生まれ変わったらしんでました

かんた

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1章 ゾンビになった日

なんか助かりました

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「…すまない、慎重な動きを心がけてたつもりだったが」




 ケロックのノドに杖を突きつけつつ、謝罪を述べるルシル。

 彼女もまた動揺していた。今までコンタクトを取ろうとは思えなかった相手、ゾンビ。それほどまでに害悪のイメージはこの世界で根深い常識として存在していた。

 これでは会話のしようもない。そう判断したルシルは右手の杖を降ろそうとした。



 ケロックは咄嗟にその手を掴んで止める。



 その手の冷たさに、思わずルシルの喉から「ヒュッ」という音が鳴るが、掴む腕に敵意を感じなかったので、もう二の鉄は踏むまいと大人しく観察することにした。

 降ろしかけた杖の先端を、ケロックは自分の額に持っていく。先程と変わらないように見えるが、その目には小さな不安と強固な意志が宿っていた。



「……油断するなと?」

「(コクコク)」


 喋り方がわからないので頷きで返すケロック。



 先ほど行った「情報開示」とこれまでのルシルの反応で、自身の立場はなんとなく理解していた。
 襲い、疫を散らし、仲間を増やす。これらが生物にとって脅威である事は血の巡らぬ頭でも容易に想像出来た。

 もしかしたら、自分はこの世界に居てはならない存在かもしれない。必要ならば未練もない内に自身の短い命を散らす事も考えていた。死んでるけど。



『スキルである私も死んじゃいますよ。まぁ所詮はスキルですし、生まれたばかりなので同じく未練はありませんが』

(苦労かけるね)

『サポートしたりないのが心残りですが、一連托生ですから』


 そんな心無い二人の心温まる会話? もあって、ケロックの意志は固まっていたのだ。正直に言うと「生まれたばかりで何すればいいかよくわかんないし説明すんのもめんどくさいってか喋れない」というもっともな理由もあった。






 そんな彼の決意という開き直りに対し、何かを感じ取ったらしいルシルは少し涙ぐんでいた。「こんなにも力のある透き通った瞳、今までで見たことあったか」とか考えていた。実際は死んだ魚のような濁った目をしていたので、何かの間違いである。



「・・・・・ほんとうに、すまない。ここまで意識がはっきりしていて、生まれた瞬間に自分の立場を理解し、自ら消えることを望む。それがどんなに辛いことなのか、長く生きてきただけの私には想像もつかない。
 君がもし、ゾンビという立場の厳しさに脅えようと、それでもなお生きたいと願うならば、出来る限りだが協力を惜しまないことを約束しよう。 
 それが今の私に出来る、せめてもの贖罪だ」



 

 ・・・・・テレレレッテレー! ケロックはパトロンを手に入れた。



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