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華麗なる少年王の半生
褒章授与式にて、美貌の勇者が望むもの
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「勇者アルベルト・フォン・ロイエンタール、前へ」
盛大な拍手と歓声が湧き上がる中。
アルベルトは深紅のマントを翻し、王座の前に足を進めた。
着ていた鎧はボロボロだったので、新しく誂えたピカピカの鎧を身に着けて。
腰には聖剣ヴァルムントを佩いている。
だが、アルベルトの顔に残ってしまった傷跡を見て。
あちこちから嘆いたり、残念がる声が聞こえた。
傷があっても、かっこいいと思うけどなあ。
主人公の顔に傷って、少年漫画ではよく見るし。
……いや、俺の人生は俺が主人公だよな!?
アルベルト自身は、観衆の嘆きもなんのその。
涼しい顔で跪いている。
凄いよな。
俺なんか心臓バックバクだ。
世界中の人が見てるんだぞ、これ。
*****
ドラゴン退治のMVPである勇者アルベルトには、我が国最高の勲章である、特級勲章が与えられる。
宝石がキラキラして綺麗だ。
国王自らの手で、勇者のマントを留めている肩飾りの下に、勲章をつけてやる。
そして、予言により決められている台詞を言う。
「救国の勇者、アルベルト・フォン・ロイエンタール。そなたは我が国だけでなく、この世界をも救った英雄である。何なりと褒美を望むがいい。私が実現可能な望みであれば、叶えよう」
我が妹姫でありディートヘルムの花の妖精、リーゼロッテを花嫁に望むんだろ?
うんうん、知ってた。
もちろん、リーゼロッテの意思も確認するつもりだが。
どうせ両思いだし、何の問題もないだろう。
長年両片思いを持て余してた二人だ。
思わず盛り上がっちゃって、この場でチューとかしちゃったりして。
ヒューヒュー。
世界中継だぞ自重しろ。お幸せに!
兄ちゃん、晴れ晴れとした気持ちでリーゼロッテをお嫁に出すぞ。
でも、たぶん泣いちゃう。だって俺ロリコ……じゃなかった、シスコンだもの。
王座の前で跪いていたアルベルトは、立ち上がって。
凄い速さで俺の目の前に来たと思ったら。
俺の手を、がしっと掴んだ。
……え?
何で俺の腰に手を回してるんだ、お前。
何だか女性をエスコートしてるみたいな感じだな、と困惑していると。
アルベルトは、今まで見たことがないような、何ともいえない表情をして、俺を見て。
それから、皆の方を向いて。
王の間全体によく通る美声で、高らかに告げたのだった。
「私の願いはただ一つ。我が主、クリスティアン・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルム陛下を花嫁に望みます」
*****
……はい?
誰が。
誰を、花嫁に望むって?
何だか、リーゼロッテじゃない他の誰かの名前が聞こえたような気がするけど。
俺の名前に似てたような気がするけど。
気のせいかな?
うん、多分気のせいだ。
幻聴に決まってる。
だって。いくら俺が美少年でも、男同士ですし。そんな恋愛フラグとか立てた覚えもないですし。
今までお前、そういった態度も取ってなかった、よな?
やはり気のせいだったんだ。そうに違いない。
王様稼業が忙しくて、今頃疲れが出て来たのかな?
辺りはしん、と静まり返っている。
視線だけで周りを見回したら。
皆、あんぐりと口を開けて驚愕していた。
まあ、当たり前だよね!
俺も危うく変顔してしまうところだったよ!
「貴方ですよ、陛下。どうか、私の花嫁になってください」
「わ、」
手をぐいっと引かれ。
更に腰を引き寄せられて。
アルベルトの顔が、ドアップになる。
傷跡で美貌が損なわれるどころか。むしろ何だか凄みを増して、男前が上がった気がする。
やっぱり綺麗な目してるよなあ、などと感心している場合ではなかった。
*****
「んむ、」
いきなり、むにゅっとやわらかいもので口を塞がれた。
それがアルベルトの唇だということは。
視界いっぱいに接近しているアルベルトの顔で理解できた。
アルベルトは目を閉じているので、綺麗な青藤色の目は見えない。
あ、睫毛長い。
ほんとどこもかしこも完璧に綺麗でムカつくわこいつ。
混乱しつつ、頭の片隅で。
案外男の唇ってやわらかいんだな、と思った。
父上や母上、リーゼロッテから頬にキスをされたことはあった。
騎士から、手袋越しに手の甲にキスをされたことも。
でもそれは、触れるだけの軽いやつで。
あくまでも挨拶、儀礼または親愛の情を伝えるためのものである。
前世から現在まで、口にチューされたことは一度たりともない。
しかも、こんなにガッツリと。
いくらアルベルトが見惚れるほどの美形といえど。
性別は、自分と同じ男である。
まさか自分が美少年に転生したからといって、ちんこついた相手にこんなことをされるとは予想外過ぎた。
同じ日曜日だけど、ジャンルが違うよ! ってコミケちゃうわ!
ああ、魅力過ぎる俺が罪深いのか……って。
ないわ!
最高権力者だぞ、俺!
不敬罪じゃないのこれ!?
何でこんなことになったんだ!? 誰もストップかけないし!
冗談だよな?
どっきりか何かだって言ってよ!
*****
かくして。
全世界のご家庭の鏡にこの授与式が映し出されている、いわば世界中継だというのに。
長年俺の近衛騎士を務めてきた、いわば元部下である救世の勇者アルベルトによって。
衆人環視の中。王様である俺は。
易々とファーストキスを奪われてしまったのだった。
何だこの羞恥プレイ!?
