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【番外編】歴史コラム・資料・作者の覚書など
【閑話・限定公開】シャルル七世とリッシュモンの親密な関係(Intimacy with Charles)
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(※)このページは、重複投稿している外部サイトで、シャルル七世の誕生日である2月22日限定で公開していた資料とコラムです。アルファポリスでは、歴史・時代小説大賞(6月)期間限定で公開します。
本日2月22日は猫の日。
そして本作の主人公・勝利王シャルル七世の誕生日です。
1403年生まれだから生きていれば621歳ですね。おめでとう!
記念日に何かやるのが最近の恒例になっていて、限定記事を投稿したり、X(旧Twitter)のスペースで音声配信したり……。
さて、今回は何をしましょうか。
ちなみに、2022年は2月22日限定で「資料:シャルル七世宛てラブレター」を公開していました。今回も同じ形式でいいか。
それでは、本日限定で「シャルル七世とリッシュモン大元帥の親密な関係(Intimacy with Charles)」を示唆する資料を公開します。
————————————
友人が送ってくれたタレコミの英文資料と、日本語訳を併記します。
貴重な資料を送ってくれた友人に心から感謝を申し上げます。
▼英文資料
====================
But even in his intimacies with Charles he saw wasn’t any use asking the boy for protection.
For the brain was numb behind conjunctival eyes.
Richemont acted in the most obvious way.
He had de Giac arrested one morning in Poitiers and taken to Issoudun to be tried for wife murder.
====================
▼日本語訳
====================
しかし、シャルルと親密な関係になっても、彼は少年にプロテクションを求めても無意味だと悟った。
目の奥で頭脳が麻痺(ショック・悲しみで呆然とするさま)していたからだ。
リッシュモンは最もわかりやすい手段で行動した。
ある朝、彼はジアックを捕えて妻殺しの罪でイズーダンへ連行した。
====================
作者腐ってんのか? 解釈歪んでね?
そう思われる前に、親密な関係=インティマシー(Intimacy)について解説します。
日本語には、外国語から派生した言葉「和製英語」がたくさんあります。
一見、外国語なのに通じない。例えば、スキンシップもそういう言葉のひとつ。
相手との関係性で、3種類に分類できます。
1:Physical Contact(フィジカル・コンタクト)
2:Physical Affection(フィジカル・アフェクション)
3:Physical Intimacy(フィジカル・インティマシー)
1:Physical Contact(フィジカル・コンタクト)
これは単純に「他人の体に触れる/体が触れ合う」という意味で、幅広い意味のスキンシップを指します。混んでいる場所や通りすがりに誰かと体・肌が接触したという事実を述べているだけ。
その一方で、「physical affection」と「physical intimacy」は少しニュアンスが違います。
2:Physical Affection(フィジカル・アフェクション)
affectionは愛情を意味するので「愛情を含めたスキンシップ」というニュアンス。家族(親子兄弟)・友人・恋人とのスキンシップに対して使えます。
3:Physical Intimacy(フィジカル・インティマシー)
2のフィジカル・アフェクションと似たような意味ですが、intimacyは「親密さ」を強調します。恋人同士のハグ・キス・性的なスキンシップ、肉体的・精神的な感覚を共有する……といった感じ。類語で「intimacy of divine」は神との一体化という意味。
*
さて、このことを前提に、上記資料に話を戻します。
「intimacies with Charles」
Intimacy(インティマシー)は、性的なスキンシップ/関係を示唆する表現です。つまり、シャルルとの親密な関係、シャルルとの一体感、深い内側でひとつになる……というニュアンスのようで。
時間軸としては、リッシュモンが大元帥に就任~ジアックが断罪される前だから、シャルル七世が21~23歳、リッシュモンが31~33歳ごろか。
なお、資料の中にはインティマシーの他にも「リッシュモンが大きな好意を寄せている」「肉体を愛撫」「肌の温もり」といった言葉が出てきます。わぁ…
はっきり明言されてませんが。
そもそも階級社会では身分が高くなるほど直接的な言葉を避けて、遠回しな言い方をするものです。
これらのことを踏まえて、シャルル七世とリッシュモンはただの主従ではない、限りなくBL寄りのブロマンスだったと考えられます。
二人の間にこういう背景があった前提で、歴史の流れを見直してみましょう。
シャルル七世とリッシュモンがインティマシーな関係に!
→ リッシュモンがジアックとボーリューを処刑
→ シャルルがリッシュモンを遠ざける(大元帥の地位はそのまま)
→ ヨランド・ダラゴンが仲を取り持とうとするが拒否
→ リッシュモン独断でオルレアンを援護・シャルルに会いたがる
→ ジャンヌ・ダルクが仲を取り持とうとする
→ シャルル「リッシュモンが来るなら戴冠しない」戴冠式の主役なのに出ない宣言www
→ リッシュモン、悲嘆に暮れながら帰郷
→ 色々あって、シャルル七世はリッシュモンを信頼するようになる
この時期、シャルル七世がリッシュモンを遠ざけている理由も、信頼を回復した理由もはっきりしないのですが、もしかして……痴情のもつれ?笑
シャルル七世:一線を引きたい。屈しない。
リッシュモン:沼ってる。王と距離の近い側近=逆臣は殺す(モラハラ気味)
こんな感じ?
表向きの歴史の裏にあるそれぞれの感情や葛藤が見えてくるというか、趣深さを感じます★☆
そもそも、シャルル七世もリッシュモンもまじめなタイプなのに、どういう経緯でインティマシーな関係になったんだろう。若気の至り?
リッシュモンの追放やシャルルの頑なな態度から推測すると、なんか拗れてるっぽい? 和解後の関係はどうなのー?
妄想が捗りますね!!
