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華麗なる少年王の半生
さらば、美貌の近衛騎士よ
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「父上の遺言で、竜を打ち倒した暁には、褒美として勇者に何なりと望みを叶えてやるよう言われている。アルベルト、お前には何か欲しいものは無いのか?」
「欲しいもの……、」
呟いて。
僅かだが。
アルベルトの表情が変わった。
おお。
珍しいな。反応したぞ!
アルベルトは何だか悩ましい表情をしている。
普段は無欲なように振舞ってはいるが。実は、叶えて欲しい望みでもあるのか?
実は下剋上のチャンスを狙っていて、王座が欲しいとか。
*****
この美貌の近衛騎士は、何が望みなんだろう。
マイクロビキニみたいな際どい衣装の妖艶なお姉ちゃんを集めたうっふんハーレムを作りたい! 的なムッツリスケベだったりして。
せめてそのくらい俗っぽいところを見せてくれれば、俺もアルベルトに対して1ナノメートルくらいは親近感を持てるのだが。
さすがにそれはないか。
非の打ち所のない聖人キャラとか、何を考えてるのかわからなくて怖いんだよな。
頼む、実は俗物であってくれ!
……いや、自分と同じステージに落としたいんじゃなくて。
ゲス仲間が欲しいんだよね!
周囲が真面目君ばかりじゃ、下ネタも振れやしない。
どのみち今の俺のキャラ的に下ネタなんて振れないし、リアルで猥談とかしたこともなかったけど。
アルベルトは実は百年の恋も醒めるくらいのド変態だったりすると、俺の好感度が爆発的に上がること間違いなしである。
俺の好感度が爆ageしたところで、アルベルトにとっていいことは特にないのだが。
むしろ周囲の好感度が急降下。やったね!
「望みを……何でも、ですか?」
真顔で悩んでいる。
おお。どうやらアルベルトには本当に、叶えて欲しい願いがあるようだ。
よっしゃ、揺れてるな?
じゃあ、更にダメ押しだ。
お前の欲望を、ほとばしるリビドーを見せてみろ。
喰らいやがれ、出血大サービス!
「ああ。私の大事な妹姫を花嫁に望もうが、次の国王の座を望もうが。私が実現できる願いならば、何でもだ」
力強く、頷いてみせた。
*****
勇者が現れたら、国王の座を望んでくれないかな。
そしたら大勢の国民の人命を預かる、なんていう重責から逃れられて。
ただのイケメンとして、自由に暮らせるだろう。
あと2、3年もすれば、線の細い美少年な俺だって、いい加減もう少し成長する……と思う。思いたい。
両親ともに美形だったし。
どっち似に育とうが、美青年になることは間違いない。
頑張って鍛えて、いい感じに筋肉もつけて。細マッチョな美形路線もアリっちゃアリか。
結婚までは、清らかなカラダでいないといけないようだが。
それって逆に言えば、結婚さえすればヤりたい放題ってことだよな?
下町へ行って、可愛い町娘と恋とかしたりして。
他国の姫に見初められて結婚したり。
可愛い女の子と純愛ロマンスもいいが、お金持ちのお姉さまの若いツバメになるのもいいかもしれない。
とにかく働きたくないでござる!
などとろくでもない妄想をしていたら。
いつの間にか、隣にいたはずのアルベルトが消えていて。
定位置には近衛騎士のヴァルター・イエルクが困惑顔で立っていた。
こいつも近衛騎士なので、まあまあ顔は良い方だが。
アルベルトには遠く及ばないので、俺的に安牌である。
俺は、敵ではない相手には友好的なのだ。
「ヴァルター、アルベルトはどこに行った?」
「つい先ほど、護衛の引継ぎを頼まれまして。何やらかなり急いだ様子で出て行きましたが……」
へえ、あの真面目なアルベルトが途中で誰かと仕事を交代するなんて珍しいな。
雪でも降るんじゃなかろうか。
それともトイレか?
悩んでいるように見えたのは、あらぬ場所が決壊寸前だったせいだったのか?
*****
てっきり腹でも壊したのかと思ったが。
アルベルトは、兵たちが国民に通達するよりも早く、リリエンベルグへ向かって猛ダッシュで馬を走らせ。
一番乗りで聖剣ぶっこ抜きチャレンジをしていたのだった。
そして見事、聖剣を引き抜いてみせたという。
行動早っ!
それでもって。
いつの間にか、近衛騎士から勇者へと華麗にクラスチェンジしていた。
あのアルベルトに、そこまでして叶えて欲しい、強い願いがあったとは驚きだ。
さようなら、俺の近衛騎士。
そしてようこそ、救世の勇者殿。
行ってらっしゃいドラゴン退治へ。
くっそ、アルベルトが勇者だって知ってれば。
聖剣引っこ抜くとこ見たかったのに! なんか抜かれた途端、剣が光ったらしいし。
ご主人様に黙って行くなよ! 職務怠慢だぞこの野郎!
父上も、アルベルトが勇者だったとまでは予言でわからなかったのか?
知ってたら、教えてくれたらいいのに。
*****
そんなこんなで。
元国王の近衛騎士であり、現勇者・アルベルトの旅立ちの日が来たのだった。
近衛騎士のきらびやかな衣装から、実用的な勇者の鎧に着替えたアルベルトは、俺の前に跪き、引っこ抜いてきた聖剣を捧げ持った。
勇者が国王に聖剣を捧げ、国王が勇者に聖剣を賜る、とかいう儀式である。
全国民から期待の視線を受けても、一切表情が変わらないのがすごい。
プレッシャー半端ないだろこれ。
俺は他人事にように見てるから何とか耐えられるけど。
「欲しいもの……、」
呟いて。
僅かだが。
アルベルトの表情が変わった。
おお。
珍しいな。反応したぞ!
