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塔内編
塔内編その29
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タケルとブラッドムーンへの追撃はやめて、その場から離れ先を急ぐ。
しばらく走った後、ヴェスパ様が急に口を開いた。
「全員止まって!・・・出てきなさい。」
しかし、辺りからは何も反応は無い。
「もう一度言う。出てこい!さもなくば攻撃する。」
今度は随分厳しい口調。すると前方脇の茂みから、ずり下がったボトムスからケツが半分見えている男が転がり出てきた。
「わっ・・・とと!・・・へへへ。」
「軽戦士君!?」
半笑いの軽薄そうな笑みを顔に張り付けて出てきた男には見覚えがあった。この世界に来てすぐの頃、拠点で同室だった軽戦士の男だ。
「いよう。久しぶり。」
彼は挨拶をしながらあくせくと身だしなみを整える。
「何が目的。」
厳しい目で手短に問い詰めるヴェスパ様。
「連れを探しているのと、ボスからお前たちに伝言を預かってて。」
「ボスって誰かしら?」
「それは言えない。でも、ここからの脱出を本気で考えている人なんだ。そこは信じてくれ。その人が、『アーカイブがこれ以上、上層の攻略を進めないよう妨害して欲しい』って言うんだ。それだけ。」
「お前みたいな奴をどう信用すればいいのかしら。わたくしは虫使いよ。あなたがそこで何をしていたか虫たちを通して見ていたわ。今、ここでぶちまけてやろうか?」
「ひぃぃ!!すんません!すんません!女日照りだったんだよ・・・仕方ねぇじゃねえか・・・」
ゴミを見る目でヴェスパ様が軽戦士君に言葉を浴びせると、彼は両膝をつき、ペコペコと土下座するように頭を下げた。ヴェスパ様はそれでやる気を無くしたのか短く『行け』と言うと茂みから出て来たときと同じ半笑いを顔に張り付けて走り去っていった。その後ろ姿を見えなくなるまでヴェスパ様は厳しい目で見つめ、その背が見えなくなると僕に問いかけたのだった。
「彼は友達だったのかしら?」
「え?ただの拠点での同室者ですけど・・・。僕は殆ど拠点にいなかったから会話したのも数回ですし・・・。」
「そう。残念ね。友達と答えていたらミナモに頼んでお前のチンチンを斬首して貰おうと思ったのに。」
「ホワイ!?」
「え?普通に嫌なんだけど。」
ミナモさんが心底嫌そうな顔をして断る。それはそれでなんだか悲しいのだけれど・・・。僕はホッとすればいいのだろうか?悲しめばいいのだろうか?
「あら?いいじゃない。別に直接触れて切る訳じゃないのに。」
「ダメよ。私の美麗な能力が汚れるわ。」
「だから、どうして僕がチンポカッターされなきゃいけないんです!?」
「彼から漂った臭いに、この先から漂う臭い・・・これって・・・」
チェイサーが軽戦士君が飛び出してきた前方脇の茂み近づいて覗こうとするが、ヴェスパ様がそれを手で制した。
「覗くのはおやめなさい。それよりも、チェイサー。さっきの戦闘前に姿を見せた仮面の男は追えますの?」
「追えると・・・思います。」
「ならば、あの男に案内して貰いましょう。追いなさい、チェイサー。」
ヴェスパ様の号令でチェイサーを先頭にまた皆がアーカイブ陣営を追って走り出す。
「私も特定の臭いに敏感なんだよね~。あの男、臭かったわ~。んで、さっきの仮面つけたの男の話しを合わせると・・・まー見ない方がいいわね。戦闘職の皆は慣れっこだろうけど、非戦闘職でまともに戦場に出たこと無いチェイサーは特にね。吐くんじゃない?」
ライカちゃんが駆け出す前に僕の横に来て呟く様に言う。流石は売りをしているライカちゃん。彼女の言葉で茂みの奥で何が行われていたか想像がつく。確かに見ない方がいいな。
「なんだかんだで気にかけてあげてるんだ。本人が知ったら『ライカちゃ~ん』って喜ぶだろうね。」
「はぁ!?なんであたしが!そんなんじゃないし!あとライカちゃん言うな。殺すぞ。」
僕を滅茶苦茶睨んでからライカちゃんが走り去って行く。必死に否定しちゃってまぁ!お可愛い事ー。てか邪険にしつつも、なんだかんだでチェイサーのこと心配してあげてるんだな。付き合ってる?って話だし、今は一時的にすれ違ってても心の底では心配してるって感じなのかな?