この小説は一応「全年齢」基準のつもりだから露骨な描写はできませんが、資料の淡々とした記述を膨らませて、艶っぽいBL展開にチャレンジしてみたいなーという意欲もあるとかないとか。
本日2月22日は猫の日。
そして本作の主人公・勝利王シャルル七世の誕生日です。
1403年生まれだから生きていれば621歳ですね。おめでとう!
記念日に何かやるのが最近の恒例になっていて、限定記事を投稿したり、X(旧Twitter)のスペースで音声配信したり……。
さて、今回は何をしましょうか。
ちなみに、2022年は2月22日限定で「資料:シャルル七世宛てラブレター」を公開していました。今回も同じ形式でいいか。
それでは、本日限定で「シャルル七世とリッシュモン大元帥の親密な関係(Intimacy with Charles)」を示唆する資料を公開します。
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友人が送ってくれたタレコミの英文資料と、日本語訳を併記します。
貴重な資料を送ってくれた友人に心から感謝を申し上げます。
▼英文資料
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But even in his intimacies with Charles he saw wasn’t any use asking the boy for protection.
For the brain was numb behind conjunctival eyes.
Richemont acted in the most obvious way.
He had de Giac arrested one morning in Poitiers and taken to Issoudun to be tried for wife murder.
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▼日本語訳
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しかし、シャルルと親密な関係になっても、彼は少年にプロテクションを求めても無意味だと悟った。
目の奥で頭脳が麻痺(ショック・悲しみで呆然とするさま)していたからだ。
リッシュモンは最もわかりやすい手段で行動した。
ある朝、彼はジアックを捕えて妻殺しの罪でイズーダンへ連行した。
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作者腐ってんのか? 解釈歪んでね?
そう思われる前に、親密な関係=インティマシー(Intimacy)について解説します。
日本語には、外国語から派生した言葉「和製英語」がたくさんあります。
一見、外国語なのに通じない。例えば、スキンシップもそういう言葉のひとつ。
相手との関係性で、3種類に分類できます。
1:Physical Contact(フィジカル・コンタクト)
2:Physical Affection(フィジカル・アフェクション)
3:Physical Intimacy(フィジカル・インティマシー)
1:Physical Contact(フィジカル・コンタクト)
これは単純に「他人の体に触れる/体が触れ合う」という意味で、幅広い意味のスキンシップを指します。混んでいる場所や通りすがりに誰かと体・肌が接触したという事実を述べているだけ。
その一方で、「physical affection」と「physical intimacy」は少しニュアンスが違います。
2:Physical Affection(フィジカル・アフェクション)
affectionは愛情を意味するので「愛情を含めたスキンシップ」というニュアンス。家族(親子兄弟)・友人・恋人とのスキンシップに対して使えます。
3:Physical Intimacy(フィジカル・インティマシー)
2のフィジカル・アフェクションと似たような意味ですが、intimacyは「親密さ」を強調します。恋人同士のハグ・キス・性的なスキンシップ、肉体的・精神的な感覚を共有する……といった感じ。類語で「intimacy of divine」は神との一体化という意味。
*
さて、このことを前提に、上記資料に話を戻します。
「intimacies with Charles」
Intimacy(インティマシー)は、性的なスキンシップ/関係を示唆する表現です。つまり、シャルルとの親密な関係、シャルルとの一体感、深い内側でひとつになる……というニュアンスのようで。
時間軸としては、リッシュモンが大元帥に就任~ジアックが断罪される前だから、シャルル七世が21~23歳、リッシュモンが31~33歳ごろか。
なお、資料の中にはインティマシーの他にも「リッシュモンが大きな好意を寄せている」「肉体を愛撫」「肌の温もり」といった言葉が出てきます。わぁ…
はっきり明言されてませんが。
そもそも階級社会では身分が高くなるほど直接的な言葉を避けて、遠回しな言い方をするものです。
これらのことを踏まえて、シャルル七世とリッシュモンはただの主従ではない、限りなくBL寄りのブロマンスだったと考えられます。
二人の間にこういう背景があった前提で、歴史の流れを見直してみましょう。
シャルル七世とリッシュモンがインティマシーな関係に!
→ リッシュモンがジアックとボーリューを処刑
→ シャルルがリッシュモンを遠ざける(大元帥の地位はそのまま)
→ ヨランド・ダラゴンが仲を取り持とうとするが拒否
→ リッシュモン独断でオルレアンを援護・シャルルに会いたがる
→ ジャンヌ・ダルクが仲を取り持とうとする
→ シャルル「リッシュモンが来るなら戴冠しない」戴冠式の主役なのに出ない宣言www
→ リッシュモン、悲嘆に暮れながら帰郷
→ 色々あって、シャルル七世はリッシュモンを信頼するようになる
この時期、シャルル七世がリッシュモンを遠ざけている理由も、信頼を回復した理由もはっきりしないのですが、もしかして……痴情のもつれ?笑
シャルル七世:一線を引きたい。屈しない。
リッシュモン:沼ってる。王と距離の近い側近=逆臣は殺す(モラハラ気味)
こんな感じ?
表向きの歴史の裏にあるそれぞれの感情や葛藤が見えてくるというか、趣深さを感じます★☆
そもそも、シャルル七世もリッシュモンもまじめなタイプなのに、どういう経緯でインティマシーな関係になったんだろう。若気の至り?
リッシュモンの追放やシャルルの頑なな態度から推測すると、なんか拗れてるっぽい? 和解後の関係はどうなのー?
妄想が捗りますね!!
この小説は一応「全年齢」基準のつもりだから露骨な描写はできませんが、資料の淡々とした記述を膨らませて、艶っぽいBL展開にチャレンジしてみたいなーという意欲もあるとかないとか。
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