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1章
6間奏-転送魔法
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ーー帰国の日を迎え、奏太達が宿を後にすると、クレッチが宿前まで迎えに来ていた。
なにやら帰国の手段が変わったことで、集合場所が変更になったらしい。
「猫耳娘達とも今日でお別れでござるか……。」
「なんだか私も獣人さん達とお別れするのが寂しいです~。」
たった2泊3日の旅だったが、愉快な獣人達との楽しかった日々を、金重と響子が名残惜しむ。
「まぁこれからは同盟国になる訳だし、転送魔法を使えば幾らでも来れるさ。」
ヴィシュガルド王国にもこれまで以上に獣人が増えるだろう。そうなれば最早国境などあってないようなものだ。
そして奏太達の蓄音箱の販売先も増えた。早速同盟による経済効果を得られる事に、奏太は満足げな表情を浮かべながら、2人を慰めた。
「ーーそういえば転送はどこで行うんだ?」
「転送はその国の教会で行われます。この国ではズームー城の敷地内に教会があるようです。」
「なるほど。ちなみにそれは一般人でも使えるのか?」
「転送魔法は多くの魔力を必要としますので、教会の者が複数名で行います。一般の者は教会に金貨5枚を支払う事で、目的の国へと転送して貰えます。勿論今回は支払わなくて結構ですよ。」
ひと月の宿代以上となると結構高い。庶民があまり気軽に使えるものではなさそうだ。
もっとも、自分達が売っている蓄音箱はそれと同じくらい高額なのだが。
奏太は自分達の取り分は少ないとは言え、かなり高額な商品を販売していたことを実感する。
ーー程なくして、4人はズームー城へと到着し、クレッチに転送を行う教会へと案内された。
中に入ると、松明の火が灯され、窓のない薄暗い部屋を煌々と照らしている。
壁はズームー城同様、ゴツゴツとした石で出来ており、教会というよりは神殿と呼ぶべき祠(ほこら)だ。
「ーーおおっ。来たガウか!」
ズームー国王が奏太達を迎える。見るとヴィシュガルド国王とアイバニーゼ、従者数名の姿もあった。
だが兵士やクレッチの仲間達の姿はなく、行きの人数と比べると随分少ない。
「帰りの人数はこれだけなのか?」
疑問に思った奏太がクレッチに尋ねる。
「流石に馬車をここに運ぶのは難しいので、兵士達や僕の仲間は捕らえた捕虜と共に、昨日馬車で一足先に帰国しました。」
「なるほど。」
確かにここに馬車を入れるのは難しそうだ。クレッチの説明に奏太が納得する。
「それでは皆の衆、準備はいいガウ?」
ズームー国王が呼び掛けると、ローブを着た獣人達と、ヴィシュガルド王国の従者数名が同時に魔力を練り始める。
「ーーいでよ! どこでもとびら~!」
ズームー国王が某ネコ型ロボットのような声を上げると、目の前に大きな扉の幻影が浮かび上がったーー
「転送ポータルが開いたガウ! これより、両国間の渡航が可能となったガウ!」
「おおっ。」
「ついにこの時が……。」
その場にいる全員が感嘆の声を上げる。
「ズームー国王よ、此度は貴殿の高尚な計らいにより、両国の新たな歴史が開かれた事に感謝申し上げる。」
「なに、おぬしの熱心な働きがけに応じたまでの事ガウ。両国にとって良き未来を築けるよう、これから共に協力し切磋琢磨していくガウ!」
両国王が熱く手を交わすと、まず従者が幻影の1人が扉に入った。すると再びこちら側に戻ってきて、問題なくヴィシュガルド王国と繋がっている事を伝える。
それを確認すると、ヴィシュガルド国王から順に扉の向こうへと渡っていった。
「おぬしらも、またロックンロールを聴かせに来てくれガウ!」
ズームー国王の言葉に手を振って答えると、奏太達も後に続いて扉の中へと吸い込まれていったーー