僕は少し笑みをこぼしてから、そのツンデレ地雷さんの背中を追いかけた。
_________________________________
「う、ううん・・・」
「タケル!?よかった!気が付いたのね。」
「姉ちゃん・・・。もしかしてオイラ、負けちゃったのか・・・?」
頷くブラッドムーンを見て身体を起こす。
「まだ動いちゃ駄目よ!頭を打ってるかもしれないわ。一旦、拠点に帰って立て直しましょう?」」
「いや、もう行けるって!今からタケミカヅチを再召喚したら追いつけるはずだ!」
タケルは大丈夫だとアピールするためにその場で飛んだり跳ねたりして見せる。
「な?だから・・・」
「そ、それは困るんだな。」
「誰だ!?」
タケルとブラッドムーンの前に現れたのは3mはあるであろう大男。
「お、おらが誰かは言えないんだな。ママに怒られるんだな。」
(こいつがペルソナの言ってた奴かしら・・・ただの頭がトロそうな男にしか見えないわ・・・。)
「邪魔するならお前からやっつけるぞ!来い!タケミカヅチーーーーーー!!!」
呼び出したスーパーロボットに乗り込む少年。
「タケル!気を付けなさい!得体が知れないわ!」
「大丈夫だよ、姉ちゃん。オイラに任せて離れてて。」
吸血鬼の女性は言われた通り離れたところで二人を観察することにした。大男は少年のスーパーロボットを見るとプルプルと震えだし目を輝かせ、
「か、カッコいい!!凄いんだな!お前、ヒーローみたいだ!」
それを見た大男は目を輝かせ少年を褒めたたえる。
「へ?そ、そうか?へへ、ありがとな!」
「よーし!オイラも!-巨人兵化-ふんっ!」
大男が気合いを入れると見る見るうちに身体が膨らんでいき、少年の駆るスーパーロボットと同じ大きさになった。
「さ、さあ。ヒーロー!この怪人ヌボースキーが相手なんだな!」
「お前、ヌボースキーって言うのか?」
「あ・・・な、内緒にして欲しいんだな・・・。ママに怒られるんだな・・・。」
「ん?そうか、わかった。オイラはタケル。このロボはタケミカヅチだ!」
「おお・・・。カッコいい名前だな!おらが先に怪人役するから、タケル君、あ、あとでヒーロ役と交代して欲しいんだな!」
「おう!いいぜ!」
「よーし!行くぞ!タケル、タケミカヅチ~~~~!!!」
大男が巨大ロボに突撃し互いに手を組み、腕力勝負をする。
「ぐ・・・す、すごいパワーだ・・・。タケミカヅチ!フルパワーーーー!!!」
少年の掛け声とともに巨大ロボが輝き、大男を投げ飛ばす。そのまま大男に走っていきパンチを繰り出すが大男はそれを簡単に受け止め・・・
「だ、ダメだす!タケル君!そこは必殺技だす!」
「え?・・・でもムラクモブレードは危ないよ。」
「おらは大丈夫だす。遠慮はいらないだす。」
「で、でも・・・。」
「もう!早くするだす!!」
男は顔を赤くし地団駄を踏むが、その巨体でするものだから大地が震えた。
「わ、わかった!わかった!・・・こい!ムラクモブレーーーーード!!!」
空から剣が降ってきてキャッチ&決めポーズを取る巨大ロボ。
「お、おおおお!カッコいいだす!!・・・よーし!やるな、だす。だがその程度の攻撃ではこの怪人ヌボースキーは倒せないだす!」
「じゃあこの攻撃はどうだ!必殺ムラクモブレード、大・蛇・断!」
巨大ロボットのパワーで繰り出す袈裟切り。大男はそれを真正面から受けた。
「ぎゃああああああああああああああ!!!!」
「え・・・・?」
「いでぇ・・・いでぇよぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!!」
大男の皮膚が破け赤い血が流れ出る。大男は痛みの所為か大粒の涙を流し泣きじゃくり始めた。
「ぬ、ヌボースキー君・・・。」
「ぷじゃけるなああああああああああ!!!」
巨大ロボが大男に近づくと、大男は巨大ロボの頭をむんずと掴みそのまま地面に叩きつけた。そのまま追い打ちで巨大ロボを何度も踏みつける。散々踏みつけ男に少し冷静さが戻った頃には巨大ロボは原型が分からないほどグシャグシャに潰れ、ロボの胸の辺りだったであろう場所からは赤い液体が流れ出ていた。
「いやあああああああああ!!!タケル!タケル!!!!」
