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1章
7B-授与
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奏太達が城に到着すると、すぐさま使用人に祭壇の間へと案内された。
重々しい扉が開かれると、それまでザワザワと騒いでいた観衆が、一斉に奏太達の方に目を向けた。
観衆の中にはローラントの姿もあり、祭壇の手前には国王とアイバニーゼが鎮座している。
その光景に、奏太は召喚された時の事を思い出した。
嫌な思い出が蘇り、思わず胸が締め付けられる。
「一体何が始まるのか……。」
「何やら国王陛下の指示らしい……。」
「先日獣人の国に赴いた件だとか……。」
観衆達も詳しくは状況を把握していないようで、ヒソヒソと話す声が四方から奏太達の耳に届く。
「皆の者静粛に。これより、返礼の儀を行う。氷室響子殿、岩片金重殿、石巻奏太殿の3名は前に。」
国王が観衆を鎮めると、厳格な口調で儀式の進行を執り行った。
観衆が見守る中、奏太達は国王に促されるまま、恐る恐る前に進み、国王の前に整列した。
「此度のズームー王国への訪問に際し、貴殿らは未だランク0の見習い冒険者でありながら、我らに襲い掛かる盗賊の輩に勇敢にも立ち向かい、見事賊の脅威を退けた。
その功績を称え、貴殿らに褒章を授与する。」
国王が告げ終わると、3名の従者が奏太達の前に出て、奏太達の首に金色に輝くメダルを掛けた。
そしてそれを見守る観衆達から、惜しみない拍手が送られた。
突然の事に奏太達はポカンと口を開けたまま立ち尽くしている。
「ーーそして奏太殿。」
国王から名前を呼び掛けられると、奏太は思わず気を付けし、口を固く閉じた。
「貴殿は自ら仲間を先導し、その勇ましき心と類い稀なる才能を遺憾無く発揮し、その後もアイバニーゼの護衛を見事に務めあげた。その姿勢は王国に仕える全ての者にとっての模範となる。
よって、貴殿には王国騎士の勲章を授与する。」
「ーーは?」
『騎士』という、余りにも予期せぬ言葉に、奏太の口から間抜けな言葉が出る。
いやいやちょっと待て! 勲章!? それに騎士だって!?
俺達はただ演奏しただけだぞ!?
しかもアイバニーゼの護衛に関しては強引に迷子のお守りをやらされただけだし……。
いくらなんでも大袈裟過ぎるだろ!
「いやはや冒険者となって即活躍とは、実に素晴らしい。」
「彼らの才能を見抜き、冒険者の道を示された国王陛下は流石、先見の明をお持ちだ。」
戸惑う奏太を他所に、観衆達は勲章の授与に賛辞を送る。
「なお、騎士となった奏太殿には、本日よりアイバニーゼの側近として、生涯その身を王女の護衛に尽くすことをここに命ずる。」
なんだって……? 生涯、護衛……?
状況を掴めないでいる奏太に、国王は笑顔で騎士の剣を授けた。
恐らくこの国で最も優れた剣の類いなのだろう。柄には装飾が施され、この世の全てを切り裂きそうな程に鋭く研がれた剣が、貧相な奏太の腕にズシリと圧し掛かる。
「アイバニーゼ様の専属騎士とは、名誉なことだ。」
「いや実にめでたい。」
奏太、金重、響子の3人が戸惑う中、祝福の大歓声をもって、返礼の儀が閉幕した。
そして沸き上がる観衆の中で、ローラントも3人と同じく、不穏な表情を浮かべていたーー
ーー観衆が祭壇の間から去った後、4人の人物が国王とアイバニーゼの元へと駆け寄った。
「待ってくれ国王!」
「お待ちください陛下!」
声を掛けたのは奏太とローラントだった。
出会って以来犬猿の仲の2人が、言葉遣いは違えど共に同じタイミングで同じ言葉を発する。
「アイバニーゼの騎士って、つまり俺に一生城で仕えろっていうのか!?」
ローラントも奏太の言葉にうんうんと頷きながら、国王に迫る。
「奏太殿がいなくなったら、小生達はどうすればいいでござるか?」
「そうです~! 奏太さんが居なかったらバンドが出来ないです~!」
金重と響子も不安な思いを口にする。
「ご心配なさらないでください。高い志をお持ちの奏太様のお手を煩わせるような事は致しません。」
国王の代わりにアイバニーゼが答える。
「ですが、この者がアイバニーゼ様に仕えるということは、つまり城内でアイバニーゼ様に付き添うという事ではないのですか!?」
「そ、そうだ!」
そうなっては困るといった顔で、ローラントが問い詰める。
ローラントの言うとおり、奏太自身もそのようなこと願い下げだった。
ふざけるな。俺にはこの世界でロックスターになってハーレムを作るという夢があるんだ。城なんかに仕えてたまるか。
「いえーー奏太様の邪魔にならないよう、私が冒険者である奏太様に付き添います。」
「「 は!? 」」
「ですから、私が城を出て、奏太様と寝食を共に致します。」
一体何を言っているんだこの子は!?