アルベルトは何だか悩ましい表情をしている。
普段は無欲なように振舞ってはいるが。実は、叶えて欲しい望みでもあるのか?
実は下剋上のチャンスを狙っていて、王座が欲しいとか。
*****
この美貌の近衛騎士は、何が望みなんだろう。
マイクロビキニみたいな際どい衣装の妖艶なお姉ちゃんを集めたうっふんハーレムを作りたい! 的なムッツリスケベだったりして。
せめてそのくらい俗っぽいところを見せてくれれば、俺もアルベルトに対して1ナノメートルくらいは親近感を持てるのだが。
さすがにそれはないか。
非の打ち所のない聖人キャラとか、何を考えてるのかわからなくて怖いんだよな。
頼む、実は俗物であってくれ!
……いや、自分と同じステージに落としたいんじゃなくて。
ゲス仲間が欲しいんだよね!
周囲が真面目君ばかりじゃ、下ネタも振れやしない。
どのみち今の俺のキャラ的に下ネタなんて振れないし、リアルで猥談とかしたこともなかったけど。
アルベルトは実は百年の恋も醒めるくらいのド変態だったりすると、俺の好感度が爆発的に上がること間違いなしである。
俺の好感度が爆ageしたところで、アルベルトにとっていいことは特にないのだが。
むしろ周囲の好感度が急降下。やったね!
「望みを……何でも、ですか?」
真顔で悩んでいる。
おお。どうやらアルベルトには本当に、叶えて欲しい願いがあるようだ。
よっしゃ、揺れてるな?
じゃあ、更にダメ押しだ。
お前の欲望を、ほとばしるリビドーを見せてみろ。
喰らいやがれ、出血大サービス!
「ああ。私の大事な妹姫を花嫁に望もうが、次の国王の座を望もうが。私が実現できる願いならば、何でもだ」
力強く、頷いてみせた。
*****
勇者が現れたら、国王の座を望んでくれないかな。
そしたら大勢の国民の人命を預かる、なんていう重責から逃れられて。
ただのイケメンとして、自由に暮らせるだろう。
あと2、3年もすれば、線の細い美少年な俺だって、いい加減もう少し成長する……と思う。思いたい。
両親ともに美形だったし。
どっち似に育とうが、美青年になることは間違いない。
頑張って鍛えて、いい感じに筋肉もつけて。細マッチョな美形路線もアリっちゃアリか。
結婚までは、清らかなカラダでいないといけないようだが。
それって逆に言えば、結婚さえすればヤりたい放題ってことだよな?
下町へ行って、可愛い町娘と恋とかしたりして。
他国の姫に見初められて結婚したり。
可愛い女の子と純愛ロマンスもいいが、お金持ちのお姉さまの若いツバメになるのもいいかもしれない。
とにかく働きたくないでござる!
などとろくでもない妄想をしていたら。
いつの間にか、隣にいたはずのアルベルトが消えていて。
定位置には近衛騎士のヴァルター・イエルクが困惑顔で立っていた。
こいつも近衛騎士なので、まあまあ顔は良い方だが。
アルベルトには遠く及ばないので、俺的に安牌である。
俺は、敵ではない相手には友好的なのだ。
「ヴァルター、アルベルトはどこに行った?」
「つい先ほど、護衛の引継ぎを頼まれまして。何やらかなり急いだ様子で出て行きましたが……」
へえ、あの真面目なアルベルトが途中で誰かと仕事を交代するなんて珍しいな。
雪でも降るんじゃなかろうか。
それともトイレか?
悩んでいるように見えたのは、あらぬ場所が決壊寸前だったせいだったのか?
*****
てっきり腹でも壊したのかと思ったが。
アルベルトは、兵たちが国民に通達するよりも早く、リリエンベルグへ向かって猛ダッシュで馬を走らせ。
一番乗りで聖剣ぶっこ抜きチャレンジをしていたのだった。
そして見事、聖剣を引き抜いてみせたという。
行動早っ!
それでもって。
いつの間にか、近衛騎士から勇者へと華麗にクラスチェンジしていた。
あのアルベルトに、そこまでして叶えて欲しい、強い願いがあったとは驚きだ。
さようなら、俺の近衛騎士。
そしてようこそ、救世の勇者殿。
行ってらっしゃいドラゴン退治へ。
くっそ、アルベルトが勇者だって知ってれば。
聖剣引っこ抜くとこ見たかったのに! なんか抜かれた途端、剣が光ったらしいし。
ご主人様に黙って行くなよ! 職務怠慢だぞこの野郎!
父上も、アルベルトが勇者だったとまでは予言でわからなかったのか?
知ってたら、教えてくれたらいいのに。
*****
そんなこんなで。
元国王の近衛騎士であり、現勇者・アルベルトの旅立ちの日が来たのだった。
近衛騎士のきらびやかな衣装から、実用的な勇者の鎧に着替えたアルベルトは、俺の前に跪き、引っこ抜いてきた聖剣を捧げ持った。
勇者が国王に聖剣を捧げ、国王が勇者に聖剣を賜る、とかいう儀式である。
全国民から期待の視線を受けても、一切表情が変わらないのがすごい。
プレッシャー半端ないだろこれ。
俺は他人事にように見てるから何とか耐えられるけど。
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