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華麗なる少年王の半生
美貌の勇者、アルベルトの帰還
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「通信兵より伝令! 勇者一行、城門前に転移!」
「通信兵より伝令が参りました。勇者一行、城門前に転移とのことです」
伝令を伝えた兵と同じ言葉を近衛騎士が繰り返す。
聴覚はわりと良い方だし。普通に聞こえる距離なんだが。
身分がなんちゃらで、位の低い兵は王に直接言葉を伝えてはいけないことになっているのだ。
面倒くさいので、早々に無くしたい伝統である。
王室関係の決まり事って、無駄なの多すぎるんだよな。
……って。
転移って言ったよな?
転移魔法は、よほどのことがなければ使われない。
最後の手段みたいなものだ。
だから、勇者一行はズューデン・ヴルカンの手前の村まで馬車で旅立ったんだし。
まさか。
大怪我でも負ったとか……?
*****
「勇者の帰還により、今日の予定は全て白紙にしろ!」
並んでいた大臣に、授与式の予定を立てるように言って。
王の間を飛び出した。
「へ、陛下!?」
ヴァルターはじめ、近衛騎士たちが慌てて追ってくる。
……胸騒ぎがする。
俺には先王のような星見の力は無いが。
急いで行かないといけない予感がする。
騒ぎを聞きつけて、教会から出て来たリーゼロッテと合流して。
女近衛騎士も一緒に城門へ向かった。
やはりリーゼロッテも、嫌な予感がすると言う。
急いで城門前に行くと。大勢の人垣が出来ていた。
嘆きのような声。
まさか。
「アルベルトは? 無事か!?」
俺の声に。
モーゼみたいに人垣がざあっと避けていく。
「ひ……っ、」
血だらけの人が倒れているのが見えて。リーゼロッテが息を呑んだ。
赤いマントの男が、倒れた人の前に跪いている。
汚れて、かなり煤けてはいるが。
見覚えのある、あのアッシュブロンド。
あれは、間違いなく。
「アルベルト……?」
声を掛けると。
アルベルトは、よろめきながらも立ち上がり。
こちらを振り返った。
それを見て。
リーゼロッテが言葉もなく気を失って。
それを女近衛騎士が支えるのが横目に見えたが。
それよりも。
目の前の光景から、目が離せない。
勇者になった、俺の、美貌の近衛騎士は。
包帯の下からもその惨状がわかるほど。
その美しかった顔に、見るも無惨な傷を負っていたのだ。
*****
血に染まった包帯に、竦む足を、どうにか進ませて。
アルベルトに歩み寄る。
「アルベルト、すぐに手当てを、」
「いえ、どうか、私よりも、彼らを先にお願いいたします……!」
倒れている者達を示した。
勇者アルベルトとその仲間たちは、三日三晩続いた死闘の末、暴竜バルバルスをどうにか斃したものの。
死に際の攻撃により、瀕死の重傷を負ってしまったという。
ええと、こっちのフード姿が我が国一の攻撃魔法の使い手、魔法使いマルセル・ユーベルヴェーク。
ローブ姿が国一番の回復魔法の使い手、僧侶クラウス・ワーナー。
二人とも、すぐに処置しないと危険な状態だ。
国一番の回復魔法の使い手がこれでは、神聖魔法が使える俺がやるしかなさそうだ。
「Ne infernorum ictibus graventur……」
二人の前に立ち、呪文を唱える。
「陛下、すぐに僧侶を呼びますので。御手を煩わせるわけには、」
他の近衛騎士が止めようとしたが。
手を振って追い払う。
うっせえ、身分とか立場とか、四の五の言ってられるか。
人命が掛かってるんだ。
大切な、俺の国民だぞ。
それも、こいつらは国の平和を守るために戦いに行って、こんな大怪我をしたんだ。
国王である俺が助けなくてどうするってんだ。
絶対、死なせないからな。
*****
「……Sed cum beatis tua prece vocentur……sānātīvus」
光が、二人を包み。傷が癒えていく。
神聖魔法で二人を回復させると。
観衆から感嘆の声が上がった。
致命傷は治したが。かなり衰弱しているようだ。
魔力切れでも起こしてるのか?
「彼らを治療院へ運べ!」
兵に命じて。
ここでの病院のような場所に運ばせる。
あれ?
「……一人、足りないのではないか?」
確か、国一番の力自慢。
戦士ランベルト・クラインベックだったっけ?
アルベルトは、悲痛な声で言った。
「戦士ランベルトは、……戦いの最中に、命を落としました」
そんな。
「蘇生魔法があるだろう!?」
そのために、国で一番能力が高い回復役を同行させたんじゃないか。
万が一のことを考えて。
「それが、蘇生に失敗し、灰に……」
蘇生に失敗して、灰になったって?
