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第二章 羽化
女子大生
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「あのー…もしかして…小林君?」
私が女モードで買い物をしていると、若い女性に話し掛けられました。
私が振り返ると、そこには同じ大学に通う山本詩央里ちゃんの姿がありました。
「あっ、山本さんw 久しぶりw」
「えっ!!! 本当に小林君なの? でも、声が違うけど…」
「小林だよw」
「えっ! 声も男になった!」
私は女装している姿を知り合いに見られてしまいました…。
俺は身近な女性と体の関係を持たない事にしていた。
それは、恋愛トラブルに巻き込まれないようにする為だ。
俺は中学高校と女子たちに振り回されていて、恋愛恐怖症になっていた。
俺は自分から告白をしなかったが、女子から告白される事が多く、その告白を断れば、俺は悪者にされ、告白を受け入れても、他の女子から告白される度に、浮気だの何だのと攻められ、やはり、俺は悪者にされた。
女性は他人のモノが欲しくなる習性があるようで、俺は彼女がいる時の方がモテていて、中には、俺の事が好きではないのに、俺が付き合っている女子にマウントを取る為に言い寄って来る女子もいた。
俺は女子と接触しない事が、平穏な日常生活を送る秘訣だと気付いた。
過去のドロドロとした女性関係をリセットしたかった俺は、地元を離れ京都の大学に進学し、女子を遠ざけるために、常にモテない男子たちとつるんでいて、山本詩央里とも会話をした事がなかった…。
「良く気付いたねw」
「えっ、本当に小林君なの!」
「うんw 女装が趣味なんだw」
京都は狭い街で、知り合いに遭遇する確率が高く、私は女装姿で何度も知り合いと遭遇していましたが、彼らに気付かれる事はありませんでした。
私は秋物の洋服を試着する為に、久しぶりにエピテーゼを装着していましたが、発汗対策の為に顔のエピテーゼは装着していませんでした。
「嘘…信じられない…」
「最初は、めっちゃ綺麗な女の人がいるなー て見てたんだけど」
「あの人って、小林君に似てない? てなって、ねっ」
「そう!そう! それで、本人に確認してみようって」
詩央里ちゃんは、同じ大学の野口愛美ちゃんと鈴木莉子ちゃんと一緒に買い物に来ていました。
流石に、ほぼノーメイクの女装で外出した事は良くなかったようで、私の身元は同級生の女子たちにバレていました。
「女装する男ってキモいでしょw」
「そんな事ないよ!」
「うん!めっちゃ似合ってるし!」
「それに、すごく綺麗!」
私は同級生の女子たちに嫌われようとしましたが、彼女たちは意外な反応を示し、女装をする変態の私を好意的に受け入れていました。
「ねえ!良かったら、今からお茶しない?」
「いいよw」
「本当!良かった!」
私は身近な女性とは親密にならない主義でしたが、彼女たちの私との接し方が、異性としてではなく同性としての態度だったので、私は彼女たちに付き合う事にしました。
私の女装のレベルは、派手な女子大生と並んで歩いていても違和感がないレベルになっていました。
それは、私と同じ身長の鈴木莉子ちゃんのお陰でもありましたが、道行く人たちは私を本物の女性だと認識しているようでした。
カフェに移動しても、彼女たちのテンションの高さは衰える事はなく、私を質問攻めにしてきました。
「エピテーゼって、あの乳がんとか整形に使うやつ?」
彼女たちはエピテーゼについての知識がありました。
エピテーゼは私の様に体に貼り付けるタイプ以外に、整形手術で体内に埋め込むタイプもあり、女性にとっては身近な物でした。
また、女性にとって乳がんは切実な問題で、摘出手術後にエピテーゼを使用する事は一般的でした。
実は、私も温泉で本物のエピテーゼを装着した女性を見たことがありました。
本物のエピテーゼは、私が思っていたよりも完成度が低く、すぐに偽物だと気付く出来で、本物の乳房とは色や揺れ方が違っていました。
私の場合は、エピテーゼのクリエーターでもあったので、常にメンテナンスが出来ましたが、一般のユーザーはメンテナンスが充分ではなく、継ぎ目が目立っていて、材質的に柔らかさも足りていませんでした。
女湯にいる人たちは、その女性が乳房のエピテーゼを装着している事に気付いている様子でしたが、私と同様に、敢えて気付いていないふりをしていました。
私のエピテーゼ作りは、プロの域に達しているようでした…。
「ねえ、小林君って呼ぶのって変だから、何て呼んだらいい?」
「そうね…好きに呼んでいいよw」
私は女モードの時の名前を決めていましたが、それは、好きなアニメキャラの名前だったので、皆の前で発表する事が恥ずかしく感じ、曖昧な返事をしていました。
「じゃあ、山本美月に似てるから「美月ちゃん」でどう?」
