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同級生 上野真紀
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私が返答に困っている間に生田先生と高木先生が一つずつダンボールを抱えて戻って来た。高木先生が抱えているダンボールにはバーベキューセットのロゴが書かれているので中身が分かるが、生田先生の持っているダンボールは古すぎて何と書いてあるのか分からない。
「先生、それ何が入ってるんですか?」
私は生田先生が抱えているダンボール箱を指さして聞くと、箱を空けて中身を見せてくれた。中には真っ黒な物体がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。
「炭ですよ。大学時代に懇意にしていた教授が大きな窯を持っていて、毎年一緒になって木炭や竹炭を沢山作っているのです。備長炭なんかもあるので欲しいのであれば後で差し上げますよ」
先生はダンボール箱から一つ掴んで私の目の前に持ってくる。それは大きな竹炭で真っ黒なのに表面が艶やかで少し光って見える。ダイヤモンドと同じ炭素の塊だとは知っていたけれど、こうして見ると本当に綺麗で同じものなんだと思える。興味深くてまじまじと見ていると、高木先生が隣でバーベキューセットを組み立てながら生田先生に声をかけた。
「生田先生。火起こしはやっときましょうか」
「お、それではお願いしますね。では細川さんか真紀さんのどちらか一人は高木先生の手伝いを。一人は私と一緒に野菜を切っていただけますか?」
生田先生がそう言って采配をすると、私は真紀の方を見た。どちらかが高木先生と火起こしでどちらかが生田先生と野菜切り。直前に真紀から恋心を打ち明けられているので考える必要もなく私が野菜担当をするべきだろう。野菜を切るのは家で慣れているし、私としてもその方が楽で助かる。
「私が野菜やります。家で料理することもあるので」
「偉いですね。では高木先生、真紀さん、よろしくお願いします」
高木先生と真紀を庭に残して、私と生田先生は家の中へと向かった。生田先生の家は昔ながらの日本家屋といった感じで、瓦屋根に土壁、玄関は薄い曇りガラスの張られた引き戸でできている。ガラス製の引き戸は綺麗だけれど、泥棒が簡単に割って侵入してきそうだ。引き戸を開けるとコンクリート剥き出しの玄関で、目の前にすぐ台所が見えた。
「元は祖父が使っていた古い家でしてね。この台所も土間だったところを改築したのでこのような不格好な形になってしまっているのですよ」
土間というと、かまどとかが置いてある土足で入れる部屋だろうか。生田先生にそう言われると確かに面影がある。台所から居間に入る戸口に段差があり、継ぎはぎされたような形となっている。かまどが立ち並ぶ姿を想像すると、目の前に広がる台所の床が全て玄関口と同じ高さなのも目に浮かび、それは趣きがあったのだろう。今ではシステムキッチンとは言わないが、昭和初期にでも作られたのであろう古い台所設備が綺麗にされている。
「では、ささっと済ませてしまいますか」
生田先生は靴を揃えて脱ぐと、手慣れた様子で調理器具を取り出す。私の分も準備してくれたおかげで本当に手際よくさっと野菜を切って準備することができた。ただ、私が頑なにジャガイモを触ろうとしないことに関しては生田先生も不思議な顔をしていた。皮についている土を見るだけで私は嫌な気分になる。しかしそれを口に出さなかっただけでも頑張ったと褒めてもらいたいくらいだ。
高木先生と真紀は早めに火が付いたからと言って食器を運んでくれた。そのおかげで私と生田先生は食材を運ぶだけで良かった。早炊きにしていたご飯もちょうど炊きあがり、炊飯器から米の香りと共に蒸気が吹き出す。
「さて、始めましょうか」
生田先生の声と共に四人全員のコップに麦茶が注がれる。生田先生はこの後運転して学校まで私たちを送り届けないといけないし、高木先生も学校から帰るのにバイクを使っているということなのでアルコールは無しだ。それでも二人は楽しそうにコップを掲げる。
