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29.ベッドの下
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六時を過ぎ、美波さんが落ち着いたところで俺は一つの提案をした。記憶を失っているのであれば、やはり最も探すべき場所がある。
「美波さん。あまり時間は無いけれど、せっかく家に帰って来たんだから自分の部屋を探してみよう。日記とか書いていたかは分からないけど、昔の写真とかで思い出せるかもしれない」
美波さんは少しだけ暗い顔を見せたが、一度目を強く瞑って覚悟を決めたかのように返事をした。
「今まで自分の部屋に入ることも気が引けていたのですが……。そうですよね。探すべきですよね」
「気が引けていた?」
「はい。一度自分の部屋と言われて部屋に入ったときに、知らない他人の部屋に入ったかのような気分になって……。居心地が悪かったというか。心休まらなかったんです。だから寝るときもリビングのソファで寝ていました」
初めて入った友達の部屋みたいなものだろうか。確かに見慣れない生活感のある部屋というのは緊張というか遠慮してしまったりする。真面目な美波さんなら俺以上に敏感かもしれない。
「記憶にはなくても美波さんの部屋だし、今日は俺もいるから。美波さんさえよければ入ってみよう」
「はい。真壁君なら安心です」
どういった意味の安心なのだろうかと一瞬考えてしまった。一般的な状況であれば部屋に異性を入れることへの安心感と取れるが、今の場合は自分の部屋に入ることへの不安感が和らぐという意味だろう。そう心の中で何度か繰り返した。
「ここです」
案内されて入った部屋は、なんというかシンプルだった。壁にポスターやカレンダーなども貼ってないし、女の子の部屋の象徴のようなぬいぐるみも枕元に一つだけテディベアが置いてあるのみ。衣装棚の上には時計が置いてあるだけだし、勉強机の上には備え付けの本棚に中学時代の教科書が並んでいるだけ。漫画や小説が置いてある本棚もなく、本当に個性を完全に取り除いたかのような部屋だった。
「えっと、ちなみにどこか探してみたりはした?」
「いえ。服が必要なのでタンスの引き出しは全て開けましたが、他には一切触っていません」
「徹底してるな」
となると、この部屋で私物がありそうな場所は勉強机の引き出しくらいしかない。ベッドの下というのもあるかもしれないが、そこは美波さんに見てもらおう。
「ベッドの下とかに私物を置いてたりするものだけど、見てくれる? 流石に俺が探るわけにいかないし」
「そうですね。エロ本が出てきたら困りますからね」
「確かに可能性はゼロじゃないだろうけど、そこまでの心配はしてなかった」
俺の提案を飲んだ美波さんは四つん這いになってベッドの下を覗き込む。さながら女豹のポーズだ。おかげでスカートがたくし上がって日に晒されていない白い太ももが俺の目に晒される。そんな格好をされると普通は見てしまう。仕方ない。それが普通だから。
「何もありませんでした。少し埃っぽいです」
美波さんはくしゃみをして鼻をすする。ベッドの下に頭を入れてベッドの裏まで見ようとしていたので仕方ない。
「そっか。じゃあ本命の勉強机にいこうか」
「それにしても真壁君はなんだか満足げですね。何か良いことでもありました?」
「思い出し幸せってやつだよ」
「なんですかそれは」
俺にもよく分からない言い訳だ。
「美波さん。あまり時間は無いけれど、せっかく家に帰って来たんだから自分の部屋を探してみよう。日記とか書いていたかは分からないけど、昔の写真とかで思い出せるかもしれない」
美波さんは少しだけ暗い顔を見せたが、一度目を強く瞑って覚悟を決めたかのように返事をした。
「今まで自分の部屋に入ることも気が引けていたのですが……。そうですよね。探すべきですよね」
「気が引けていた?」
「はい。一度自分の部屋と言われて部屋に入ったときに、知らない他人の部屋に入ったかのような気分になって……。居心地が悪かったというか。心休まらなかったんです。だから寝るときもリビングのソファで寝ていました」
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「記憶にはなくても美波さんの部屋だし、今日は俺もいるから。美波さんさえよければ入ってみよう」
「はい。真壁君なら安心です」
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「ここです」
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「えっと、ちなみにどこか探してみたりはした?」
「いえ。服が必要なのでタンスの引き出しは全て開けましたが、他には一切触っていません」
「徹底してるな」
となると、この部屋で私物がありそうな場所は勉強机の引き出しくらいしかない。ベッドの下というのもあるかもしれないが、そこは美波さんに見てもらおう。
「ベッドの下とかに私物を置いてたりするものだけど、見てくれる? 流石に俺が探るわけにいかないし」
「そうですね。エロ本が出てきたら困りますからね」
「確かに可能性はゼロじゃないだろうけど、そこまでの心配はしてなかった」
俺の提案を飲んだ美波さんは四つん這いになってベッドの下を覗き込む。さながら女豹のポーズだ。おかげでスカートがたくし上がって日に晒されていない白い太ももが俺の目に晒される。そんな格好をされると普通は見てしまう。仕方ない。それが普通だから。
「何もありませんでした。少し埃っぽいです」
美波さんはくしゃみをして鼻をすする。ベッドの下に頭を入れてベッドの裏まで見ようとしていたので仕方ない。
「そっか。じゃあ本命の勉強机にいこうか」
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「なんですかそれは」
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