女子高生エリナの推理日記

Sara

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近くて遠い思い出 _01『スイーツな出会い』

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 付き合う時に比べて、別れる時は、どうしてこうもあっさりとしているのだろうか。
この時、絵里奈えりなはもうずっと30分くらい、こうしてそんなことを悶々と考えていた。

 ―――オマエみたいな女、疲れるんだよ。もう別れようぜ。

 それだけ私に言って彼が背を向けたのは今から30分ほど前。17歳の誕生日を迎えて3日目の事。休みになって彼氏の大翔とゲームセンターでデートするつもりだったのに、彼は遊ぶ機など毛頭なかったらしい。待ち合わせだった店の前で何が何だか分からないまま、私はフラれた。
 両手で溢れてくる涙をぬぐいながら、私は重い足取りで市内の大通りを歩いていた。

 ―――お前みたいな女、疲れるんだよ…。

 自分が何かしたのだろうか。身に覚えのないところを探りに探ったが、結局は分からなかった。
ただ分かったのは、自分が不要なもののような扱いをされたという事実だけだった。

 休みとあって多くの人が行きかう大通りから一本逸れた道を、私は無意識に選んで歩いていた。
昨夜の天気予報で川崎市内は晴れが一日続くと告知していた通り、頭上の天気は晴天で、雲も全くない。歩いている人々は皆きっと、今日という休みを楽しんでいるのだろう。
 しばらく歩くと、歩道の脇で街路樹の傍にあった小さなベンチを見つけて、私はそこに腰かけた。自分とは正反対のテンションを振りまく、ショップの店内ミュージックがどこか遠くの方から聞こえた。

 「帰ろっかなぁ…」

左手に付けた腕時計を見ると、針は正午前を指している。
このままここでボーっとしているよりも、自宅に帰ってのんびりした方がマシかもしれない。
そんな風にぼんやりと考えていた時だった。不意に私は顔を上げた。
 驚いたからである。突然、うつむき加減だった目の前にショートケーキが誰かの手で差し出された。不意打ちを喰らって、私こと絵里奈は目を丸くして頭上を見上げた。
 立っていたのは、黒と白のチェック柄のコックシャツを着た若い男性だった。

 「どうぞ」

 彼は一言そう言ってにこりと笑むと、ショートケーキの乗ったお皿を差し出す。
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