こんな私でいいですか?

棘花翡翠

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大好き

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長いです。

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目が覚めると、見覚えのある天井が目に入った。
外からは雨が降っているのかザーザーと音が聞こえてくる。

手に違和感を感じて見てみると、叶人が私の手を握っていた。
つい、笑みがこぼれてしまう。

「ねぇ、叶人」

「…結望、起きたのか!?」

叶人がいつかと同じようにがばっと顔を上げる。

「うん。私、今度は何年寝てた?」

「…3日だよ、結望」

「じゃあ今回は早起きだね。おはよう、叶人」

「…うん、おはよう」

叶人は泣きながら笑っていた。忙しいやつだ。

「あ、起きましたか!…それにしても、災難でしたねぇ、まさか、起きてから数ヶ月で大怪我を負うなんて…」

「ええ、私も自分の運の無さにびっくりです」

私は担当医師に苦笑いしながら答えた。

「本当にびっくりです。ロビーが騒がしかったのでなんだと思って行ってみれば、血塗れのあなたを抱えた叶人君がいて…もう、思い出すだけでも恐ろしいですね。下手すれば出血多量で亡くなっていたかもしれません」

そう言われてゾッとする。

もう叶人と会えなくなってしまうところだった…。それに、あの子は危うく人殺しをしてしまうところだったんだ…。

…あの子?

「…叶人」

「どうした?」

ちょっと名前を呼んだだけでこんなに心配して…。
苦笑いが漏れてしまう。

「優凪ちゃんはどうしたの?」

「優凪?なんでここで優凪、が…」

「叶人?」

叶人はしばらく考え込むと、突然大声を上げた。

「…っそういう事か!やっと全部繋がった!なんで結望があんな事言ったのか、あそこになんで優凪がいたのか!…優凪が、押したのか」

「…あんな事って?もし、病室で最後に話したことなら本心だよ」

ドキリとし、嘘を重ねる。
しかし、叶人はカラカラと笑う。

「ばっかじゃねぇの。俺がお前の嘘に気付かないわけねぇじゃん!」

もう、そんな事言わないでよ。勘違いしちゃうじゃん。期待しちゃうじゃん。…なみだ、出ちゃうじゃん。

「あっそ。でも、優凪ちゃんの事そんな悪く言っていいの?」

「あ?なんでだよ」

「だって、好きな人は大学の後輩って…」

胸が痛いのを気付かないふりをしながら言う。

「ああ、あれは…。まあ、あいつの事じゃねぇよ。それより、結望に言いたい事があんだけど」

「そんな事よりって…」

叶人は軽い調子で言ってくる。私は呆れながら続きを待つ。






「結望、俺、ずっと前からお前の事好きだった」



「…!はいはい、私も好きだよ。いきなり真剣になってどうしたの?」

ああ、そんな真剣に言われたら勘違いするじゃん。期待させないでよ。
もしかして、もしかして…!そんな言葉が出かかる。

「…俺は、結望の事を愛してる。冗談じゃない。俺は女としてお前の事好きだ」

空耳かと思った。だって私たちは幼馴染だから。

ずっと求めていた言葉が叶人の口から紡がれる。これほど嬉しい事は無い。

「…私、運悪いよ?」

「俺が運いいから大丈夫」

「身体こんなんだし、迷惑にしかなんないよ」

「居てくれるだけで俺は嬉しい」

「…こんな傷物を貰おうだなんて、叶人って本当にバカ」

「早く言わないと誰かに取られるかもしんねぇし」

「そんな人いないよ」

「いる。結望はめっちゃ可愛いから」

「…バカ」

反論する言葉が見つからない。

「こんな私でいいの?」

「お前がいい」

涙が溢れる。目の前が歪んでいく。

嬉しい。嬉しい。嬉しい!

「私も、ずっと前から、5年…いや、叶人に会った時から好きだった!」

涙で顔がぐしょぐしょだ。せっかくの告白シーンなのにブサイクになってるだろう。

叶人は驚き、呆れ顔になった。

「そっか…。お前、顔がすっごい事になってるぞ。女だろ?気、使えよ。…これからは、2人で幸せになろう。今度こそお前を守る」

「うん。よろしくね、叶人」

叶人の手が私の頬にそれられる。
叶人が近づいてくる。
私は瞳を閉じ、叶人とキスをする。

外を見れば、私たちを祝福するように雨が止み、空には虹がかかっていた。




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