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Ⅱ
少年伯爵ローラン
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貴族として生まれたからにはいつかは、と少なからず期待してたけど。
13歳頃からあてがわれるという、”経験豊富なお姉さまからの性の御指南”は涙を呑んでお断りすることにしますた。勧められてもいなかったけど。
小さいのを馬鹿にされたら嫌だからな!
相手はプロだろうから、そんなことないだろうが。
人の口に戸は立てられぬ、ともいう。女性たちの間で噂を流されたりして、陰で笑われたりしたらもう、一生立ち直れませんて。
男心は繊細なのよ。
*****
「アンリ様、失礼します」
汗を吸わせるように、そっとタオルを当てられる。
ごしごし擦ったら傷になる、とでもいうような丁寧さである。
豆腐じゃないんだから、少々擦ったところで壊れねえっての。この世界、豆腐無いけど。
発育不全な俺と違って順当に美青年に育ったアンドレは、相変わらず甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてる。
暗殺未遂の件があってからは、さらに過保護なくらいの世話焼きになった。
一年中、休むことなく俺の世話を焼き続けている。遊ぶどころか、彼女もいないようだ。
そんなんだから、メイドたちから誤解されるんだからな?
メイドたちが生き生きして楽しそうなので、あえて誤解は解かないでおくけど。
俺ってば優しいご主人様だなあ。
アンドレは、もうすっかり大人の男だ。
ハタチだし、当たり前か。
体格もよく、背も高い。服の上からでもわかる、良い筋肉である。多分腹筋割れてる。
裏山鹿。
同じ訓練をしてるはずなのに、どうしてこんなに差が出たのか。
俺の知らない間に特訓でもしてんのか? ずるい!
*****
「あれ? もう終わったのか」
剣の訓練付き合おうと思ったのに、と。
口を尖らせながら、馬を伴って来たのは。
我がルミエール王国はトロー領の伯爵、ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェ。愛称はロロ。浅黒い肌、癖のあるダークブラウンの髪に青灰色の目をした、インドの王子様みたいな美少年である。
もちろんこの世界にインドなんてないけど。何となくオリエンタル・ビューティーってイメージ。
4年前、王城で開かれたパーティーで、国王から次の国王候補の一人だと紹介されて。
挨拶して以来、何故かやたら懐かれてしまい。
こうしてちょくちょく遊びに、というか剣の訓練の邪魔をしに来るようになった。
しかもアポ無しで、供も連れず、一人で。
わざわざ往復4時間の道を、こうして三日と置かず馬に乗って通って来る。
移動魔法を使わないのは、領地に結界が張ってあるからだ。戻る分には使えるけど。
その上、門からじゃなく、庭から入ってくる。衛士も、裏門開けてやるなっての。調子に乗るだろ。
貴族なんだから、きちんとアポイントメント取ってから、馬車に乗って、従者の数人も連れて来いと言いたい。
山賊が出ることもあるし、暗殺の危険だってあるのに。護衛がいらないほど、剣と攻撃魔法の腕に自信があるのかは知らんけど。
あと、ちゃんと伯爵の仕事しろ!
*****
「疲れたので、そろそろ休憩しようと思っていたところだ」
今日の訓練はもう終わりだと告げる。
アンドレは、剣の訓練の時だけは容赦ないからな。使うのは刃を潰してない真剣だし。
身を護るためだから、厳しくするとは言ってたけども。
魔法の詠唱よりも剣が速ければ、生き残れる確率も上がる、という理由だ。
「えー、じゃあアンドレでいいか。相手してよ」
ロロは腰の剣を抜いた。
「アンリ様、」
アンドレがどうしましょうか、という目でこちらを見たので。
相手してやれ、と頷いてみせた。
疲れるまで運動させたら帰るだろう。
「あ、ちょっと待った。アンリー、」
俺の方に駆け寄って来た。
相変わらず、代々貴族だという家系から生まれたとは思えないくらい、無礼かつ気安いやつである。
13歳頃からあてがわれるという、”経験豊富なお姉さまからの性の御指南”は涙を呑んでお断りすることにしますた。勧められてもいなかったけど。
小さいのを馬鹿にされたら嫌だからな!
