんが声に出して意思疎通を計り何とか躱す。そうそう、チームプレイは意思疎通が大事だよ。野球でも誰がフライと捕るか声出しが重要だもんな!
何とか一撃はやり過ごしたものの依然として丸腰のピンチが続く。
「あなた・・・まさか丸腰であれと戦えって言うの!?馬鹿言わないでよ!」
我が渾身のてへぺろで謝ったのに、ミナモさんの文句を皮切りに周りからぎゃーぎゃー非難の嵐が起こる。そうそう・・・チームプレイとは往々にして戦犯探しが行われるのじゃ・・・恐ろしいね。
そんな中妙に落ち着いた人物が一人、現在このゴーレムの左手を担当しているカウボーイのおっさんだった。
「ふっふっふ・・・お困りのようだな。」
「役立たずのおっさんは引っ込んでろ!」
「最近の若者、言葉きつすぎない?おっさんも心があるんやでぇ?・・・まあ、ここは俺に任せなさい。ついに俺の能力を見せる時が来たな!オッサンとはもう呼ばせないぞ。」
ライカちゃんのきつい言葉にへこたれず、オッサンは不敵に笑い、皆の注目を集める。
「サンキュー!オッサン!」
「はやくなさい!愚民。」
「もったいぶんな、オッサン。」
「もう何でもいいから早くして~!」
「死にたくない・・・死にたくない・・・」
「ぐ・・・なんか扱いが酷いがまあ見てな。ダイス召喚!」
おっさんの手に三つのサイコロが出現する。
「俺の能力はピンチの時ほど輝くのさ!何せ俺の能力は-一発逆転-。無条件で戦況を一変させる能力よ!さあ!行くぜ~!」
「ちょっと待って!それって名前からしてメリットだけじゃないでしょ!?って、もう振ってるし!!」
おっさんに能力を詳しく聞こうとしたが、その間もなくサイコロを振ってしまう。
「おっさん・・・どうなった?」
「あ~・・・4,4,2・・・すまん・・・役無しだな♪」
「ばかーーーー!!」
「どうやったら当たりなのよ~~~!?」
「基本ゾロ目以外は外れだ。ヒフミ、シゴロはファンブル。オーメンは・・・なんていうかパ●プンテみたいなもんね。」
「殆ど、外れじゃない!!」
ほんと糞みたいなチンチロリンだなぁ!おい!
ブリッツラインさんとミナモさんがギャーギャー文句言うのも分かる。もうこの人は何もしない方がいいのかもしれない・・・。
「ちなみにこれ・・・外したら何が起きるんです!?」
「さあ?オーメンかファンブルじゃなきゃ大したこと起きないって。・・・たぶん。」
「たぶんって・・・おわっ!」
空から巨大な、ある物体が落ちて来て目の前の地面にぶっ刺さる。
「巨大な・・・」
「竹・・・槍・・・。」
ミナモさんとベスパ様、目の前の武器?を見て声を失っている。
「ぷっ・・・あはははははは!竹槍って・・・ぷっくく・・・あなたたち笑い殺そうって作戦?ぷぷっ・・・。」
もはや観客と化したブラッドムーンがヤジを飛ばしてくる。
「まあ、みんな落ち着けって・・・そう!アレだ!竹槍って空の要塞に対抗できる武器だったし、ロボ相手でも何とかなるだろ?」
いやエンチャント大和魂付与でも空飛ぶ超要塞は落とせなかったからね?おっさん。
でも口に出すのはやめておこう。ほら・・・竹槍に関してはデリケートだから・・・口に出したら事件になっちゃうかもしれないですし。
「・・・おまえら・・・馬鹿にしてるのかーーー!!」
タケルが怒って突撃してくる。散々待たせてこれだから、相手の事を思えば、まあそうか。
「仕方ない!無いよりマシだ!もしかしたらワンチャン神聖な竹槍かもしれないしな!」
ホーリーランス(竹槍)を手に取りタケルのタケミカヅチ&ムラクモブレードに立ち向かうが、いざやり合うとホーリーランスは一瞬でバラバラにされてしまう。