盛大な拍手と歓声が湧き上がる中。
アルベルトは深紅のマントを翻し、王座の前に足を進めた。
着ていた鎧はボロボロだったので、新しく誂えたピカピカの鎧を身に着けて。
腰には聖剣ヴァルムントを佩いている。
だが、アルベルトの顔に残ってしまった傷跡を見て。
あちこちから嘆いたり、残念がる声が聞こえた。
傷があっても、かっこいいと思うけどなあ。
主人公の顔に傷って、少年漫画ではよく見るし。
……いや、俺の人生は俺が主人公だよな!?
アルベルト自身は、観衆の嘆きもなんのその。
涼しい顔で跪いている。
凄いよな。
俺なんか心臓バックバクだ。
世界中の人が見てるんだぞ、これ。
*****
ドラゴン退治のMVPである勇者アルベルトには、我が国最高の勲章である、特級勲章が与えられる。
宝石がキラキラして綺麗だ。
国王自らの手で、勇者のマントを留めている肩飾りの下に、勲章をつけてやる。
そして、予言により決められている台詞を言う。
「救国の勇者、アルベルト・フォン・ロイエンタール。そなたは我が国だけでなく、この世界をも救った英雄である。何なりと褒美を望むがいい。私が実現可能な望みであれば、叶えよう」
我が妹姫でありディートヘルムの花の妖精、リーゼロッテを花嫁に望むんだろ?
うんうん、知ってた。
もちろん、リーゼロッテの意思も確認するつもりだが。
どうせ両思いだし、何の問題もないだろう。
長年両片思いを持て余してた二人だ。
思わず盛り上がっちゃって、この場でチューとかしちゃったりして。
ヒューヒュー。
世界中継だぞ自重しろ。お幸せに!
兄ちゃん、晴れ晴れとした気持ちでリーゼロッテをお嫁に出すぞ。
でも、たぶん泣いちゃう。だって俺ロリコ……じゃなかった、シスコンだもの。
王座の前で跪いていたアルベルトは、立ち上がって。
凄い速さで俺の目の前に来たと思ったら。
俺の手を、がしっと掴んだ。
……え?
何で俺の腰に手を回してるんだ、お前。
何だか女性をエスコートしてるみたいな感じだな、と困惑していると。
アルベルトは、今まで見たことがないような、何ともいえない表情をして、俺を見て。
それから、皆の方を向いて。
王の間全体によく通る美声で、高らかに告げたのだった。
「私の願いはただ一つ。我が主、クリスティアン・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルム陛下を花嫁に望みます」
*****
……はい?
誰が。
誰を、花嫁に望むって?
何だか、リーゼロッテじゃない他の誰かの名前が聞こえたような気がするけど。
俺の名前に似てたような気がするけど。
気のせいかな?
うん、多分気のせいだ。
幻聴に決まってる。
だって。いくら俺が美少年でも、男同士ですし。そんな恋愛フラグとか立てた覚えもないですし。
今までお前、そういった態度も取ってなかった、よな?
やはり気のせいだったんだ。そうに違いない。
王様稼業が忙しくて、今頃疲れが出て来たのかな?
辺りはしん、と静まり返っている。
視線だけで周りを見回したら。
皆、あんぐりと口を開けて驚愕していた。
まあ、当たり前だよね!
俺も危うく変顔してしまうところだったよ!
「貴方ですよ、陛下。どうか、私の花嫁になってください」
「わ、」
手をぐいっと引かれ。
更に腰を引き寄せられて。
アルベルトの顔が、ドアップになる。
傷跡で美貌が損なわれるどころか。むしろ何だか凄みを増して、男前が上がった気がする。
やっぱり綺麗な目してるよなあ、などと感心している場合ではなかった。
*****
「んむ、」
いきなり、むにゅっとやわらかいもので口を塞がれた。
それがアルベルトの唇だということは。
視界いっぱいに接近しているアルベルトの顔で理解できた。
アルベルトは目を閉じているので、綺麗な青藤色の目は見えない。
あ、睫毛長い。
ほんとどこもかしこも完璧に綺麗でムカつくわこいつ。
混乱しつつ、頭の片隅で。
案外男の唇ってやわらかいんだな、と思った。
父上や母上、リーゼロッテから頬にキスをされたことはあった。
騎士から、手袋越しに手の甲にキスをされたことも。
でもそれは、触れるだけの軽いやつで。
あくまでも挨拶、儀礼または親愛の情を伝えるためのものである。
前世から現在まで、口にチューされたことは一度たりともない。
しかも、こんなにガッツリと。
いくらアルベルトが見惚れるほどの美形といえど。
性別は、自分と同じ男である。
まさか自分が美少年に転生したからといって、ちんこついた相手にこんなことをされるとは予想外過ぎた。
同じ日曜日だけど、ジャンルが違うよ! ってコミケちゃうわ!
ああ、魅力過ぎる俺が罪深いのか……って。
ないわ!
最高権力者だぞ、俺!
不敬罪じゃないのこれ!?
何でこんなことになったんだ!? 誰もストップかけないし!
冗談だよな?
どっきりか何かだって言ってよ!
*****
かくして。
全世界のご家庭の鏡にこの授与式が映し出されている、いわば世界中継だというのに。
長年俺の近衛騎士を務めてきた、いわば元部下である救世の勇者アルベルトによって。
衆人環視の中。王様である俺は。
易々とファーストキスを奪われてしまったのだった。
何だこの羞恥プレイ!?
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