遠くからあらましを見ていた吸血姫が飛んできて惨状を目の当たりにすると、口を押さえながらえずく。
「ふーふー・・・。あ・・・しまっただす。また我を忘れてしまっただす。おーい!タケルくーん?今度はおらがヒーロー役する番だす!おーい!タケルくーん!どこに行っただすかぁ?・・・むぅ・・・自分だけヒーロー役して帰っちゃうなんてせこいだす!今度会ったらプンプンだす!・・・ん?お?おお!?なんだぁ?べ、べっぴんさんなんだな!おらの新しいお嫁さんにするだ!」
大男は瓦礫の傍でへたり込む女性に気が付くと、その女性を摘まみ上げる。
「いや!はな・・・離しなさ・・・ごぶっ・・・」
男は巨大化したまま女性を掴むものだからメリメリと音を立てながら潰れてしまった。
「あーーーー!しまっただす!!能力を解除するの忘れてた。折角の別嬪さん、潰してしまっただ・・・。」
大男は元の3m程の大きさに戻ってからしょんぼりと肩を落とす。しかし、次の瞬間大男は目の前で不思議な光景を目の当たりにする事となった。潰れたはずの女性が徐々に再生していってるのだ。そして暫くすると・・・
「カハッ・・・」
事切れていたはずの女性の口から血が吐き出され、呼吸が再開される。
「お・・・おお!!凄いだす!!このべっぴんさん、凄いだす。お持ち帰りするだす~。」
男は女性に近づくと彼女は恐怖に染まった目で大男を見上げる。
「や、やめ・・・。」
男はしゃがみ込み女性の腕を手に取ると、
『ボキっ』
「あああああああああああああ!!!」
逃げないようにの処置だろう、棒状のお菓子を折るかのように簡単に腕を折ってしまう。続いてもう片方の腕を、そして両足を。全て折ると男は女性を抱えて帰ろうとするが・・・
「お?・・・大変だ!もう治ってきてるだす。仕方がない。こまめに折りながら移動するしかないだすなぁ。」
「そんな・・・う、噓でしょ・・・・誰か・・・誰かたすけ・・・がふっ。」
騒いだ女性の喉を潰して男は歌を歌いながら帰路につくのだった。かつて視たであろうロボットアニメの主題歌を歌いながら・・・
しばらく走った後、ヴェスパ様が急に口を開いた。
「全員止まって!・・・出てきなさい。」
しかし、辺りからは何も反応は無い。
「もう一度言う。出てこい!さもなくば攻撃する。」
今度は随分厳しい口調。すると前方脇の茂みから、ずり下がったボトムスからケツが半分見えている男が転がり出てきた。
「わっ・・・とと!・・・へへへ。」
「軽戦士君!?」
半笑いの軽薄そうな笑みを顔に張り付けて出てきた男には見覚えがあった。この世界に来てすぐの頃、拠点で同室だった軽戦士の男だ。
「いよう。久しぶり。」
彼は挨拶をしながらあくせくと身だしなみを整える。
「何が目的。」
厳しい目で手短に問い詰めるヴェスパ様。
「連れを探しているのと、ボスからお前たちに伝言を預かってて。」
「ボスって誰かしら?」
「それは言えない。でも、ここからの脱出を本気で考えている人なんだ。そこは信じてくれ。その人が、『アーカイブがこれ以上、上層の攻略を進めないよう妨害して欲しい』って言うんだ。それだけ。」
「お前みたいな奴をどう信用すればいいのかしら。わたくしは虫使いよ。あなたがそこで何をしていたか虫たちを通して見ていたわ。今、ここでぶちまけてやろうか?」
「ひぃぃ!!すんません!すんません!女日照りだったんだよ・・・仕方ねぇじゃねえか・・・」
ゴミを見る目でヴェスパ様が軽戦士君に言葉を浴びせると、彼は両膝をつき、ペコペコと土下座するように頭を下げた。ヴェスパ様はそれでやる気を無くしたのか短く『行け』と言うと茂みから出て来たときと同じ半笑いを顔に張り付けて走り去っていった。その後ろ姿を見えなくなるまでヴェスパ様は厳しい目で見つめ、その背が見えなくなると僕に問いかけたのだった。
「彼は友達だったのかしら?」
「え?ただの拠点での同室者ですけど・・・。僕は殆ど拠点にいなかったから会話したのも数回ですし・・・。」
「そう。残念ね。友達と答えていたらミナモに頼んでお前のチンチンを斬首して貰おうと思ったのに。」
「ホワイ!?」
「え?普通に嫌なんだけど。」
ミナモさんが心底嫌そうな顔をして断る。それはそれでなんだか悲しいのだけれど・・・。僕はホッとすればいいのだろうか?悲しめばいいのだろうか?