俺と生活を共にするだって!?
「アイバニーゼ様、お気を確かに……! あなた様は王国第一音楽隊の隊員にして、副隊長という立場にあります。
音楽隊はどうなさるおつもりなのですか!? それに王族が側近に付き添うなどとは、本末転倒も甚だしい……!」
「本来私の音楽家としての活動は、私の教学の一環に御座います。私の本来の使命は、王家の者として見識を広め、王国の為、そして民のためにこの身を尽くすことに御座います。
ですから、この度奏太様が私の騎士となっていただいた事を期に、冒険者として諸国を渡る奏太様と行動を共にし、世間について学びたいと思っております。
音楽隊に関しましては申し訳御座いませんが、他に相応しき方をお探しください。」
「なっーー」
「では参りましょう、奏太様! しっかり護衛してくださいね?」
「娘を頼んだぞ、奏太殿。」
アイバニーゼが奏太の腕を取ると、ご機嫌な様子で祭壇の間へと奏太を引っ張っていった。
「え、ええ~! そんな急に言われても……!」
「待ってくれでござる騎士殿~!」
「待ってください騎士さ~ん!」
「2人ともその呼び方はやめてくれ~!」
祭壇の間に奏太の悲しい叫びが木霊し、取り残されたローラントは見たこともない間抜けな顔を浮かべながら、呆然と立ち尽くしたーー
重々しい扉が開かれると、それまでザワザワと騒いでいた観衆が、一斉に奏太達の方に目を向けた。
観衆の中にはローラントの姿もあり、祭壇の手前には国王とアイバニーゼが鎮座している。
その光景に、奏太は召喚された時の事を思い出した。
嫌な思い出が蘇り、思わず胸が締め付けられる。
「一体何が始まるのか……。」
「何やら国王陛下の指示らしい……。」
「先日獣人の国に赴いた件だとか……。」
観衆達も詳しくは状況を把握していないようで、ヒソヒソと話す声が四方から奏太達の耳に届く。
「皆の者静粛に。これより、返礼の儀を行う。氷室響子殿、岩片金重殿、石巻奏太殿の3名は前に。」
国王が観衆を鎮めると、厳格な口調で儀式の進行を執り行った。
観衆が見守る中、奏太達は国王に促されるまま、恐る恐る前に進み、国王の前に整列した。
「此度のズームー王国への訪問に際し、貴殿らは未だランク0の見習い冒険者でありながら、我らに襲い掛かる盗賊の輩に勇敢にも立ち向かい、見事賊の脅威を退けた。
その功績を称え、貴殿らに褒章を授与する。」
国王が告げ終わると、3名の従者が奏太達の前に出て、奏太達の首に金色に輝くメダルを掛けた。
そしてそれを見守る観衆達から、惜しみない拍手が送られた。
突然の事に奏太達はポカンと口を開けたまま立ち尽くしている。
「ーーそして奏太殿。」
国王から名前を呼び掛けられると、奏太は思わず気を付けし、口を固く閉じた。
「貴殿は自ら仲間を先導し、その勇ましき心と類い稀なる才能を遺憾無く発揮し、その後もアイバニーゼの護衛を見事に務めあげた。その姿勢は王国に仕える全ての者にとっての模範となる。
よって、貴殿には王国騎士の勲章を授与する。」
「ーーは?」
『騎士』という、余りにも予期せぬ言葉に、奏太の口から間抜けな言葉が出る。
いやいやちょっと待て! 勲章!? それに騎士だって!?