「それでは高木先生のこれからの活躍を祈り、そして新たな園芸部員二人の加入を祝いまして乾杯」
「え、私園芸部に入ったことになったんですか?」
「私は考えておきます」
真紀と私の話が無視される形で四人はコップを合わせて乾杯をした。四人とも冗談だと分かっているからこそ笑い合うことができていたのだと思う。生田先生が本気で入部して欲しいと思っているかどうかはさておいて……。
「先生、それ何が入ってるんですか?」
私は生田先生が抱えているダンボール箱を指さして聞くと、箱を空けて中身を見せてくれた。中には真っ黒な物体がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。
「炭ですよ。大学時代に懇意にしていた教授が大きな窯を持っていて、毎年一緒になって木炭や竹炭を沢山作っているのです。備長炭なんかもあるので欲しいのであれば後で差し上げますよ」
先生はダンボール箱から一つ掴んで私の目の前に持ってくる。それは大きな竹炭で真っ黒なのに表面が艶やかで少し光って見える。ダイヤモンドと同じ炭素の塊だとは知っていたけれど、こうして見ると本当に綺麗で同じものなんだと思える。興味深くてまじまじと見ていると、高木先生が隣でバーベキューセットを組み立てながら生田先生に声をかけた。
「生田先生。火起こしはやっときましょうか」
「お、それではお願いしますね。では細川さんか真紀さんのどちらか一人は高木先生の手伝いを。一人は私と一緒に野菜を切っていただけますか?」
生田先生がそう言って采配をすると、私は真紀の方を見た。どちらかが高木先生と火起こしでどちらかが生田先生と野菜切り。直前に真紀から恋心を打ち明けられているので考える必要もなく私が野菜担当をするべきだろう。野菜を切るのは家で慣れているし、私としてもその方が楽で助かる。
「私が野菜やります。家で料理することもあるので」
「偉いですね。では高木先生、真紀さん、よろしくお願いします」
高木先生と真紀を庭に残して、私と生田先生は家の中へと向かった。生田先生の家は昔ながらの日本家屋といった感じで、瓦屋根に土壁、玄関は薄い曇りガラスの張られた引き戸でできている。ガラス製の引き戸は綺麗だけれど、泥棒が簡単に割って侵入してきそうだ。引き戸を開けるとコンクリート剥き出しの玄関で、目の前にすぐ台所が見えた。
「元は祖父が使っていた古い家でしてね。この台所も土間だったところを改築したのでこのような不格好な形になってしまっているのですよ」
土間というと、かまどとかが置いてある土足で入れる部屋だろうか。生田先生にそう言われると確かに面影がある。台所から居間に入る戸口に段差があり、継ぎはぎされたような形となっている。かまどが立ち並ぶ姿を想像すると、目の前に広がる台所の床が全て玄関口と同じ高さなのも目に浮かび、それは趣きがあったのだろう。今ではシステムキッチンとは言わないが、昭和初期にでも作られたのであろう古い台所設備が綺麗にされている。
「では、ささっと済ませてしまいますか」
生田先生は靴を揃えて脱ぐと、手慣れた様子で調理器具を取り出す。私の分も準備してくれたおかげで本当に手際よくさっと野菜を切って準備することができた。ただ、私が頑なにジャガイモを触ろうとしないことに関しては生田先生も不思議な顔をしていた。皮についている土を見るだけで私は嫌な気分になる。しかしそれを口に出さなかっただけでも頑張ったと褒めてもらいたいくらいだ。
高木先生と真紀は早めに火が付いたからと言って食器を運んでくれた。そのおかげで私と生田先生は食材を運ぶだけで良かった。早炊きにしていたご飯もちょうど炊きあがり、炊飯器から米の香りと共に蒸気が吹き出す。
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「それでは高木先生のこれからの活躍を祈り、そして新たな園芸部員二人の加入を祝いまして乾杯」
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