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第一章 蛹化
不気味の谷
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俺は完璧な女体を手に入れたが、それまでは気にならなかった顔の造形が気になり始めた。
女性の裸体の上に乗っている顔が、急に男らしく感じ始めたのだ。
俺は「女の子みたいな綺麗な顔」と言われていたが、それは、男の体とのギャップからくる印象だと知った。
一箇所を女らしくすれば、別の箇所が男らしく感じる…俺は「不気味の谷」に陥っていた。
ロボット工学やコンピューターグラフィックスの世界では「不気味の谷」と呼ばれる現象がある。
「不気味の谷」とは、人工物の造形を人間に近づけると、かなり似てきた段階で急激に強い違和感や嫌悪感が惹起される現象のことで、人工物と人間との類似度を横軸に、そして、好感度を縦軸にしたグラフの曲線が谷間のような形になることから名付けられた現象だ。
人間に似てきた人工物に対し、当初は人間との類似点から親近感を感じるが、更に人間に近づけることにより、人間との相違点が目立ち始め、それが強い違和感や嫌悪感に変わるのだ。
映画「マトリックス」では、アクションシーンに3DCGが取り入れられていたが、当時の技術では人間の眼球の些細な動きをCGで再現できなかった為、主要キャラクターは全員サングラスで目を隠していた。
最近も、昔のゲームキャラクターであるハリネズミのソニックを主役とした映画で、その現象が発生していた。
現代のCG技術でリアルになった予告編のソニックを観た人が、拒絶反応を示したのだ。
その映画は公開日を延期して、キャラクターデザインを当時のデザインに近づけることで公開に漕ぎつけていた。
そんな「不気味の谷」現象が女装をした俺にも発生していた…。
俺は首を女らしくする為、首の皮膚を後頭部に集めテープとエピテーゼで固定すると、首の幅が細くなるだけではなく、喉仏が目立たなくなり、首やデコルテの皮膚に張りが出たが、それでも俺の顔から男らしさは消えなかった。
いや、それどころか、首が細く女らしくなった事で、顔の違和感が更に増していた。
俺は自分の顔の型を取って石膏でライフマスクを作り、石原さとみのタラコ唇を参考に、鼻の下を短く唇を分厚くしたエピテーゼを造形し、眉から額にかけての形状を滑らかにしたエピテーゼも造形した。
意外かもしれないが、男女の骨格の大きな違いの一つは、通称、眉骨とも呼ばれる「眉弓」だった。
男性の眉弓は張り出していて、女性の額の形状とは大きく異なっていた。
その違いは骨格の問題だったので、女装時の俺は、男らしい額や眉の形状を前髪で隠すしかなかった。
俺が額のエピテーゼを貼り付けると、俺の顔から男の要素がなくなった。
男として日常生活を送っている俺は、眉の形を女らしく出来なかったが、額や眉をエピテーゼで覆ったことで、自由に眉を描くことが出来た。
また、前髪で額を隠す必要がなくなったことで、ヘアスタイルの自由度も増していた。
そして、口元のエピテーゼは、どの部位のエピテーゼよりも効果的で、口元の毛穴もなくなり、適度に堀の深い顔は、白人とのハーフのような印象となり、俺を本物の女性に生まれ変わらせていた。
身長172、トップバスト100、アンダーバスト80、ウエスト68、ヒップ102、股下85…俺は同じ身長であるモデルの菜々緒をグラマーにしたプロポーションになっていた。
胸を張り、背中を反らし、お尻を突き出す…大きな鏡の前で、女らしい曲線的な姿勢を取った俺の裸体は完璧な女性に見えた…。
女性の裸体の上に乗っている顔が、急に男らしく感じ始めたのだ。
俺は「女の子みたいな綺麗な顔」と言われていたが、それは、男の体とのギャップからくる印象だと知った。
一箇所を女らしくすれば、別の箇所が男らしく感じる…俺は「不気味の谷」に陥っていた。
ロボット工学やコンピューターグラフィックスの世界では「不気味の谷」と呼ばれる現象がある。
「不気味の谷」とは、人工物の造形を人間に近づけると、かなり似てきた段階で急激に強い違和感や嫌悪感が惹起される現象のことで、人工物と人間との類似度を横軸に、そして、好感度を縦軸にしたグラフの曲線が谷間のような形になることから名付けられた現象だ。
人間に似てきた人工物に対し、当初は人間との類似点から親近感を感じるが、更に人間に近づけることにより、人間との相違点が目立ち始め、それが強い違和感や嫌悪感に変わるのだ。
映画「マトリックス」では、アクションシーンに3DCGが取り入れられていたが、当時の技術では人間の眼球の些細な動きをCGで再現できなかった為、主要キャラクターは全員サングラスで目を隠していた。
最近も、昔のゲームキャラクターであるハリネズミのソニックを主役とした映画で、その現象が発生していた。
現代のCG技術でリアルになった予告編のソニックを観た人が、拒絶反応を示したのだ。
その映画は公開日を延期して、キャラクターデザインを当時のデザインに近づけることで公開に漕ぎつけていた。
そんな「不気味の谷」現象が女装をした俺にも発生していた…。
俺は首を女らしくする為、首の皮膚を後頭部に集めテープとエピテーゼで固定すると、首の幅が細くなるだけではなく、喉仏が目立たなくなり、首やデコルテの皮膚に張りが出たが、それでも俺の顔から男らしさは消えなかった。
いや、それどころか、首が細く女らしくなった事で、顔の違和感が更に増していた。
俺は自分の顔の型を取って石膏でライフマスクを作り、石原さとみのタラコ唇を参考に、鼻の下を短く唇を分厚くしたエピテーゼを造形し、眉から額にかけての形状を滑らかにしたエピテーゼも造形した。
意外かもしれないが、男女の骨格の大きな違いの一つは、通称、眉骨とも呼ばれる「眉弓」だった。
男性の眉弓は張り出していて、女性の額の形状とは大きく異なっていた。
その違いは骨格の問題だったので、女装時の俺は、男らしい額や眉の形状を前髪で隠すしかなかった。
俺が額のエピテーゼを貼り付けると、俺の顔から男の要素がなくなった。
男として日常生活を送っている俺は、眉の形を女らしく出来なかったが、額や眉をエピテーゼで覆ったことで、自由に眉を描くことが出来た。
また、前髪で額を隠す必要がなくなったことで、ヘアスタイルの自由度も増していた。
そして、口元のエピテーゼは、どの部位のエピテーゼよりも効果的で、口元の毛穴もなくなり、適度に堀の深い顔は、白人とのハーフのような印象となり、俺を本物の女性に生まれ変わらせていた。
身長172、トップバスト100、アンダーバスト80、ウエスト68、ヒップ102、股下85…俺は同じ身長であるモデルの菜々緒をグラマーにしたプロポーションになっていた。
胸を張り、背中を反らし、お尻を突き出す…大きな鏡の前で、女らしい曲線的な姿勢を取った俺の裸体は完璧な女性に見えた…。
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