変人とアナニスト~イケメンCEOに求婚されましたが下半身丸出しの変態でした~

篠崎笙

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謎の変態、変態について講義する

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「ちんこだけ出して日光浴するのも充分変態っぽいけど……」

「変態?」
眼鏡が、きらりと光った。

しまった。
変態についてこだわりがあるタイプだったか。

「変態、というが。metamorphosis、Paraphilia、どちらかね?」

メタモ……? パラ……なんて?
発音が良すぎて聞き取れなかったけど。おそらく、虫の変態と、性癖の違いだろう。その二種類くらいしか知らないし。

「え、ええと、特殊性癖な方……?」
「変態とは、一般的に、通常において性的魅惑を生じないと考えられている行為や状況に対し性的興奮を覚える心理を指す、というが。君は何をもって、特殊性癖と定義している?」

何を、って。
それは。

「下半身を丸出しにするような行為……?」

「変態性欲による衝動を実行するとき、場合によっては、痴漢や変質者と呼ばれることがあるが、それは対象者が存在する場合であり、立派な犯罪である。しかし、自分の家の中で服を脱いでたからといって、変態と呼ぶのは如何なものか」

た、確かに……?
家では裸族、っていう人もいるし。雨続きで洗濯物が乾かなくて、洗いながら乾燥するのを待ってるってこともあり得るか。


★☆★☆★


「ちなみに、エッチ、というのはHENTAIの頭文字を取ったもの、という説もある。しかし過去、Hとはホモセクシャルを揶揄する言葉であったともいわれているな。昔はホモセクシャルや女装などは病気扱いで。治療の必要な精神異常者とみなされ、変態と呼ばれていたからだ」

今の時代、ホモも差別語だし。
ましてや精神異常とか変態呼びなんかしたら、ポリコレ棒持った団体がカチコミに来そうだ。
変態って、時代とかでかなり変わるんだなあ。


「では本題に戻ろう。観測者がいる条件では、君のしていた行動も、充分変態行為に値するのではないかな?」
うぐ。

「で、でも、実際現状では、あなたは不法侵入者であって、猥褻物を見せ付けられたのはこっちですよ!?」
男は、少し困ったような顔で首を傾げた。

「ふむ。以前に名乗ったはずだが、忘れたかな? 私はこういうものだ」
と、胸ポケットから名刺を出したので、反射的に両手で受け取った。

株式会社、え、エレクトリック……なんとかカンパニー、CEO?
ケンゴ・シノヅカ……篠塚賢吾、か。

そういえば、引越しのとき、名前を聞いたような……? 〆切明けだったから、あんまり記憶が……。


「話の途中だったな。……残念ながら、外から見える状態で、全裸になって窓に立っていた場合、相手に見られた時点で公然猥褻の罪にあたるのだよ」

マジで!?
窓の側を裸で通っただけで逮捕された例もあるなんて、酷い。

他人の家の中を覗く方が失礼なのに!


法の理不尽に憤りを感じていたら。
にゃあ、と猫が出てきた。ようやく落ち着いたようだ。

おお、美猫ちゃんだ。シャノンだっけ? お洒落な名前だな。


篠塚さんは、かなり高級そうな腕時計を見て。
「ああ、もうこんな時間か。では、失礼するよ。鍵はちゃんと持っているので心配は要らない」
と、猫を抱き上げ、そのままうちのドアから出ようとした。

篠塚さんちの鍵の心配は、別にしてなかったけど。


「そのまま出ちゃダメええええ!!」
とりあえず、腰に巻いてそのブツを隠すよう、大きめのバスタオルを渡した。

「ありがとう。君は親切だな。では、またあとで」

にっこりと笑う顔は、とてもハンサムな紳士なのに。
下はモロ出しなんだよね……。

できればもう、逢いたくないです……。


★☆★☆★


ううう、お隣さんに恥ずかしいとこ見られちゃった……。
というか、よく考えてみたら、ぼくも下半身丸出しだったよ! だってアナニー中だったからね!


渡された名刺の会社を検索して調べてみたら。
篠塚さんは、すごい人だったようだ。

イギリス生まれ、イギリス育ちの日系三世で。某有名大卒。
18の若さで大学の学友とインターネットの会社を立ち上げ、上場。大会社に発展させる。

イギリスの本社を学友に任せ、日本支社を設立。代表となる。


なにやらすごい賞とか貰ってるし、外国ではかなり有名な会社らしい。日本で、ぼくでも名前を聞いたことがあるような製品を開発していた。
現在35歳。若々しいなあ。

いや、下半身がじゃなくて。下半身もだけど。

手のひらを開いて正面に突き出して。
親指が十代、人差し指が二十代、という判定では十代並みだった。


そんな人が、朝一番に下半身マッパで朝日を浴びているのか……。

何で全裸じゃないんだろう?
ワイシャツに上着、ネクタイまできっちり締めて、下は丸出しって姿はおかしいと思う。靴下も履いてたし。


やっぱり、変態なのでは?


★☆★☆★


……あ、仕事のメールが入ってる。

新作は肛虐ものって指定だった。
何となく感覚はつかめたので、ネームは何とかなりそうだ。


ぼくは、エロ漫画家である。

童貞の妄想を書き殴ったら、うっかり売れてしまって。
税金対策で、億ションを購入。

それが、ぼくが身分に見合わない部屋に住んでいる理由だ。


隣の篠塚さん。
思い出した。引越しのとき、挨拶に来てくれたんだ。

引越しの挨拶にシャンパンとか持って来る人、初めて見たよ。

服装からしてあまりに自分と住む世界の違う、生まれながらのセレブっぽかったから。
今後関わることもないと思って、記憶から追い出してたんだな。

〆切明けでボケてたのもあるけど。


かっこいい人だったのにな。
残念な美形って、ああいうのを言うんだろう。
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