3 / 15
謎の変態、変態について講義する
しおりを挟む
「ちんこだけ出して日光浴するのも充分変態っぽいけど……」
「変態?」
眼鏡が、きらりと光った。
しまった。
変態についてこだわりがあるタイプだったか。
「変態、というが。metamorphosis、Paraphilia、どちらかね?」
メタモ……? パラ……なんて?
発音が良すぎて聞き取れなかったけど。おそらく、虫の変態と、性癖の違いだろう。その二種類くらいしか知らないし。
「え、ええと、特殊性癖な方……?」
「変態とは、一般的に、通常において性的魅惑を生じないと考えられている行為や状況に対し性的興奮を覚える心理を指す、というが。君は何をもって、特殊性癖と定義している?」
何を、って。
それは。
「下半身を丸出しにするような行為……?」
「変態性欲による衝動を実行するとき、場合によっては、痴漢や変質者と呼ばれることがあるが、それは対象者が存在する場合であり、立派な犯罪である。しかし、自分の家の中で服を脱いでたからといって、変態と呼ぶのは如何なものか」
た、確かに……?
家では裸族、っていう人もいるし。雨続きで洗濯物が乾かなくて、洗いながら乾燥するのを待ってるってこともあり得るか。
★☆★☆★
「ちなみに、エッチ、というのはHENTAIの頭文字を取ったもの、という説もある。しかし過去、Hとはホモセクシャルを揶揄する言葉であったともいわれているな。昔はホモセクシャルや女装などは病気扱いで。治療の必要な精神異常者とみなされ、変態と呼ばれていたからだ」
今の時代、ホモも差別語だし。
ましてや精神異常とか変態呼びなんかしたら、ポリコレ棒持った団体がカチコミに来そうだ。
変態って、時代とかでかなり変わるんだなあ。
「では本題に戻ろう。観測者がいる条件では、君のしていた行動も、充分変態行為に値するのではないかな?」
うぐ。
「で、でも、実際現状では、あなたは不法侵入者であって、猥褻物を見せ付けられたのはこっちですよ!?」
男は、少し困ったような顔で首を傾げた。
「ふむ。以前に名乗ったはずだが、忘れたかな? 私はこういうものだ」
と、胸ポケットから名刺を出したので、反射的に両手で受け取った。
株式会社、え、エレクトリック……なんとかカンパニー、CEO?
ケンゴ・シノヅカ……篠塚賢吾、か。
そういえば、引越しのとき、名前を聞いたような……? 〆切明けだったから、あんまり記憶が……。
「話の途中だったな。……残念ながら、外から見える状態で、全裸になって窓に立っていた場合、相手に見られた時点で公然猥褻の罪にあたるのだよ」
マジで!?
窓の側を裸で通っただけで逮捕された例もあるなんて、酷い。
他人の家の中を覗く方が失礼なのに!
法の理不尽に憤りを感じていたら。
にゃあ、と猫が出てきた。ようやく落ち着いたようだ。
おお、美猫ちゃんだ。シャノンだっけ? お洒落な名前だな。
篠塚さんは、かなり高級そうな腕時計を見て。
「ああ、もうこんな時間か。では、失礼するよ。鍵はちゃんと持っているので心配は要らない」
と、猫を抱き上げ、そのままうちのドアから出ようとした。
篠塚さんちの鍵の心配は、別にしてなかったけど。
「そのまま出ちゃダメええええ!!」
とりあえず、腰に巻いてそのブツを隠すよう、大きめのバスタオルを渡した。
「ありがとう。君は親切だな。では、またあとで」
にっこりと笑う顔は、とてもハンサムな紳士なのに。
下はモロ出しなんだよね……。
できればもう、逢いたくないです……。
★☆★☆★
ううう、お隣さんに恥ずかしいとこ見られちゃった……。
というか、よく考えてみたら、ぼくも下半身丸出しだったよ! だってアナニー中だったからね!
渡された名刺の会社を検索して調べてみたら。
篠塚さんは、すごい人だったようだ。
イギリス生まれ、イギリス育ちの日系三世で。某有名大卒。
18の若さで大学の学友とインターネットの会社を立ち上げ、上場。大会社に発展させる。
イギリスの本社を学友に任せ、日本支社を設立。代表となる。
なにやらすごい賞とか貰ってるし、外国ではかなり有名な会社らしい。日本で、ぼくでも名前を聞いたことがあるような製品を開発していた。
現在35歳。若々しいなあ。
いや、下半身がじゃなくて。下半身もだけど。
手のひらを開いて正面に突き出して。
親指が十代、人差し指が二十代、という判定では十代並みだった。
そんな人が、朝一番に下半身マッパで朝日を浴びているのか……。
何で全裸じゃないんだろう?
ワイシャツに上着、ネクタイまできっちり締めて、下は丸出しって姿はおかしいと思う。靴下も履いてたし。
やっぱり、変態なのでは?
★☆★☆★
……あ、仕事のメールが入ってる。
新作は肛虐ものって指定だった。
何となく感覚はつかめたので、ネームは何とかなりそうだ。
ぼくは、エロ漫画家である。
童貞の妄想を書き殴ったら、うっかり売れてしまって。
税金対策で、億ションを購入。
それが、ぼくが身分に見合わない部屋に住んでいる理由だ。
隣の篠塚さん。
思い出した。引越しのとき、挨拶に来てくれたんだ。
引越しの挨拶にシャンパンとか持って来る人、初めて見たよ。
服装からしてあまりに自分と住む世界の違う、生まれながらのセレブっぽかったから。
今後関わることもないと思って、記憶から追い出してたんだな。
〆切明けでボケてたのもあるけど。
かっこいい人だったのにな。
残念な美形って、ああいうのを言うんだろう。
「変態?」
眼鏡が、きらりと光った。
しまった。
変態についてこだわりがあるタイプだったか。
「変態、というが。metamorphosis、Paraphilia、どちらかね?」
メタモ……? パラ……なんて?