カント寺院じゃあるまいし。
じゃあ。
蘇生に失敗するほどの損傷を受けたのか。
欠損が多いと、成功する確率が下がる。
五体満足なら100%。
手足が欠けたくらいでも90~80%は蘇生に成功するが。
骨だけとか、三分の一以上欠損していると、成功率は10%以下になる。
僧侶の技量もかなり左右する。
だから、大臣に反対されても、国一番の僧侶を連れて行かせたのに。
*****
「とにかく、来い」
アルベルトの手を引く。
ここで回復魔法をかけてもよかったが。
観衆の目が。
アルベルトの顔……、その、無惨な傷に集まっている。
俺の騎士に。
これ以上、そんな視線を受けさせたくなかった。
「通信兵より伝令が参りました。勇者一行、城門前に転移とのことです」
伝令を伝えた兵と同じ言葉を近衛騎士が繰り返す。
聴覚はわりと良い方だし。普通に聞こえる距離なんだが。
身分がなんちゃらで、位の低い兵は王に直接言葉を伝えてはいけないことになっているのだ。
面倒くさいので、早々に無くしたい伝統である。
王室関係の決まり事って、無駄なの多すぎるんだよな。
……って。
転移って言ったよな?
転移魔法は、よほどのことがなければ使われない。
最後の手段みたいなものだ。
だから、勇者一行はズューデン・ヴルカンの手前の村まで馬車で旅立ったんだし。
まさか。
大怪我でも負ったとか……?
*****
「勇者の帰還により、今日の予定は全て白紙にしろ!」
並んでいた大臣に、授与式の予定を立てるように言って。
王の間を飛び出した。
「へ、陛下!?」
ヴァルターはじめ、近衛騎士たちが慌てて追ってくる。
……胸騒ぎがする。
俺には先王のような星見の力は無いが。
急いで行かないといけない予感がする。
騒ぎを聞きつけて、教会から出て来たリーゼロッテと合流して。
女近衛騎士も一緒に城門へ向かった。
やはりリーゼロッテも、嫌な予感がすると言う。
急いで城門前に行くと。大勢の人垣が出来ていた。
嘆きのような声。
まさか。
「アルベルトは? 無事か!?」
俺の声に。
モーゼみたいに人垣がざあっと避けていく。
「ひ……っ、」
血だらけの人が倒れているのが見えて。リーゼロッテが息を呑んだ。
赤いマントの男が、倒れた人の前に跪いている。
汚れて、かなり煤けてはいるが。
見覚えのある、あのアッシュブロンド。
あれは、間違いなく。
「アルベルト……?」
声を掛けると。
アルベルトは、よろめきながらも立ち上がり。
こちらを振り返った。
それを見て。
リーゼロッテが言葉もなく気を失って。
それを女近衛騎士が支えるのが横目に見えたが。
それよりも。
目の前の光景から、目が離せない。
勇者になった、俺の、美貌の近衛騎士は。
包帯の下からもその惨状がわかるほど。
その美しかった顔に、見るも無惨な傷を負っていたのだ。
*****
血に染まった包帯に、竦む足を、どうにか進ませて。
アルベルトに歩み寄る。
「アルベルト、すぐに手当てを、」
「いえ、どうか、私よりも、彼らを先にお願いいたします……!」
倒れている者達を示した。
勇者アルベルトとその仲間たちは、三日三晩続いた死闘の末、暴竜バルバルスをどうにか斃したものの。
死に際の攻撃により、瀕死の重傷を負ってしまったという。
ええと、こっちのフード姿が我が国一の攻撃魔法の使い手、魔法使いマルセル・ユーベルヴェーク。
ローブ姿が国一番の回復魔法の使い手、僧侶クラウス・ワーナー。
二人とも、すぐに処置しないと危険な状態だ。
国一番の回復魔法の使い手がこれでは、神聖魔法が使える俺がやるしかなさそうだ。
「Ne infernorum ictibus graventur……」
二人の前に立ち、呪文を唱える。
「陛下、すぐに僧侶を呼びますので。御手を煩わせるわけには、」
他の近衛騎士が止めようとしたが。
手を振って追い払う。
うっせえ、身分とか立場とか、四の五の言ってられるか。
人命が掛かってるんだ。
大切な、俺の国民だぞ。
それも、こいつらは国の平和を守るために戦いに行って、こんな大怪我をしたんだ。
国王である俺が助けなくてどうするってんだ。
絶対、死なせないからな。
*****
「……Sed cum beatis tua prece vocentur……sānātīvus」
光が、二人を包み。傷が癒えていく。
神聖魔法で二人を回復させると。
観衆から感嘆の声が上がった。
致命傷は治したが。かなり衰弱しているようだ。
魔力切れでも起こしてるのか?
「彼らを治療院へ運べ!」
兵に命じて。
ここでの病院のような場所に運ばせる。
あれ?
「……一人、足りないのではないか?」
確か、国一番の力自慢。
戦士ランベルト・クラインベックだったっけ?
アルベルトは、悲痛な声で言った。
「戦士ランベルトは、……戦いの最中に、命を落としました」
そんな。
「蘇生魔法があるだろう!?」
そのために、国で一番能力が高い回復役を同行させたんじゃないか。
万が一のことを考えて。
「それが、蘇生に失敗し、灰に……」
蘇生に失敗して、灰になったって?
カント寺院じゃあるまいし。
じゃあ。
蘇生に失敗するほどの損傷を受けたのか。
欠損が多いと、成功する確率が下がる。
五体満足なら100%。
手足が欠けたくらいでも90~80%は蘇生に成功するが。
骨だけとか、三分の一以上欠損していると、成功率は10%以下になる。
僧侶の技量もかなり左右する。
だから、大臣に反対されても、国一番の僧侶を連れて行かせたのに。
*****
「とにかく、来い」
アルベルトの手を引く。
ここで回復魔法をかけてもよかったが。
観衆の目が。
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これ以上、そんな視線を受けさせたくなかった。
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