一瞬目の前が眩い光に包まれたかと思うと、すぐに目の前には違う景色が広がった。
目の前には横長の椅子が並び、窓から射す光に真っ白な壁が輝く。
どうやらここはヴィシュガルド王国の教会のようだ。
まだこの国に来てからそれ程経っていないのだが、自然に『帰ってきた』という言葉が頭に浮かぶ。
もう既にこの国が自分達のホームであることを体が認識しているようだ。
「ーー長い護衛の任務ご苦労であった、響子殿、金重殿、奏太殿。そなたらには後日改めて礼を致そう。」
「皆様には命を救っていただき、心から感謝致します。」
国王とアイバニーゼが奏太達にお礼を言うと、従者達と共に城へと戻っていった。
去り際、アイバニーゼが振り返り、既に仲間達と談笑する奏太に熱い目線を送った。
「皆さんお疲れさまでした。これからギルドへクエスト完了の報告と、途中戦闘になった盗賊団についての報告に行きますので、皆さんもご一緒に来て貰っても宜しいですか?」
「わかった。」
今回もランクが上がるような成果は何も無かったが、捕らえた盗賊団に関する報告が必要との事で、4人は冒険者ギルドへと向かったーー
ーー中に入ると、冒険者達の歓声によって奏太達は出迎えられた。
「国王を救った英雄が帰還したぞー!」
「ロックンロール! ロックンロール!」
「ヒャッハー!」
どうやら先に戻っていたクレッチの仲間達によって、道中の出来事が広められ、奏太達は一躍ヒーローになっていた。
「次は俺達のクエストに同行してくれー!」
「いや俺達のパーティだ!」
「蓄音箱を売ってくれー!」
瞬く間に奏太達は冒険者達に囲まれ、我も我もと同行や蓄音箱を求められた。
「ま、また凄い騒ぎになってるな……。」
「まるでロックスターになった気分でござる……。」
「ロックンロールの力は偉大です……!」
それからというもの、奏太達は毎日他のパーティのクエストに同行し、一度も戦う事なく、戦地で演奏を披露する事で報酬を荒稼ぎしていったーー
なにやら帰国の手段が変わったことで、集合場所が変更になったらしい。
「猫耳娘達とも今日でお別れでござるか……。」
「なんだか私も獣人さん達とお別れするのが寂しいです~。」
たった2泊3日の旅だったが、愉快な獣人達との楽しかった日々を、金重と響子が名残惜しむ。
「まぁこれからは同盟国になる訳だし、転送魔法を使えば幾らでも来れるさ。」
ヴィシュガルド王国にもこれまで以上に獣人が増えるだろう。そうなれば最早国境などあってないようなものだ。
そして奏太達の蓄音箱の販売先も増えた。早速同盟による経済効果を得られる事に、奏太は満足げな表情を浮かべながら、2人を慰めた。
「ーーそういえば転送はどこで行うんだ?」
「転送はその国の教会で行われます。この国ではズームー城の敷地内に教会があるようです。」
「なるほど。ちなみにそれは一般人でも使えるのか?」
「転送魔法は多くの魔力を必要としますので、教会の者が複数名で行います。一般の者は教会に金貨5枚を支払う事で、目的の国へと転送して貰えます。勿論今回は支払わなくて結構ですよ。」
ひと月の宿代以上となると結構高い。庶民があまり気軽に使えるものではなさそうだ。
もっとも、自分達が売っている蓄音箱はそれと同じくらい高額なのだが。
奏太は自分達の取り分は少ないとは言え、かなり高額な商品を販売していたことを実感する。
ーー程なくして、4人はズームー城へと到着し、クレッチに転送を行う教会へと案内された。
中に入ると、松明の火が灯され、窓のない薄暗い部屋を煌々と照らしている。
壁はズームー城同様、ゴツゴツとした石で出来ており、教会というよりは神殿と呼ぶべき祠(ほこら)だ。
「ーーおおっ。来たガウか!」
ズームー国王が奏太達を迎える。見るとヴィシュガルド国王とアイバニーゼ、従者数名の姿もあった。