俺達はただ演奏しただけだぞ!?
しかもアイバニーゼの護衛に関しては強引に迷子のお守りをやらされただけだし……。
いくらなんでも大袈裟過ぎるだろ!
「いやはや冒険者となって即活躍とは、実に素晴らしい。」
「彼らの才能を見抜き、冒険者の道を示された国王陛下は流石、先見の明をお持ちだ。」
戸惑う奏太を他所に、観衆達は勲章の授与に賛辞を送る。
「なお、騎士となった奏太殿には、本日よりアイバニーゼの側近として、生涯その身を王女の護衛に尽くすことをここに命ずる。」
なんだって……? 生涯、護衛……?
状況を掴めないでいる奏太に、国王は笑顔で騎士の剣を授けた。
恐らくこの国で最も優れた剣の類いなのだろう。柄には装飾が施され、この世の全てを切り裂きそうな程に鋭く研がれた剣が、貧相な奏太の腕にズシリと圧し掛かる。
「アイバニーゼ様の専属騎士とは、名誉なことだ。」
「いや実にめでたい。」
奏太、金重、響子の3人が戸惑う中、祝福の大歓声をもって、返礼の儀が閉幕した。
そして沸き上がる観衆の中で、ローラントも3人と同じく、不穏な表情を浮かべていたーー
ーー観衆が祭壇の間から去った後、4人の人物が国王とアイバニーゼの元へと駆け寄った。
「待ってくれ国王!」
「お待ちください陛下!」
声を掛けたのは奏太とローラントだった。
出会って以来犬猿の仲の2人が、言葉遣いは違えど共に同じタイミングで同じ言葉を発する。
「アイバニーゼの騎士って、つまり俺に一生城で仕えろっていうのか!?」
ローラントも奏太の言葉にうんうんと頷きながら、国王に迫る。
「奏太殿がいなくなったら、小生達はどうすればいいでござるか?」
「そうです~! 奏太さんが居なかったらバンドが出来ないです~!」
金重と響子も不安な思いを口にする。
「ご心配なさらないでください。高い志をお持ちの奏太様のお手を煩わせるような事は致しません。」
国王の代わりにアイバニーゼが答える。
「ですが、この者がアイバニーゼ様に仕えるということは、つまり城内でアイバニーゼ様に付き添うという事ではないのですか!?」
「そ、そうだ!」
そうなっては困るといった顔で、ローラントが問い詰める。
ローラントの言うとおり、奏太自身もそのようなこと願い下げだった。
ふざけるな。俺にはこの世界でロックスターになってハーレムを作るという夢があるんだ。城なんかに仕えてたまるか。
「いえーー奏太様の邪魔にならないよう、私が冒険者である奏太様に付き添います。」
「「 は!? 」」
「ですから、私が城を出て、奏太様と寝食を共に致します。」
一体何を言っているんだこの子は!?
俺と生活を共にするだって!?
「アイバニーゼ様、お気を確かに……! あなた様は王国第一音楽隊の隊員にして、副隊長という立場にあります。
音楽隊はどうなさるおつもりなのですか!? それに王族が側近に付き添うなどとは、本末転倒も甚だしい……!」
「本来私の音楽家としての活動は、私の教学の一環に御座います。私の本来の使命は、王家の者として見識を広め、王国の為、そして民のためにこの身を尽くすことに御座います。
ですから、この度奏太様が私の騎士となっていただいた事を期に、冒険者として諸国を渡る奏太様と行動を共にし、世間について学びたいと思っております。
音楽隊に関しましては申し訳御座いませんが、他に相応しき方をお探しください。」
「なっーー」
「では参りましょう、奏太様! しっかり護衛してくださいね?」
「娘を頼んだぞ、奏太殿。」
アイバニーゼが奏太の腕を取ると、ご機嫌な様子で祭壇の間へと奏太を引っ張っていった。
「え、ええ~! そんな急に言われても……!」
「待ってくれでござる騎士殿~!」
「待ってください騎士さ~ん!」
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