相手はプロだろうから、そんなことないだろうが。
人の口に戸は立てられぬ、ともいう。女性たちの間で噂を流されたりして、陰で笑われたりしたらもう、一生立ち直れませんて。
男心は繊細なのよ。
*****
「アンリ様、失礼します」
汗を吸わせるように、そっとタオルを当てられる。
ごしごし擦ったら傷になる、とでもいうような丁寧さである。
豆腐じゃないんだから、少々擦ったところで壊れねえっての。この世界、豆腐無いけど。
発育不全な俺と違って順当に美青年に育ったアンドレは、相変わらず甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてる。
暗殺未遂の件があってからは、さらに過保護なくらいの世話焼きになった。
一年中、休むことなく俺の世話を焼き続けている。遊ぶどころか、彼女もいないようだ。
そんなんだから、メイドたちから誤解されるんだからな?
メイドたちが生き生きして楽しそうなので、あえて誤解は解かないでおくけど。
俺ってば優しいご主人様だなあ。
アンドレは、もうすっかり大人の男だ。
ハタチだし、当たり前か。
体格もよく、背も高い。服の上からでもわかる、良い筋肉である。多分腹筋割れてる。
裏山鹿。
同じ訓練をしてるはずなのに、どうしてこんなに差が出たのか。
俺の知らない間に特訓でもしてんのか? ずるい!
*****
「あれ? もう終わったのか」
剣の訓練付き合おうと思ったのに、と。
口を尖らせながら、馬を伴って来たのは。
我がルミエール王国はトロー領の伯爵、ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェ。愛称はロロ。浅黒い肌、癖のあるダークブラウンの髪に青灰色の目をした、インドの王子様みたいな美少年である。
もちろんこの世界にインドなんてないけど。何となくオリエンタル・ビューティーってイメージ。
4年前、王城で開かれたパーティーで、国王から次の国王候補の一人だと紹介されて。
挨拶して以来、何故かやたら懐かれてしまい。
こうしてちょくちょく遊びに、というか剣の訓練の邪魔をしに来るようになった。
しかもアポ無しで、供も連れず、一人で。
わざわざ往復4時間の道を、こうして三日と置かず馬に乗って通って来る。
移動魔法を使わないのは、領地に結界が張ってあるからだ。戻る分には使えるけど。
その上、門からじゃなく、庭から入ってくる。衛士も、裏門開けてやるなっての。調子に乗るだろ。
貴族なんだから、きちんとアポイントメント取ってから、馬車に乗って、従者の数人も連れて来いと言いたい。
山賊が出ることもあるし、暗殺の危険だってあるのに。護衛がいらないほど、剣と攻撃魔法の腕に自信があるのかは知らんけど。
あと、ちゃんと伯爵の仕事しろ!
*****
「疲れたので、そろそろ休憩しようと思っていたところだ」
今日の訓練はもう終わりだと告げる。
アンドレは、剣の訓練の時だけは容赦ないからな。使うのは刃を潰してない真剣だし。
身を護るためだから、厳しくするとは言ってたけども。
魔法の詠唱よりも剣が速ければ、生き残れる確率も上がる、という理由だ。
「えー、じゃあアンドレでいいか。相手してよ」
ロロは腰の剣を抜いた。
「アンリ様、」
アンドレがどうしましょうか、という目でこちらを見たので。
相手してやれ、と頷いてみせた。
疲れるまで運動させたら帰るだろう。
「あ、ちょっと待った。アンリー、」
俺の方に駆け寄って来た。
相変わらず、代々貴族だという家系から生まれたとは思えないくらい、無礼かつ気安いやつである。
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