「うん、ただの竹でしたね!」
無駄に巨大化してるから戦闘用ではなく、流しそうめんするには良かったのかもしれない。
「これで終わりだー!!」
相手の唐竹割りが飛んでくる。竹はもうバラバラ砕けたというのに!くそ・・・避けれないか!?そう思った瞬間、ゴーレムが光となり大幅にタケミカヅチから後退していた。
「お?おお!?今のはブリッツラインの能力!?」
「な、なんとか発動出来たけどめっちゃ疲れる・・・。」
「もしかしてミナモさんも出来たり・・・?」
「・・・と、私も思ったけど近くに水場が無いから地下水だけじゃあの巨大ロボ倒すような水量は集まらないわ。」
「ダメか・・・。」
「だから、もう一度俺の能力をだな・・・。」
「「「「それはヤメロ」」」」
サイコロを取り出すおっさんを全員が止める。タケミカヅチがジリジリと距離を詰めるのに合わせてこちらも後退して行くが・・・。『ガラっ』という音で振り返るといつの間にか崖に追い詰められていること気づく。
「もう逃げられないぞ!さあ、このムラクモブレードを受けて爆散するんだ!」
「あはははははは!いい気味ね!俳句でも読んでなさい!」
ブラッドムーン=サン、それはサンバーパンクなニンジャ流です。
こちらに向かって再び走り出し斬撃を繰り出してくるタケミカヅチ。その斬撃を既の所で白羽取りする。生命の危機におっさんとヴェスパ様の息が合ったのだろうか?
「よし!良いわよ、タケル!そのまま潰してしまいなさい!!」
「踏ん張りなさいよ!高飛車縦ロールとクソダサファッションの勘違いおっさん!」
「小娘!誰に向かって!・・・ぐっ・・・」
「そう言っても気合い入れてもこのゴーレムがどうこうするわけじゃないしな。やっぱ振るしかないぜ!サイコロを。」
「ええい!しょうがありませんわ!もう振りなさい!」
「よっしゃ!行くぜぇ~!こいこい!」
「おっさん、出目は!?」
「あ~すまん。シゴロ・・・ファンブルだ・・・。」
「ちょっと!!オッサン!なにやって・・・って、あ・・・」
「ど、どうしたの!?ライカちゃん!?」
オッサンに対して激しい口調で攻めてたライカちゃんが急に低いテンションで短く呟いた。もうそれだけで嫌な予感しかしないのだが・・・。そんな彼女にチェイサーさんが青い顔をしながら尋ねると、
「操縦桿・・・取れちゃった!♪」
地雷女はもぎ取った操縦桿を片手に、頭に拳骨をやり、可愛らしく舌をだしてウインクする。おいおい可愛いじゃねえか・・・。もしかしてさっきの僕もこれくらい可愛いかった?ふふ・・・まいったな・・・って、そうじゃねぇ!
「てへぺろしてる場合じゃねぇ~~~~!!!地雷女ぁ!!!」
「わ、私の所為じゃないでしょ!?おっさんの能力の呪いよ!呪い!」
タケミカヅチのパワーに押し込まれて片足の踏ん張りがきかないゴーレムがバランスを崩して白羽取りしたまま仰向けになる。そのせいで大きく揺れて、ゴーレム内部にいる僕達は大混乱に陥った。
「「「「うわぁ!!!」」」」
「あ・・・」
「ちょっと!なに!?いまの『あ・・・』って!」
カウボーイのおっさんの漏らした小声にミナモさんが青い顔をしながら聞き返す。
「あー、すまん・・・今のでサイコロ・・・こぼれちゃった♪」
今度はおっさんがてへぺろをして謝る。あまりにキモ過ぎてどつきまわしてやろうかと思ったわ。あれ?もしかしてさっきの僕これくらいキモかった?今後、渾身のてへぺろは封印するか・・・
「何してんのよ!バカウボーイ!!」
「どんどん、言われが酷くなる・・・。」
「それで、出目は!?」
頼む・・・頼む・・・ファンブルは・・・ファンブルはやめてくれ!
