21 / 23
海瑠の使命
新たな世界での政治について
しおりを挟む
二人の美しい王子にエスコートされている麗しい女王の姿は、まるで一幅の絵画のようで。
目にした人々を夢見心地にし、感動させた。
新たに産まれて来る女性のために、立派な女王を演じると覚悟を決めてからの海瑠は、更に見違えるように美しく。
さながら女神のようだと皆は思った。
それにしても。……女の子が生まれるようになる前に、何とかしないといけない問題もあるよな……。
海瑠は避けて通れない問題に、頭を悩ませた。
日本のような世界的に平和とされる国でも、その問題は根深くあった。
DVのような暴力、痴漢、強姦や、差別問題など。
特に、男同士で簡単に子作りが出来てしまうこの世界では、かなりの意識改革が必要だった。
この世界でも、身体を売る男がいたり、乱暴されてしまう事件も少なくないという。
愛が無ければ子は生せないので、望まれない子が産まれる悲劇がないことだけが救いか。
高度な教育を受けているはずの王子たちですら、あれだ。
いくら託宣という理由があっても、無理矢理だったのは事実である。
男の海瑠だって、力づくでこられたら、全く抵抗できなかったのだ。
全員がそうという訳ではないが。
男という生き物は、適度に性欲を発散させてやらないと、爆発してしまう生き物である。
それは暴力衝動であったり、破壊行為に繋がることも多くあり。
死に面した時に性欲が増すことも多いのだ。
戦時中などに痛ましい事件が多発したのも、そういった衝動が原因だろう。
国営で、吉原のような遊郭を作るか? ……後でめちゃくちゃ叩かれそうだけど。
女がいる世界を知ってるだけに、女王の悩みは尽きない。
◆◇◆
「……いっそ、ちんこちょん切る刑にでもするか……?」
『!?』
海瑠の物騒な呟きに、思わずひゅんと縮んでしまった股間を押さえてしまう王子二人がいた。
「あ、いや。女の子が生まれてくる世界になったらさ。最初は大切にされるかもだけど、無理矢理……その、乱暴する男も出てくると思うんだ。そういう奴への罰則はどうしようとか考えてたんだけど……」
クリシュナは、自分の愛娘、シーナを頭に浮かべて考えた。
『我が娘に仇なす者は、極刑に処す』
オーランドも、まだ見ぬ自分の娘を想像していたようだ。
『死刑で良いかと思います!』
「…………」
おまえらおれに何したか覚えてねえのか、というような目で海瑠は二人を見た。
その視線に。
過去、自分たちが海瑠にしてしまった所業を思い出した二人はハッとして、冷や汗をかいた。
『時と場合にもよろう』
『じょ……情状酌量の余地があった場合は、減刑でも、いいですよね?』
二人は不自然に視線を逸らした。
「日和やがった!」
男ってずるい。
すっかり女性側の気持ちになった海瑠だった。
◆◇◆
『あ、女の子が生まれた家には、国から”守り石”を贈るというのは? あの紅い宝石ほどの凄まじい効果はないですが、持つ者を一度だけ守ってくれます。使用されればわかるので、すぐに警備兵を差し向け、暴漢は捕らえられるかと』
「それはいいな!」
オーランドの提案に、海瑠が笑顔を浮かべた。
「じゃ、その前に、戸籍の徹底が必要だな……」
なにせ、その気になれば、ぽこぽこ生まれてくるのだ。面倒くさがって、領主に子の出生を届け出ない民もいた。
女神の加護により、男同士で子が出来なくなれば、変わるのだろうか?
