異世界に奏でる狂騒曲(ロックンロール)~ランク0だけどロックの力で最強パーティに~

伊太利 千重治

文字の大きさ
10 / 78
1章

1間奏-お披露目3

しおりを挟む
 奏太はいそいそと演奏の準備に取りかかる。

 そうだ。どうせならギターは2人いるわけだし、2人で何か合わせた方が面白いかもしれないーー

「なあ金重、2人で一緒に何か演奏しようか。」

「別に良いでござるよ。曲はどうするでござるか?」

 金重は奏太の提案に素直に応じる。
 さて問題は何を演奏するかだが、ジャムセッションはハードルが高いか?
 初対面で相手の癖や趣向も分からない状況での、ギター2人によるジャムセッションとなると、中々厳しいか。
 ただでさえこの国ではギターのイメージが悪いから、失敗は許されない。
 となると、何か有名な曲をカバーするのが無難か……。

「ちなみに金重はどんなジャンルの音楽が好きなんだ?」

「小生はボカロやアニソンなら何でも聴くでござる。」

 それを何でもとは言わねえよ……。
 俺アニソンで弾ける曲なんかあったかなーー

「ーーあとは、ハードロック・へヴィメタルもよく聴くでござるよ。」

 ハードロックか。
 ハードロックなら俺も知ってるバンドは結構ある。
 ならばーー


「ーー金重、ディー◯・パープルのBurnはいけるか?」

 言わずと知れた、ハードロック界の巨匠。
 日本では某国民的男性アイドルが出ていた某ハウスメーカーのCMで有名だ。

「勿論でござる!タ◯ホーーーーーーーム!でござるな?
 あれならフルで弾けるでござるよ。」

 まぁ流石にCMバージョンでは歌わないが、ギターが弾けるなら問題ない。

「よし。なら俺はリズムギターと歌をやるから、金重はリードギターを頼む。電源は大丈夫そうか?」

「任せるでござる!バッテリーは予備もあるゆえ、1曲くらいは持つと思うでござる!」

 奏太は演奏が可能であることを確認すると、自分の準備に取りかかった。
 四角いケースの中からアンプを取り出し、アルミケースを開く。
 すると中から綺麗に配列されたコンパクトエフェクター達が顔を出した。

 ギターケースからストラトギターを取り出し、ギター、エフェクター、アンプをシールドケーブルで繋ぐ。

 金重の方を見ると、フライングVギターを持ち、多くのエフェクトを備えるマルチエフェクターを使用するようだ。

 奏太はエフェクターの歪みゲインを強めに設定し、恐る恐るアンプの電源を入れた。
 すると電源ランプが点灯し、アンプが『ジーーーッ』というノイズ音を発した。
 良かった。どうやら普通に使えそうだ。

 チューナーのスイッチを入れ、ギターのチューニングを済ませる。
 初めはギターを蔑んでいた群衆も、一連の様子を興味深そうに眺めている。

「確かあの楽器はギターと言っていたが、我々の知るそれとは随分違った形をしているな。」

「あの道具達は一体どのように扱うのであろうか。」

「うーむ。見たこともない道具じゃ。」

 ふっふっふ。皆興味津々だな。やはりこの世界に電子楽器はないみたいだ。
 見てろよ、すぐに度肝を抜いてやるからな。

 奏太はアンプのイコライザーの設定を終え、準備が完了する。


「金重!準備は良いか?」

「いつでもOKでござる!」

「じゃあ、金重のギターリフから始めてくれ!俺がそれにコードで合わせる!」

「了解でござる!」

 金重が小さく体でリズムを取ると、イントロのギターリフを弾き始めた。

 ディストーションサウンドが『ギュンギュン』と鳴り響く。
 金重の左手が素早くフレット上を動き、右手に握るピックが弦を弾く。
 音は激しく歪んでいるが、対称的に金重の両手は無駄なく繊細に1つ1つのフレーズを奏でる。

 奏太は金重の演奏を目と耳で確認しながら、自分が入るべきタイミングを伺う。
 そして二つのエレキギターの音が重なる。
 1つはメロディを奏で、1つはブリッジミュートでザクザクとリズムを刻む。

「なんだこの音は!?」

「まるで獣の雄叫びのようだ!」

「ヒイィ!音が耳をつんざく!」

 初めて聴く強烈な電子音に、周囲はパニックになる。
 2つのギターが奏でるロックサウンドが、場を爽快に駆け抜け、更に勢いを増す。

 よし、ここからボーカルの入りだ!

 奏太がギターに合わせてAメロを歌い出す。するとーー

「やめろ!なんて酷い音だ!」

「気分が悪くなりそうだ!今すぐ演奏を止めてくれ!」

「こんな醜い音がこの世にあるなんて!全く不快だわ!」

 奏太の歌は儚くも、群衆が中止を求めて騒ぐ声に、中断を余儀なくされた。

「なんだよお前ら!今から折角良いところだったのに!
 せめて最後までやらせろよ!」

 奏太は群衆の反応に不満を叫ぶが、

「この期に及んでまだそんな事を言っているのか!
 やはり聴くまでもなかった!」

「お前達のような者に神聖な場で楽器を奏でる資格はない!」

「荷物をまとめてさっさとこの場から立ち去れ!」

 群衆は奏太達に向かって罵声とともに物を投げ付け始めた。

「痛っ! 痛っ! やめろ! わかったよ、出てくよ!
 二度とこんなところ来るかよ! クソ!
 ほら金重! さっさと片付けて行くぞ!」

 周囲を全く気にする様子もなく演奏を続ける金重を制止し、奏太は急いで荷物をまとめて部屋の出口へ向かう。

「奏太殿! 待ってくれでござる!」

 金重も慌てて楽器を収納し、奏太の後を追いかける。

「あ、私を置いてかないでくださ~い!」

 響子も2人続いて、その場を後にしたーー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

処理中です...