異世界に奏でる狂騒曲(ロックンロール)~ランク0だけどロックの力で最強パーティに~

伊太利 千重治

文字の大きさ
9 / 78
1章

1間奏-音楽隊

しおりを挟む
 国王に招かれた二人の人物。

 男性は金髪を上にカールさせ、上にはベストと金色の刺繍が施されたジュストコール、下にはキュロットとタイツを身に纏い、いかにも身分の高さが伝わる。

 一方女性は金髪縦ロールで、ドレスを着ており、コルセットの割に胸は残念ながら殆ど強調されていないが、ウエストから腰にかけての美しいラインが魅せる抜群のスタイルは、恐らくこの世のどの女性にも劣らないだろう。

 男は国王に一礼すると、チラリと奏太達に視線を送った。

「陛下、ご機嫌麗しゅうございます。ところで、こちらがこの度召喚された者達でございますか。」

「うむ。こちらの律動殿をそなたらの音楽隊に推薦しようと思っておる。
 まことに優れた才能を持つ音楽家ゆえ、必ずや活躍が期待出来る。」

「青井 律動と申します。未熟者ではありますが、精進して必ずや映えある音楽隊の一員としてお役に立ってみせます。」


 律動は謙虚な言葉を選びつつも、国王に褒められ少し得意気な顔で自己紹介した。

「私はローラント・マルクル、王国第一音楽隊隊長だ。貴殿の入隊を歓迎しよう。
 それで、他の者達はどうなさるのですか?」

 ローラントは横目で3人を見る。

 こいつが国王直属の音楽隊隊長か。いかにもプライドが高そうな男だ。

「こちらの3名は訳あって冒険者となる事になった。」

「なるほど。どおりでこの者らには、音楽家に相応しい品を感じぬと思いました。
 ただ一人を除いては……。」

 ローラントは奏太と金重を軽蔑の目で見て罵った後、響子にいやらしい視線を送った。

「えっと、あの……。」

 響子は戸惑いながらおどおどと下を向く。

「僭越ながら、以前私が申し上げました通り、やはり召喚などヴィシュガルド王国には不要だったのではありませんか?
 このような者達を頼らずとも、王国には我々王国第一音楽隊を筆頭に、素晴らしい音楽隊がおります。」

 いきなり現れて、俺達を馬鹿にするだけでなく、響子さんをジロジロ見やがって。

 奏太はローラントを睨み付け、喧嘩を買ってやろうと口を開くとーー

「よさぬか。彼らはミューサ神によって選ばれた才ある者達だ。
 ただ我らの意向と違えたというだけで彼らを見下げるとは、そなた、よもやミューサ神を?」

 それまで一貫して冷静だった国王が、突然異様な雰囲気を発し、ローランドに鋭い視線を送った。

「し、失礼致しました。失言をお許しください陛下。
 そ、それでは律動君、第一音楽隊の音楽堂を案内しよう。」

 ローラントは国王の厳しい言葉と視線に狼狽えながら、そそくさと場を去ろうとする。
 すると、何故か隣に立つ金髪娘は後に続こうとせず、俺達の方をジッと見つめる。

「お父様、少しよろしいでしょうか。」

 金髪娘がおもむろに国王へ進言し、周囲は何事かと一斉に目を向けた。

「どうした、アイバニーゼよ。」

 国王が金髪娘に問いかけた。

「先程こちらから漏れる2つの楽器の音を、外で聴いておりました。どちらとも素晴らしい音色でした。
 ですが、こちらには4名の召喚者の方がいらっしゃいます。
 もし2名の方がまだ楽器を演奏されていないのであれば、そちらを是非ともお聞かせ願いたいのですが。」

 本日二度目の、女性による意外な申し出に、周囲はどよめく。

「アイバニーゼ様、この者達はどうやら冒険者になるようですから、わざわざ演奏を聴く必要はないのではないですか?」

 ローラントがアイバニーゼを制止する。

「ですが、ミューサ神様が才能を認められた方々です。ですから私はこの方々にどのような音楽の才能があるのか、是非とも拝見したく思います。」

 俺の演奏を聞きたいだなんて、流石美人は他とは違うぜ。
 まあちょっと幼い見た目だし、響子さんの美しさには勝てないけど。

「おお可愛い我が娘よー! そなたはなんと聡明な見識か!
 よいぞ! よいぞ! そなたの申す通り、今すぐ他の二人にも腕前を披露させるゆえ、そなたも余の元に来て一緒に拝見しようぞ!」

 突然国王がさっきまでの冷静な喋り口調から一転、異常なまでのハイテンションで娘に話し始めた。

 なんだこのおっさん!?娘相手にキャラ変わり過ぎだろ!

 奏太が国王の突然の変貌に狼狽えているとーー

「では奏太殿、金重殿、そなたらの楽器の腕前を披露してもらおう。」

 また冷静な口調で俺達に演奏を要求した。
 全くついていけない。いつもこんな感じなのか?

 そう思って周りを見渡すと、「また始まってしまった」という顔で誰もがため息をついている。
 どうやら国王の子煩悩さはこの国において周知の事実らしい。
 それはともかく、ギターを弾けるのはまたとないチャンスだ。
 奏太は意気込んで、楽器を魔法で呼び出したーー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

処理中です...