「へ・・・悪いなみんな・・・。」
まさか・・・
「すんでのとこでやっちゃう男で悪いな、みんな。ジャックポッド、ピンゾロだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
「もったいぶるんじゃ無いわよ!バカウボーイ!」
「キモ!オッサン、キモ!」
「最初からなさい。バカ中年。」
「さすがに可哀想・・・。」
「で、ここから何が起きるんです!?も、もう潰れる・・・。」
ジリジリとムラクモブレードが眼前に迫っていたその時、背中越しに『ピシっ』という何かが割れる感触が伝わる。
「な、なんだ?足元が・・・うわああああああああああああああ!!!!」
崖が崩れて、タケル少年の声が絶叫に変わり、ゴーレムもタケミカヅチも崖下へ転落していく。
「これのどこがジャックポッドなのよーーーーー!!!!来る日も来る日もキャバ嬢として働いて貯めたお金もまだ使ってないのにーーー!!!」
「ミナモさん、やっぱりお金持ってるんじゃない。貸してくれてもよかったのに~。」
「それはそれ、これはこれよーーーー!!!でももうおしまいよーーーー!!!」
敵のタケル君含めて全員が思い思いに叫んでいるが、その中で僕とヴェスパ様だけが落ち着いていた。
「へ・・・。みんな、僕に感謝してよね。」
「いいから、早くなさい。」
ヴェスパ様だけが僕が何をするのか予想してるようで、呆れ口調で既にゴーレムの手を動かしている。
「悪いな、タケル君。勝負あったぜ。崖下には君とタケミカヅチだけが行ってくれ。」
「な、なんだと!?兄ちゃん!?」
僕は能力を使いゴーレムの右手と崖を接着させる。あとはタケミカヅチ一人がただ崖下に転落していった。
僕らのゴーレムはストラクチャーの能力を使って手足を崖にくっ付けたり離したりしてアメリカ産の蜘蛛男の様に崖を登っていく。
「た、タケル~~~~。」
崖を登り切ってから能力を解除して下を覗くと、ちょうど吸血鬼のお嬢様が背中からコウモリ羽を生やして崖下へ飛んでいく所だった。
「大丈夫だろうか?憎めない奴だから死んでほしくないんだけど・・・。」
「相変わらず甘いわね・・・殺せるときに殺しておかないと、後から苦労するのは私達ですわよ?」
「そういうヴェスパ様は相変わらずきついですって・・・。」
「私もそこんところはその高慢高飛車縦ロールと一緒の意見よ。」
そういやこの地雷女もカルディアさん殺そうとしてたんだよなぁ・・・。
崖下ではタケミカヅチが消えてブラッドムーンさんがタケルを抱き起こしているところだったが、どうやら気を失ってるだけのようだった。
「今のうちにとんずらしようぜ?」
「そうしましょう。」
ギャンブラーのおっさんの提案に乗ってそそくさ退散を決めることにしたが、最後までヴェスパ様が「チャンスなのに!」と暴れていた。あなたケガ人ですよね?
「あとは念じれば担当の各パーツが動きますよ。ライカさんなら左足っすね。」
「そんなたいして複雑に出来てませんわよ。作った本人の頭がアレですもの。」
「はい!そこの右手担当のお嬢様!事実でもリーダーに暴言吐かないように!ガラスのハートが割れちゃうので・・・。僕のハートはバカラグラス!」
「なーにがバカラグラスよ。バカなグラスの誤りでしょ?」
戦闘始まる前から味方の精神的なフレンドリーファイアが酷いよぅ・・・。
「なー!兄ちゃん!もう準備いいか~!」
「あ、ごめん!大変長らくお待たせしましたああああ!!!」
全員乗り込んだゴーレムで深々と頭を下げる。
「こら!簡単に頭を下げるんじゃありませんの!わたくしも乗ってるのですから、わたくしの品位にも関わるのですよ!」
「え~、でも待ってもらったから・・・。」
「もういいか?いいだろ?兄ちゃん。もう、いくぜぇ!来い!ムラクモブレーーーード!!!」
タケミカヅチが手を掲げると空から剣が降ってきて、それをかっこよくキャッチ!そして構えるサ●ライズ立ち!完璧なヒーローモーション!