「うん、いいよw」
私は女優の山本美月さんと、エピテーゼを装着していない時の顔が似ているという理由で、美月と呼ばれる事になりました…。
私が女モードで買い物をしていると、若い女性に話し掛けられました。
私が振り返ると、そこには同じ大学に通う山本詩央里ちゃんの姿がありました。
「あっ、山本さんw 久しぶりw」
「えっ!!! 本当に小林君なの? でも、声が違うけど…」
「小林だよw」
「えっ! 声も男になった!」
私は女装している姿を知り合いに見られてしまいました…。
俺は身近な女性と体の関係を持たない事にしていた。
それは、恋愛トラブルに巻き込まれないようにする為だ。
俺は中学高校と女子たちに振り回されていて、恋愛恐怖症になっていた。
俺は自分から告白をしなかったが、女子から告白される事が多く、その告白を断れば、俺は悪者にされ、告白を受け入れても、他の女子から告白される度に、浮気だの何だのと攻められ、やはり、俺は悪者にされた。
女性は他人のモノが欲しくなる習性があるようで、俺は彼女がいる時の方がモテていて、中には、俺の事が好きではないのに、俺が付き合っている女子にマウントを取る為に言い寄って来る女子もいた。
俺は女子と接触しない事が、平穏な日常生活を送る秘訣だと気付いた。
過去のドロドロとした女性関係をリセットしたかった俺は、地元を離れ京都の大学に進学し、女子を遠ざけるために、常にモテない男子たちとつるんでいて、山本詩央里とも会話をした事がなかった…。
「良く気付いたねw」
「えっ、本当に小林君なの!」
「うんw 女装が趣味なんだw」
京都は狭い街で、知り合いに遭遇する確率が高く、私は女装姿で何度も知り合いと遭遇していましたが、彼らに気付かれる事はありませんでした。
私は秋物の洋服を試着する為に、久しぶりにエピテーゼを装着していましたが、発汗対策の為に顔のエピテーゼは装着していませんでした。
「嘘…信じられない…」
「最初は、めっちゃ綺麗な女の人がいるなー て見てたんだけど」
「あの人って、小林君に似てない? てなって、ねっ」
「そう!そう! それで、本人に確認してみようって」
詩央里ちゃんは、同じ大学の野口愛美ちゃんと鈴木莉子ちゃんと一緒に買い物に来ていました。
流石に、ほぼノーメイクの女装で外出した事は良くなかったようで、私の身元は同級生の女子たちにバレていました。
「女装する男ってキモいでしょw」
「そんな事ないよ!」
「うん!めっちゃ似合ってるし!」
「それに、すごく綺麗!」
私は同級生の女子たちに嫌われようとしましたが、彼女たちは意外な反応を示し、女装をする変態の私を好意的に受け入れていました。
「ねえ!良かったら、今からお茶しない?」
「いいよw」
「本当!良かった!」
私は身近な女性とは親密にならない主義でしたが、彼女たちの私との接し方が、異性としてではなく同性としての態度だったので、私は彼女たちに付き合う事にしました。
私の女装のレベルは、派手な女子大生と並んで歩いていても違和感がないレベルになっていました。
それは、私と同じ身長の鈴木莉子ちゃんのお陰でもありましたが、道行く人たちは私を本物の女性だと認識しているようでした。
カフェに移動しても、彼女たちのテンションの高さは衰える事はなく、私を質問攻めにしてきました。
「エピテーゼって、あの乳がんとか整形に使うやつ?」
彼女たちはエピテーゼについての知識がありました。
エピテーゼは私の様に体に貼り付けるタイプ以外に、整形手術で体内に埋め込むタイプもあり、女性にとっては身近な物でした。
また、女性にとって乳がんは切実な問題で、摘出手術後にエピテーゼを使用する事は一般的でした。
実は、私も温泉で本物のエピテーゼを装着した女性を見たことがありました。
本物のエピテーゼは、私が思っていたよりも完成度が低く、すぐに偽物だと気付く出来で、本物の乳房とは色や揺れ方が違っていました。
私の場合は、エピテーゼのクリエーターでもあったので、常にメンテナンスが出来ましたが、一般のユーザーはメンテナンスが充分ではなく、継ぎ目が目立っていて、材質的に柔らかさも足りていませんでした。
女湯にいる人たちは、その女性が乳房のエピテーゼを装着している事に気付いている様子でしたが、私と同様に、敢えて気付いていないふりをしていました。
私のエピテーゼ作りは、プロの域に達しているようでした…。
「ねえ、小林君って呼ぶのって変だから、何て呼んだらいい?」
「そうね…好きに呼んでいいよw」
私は女モードの時の名前を決めていましたが、それは、好きなアニメキャラの名前だったので、皆の前で発表する事が恥ずかしく感じ、曖昧な返事をしていました。
「じゃあ、山本美月に似てるから「美月ちゃん」でどう?」
「うん、いいよw」
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