恋するオナホール

色部耀

文字の大きさ
2 / 8

え、僕はこれから喋るオナホールを使わないといけないの?

しおりを挟む
「え、え、なんだよ。いったいなんなんだよ気持ち悪い。え、まじで、え?」

 僕は距離を取ったまま睨み付けるようにオナホールを見て言った。幻聴でなければ確かにあれは声を出した。声を出したのだ。
 オナホールが入っていた箱を手に取って眺めても声を出す機能なんて書かれていない。それにもし声を出すにしてももっとあるだろう。もっと良いやつがさ!
 恐る恐る床に落ちたオナホールに近づく。すると――

「え、何? どこここ?」

 オナホールは自立してそう言ったのだった。

「なんでオナホールが喋ってんだ」
「え?」

 オナホールは一度僕の顔を見ると、姿見の方を見て自分の体を確認していた。

「目もないのにどうやって見てるんだよ!」

 ついつい冷静に突っ込んでしまったが頭の中はまったくもって冷静ではない。オナホールの箱とローションを持った手は震えている。

「なんか良い感じに見えてますよ。ほらこの辺に目がある感じで」
「この辺てどこだよ! 指差そうとしてるのかもしれないけどオナホールに指ないからね!」

 微妙にクネクネしている様子からなんとなく入り口の上部の空間に視覚があるっぽい。しかしなおのこと意味がわからなくなる。ここまで来ると心霊現象や超常現象の類いで間違いない。心は拒絶しているが頭では受け入れるしかない。ただ一点、どうしても受け入れがたいものがある。

「一週間分の食費だったんだけどな……」
「今不安になるのそこ?!」

 今度は逆にオナホールに突っ込まれてしまった。

「オナホールが突っ込んでくるなよ! オナホールは突っ込まれる側だろ!」
「いきなり下ネタやめてください」
「いや、お前自分のこと鏡で見たことある?」
「今見たところです! なんですかこれ?」
「ほら、自分で読め」
「えっとなになに……。あの子の中を思い出す。これはまるで初恋の具現化……。超絶快感オナホール……」
「はい。良くできました」

 オナホールはプルプル震えている。なんだか慣れてきたら少し可愛らしくも見えてくる。僕は頭がおかしくなってしまったのだろう。

「オナホールというのは?」
「オナニーするのに使うホールだよ。ほら、紹介動画」

 僕はそう言って今度はスマホで使用方法を紹介する動画を見せた。このオナホールを作った会社ではなく、エーワンという別会社のものだが。

「が、がんばります」
「え、え、ん? 今なんて?」
「私、がんばってオナホールの役目を果たします!! どうぞ使ってください!!」

 オナホールはそう言うとまな板の上の鯉のように大人しく床に横たわったのだった。

 え、僕はこれから喋るオナホールを使わないといけないの?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...