それはそれで、男同士のカップルがかわいそうであるが。
「って、おれもじゃねえか!」
思わず自分で突っ込む。
「新生児が産まれるごとに、祝い金でも……いや、それも祝い金目的での犯罪ってのがあったな……かといって、罰則で縛るのもなあ……」
海瑠は、上に立つ者の苦労を知ったのだった。
新女王の新しい政策。
やるべきことは、山ほどあった。
一年半に及ぶ、ネイディーン国内を周る視察の旅は終わったが。
海瑠は世界の浄化をするために、他、三つの国も巡行することにした。
これはネイディーン国だけの話ではなく、世界の問題でもある。
誰からの反対もなく、視察団はその足で他国へ渡った。
自分は異世界人であるし、女神の加護により、何とか生きていけるのだが。
この世界では、女性は生きていけない。
女神の加護により、自分が歩けば、その後に咲いた花が空気を浄化する。
女性が産まれても生きていける世界にしたい、と説明すると。
エリノア、レティシア、ルクレティア、それぞれの国王は一行を歓迎し。
巡行ための援助や協力を惜しみなくしてくれただけでなく。
女性が生まれた後の政策についても、相談に乗ってくれたのだった。
◆◇◆
もうすぐ、当たり前に女性の産まれる世がやってくる。
麗しい女王と、その伴侶になる王子たちの巡行により、国民の期待が高まっていった。
女王の訪れは、どこでも好意を持って迎えられた。
彼らの訪れは、繁栄と幸福を伴う、という噂はもはや事実だと認識されていた。
実際に、女王一行が訪れた地が発展していったのだから。
一行の通った後には花が咲き、芳しく清浄な空気を残していく。
ネイディーンの麗しき花の女王。
女王を見た全ての国民は皆、海瑠をそう呼んだ。
全国を巡る旅が終わり、ネイディーン城に帰りついた頃。
ニ人の王子は二十歳を迎えていた。
美しさに精悍さを加えた顔立ちとなり、大人の落ち着きも見せた、立派な青年の姿があった。
35になった海瑠は、来たときと全く変わらないどころか、美しさを増しており。
出迎えた海神の神官をたいへん驚かせた。
『やはり、カイル様は救世の女王だったのですね』
神官は感動の涙を流し、喜んだ。
留守を預かっていた元国王も、愛する妃である二人の騎士と共に、一行の帰りを喜び迎えたのだった。
目にした人々を夢見心地にし、感動させた。
新たに産まれて来る女性のために、立派な女王を演じると覚悟を決めてからの海瑠は、更に見違えるように美しく。
さながら女神のようだと皆は思った。
それにしても。……女の子が生まれるようになる前に、何とかしないといけない問題もあるよな……。
海瑠は避けて通れない問題に、頭を悩ませた。
日本のような世界的に平和とされる国でも、その問題は根深くあった。
DVのような暴力、痴漢、強姦や、差別問題など。
特に、男同士で簡単に子作りが出来てしまうこの世界では、かなりの意識改革が必要だった。
この世界でも、身体を売る男がいたり、乱暴されてしまう事件も少なくないという。
愛が無ければ子は生せないので、望まれない子が産まれる悲劇がないことだけが救いか。
高度な教育を受けているはずの王子たちですら、あれだ。
いくら託宣という理由があっても、無理矢理だったのは事実である。
男の海瑠だって、力づくでこられたら、全く抵抗できなかったのだ。
全員がそうという訳ではないが。
男という生き物は、適度に性欲を発散させてやらないと、爆発してしまう生き物である。
それは暴力衝動であったり、破壊行為に繋がることも多くあり。
死に面した時に性欲が増すことも多いのだ。
戦時中などに痛ましい事件が多発したのも、そういった衝動が原因だろう。
国営で、吉原のような遊郭を作るか? ……後でめちゃくちゃ叩かれそうだけど。
女がいる世界を知ってるだけに、女王の悩みは尽きない。
◆◇◆
「……いっそ、ちんこちょん切る刑にでもするか……?」
『!?』
海瑠の物騒な呟きに、思わずひゅんと縮んでしまった股間を押さえてしまう王子二人がいた。
「あ、いや。女の子が生まれてくる世界になったらさ。最初は大切にされるかもだけど、無理矢理……その、乱暴する男も出てくると思うんだ。そういう奴への罰則はどうしようとか考えてたんだけど……」
クリシュナは、自分の愛娘、シーナを頭に浮かべて考えた。
『我が娘に仇なす者は、極刑に処す』
オーランドも、まだ見ぬ自分の娘を想像していたようだ。
『死刑で良いかと思います!』
「…………」
おまえらおれに何したか覚えてねえのか、というような目で海瑠は二人を見た。
その視線に。
過去、自分たちが海瑠にしてしまった所業を思い出した二人はハッとして、冷や汗をかいた。
『時と場合にもよろう』
『じょ……情状酌量の余地があった場合は、減刑でも、いいですよね?』
二人は不自然に視線を逸らした。
「日和やがった!」
男ってずるい。
すっかり女性側の気持ちになった海瑠だった。
◆◇◆
『あ、女の子が生まれた家には、国から”守り石”を贈るというのは? あの紅い宝石ほどの凄まじい効果はないですが、持つ者を一度だけ守ってくれます。使用されればわかるので、すぐに警備兵を差し向け、暴漢は捕らえられるかと』
「それはいいな!」
オーランドの提案に、海瑠が笑顔を浮かべた。
「じゃ、その前に、戸籍の徹底が必要だな……」
なにせ、その気になれば、ぽこぽこ生まれてくるのだ。面倒くさがって、領主に子の出生を届け出ない民もいた。
女神の加護により、男同士で子が出来なくなれば、変わるのだろうか?