「なにあれ~。ちょ~カッコいい~。ね、ね!うちらも何か武器出そーよ。」
「ファ●ネルくらい出してもらわないと困りますわよ?」
ほほぅ?あの良さがわかるなんてライカちゃんはなかなか見どころのあるメスだな。
無茶ぶりばかり言うお嬢様の方はもう無視よ、無視!そもそもだなぁ・・・何と言うか・・・うん・・・
「・・・。」
「ど、どうしたんだ、剣士君?急に押し黙ってしまって・・・。」
ヴェスパ様を補佐しているチェイサーさんはすでに僕の表情から何かを感じ取っているような様子。
「武器・・・考えてなかった♪」
頭に拳骨をやり、可愛らしく舌をだしてウインクして謝る。
同時にタケミカヅチが突撃してきて、斬撃を繰り出してくる。
「はあ~~!?あんたふざけ・・・ちょ!右右右右右~~~~!!!」
右足担当のミナモさんが声に出して意思疎通を計り何とか躱す。そうそう、チームプレイは意思疎通が大事だよ。野球でも誰がフライと捕るか声出しが重要だもんな!
何とか一撃はやり過ごしたものの依然として丸腰のピンチが続く。
「あなた・・・まさか丸腰であれと戦えって言うの!?馬鹿言わないでよ!」
我が渾身のてへぺろで謝ったのに、ミナモさんの文句を皮切りに周りからぎゃーぎゃー非難の嵐が起こる。そうそう・・・チームプレイとは往々にして戦犯探しが行われるのじゃ・・・恐ろしいね。
そんな中妙に落ち着いた人物が一人、現在このゴーレムの左手を担当しているカウボーイのおっさんだった。
「ふっふっふ・・・お困りのようだな。」
「役立たずのおっさんは引っ込んでろ!」
「最近の若者、言葉きつすぎない?おっさんも心があるんやでぇ?・・・まあ、ここは俺に任せなさい。ついに俺の能力を見せる時が来たな!オッサンとはもう呼ばせないぞ。」
ライカちゃんのきつい言葉にへこたれず、オッサンは不敵に笑い、皆の注目を集める。
「サンキュー!オッサン!」
「はやくなさい!愚民。」
「もったいぶんな、オッサン。」
「もう何でもいいから早くして~!」
「死にたくない・・・死にたくない・・・」
「ぐ・・・なんか扱いが酷いがまあ見てな。ダイス召喚!」
おっさんの手に三つのサイコロが出現する。
「俺の能力はピンチの時ほど輝くのさ!何せ俺の能力は-一発逆転-。無条件で戦況を一変させる能力よ!さあ!行くぜ~!」
「ちょっと待って!それって名前からしてメリットだけじゃないでしょ!?って、もう振ってるし!!」
おっさんに能力を詳しく聞こうとしたが、その間もなくサイコロを振ってしまう。
「おっさん・・・どうなった?」
「あ~・・・4,4,2・・・すまん・・・役無しだな♪」
「ばかーーーー!!」
「どうやったら当たりなのよ~~~!?」
「基本ゾロ目以外は外れだ。ヒフミ、シゴロはファンブル。オーメンは・・・なんていうかパ●プンテみたいなもんね。」
「殆ど、外れじゃない!!」
ほんと糞みたいなチンチロリンだなぁ!おい!
ブリッツラインさんとミナモさんがギャーギャー文句言うのも分かる。もうこの人は何もしない方がいいのかもしれない・・・。
「ちなみにこれ・・・外したら何が起きるんです!?」
「さあ?オーメンかファンブルじゃなきゃ大したこと起きないって。・・・たぶん。」
「たぶんって・・・おわっ!」
空から巨大な、ある物体が落ちて来て目の前の地面にぶっ刺さる。
「巨大な・・・」
「竹・・・槍・・・。」
ミナモさんとベスパ様、目の前の武器?を見て声を失っている。
「ぷっ・・・あはははははは!竹槍って・・・ぷっくく・・・あなたたち笑い殺そうって作戦?ぷぷっ・・・。」
もはや観客と化したブラッドムーンがヤジを飛ばしてくる。
「まあ、みんな落ち着けって・・・そう!アレだ!竹槍って空の要塞に対抗できる武器だったし、ロボ相手でも何とかなるだろ?」
いやエンチャント大和魂付与でも空飛ぶ超要塞は落とせなかったからね?おっさん。
でも口に出すのはやめておこう。ほら・・・竹槍に関してはデリケートだから・・・口に出したら事件になっちゃうかもしれないですし。
「・・・おまえら・・・馬鹿にしてるのかーーー!!」
タケルが怒って突撃してくる。散々待たせてこれだから、相手の事を思えば、まあそうか。
「仕方ない!無いよりマシだ!もしかしたらワンチャン神聖な竹槍かもしれないしな!」
ホーリーランス(竹槍)を手に取りタケルのタケミカヅチ&ムラクモブレードに立ち向かうが、いざやり合うとホーリーランスは一瞬でバラバラにされてしまう。
「うん、ただの竹でしたね!」
無駄に巨大化してるから戦闘用ではなく、流しそうめんするには良かったのかもしれない。
「これで終わりだー!!」
相手の唐竹割りが飛んでくる。竹はもうバラバラ砕けたというのに!くそ・・・避けれないか!?そう思った瞬間、ゴーレムが光となり大幅にタケミカヅチから後退していた。
「お?おお!?今のはブリッツラインの能力!?」
「な、なんとか発動出来たけどめっちゃ疲れる・・・。」
「もしかしてミナモさんも出来たり・・・?」
「・・・と、私も思ったけど近くに水場が無いから地下水だけじゃあの巨大ロボ倒すような水量は集まらないわ。」
「ダメか・・・。」
「だから、もう一度俺の能力をだな・・・。」
「「「「それはヤメロ」」」」
サイコロを取り出すおっさんを全員が止める。タケミカヅチがジリジリと距離を詰めるのに合わせてこちらも後退して行くが・・・。『ガラっ』という音で振り返るといつの間にか崖に追い詰められていること気づく。
「もう逃げられないぞ!さあ、このムラクモブレードを受けて爆散するんだ!」
「あはははははは!いい気味ね!俳句でも読んでなさい!」
ブラッドムーン=サン、それはサンバーパンクなニンジャ流です。
こちらに向かって再び走り出し斬撃を繰り出してくるタケミカヅチ。その斬撃を既の所で白羽取りする。生命の危機におっさんとヴェスパ様の息が合ったのだろうか?
「よし!良いわよ、タケル!そのまま潰してしまいなさい!!」
「踏ん張りなさいよ!高飛車縦ロールとクソダサファッションの勘違いおっさん!」
「小娘!誰に向かって!・・・ぐっ・・・」
「そう言っても気合い入れてもこのゴーレムがどうこうするわけじゃないしな。やっぱ振るしかないぜ!サイコロを。」
「ええい!しょうがありませんわ!もう振りなさい!」
「よっしゃ!行くぜぇ~!こいこい!」
「おっさん、出目は!?」
「あ~すまん。シゴロ・・・ファンブルだ・・・。」
「ちょっと!!オッサン!なにやって・・・って、あ・・・」
「ど、どうしたの!?ライカちゃん!?」
オッサンに対して激しい口調で攻めてたライカちゃんが急に低いテンションで短く呟いた。もうそれだけで嫌な予感しかしないのだが・・・。そんな彼女にチェイサーさんが青い顔をしながら尋ねると、
「操縦桿・・・取れちゃった!♪」
地雷女はもぎ取った操縦桿を片手に、頭に拳骨をやり、可愛らしく舌をだしてウインクする。おいおい可愛いじゃねえか・・・。もしかしてさっきの僕もこれくらい可愛いかった?ふふ・・・まいったな・・・って、そうじゃねぇ!
「てへぺろしてる場合じゃねぇ~~~~!!!地雷女ぁ!!!」
「わ、私の所為じゃないでしょ!?おっさんの能力の呪いよ!呪い!」
タケミカヅチのパワーに押し込まれて片足の踏ん張りがきかないゴーレムがバランスを崩して白羽取りしたまま仰向けになる。そのせいで大きく揺れて、ゴーレム内部にいる僕達は大混乱に陥った。
「「「「うわぁ!!!」」」」
「あ・・・」
「ちょっと!なに!?いまの『あ・・・』って!」
カウボーイのおっさんの漏らした小声にミナモさんが青い顔をしながら聞き返す。
「あー、すまん・・・今のでサイコロ・・・こぼれちゃった♪」
今度はおっさんがてへぺろをして謝る。あまりにキモ過ぎてどつきまわしてやろうかと思ったわ。あれ?もしかしてさっきの僕これくらいキモかった?今後、渾身のてへぺろは封印するか・・・
「何してんのよ!バカウボーイ!!」
「どんどん、言われが酷くなる・・・。」
「それで、出目は!?」
頼む・・・頼む・・・ファンブルは・・・ファンブルはやめてくれ!
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まさか・・・
「すんでのとこでやっちゃう男で悪いな、みんな。ジャックポッド、ピンゾロだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
「もったいぶるんじゃ無いわよ!バカウボーイ!」
「キモ!オッサン、キモ!」
「最初からなさい。バカ中年。」
「さすがに可哀想・・・。」
「で、ここから何が起きるんです!?も、もう潰れる・・・。」
ジリジリとムラクモブレードが眼前に迫っていたその時、背中越しに『ピシっ』という何かが割れる感触が伝わる。
「な、なんだ?足元が・・・うわああああああああああああああ!!!!」
崖が崩れて、タケル少年の声が絶叫に変わり、ゴーレムもタケミカヅチも崖下へ転落していく。
「これのどこがジャックポッドなのよーーーーー!!!!来る日も来る日もキャバ嬢として働いて貯めたお金もまだ使ってないのにーーー!!!」
「ミナモさん、やっぱりお金持ってるんじゃない。貸してくれてもよかったのに~。」
「それはそれ、これはこれよーーーー!!!でももうおしまいよーーーー!!!」
敵のタケル君含めて全員が思い思いに叫んでいるが、その中で僕とヴェスパ様だけが落ち着いていた。
「へ・・・。みんな、僕に感謝してよね。」
「いいから、早くなさい。」
ヴェスパ様だけが僕が何をするのか予想してるようで、呆れ口調で既にゴーレムの手を動かしている。
「悪いな、タケル君。勝負あったぜ。崖下には君とタケミカヅチだけが行ってくれ。」
「な、なんだと!?兄ちゃん!?」
僕は能力を使いゴーレムの右手と崖を接着させる。あとはタケミカヅチ一人がただ崖下に転落していった。
僕らのゴーレムはストラクチャーの能力を使って手足を崖にくっ付けたり離したりしてアメリカ産の蜘蛛男の様に崖を登っていく。
「た、タケル~~~~。」
崖を登り切ってから能力を解除して下を覗くと、ちょうど吸血鬼のお嬢様が背中からコウモリ羽を生やして崖下へ飛んでいく所だった。
「大丈夫だろうか?憎めない奴だから死んでほしくないんだけど・・・。」
「相変わらず甘いわね・・・殺せるときに殺しておかないと、後から苦労するのは私達ですわよ?」
「そういうヴェスパ様は相変わらずきついですって・・・。」
「私もそこんところはその高慢高飛車縦ロールと一緒の意見よ。」
そういやこの地雷女もカルディアさん殺そうとしてたんだよなぁ・・・。
崖下ではタケミカヅチが消えてブラッドムーンさんがタケルを抱き起こしているところだったが、どうやら気を失ってるだけのようだった。
「今のうちにとんずらしようぜ?」
「そうしましょう。」
ギャンブラーのおっさんの提案に乗ってそそくさ退散を決めることにしたが、最後までヴェスパ様が「チャンスなのに!」と暴れていた。あなたケガ人ですよね?
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