「あら?いいじゃない。別に直接触れて切る訳じゃないのに。」
「ダメよ。私の美麗な能力が汚れるわ。」
「だから、どうして僕がチンポカッターされなきゃいけないんです!?」
「彼から漂った臭いに、この先から漂う臭い・・・これって・・・」
チェイサーが軽戦士君が飛び出してきた前方脇の茂み近づいて覗こうとするが、ヴェスパ様がそれを手で制した。
「覗くのはおやめなさい。それよりも、チェイサー。さっきの戦闘前に姿を見せた仮面の男は追えますの?」
「追えると・・・思います。」
「ならば、あの男に案内して貰いましょう。追いなさい、チェイサー。」
ヴェスパ様の号令でチェイサーを先頭にまた皆がアーカイブ陣営を追って走り出す。
「私も特定の臭いに敏感なんだよね~。あの男、臭かったわ~。んで、さっきの仮面つけたの男の話しを合わせると・・・まー見ない方がいいわね。戦闘職の皆は慣れっこだろうけど、非戦闘職でまともに戦場に出たこと無いチェイサーは特にね。吐くんじゃない?」
ライカちゃんが駆け出す前に僕の横に来て呟く様に言う。流石は売りをしているライカちゃん。彼女の言葉で茂みの奥で何が行われていたか想像がつく。確かに見ない方がいいな。
「なんだかんだで気にかけてあげてるんだ。本人が知ったら『ライカちゃ~ん』って喜ぶだろうね。」
「はぁ!?なんであたしが!そんなんじゃないし!あとライカちゃん言うな。殺すぞ。」
僕を滅茶苦茶睨んでからライカちゃんが走り去って行く。必死に否定しちゃってまぁ!お可愛い事ー。てか邪険にしつつも、なんだかんだでチェイサーのこと心配してあげてるんだな。付き合ってる?って話だし、今は一時的にすれ違ってても心の底では心配してるって感じなのかな?
僕は少し笑みをこぼしてから、そのツンデレ地雷さんの背中を追いかけた。
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「う、ううん・・・」
「タケル!?よかった!気が付いたのね。」
「姉ちゃん・・・。もしかしてオイラ、負けちゃったのか・・・?」
頷くブラッドムーンを見て身体を起こす。
「まだ動いちゃ駄目よ!頭を打ってるかもしれないわ。一旦、拠点に帰って立て直しましょう?」」
「いや、もう行けるって!今からタケミカヅチを再召喚したら追いつけるはずだ!」
タケルは大丈夫だとアピールするためにその場で飛んだり跳ねたりして見せる。
「な?だから・・・」
「そ、それは困るんだな。」
「誰だ!?」
タケルとブラッドムーンの前に現れたのは3mはあるであろう大男。
「お、おらが誰かは言えないんだな。ママに怒られるんだな。」
(こいつがペルソナの言ってた奴かしら・・・ただの頭がトロそうな男にしか見えないわ・・・。)
「邪魔するならお前からやっつけるぞ!来い!タケミカヅチーーーーーー!!!」
呼び出したスーパーロボットに乗り込む少年。
「タケル!気を付けなさい!得体が知れないわ!」
「大丈夫だよ、姉ちゃん。オイラに任せて離れてて。」
吸血鬼の女性は言われた通り離れたところで二人を観察することにした。大男は少年のスーパーロボットを見るとプルプルと震えだし目を輝かせ、
「か、カッコいい!!凄いんだな!お前、ヒーローみたいだ!」
それを見た大男は目を輝かせ少年を褒めたたえる。
「へ?そ、そうか?へへ、ありがとな!」
「よーし!オイラも!-巨人兵化-ふんっ!」
大男が気合いを入れると見る見るうちに身体が膨らんでいき、少年の駆るスーパーロボットと同じ大きさになった。
「さ、さあ。ヒーロー!この怪人ヌボースキーが相手なんだな!」
「お前、ヌボースキーって言うのか?」
「あ・・・な、内緒にして欲しいんだな・・・。ママに怒られるんだな・・・。」
「ん?そうか、わかった。オイラはタケル。このロボはタケミカヅチだ!」
「おお・・・。カッコいい名前だな!おらが先に怪人役するから、タケル君、あ、あとでヒーロ役と交代して欲しいんだな!」
「おう!いいぜ!」