それはそれで、男同士のカップルがかわいそうであるが。
「って、おれもじゃねえか!」
思わず自分で突っ込む。
「新生児が産まれるごとに、祝い金でも……いや、それも祝い金目的での犯罪ってのがあったな……かといって、罰則で縛るのもなあ……」
海瑠は、上に立つ者の苦労を知ったのだった。
新女王の新しい政策。
やるべきことは、山ほどあった。
一年半に及ぶ、ネイディーン国内を周る視察の旅は終わったが。
海瑠は世界の浄化をするために、他、三つの国も巡行することにした。
これはネイディーン国だけの話ではなく、世界の問題でもある。
誰からの反対もなく、視察団はその足で他国へ渡った。
自分は異世界人であるし、女神の加護により、何とか生きていけるのだが。
この世界では、女性は生きていけない。
女神の加護により、自分が歩けば、その後に咲いた花が空気を浄化する。
女性が産まれても生きていける世界にしたい、と説明すると。
エリノア、レティシア、ルクレティア、それぞれの国王は一行を歓迎し。
巡行ための援助や協力を惜しみなくしてくれただけでなく。
女性が生まれた後の政策についても、相談に乗ってくれたのだった。
◆◇◆
もうすぐ、当たり前に女性の産まれる世がやってくる。
麗しい女王と、その伴侶になる王子たちの巡行により、国民の期待が高まっていった。
女王の訪れは、どこでも好意を持って迎えられた。
彼らの訪れは、繁栄と幸福を伴う、という噂はもはや事実だと認識されていた。
実際に、女王一行が訪れた地が発展していったのだから。
一行の通った後には花が咲き、芳しく清浄な空気を残していく。
ネイディーンの麗しき花の女王。
女王を見た全ての国民は皆、海瑠をそう呼んだ。
全国を巡る旅が終わり、ネイディーン城に帰りついた頃。
ニ人の王子は二十歳を迎えていた。
美しさに精悍さを加えた顔立ちとなり、大人の落ち着きも見せた、立派な青年の姿があった。
35になった海瑠は、来たときと全く変わらないどころか、美しさを増しており。
出迎えた海神の神官をたいへん驚かせた。
『やはり、カイル様は救世の女王だったのですね』
神官は感動の涙を流し、喜んだ。
留守を預かっていた元国王も、愛する妃である二人の騎士と共に、一行の帰りを喜び迎えたのだった。
14
あなたにおすすめの小説
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
偽りの聖者と泥の国
篠雨
BL
「感謝すら忘れた者たちに、明日を語る資格はない」
自らの都合で聖王セシルを追放し、異世界から新たな「勇者」を召喚したアドレアン聖王国。
しかし、その身勝手な選択が、国を、大地を、そして人々の心を根底から腐らせていく。
壊れゆく少年勇者と、彼を歪に愛した騎士。
二人の執着が交わったとき、聖王国は二度と再生不能な終焉へと突き進む。
裏切り者たちには、因果応報という名の、容赦なき報いが下る。
これは、傲慢な国が崩壊するまでの、無慈悲な記録。
-----------------------------------------
『嘘つき王と影の騎士』から引き続き読んでくださる皆様へ
この物語は、セシルを虐げた者たちが、ただただ因果応報の末路を辿るだけの物語です。
本編に救いはありません。
セシルたちのその後が気になるという方は、本編は飛ばして、最終話の後に掲載する「閑話」のみをお読みいただくことをお勧めいたします。
本作は『嘘つき王と影の騎士』の続編となりますが、前作をお読みでない方でも一つの物語としてお楽しみいただけます。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。
猫宮乾
BL
異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる