異世界に奏でる狂騒曲(ロックンロール)~ランク0だけどロックの力で最強パーティに~

伊太利 千重治

文字の大きさ
47 / 78
1章

7A-趣向

しおりを挟む
 ーー国王とアイバニーゼが奏太達への処遇について話し合っている頃、当の奏太達は宿の防音室でバンドの練習に勤しんでいた。

「ーーなぁ、そろそろ曲のレパートリーを増やさないか?」

 奏太がおもむろに金重と響子に提案する。
 あれから3人は既に何度も他のパーティのクエストに同行し、その度に奏太はフ◯ディに変身し、We Will Rock Youを披露していた。
 ドラムの居ない間は、戦う冒険者達の士気を高めるにはこれがベストな選択だが、いい加減飽きてくるし、そろそろ音楽祭の練習にも取りかかった方がいいだろう。

「そうでござるな。」

「私もそろそろちゃんとベースが弾きたいです!」

 2人も同意見のようだ。特にクエストでの響子は手拍子と足踏み、それと多少のコーラスでしか演奏に参加していない。

「す、すみません響子さん。じゃあそれぞれやりたい曲を1つずつ挙げていこう。」

「それなら私はセッ◯ス・ピストルズのAnarchy In The U.K.か~、God Save The Queenか~。あ、でもPretty Vacantも捨てがたいですね!」

「そうでござるな~。小生はAC/◯CのHighway to Hell、ヴァン・ヘ◯レンのPanama、メタ◯カのMaster of Puppets、アイアン・メ◯デンのThe Trooper……」

 各々が思い思いに好きな楽曲を挙げていく。響子は予想通り、全部セッ◯ス・ピストルズだし、金重も予想通り、全部ハードロック・ヘヴィメタルバンドだ。
 勿論全部の曲をやるのは不可能だが、こうやって各々の好きなバンドや曲を言い合うのは、中々に楽しい。

「俺はどうしようかな~。」

 奏太のロックの趣味は幅広く、何でも聴く。
 パンクは響子のようにセッ◯ス・ピストルズだけでなく、有名なものは古いのも新しいのも聴く。
 ハードロック・ヘヴィメタルも然り。
 最近のオルタナティヴ・ロックも好きだし、古き良きロックンロールも好きだ。
 奏太の趣向は、言わば浅く広くといった感じだ。
 そもそもモテる為にバンドを始めた彼にとって、ロックは大抵のものが格好良いと感じられた。

 だがここは異世界。ロックンロールを世に知らしめるには、奇をてらった新しいロックよりも、古いロックンロールで人々に馴染ませて行った方が良いだろう。
 ならばここはーー

「これなんてどうだろう……?」

 奏太が持っているギターでリフを弾いてみせた。

「ほう……! 奏太殿、中々渋い選曲ですな!」

「私もその曲知ってます~!」

 奏太が弾いてみせた曲は、ローリング・ス◯ーンズのSatisfaction。

 《かつてビー◯ルズから始まった、空前のロックバンドブーム。ビー◯ルズはロックンロールにクラシックやポップ等、様々な音楽を織り混ぜた。ハードロック等の激しいロックも、彼等が生み出したと考える人達もいる。
 だが主なビー◯ルズの楽曲と言えば、ポップなサウンドを奏で、「ラブ」や「抱き締めたい」といったピュアな歌詞を歌う印象。
 そんなビー◯ルズと対極に位置したバンドが、ローリング・ス◯ーンズ。
 彼らは「永遠の不良」と称され、汚い言葉を吐き、ドラッグに溺れ、ロック=不良というイメージを作り上げたのは彼らと言っても過言ではない。
 彼らの生み出す音楽は、黒人音楽のブルースやR&Bの影響を強く表す。そのサウンドは実に泥臭く、ロックンロールの象徴とも言える。
「ロックンロールと言えばどのバンドのどの曲か」という質問には、ローリング・ス◯ーンズのSatisfactionを思い浮かべる人も数多い。
 彼らは生きる伝説として、年老いた今もなおロックシーンで活躍し続けている。》

「ーーそれじゃあ各々好きな曲が決まったら、俺の精霊魔法で変身して、曲を覚えようか。」

 一応ボーカルがご存命のバンドは自分で歌うつもりだが、メンバーのうちの誰かが亡くなっているバンドは数多くある。本人から歌詞や演奏を正確に把握出来れば何かと便利だし、使わない手はないだろう。

「シド・ヴ◯シャス様に変身して頂けるのですか!?」

「い、いや、セッ◯ス・ピストルズの曲は響子さんが全部覚えているし、俺が変身しなくても響子さんに教わるから大丈夫!」

「そうですか……。」

 一応シド・ヴ◯シャスには既に変身済みだが、また響子に凶変して貰っては困る。
 これから数人分の霊魂を呼び出せるようになる為には、精霊魔法の訓練が相当必要になるが、毎日クエストでフ◯ディに変身していれば、なんとかなるだろう。
 あとは音楽祭に参加してもらう隆司にも、曲の希望を聞くとしてーー

『ガチャリ』

「失礼致します。」

 奏太が今後の段取りについて考えていると、突然見知らぬ男が部屋に入ってきた。
 執事のような格好をした男が、奏太達に向かって丁寧に一礼する。

「突然の訪問をお詫び申し上げます。私は国王陛下にお仕えしております使用人でございます。国王陛下から皆様にお話がありますので、明日、ヴィシュガルド城の祭壇の間までお越しください。」

 突然の申し出に何事かと、奏太達は使用人の言葉に固まったーー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

処理中です...