「よーし!行くぞ!タケル、タケミカヅチ~~~~!!!」
大男が巨大ロボに突撃し互いに手を組み、腕力勝負をする。
「ぐ・・・す、すごいパワーだ・・・。タケミカヅチ!フルパワーーーー!!!」
少年の掛け声とともに巨大ロボが輝き、大男を投げ飛ばす。そのまま大男に走っていきパンチを繰り出すが大男はそれを簡単に受け止め・・・
「だ、ダメだす!タケル君!そこは必殺技だす!」
「え?・・・でもムラクモブレードは危ないよ。」
「おらは大丈夫だす。遠慮はいらないだす。」
「で、でも・・・。」
「もう!早くするだす!!」
男は顔を赤くし地団駄を踏むが、その巨体でするものだから大地が震えた。
「わ、わかった!わかった!・・・こい!ムラクモブレーーーーード!!!」
空から剣が降ってきてキャッチ&決めポーズを取る巨大ロボ。
「お、おおおお!カッコいいだす!!・・・よーし!やるな、だす。だがその程度の攻撃ではこの怪人ヌボースキーは倒せないだす!」
「じゃあこの攻撃はどうだ!必殺ムラクモブレード、大・蛇・断!」
巨大ロボットのパワーで繰り出す袈裟切り。大男はそれを真正面から受けた。
「ぎゃああああああああああああああ!!!!」
「え・・・・?」
「いでぇ・・・いでぇよぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!!」
大男の皮膚が破け赤い血が流れ出る。大男は痛みの所為か大粒の涙を流し泣きじゃくり始めた。
「ぬ、ヌボースキー君・・・。」
「ぷじゃけるなああああああああああ!!!」
巨大ロボが大男に近づくと、大男は巨大ロボの頭をむんずと掴みそのまま地面に叩きつけた。そのまま追い打ちで巨大ロボを何度も踏みつける。散々踏みつけ男に少し冷静さが戻った頃には巨大ロボは原型が分からないほどグシャグシャに潰れ、ロボの胸の辺りだったであろう場所からは赤い液体が流れ出ていた。
「いやあああああああああ!!!タケル!タケル!!!!」
遠くからあらましを見ていた吸血姫が飛んできて惨状を目の当たりにすると、口を押さえながらえずく。
「ふーふー・・・。あ・・・しまっただす。また我を忘れてしまっただす。おーい!タケルくーん?今度はおらがヒーロー役する番だす!おーい!タケルくーん!どこに行っただすかぁ?・・・むぅ・・・自分だけヒーロー役して帰っちゃうなんてせこいだす!今度会ったらプンプンだす!・・・ん?お?おお!?なんだぁ?べ、べっぴんさんなんだな!おらの新しいお嫁さんにするだ!」
大男は瓦礫の傍でへたり込む女性に気が付くと、その女性を摘まみ上げる。
「いや!はな・・・離しなさ・・・ごぶっ・・・」
男は巨大化したまま女性を掴むものだからメリメリと音を立てながら潰れてしまった。
「あーーーー!しまっただす!!能力を解除するの忘れてた。折角の別嬪さん、潰してしまっただ・・・。」
大男は元の3m程の大きさに戻ってからしょんぼりと肩を落とす。しかし、次の瞬間大男は目の前で不思議な光景を目の当たりにする事となった。潰れたはずの女性が徐々に再生していってるのだ。そして暫くすると・・・
「カハッ・・・」
事切れていたはずの女性の口から血が吐き出され、呼吸が再開される。
「お・・・おお!!凄いだす!!このべっぴんさん、凄いだす。お持ち帰りするだす~。」
男は女性に近づくと彼女は恐怖に染まった目で大男を見上げる。
「や、やめ・・・。」
男はしゃがみ込み女性の腕を手に取ると、
『ボキっ』
「あああああああああああああ!!!」
逃げないようにの処置だろう、棒状のお菓子を折るかのように簡単に腕を折ってしまう。続いてもう片方の腕を、そして両足を。全て折ると男は女性を抱えて帰ろうとするが・・・
「お?・・・大変だ!もう治ってきてるだす。仕方がない。こまめに折りながら移動するしかないだすなぁ。」
「そんな・・・う、噓でしょ・・・・誰か・・・誰かたすけ・・・がふっ。」
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