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華麗なる少年王の半生

麗しき少年王、美貌の勇者の伴侶に望まれる

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たっぷり数分間。
チューされていたのではないかと思われる。


あまりのことに、頭の中は真っ白になり。
反応も出来ず、ただ呆然としている俺の耳に。

盛大な拍手と。
おめでとうコールが聞こえたのだった。


おめでとう、お幸せに、じゃねえわ!

俺はこいつと結婚するって返事してないし!
少しもめでたくないっつーの!!


つーか、何で祝福されちゃってんの、俺?

というか、俺と、アルベルトが。
今まで、そんな前振りあったか? なかったでしょ!?


うわ、母上、何で笑顔で拍手してるんだよ?
ここは母親として、反対するところじゃないのか?

ちょ、リーゼロッテまで! 何で嬉しそうに手を叩いて祝福してくれちゃってるのかな!?
アルベルトに2000%LOVEしちゃってたんじゃなかったのかよ!

今まで見たこともなかったような、そんな満面の笑顔で。
やったー、って何をやったんですか!?


お兄ちゃん、妹のことがわからなくなってきちゃったぞ!?


*****


……いやいやちょっと待て。冷静に考えろ。

俺の事をに望むってことは。
アルベルトが婿なわけで。

つまり。
アルベルトは、俺と結婚したい、ってことだよな?


俺のことを嫁にしたい、ってことは。
今みたいなチューどころか、それ以上の行為をお望みなわけだ。

それ以上……。

あんまし好みじゃないものの。
ペニパン逆レイプとか、フタナリ美少女ものとかも読んだことはあるから、それなりに知識はあるつもりだ。


ケツにナニを突っ込むんですよね!?

いけません、お尻の穴は入り口じゃありません、出口です!
入っていいのは肛門科の医者の指と内視鏡、あとは性感マッサージのお姉ちゃんの指だけです! どっちも行ったことないけど!

そりゃ、二輪挿しとか二穴凌辱とかの肛虐モノは薄い本の中ではよく見られる光景だが。
リアルでそんなこと。想像するだに恐ろしい……。
いや、俺は男だから二穴は無理だが。


……うええ、マジか。

アルベルトが、あんなにボロボロになるまで頑張って、ドラゴンを退治したのは。
リーゼロッテとの結婚のためじゃなく。

俺と・・結婚したかったから、だったのかよ!?


いつから!? いつから俺、お前からロックオンされてたの!?
アルベルトからそんな感情を持たれてたなんて。全然、気づかなかったぞ!?

俺の恋愛経験がゼロだからか?
アルベルトが感情を隠すのが上手かったからか?

見事に下心隠し過ぎだっつーの、このムッツリスケベ!


「陛下、お返事を頂けますか?」
甘い微笑みを浮かべたアルベルトに訊かれる。

返事って。
そりゃもちろん。

”ごめんなさい、お断りします”の一択に決まってんだろ!


*****


両肩を掴まれて。
アルベルトの唇が、頬を掠める。……ついでとばかりに耳たぶをはむはむするな!


「……断れば、をこの聖剣ヴァルムントで殲滅し、貴方を攫い、監禁し。私を受け入れる気になるまで犯します」
耳元で。
甘い囁きのように聞こえる声で。とんでもないことを言われた。


ひえええ。

この場の全員、って。
もし、俺が断ったら。討伐の旅を共にした仲間や、元同僚たちだけでなく。母上やリーゼロッテすら斬るつもりなのかよ!? 手段選ばなすぎだろ!?

そんな悪い冗談……、いや、本気だこれ。声がマジだった。


やっぱり、アルベルトには裏の顔があったんだ。
こんな優しそうな顔して。腹の中はダークマターでいっぱいの、まっくろくろすけですよこの人!

もう、何もかもが信じられないよう。
シクシク。


欠点ナシの完璧超人なんかじゃなかった。
残虐超人だったよ! やったね! って少しもやらねえわ!!


*****


先王、父上が最期に遺した予言を思い出す。


世界を破滅に導く暴竜バルバルスが現れる危機を告げられて。
我が国に封印された聖剣を抜き、勇者になる者が、暴竜バルバルスを斃すこと。

必死の形相で。
バルバルスが斃された後のことは、お前が決断しろ、と言われたんだよな。

国のことも、全て俺の采配に任せると。
それって。

だったのかよ!?


さっきアルベルトが言ってた。
断れば、この場の人間を皆殺しにして、俺を攫うって。

……その後の台詞は、記憶から抹消しておくとして。


それで。
わかりたくないけど、わかっちゃったぞ。

先王の予言により、俺が王子時代から、一切女を近寄らせないように命じられていて。
房中指南役もあてがわれず。
結婚するまで、清らかな身体でいなくちゃいけなかった理由が。


父上には、俺の相手をした指南役がアルベルトに殺される未来が視えていたから、だったりして。

でもって。
俺に女をあてがったことに対して怒ったアルベルトが、父上や護衛の騎士とかを斬って、俺を攫って。
それで、この国が滅びる可能性があったとか?

……あり得る。


もし、父上が俺の身を案じて、アルベルトを俺に近寄らせないようにしていたら。暴竜バルバルスによりこの国どころか世界は終わるだろう。
だって、俺の言葉によって決心したアルベルトは聖剣を抜きに行って、命がけでバルバルスを討伐したんだから。


予言は、それを聞いた人間が行動を起こしたことにより、様々な分岐をし、未来は変わるものだ。
勇者の望みを聞いた、この先の未来は。


俺が、自分で決めなくてはいけないんだ。
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