だが兵士やクレッチの仲間達の姿はなく、行きの人数と比べると随分少ない。
「帰りの人数はこれだけなのか?」
疑問に思った奏太がクレッチに尋ねる。
「流石に馬車をここに運ぶのは難しいので、兵士達や僕の仲間は捕らえた捕虜と共に、昨日馬車で一足先に帰国しました。」
「なるほど。」
確かにここに馬車を入れるのは難しそうだ。クレッチの説明に奏太が納得する。
「それでは皆の衆、準備はいいガウ?」
ズームー国王が呼び掛けると、ローブを着た獣人達と、ヴィシュガルド王国の従者数名が同時に魔力を練り始める。
「ーーいでよ! どこでもとびら~!」
ズームー国王が某ネコ型ロボットのような声を上げると、目の前に大きな扉の幻影が浮かび上がったーー
「転送ポータルが開いたガウ! これより、両国間の渡航が可能となったガウ!」
「おおっ。」
「ついにこの時が……。」
その場にいる全員が感嘆の声を上げる。
「ズームー国王よ、此度は貴殿の高尚な計らいにより、両国の新たな歴史が開かれた事に感謝申し上げる。」
「なに、おぬしの熱心な働きがけに応じたまでの事ガウ。両国にとって良き未来を築けるよう、これから共に協力し切磋琢磨していくガウ!」
両国王が熱く手を交わすと、まず従者が幻影の1人が扉に入った。すると再びこちら側に戻ってきて、問題なくヴィシュガルド王国と繋がっている事を伝える。
それを確認すると、ヴィシュガルド国王から順に扉の向こうへと渡っていった。
「おぬしらも、またロックンロールを聴かせに来てくれガウ!」
ズームー国王の言葉に手を振って答えると、奏太達も後に続いて扉の中へと吸い込まれていったーー
一瞬目の前が眩い光に包まれたかと思うと、すぐに目の前には違う景色が広がった。
目の前には横長の椅子が並び、窓から射す光に真っ白な壁が輝く。
どうやらここはヴィシュガルド王国の教会のようだ。
まだこの国に来てからそれ程経っていないのだが、自然に『帰ってきた』という言葉が頭に浮かぶ。
もう既にこの国が自分達のホームであることを体が認識しているようだ。
「ーー長い護衛の任務ご苦労であった、響子殿、金重殿、奏太殿。そなたらには後日改めて礼を致そう。」
「皆様には命を救っていただき、心から感謝致します。」
国王とアイバニーゼが奏太達にお礼を言うと、従者達と共に城へと戻っていった。
去り際、アイバニーゼが振り返り、既に仲間達と談笑する奏太に熱い目線を送った。
「皆さんお疲れさまでした。これからギルドへクエスト完了の報告と、途中戦闘になった盗賊団についての報告に行きますので、皆さんもご一緒に来て貰っても宜しいですか?」
「わかった。」
今回もランクが上がるような成果は何も無かったが、捕らえた盗賊団に関する報告が必要との事で、4人は冒険者ギルドへと向かったーー
ーー中に入ると、冒険者達の歓声によって奏太達は出迎えられた。
「国王を救った英雄が帰還したぞー!」
「ロックンロール! ロックンロール!」
「ヒャッハー!」
どうやら先に戻っていたクレッチの仲間達によって、道中の出来事が広められ、奏太達は一躍ヒーローになっていた。
「次は俺達のクエストに同行してくれー!」
「いや俺達のパーティだ!」
「蓄音箱を売ってくれー!」
瞬く間に奏太達は冒険者達に囲まれ、我も我もと同行や蓄音箱を求められた。
「ま、また凄い騒ぎになってるな……。」
「まるでロックスターになった気分でござる……。」
「ロックンロールの力は偉大です……!」
それからというもの、奏太達は毎日他のパーティのクエストに同行し、一度も戦う事なく、戦地で演奏を披露する事で報酬を荒稼ぎしていったーー
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