発音が良すぎて聞き取れなかったけど。おそらく、虫の変態と、性癖の違いだろう。その二種類くらいしか知らないし。
「え、ええと、特殊性癖な方……?」
「変態とは、一般的に、通常において性的魅惑を生じないと考えられている行為や状況に対し性的興奮を覚える心理を指す、というが。君は何をもって、特殊性癖と定義している?」
何を、って。
それは。
「下半身を丸出しにするような行為……?」
「変態性欲による衝動を実行するとき、場合によっては、痴漢や変質者と呼ばれることがあるが、それは対象者が存在する場合であり、立派な犯罪である。しかし、自分の家の中で服を脱いでたからといって、変態と呼ぶのは如何なものか」
た、確かに……?
家では裸族、っていう人もいるし。雨続きで洗濯物が乾かなくて、洗いながら乾燥するのを待ってるってこともあり得るか。
★☆★☆★
「ちなみに、エッチ、というのはHENTAIの頭文字を取ったもの、という説もある。しかし過去、Hとはホモセクシャルを揶揄する言葉であったともいわれているな。昔はホモセクシャルや女装などは病気扱いで。治療の必要な精神異常者とみなされ、変態と呼ばれていたからだ」
今の時代、ホモも差別語だし。
ましてや精神異常とか変態呼びなんかしたら、ポリコレ棒持った団体がカチコミに来そうだ。
変態って、時代とかでかなり変わるんだなあ。
「では本題に戻ろう。観測者がいる条件では、君のしていた行動も、充分変態行為に値するのではないかな?」
うぐ。
「で、でも、実際現状では、あなたは不法侵入者であって、猥褻物を見せ付けられたのはこっちですよ!?」
男は、少し困ったような顔で首を傾げた。
「ふむ。以前に名乗ったはずだが、忘れたかな? 私はこういうものだ」
と、胸ポケットから名刺を出したので、反射的に両手で受け取った。
株式会社、え、エレクトリック……なんとかカンパニー、CEO?
ケンゴ・シノヅカ……篠塚賢吾、か。
そういえば、引越しのとき、名前を聞いたような……? 〆切明けだったから、あんまり記憶が……。
「話の途中だったな。……残念ながら、外から見える状態で、全裸になって窓に立っていた場合、相手に見られた時点で公然猥褻の罪にあたるのだよ」
マジで!?
窓の側を裸で通っただけで逮捕された例もあるなんて、酷い。
他人の家の中を覗く方が失礼なのに!
法の理不尽に憤りを感じていたら。
にゃあ、と猫が出てきた。ようやく落ち着いたようだ。
おお、美猫ちゃんだ。シャノンだっけ? お洒落な名前だな。
篠塚さんは、かなり高級そうな腕時計を見て。
「ああ、もうこんな時間か。では、失礼するよ。鍵はちゃんと持っているので心配は要らない」
と、猫を抱き上げ、そのままうちのドアから出ようとした。
篠塚さんちの鍵の心配は、別にしてなかったけど。
「そのまま出ちゃダメええええ!!」
とりあえず、腰に巻いてそのブツを隠すよう、大きめのバスタオルを渡した。
「ありがとう。君は親切だな。では、またあとで」
にっこりと笑う顔は、とてもハンサムな紳士なのに。
下はモロ出しなんだよね……。
できればもう、逢いたくないです……。
★☆★☆★
ううう、お隣さんに恥ずかしいとこ見られちゃった……。
というか、よく考えてみたら、ぼくも下半身丸出しだったよ! だってアナニー中だったからね!
渡された名刺の会社を検索して調べてみたら。
篠塚さんは、すごい人だったようだ。
イギリス生まれ、イギリス育ちの日系三世で。某有名大卒。
18の若さで大学の学友とインターネットの会社を立ち上げ、上場。大会社に発展させる。
イギリスの本社を学友に任せ、日本支社を設立。代表となる。
なにやらすごい賞とか貰ってるし、外国ではかなり有名な会社らしい。日本で、ぼくでも名前を聞いたことがあるような製品を開発していた。
現在35歳。若々しいなあ。
いや、下半身がじゃなくて。下半身もだけど。
手のひらを開いて正面に突き出して。
親指が十代、人差し指が二十代、という判定では十代並みだった。
そんな人が、朝一番に下半身マッパで朝日を浴びているのか……。
何で全裸じゃないんだろう?
ワイシャツに上着、ネクタイまできっちり締めて、下は丸出しって姿はおかしいと思う。靴下も履いてたし。
やっぱり、変態なのでは?
★☆★☆★
……あ、仕事のメールが入ってる。
新作は肛虐ものって指定だった。
何となく感覚はつかめたので、ネームは何とかなりそうだ。
ぼくは、エロ漫画家である。
童貞の妄想を書き殴ったら、うっかり売れてしまって。
税金対策で、億ションを購入。
それが、ぼくが身分に見合わない部屋に住んでいる理由だ。
隣の篠塚さん。
思い出した。引越しのとき、挨拶に来てくれたんだ。
引越しの挨拶にシャンパンとか持って来る人、初めて見たよ。
服装からしてあまりに自分と住む世界の違う、生まれながらのセレブっぽかったから。
今後関わることもないと思って、記憶から追い出してたんだな。
〆切明けでボケてたのもあるけど。
かっこいい人だったのにな。
残念な美形って、ああいうのを言うんだろう。
19
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる