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1章 ゾンビになった日
あんよがじょうず
しおりを挟む・これまでのあらすじ
初っぱな女泣かせの罪な男ケロック。享年10歳にしてスケコマシかよ死んでしまえ。もう死んでるけど。
とりあえず今日のところは休むといい。町医者ルシルはそう言って部屋を出て行った。
ルシルから提案されたこれからのおおまかな流れを説明するとこうだ。
⚫︎ケロックの家族にはうまくごまかす。少なくともケロック自身のことがわからないうちは、彼がゾンビであることは隠しておいたほうがいい。
⚫︎ルシルは簡単な連絡手段を考案してくる。意思の疎通が難しい現状では、何らかのアイテムを用いる必要がある。
⚫︎ルシルは神殿というところから『神眼の水晶』というアイテムを盗・・・・拝借してくる。これによって行う儀式で、一部の加護おそらくスキルのことを確認することができる。
⚫︎ケロック自身の能力を把握する。生まれたばかり? の彼には未だ存在として謎な部分が多い。ルシルよりも観察や検証をする時間は多いので、積極的に自身の感覚や動きを掴んでいく。
もちろんケロックは死んでいて、頭の血の巡りが悪いので・・・・・
(【天の声】さん記憶した?)
『スキル使いが荒いですね、そういうシステムですから別にいいんですけど』
とっても便利なスキル【天の声】に覚えてもらったのであった。
(多分今はルシルさんとやらが僕の家族? に上手く説明してくれてるだろうから、僕らはその間どうすればいいと思う?)
『とりあえず歩行練習でもしたらどうです? どのくらい動けるか把握しとくのもお約束のうちに入っていたでしょう』
(そうだね、それぐらいできないと色々と迷惑かけそうだし)
えっちらおっちらと椅子から降りて、床に足をつけた後、ゆっくりと椅子から手を離してみる。
少しふらつきはあるものの、確かに二本の足で立ててはいるようだ。
(どう?)
『この調子でしたら歩行自体に問題はなさそうですね』
(よっしゃ歩こう)
そう思い右足を上げ・・・・・ようとして体が傾いたので、あわてて足を出した。
ずだん! と音を立てて床を踏む。
(お、おおおおおおお!?)
『この一歩は小さな一歩だが、ゾンビにとっては大きな進歩である』
一人と一スキルの静かな盛り上がりに、もう一歩踏み出そうと試みる。
『前に体重をかけるんですよ』
(あっ、なるほどね)
言われた通りに体を前に傾けて・・・・・
びったーーーーーーん!!!!
ケロックは顔面ごと床に叩きつけられたのである。
(痛っ! ・・・・・くはない)
『まだ痛覚はないようですね。というより、左足を上げましたか?』
(あ、忘れてた)
踏み出す足がなければ転ぶのは必然である。どうやらまだまだ練習が必要なようだ。
ケロックが顔を上げると、鼻から何かか流れていくのを感じる。
(もしかして鼻血? 僕死んでるけど、これって止まるの?)
『称号【フレッシュイモータル】の効果により自己再生が行われるはずです。多分・・・・・』
(多分て)
(そもそも痛覚とか他の感覚スキルってどうやったら目覚めるの?)
『そもそもスキルとはその人の能力や思いが形になり、名前がつくものです。今の感覚スキルが目覚めたのに、きっかけなどがあるものと思われます』
きっかけ、ね。そう独りごちて、視覚・聴覚・触覚・平衡感覚・深部感覚、5つの感覚スキルを手に入れたときのことを、ケロックは思い返していた。
最初の感覚がわからないので、知りたいと思ったら【触覚】【平衡感覚】【深部感覚】を得た。
周りの情報が欲しいと思ったら【視覚】【聴覚】を得た。ならば・・・・・
(味覚が戻ったらうどんが食べたい)
『ただの願望じゃないですか』
(今まではその願望で感覚が戻ったんだけど、うーん、戻んないなぁ)
『急ぐ必要はないので気長に頑張りましょう』
(そうだね、正直味覚とか後回しでいいし)
「ちょっとケロちゃん何してるの!」
新たな騒動の火種が金切り声をあげた。
・用語
『心眼の水晶』
神官の儀式によって、対象の加護などを覗き見ることができる道具。
条件によって情報量が変わる。
『加護』
スキルともいう。特定のアイテムで見ることができる名前のついた能力。
神様からの贈り物とされているが、詳細は不明。
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