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ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェの人生
Je te veux.(君が欲しい)
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「俺は王座よりも。アンリ、あんたが欲しい」
はっきりと言ってやる。
「嫌か?」
アンリの性格なら、嫌なことはすぐに嫌だと言うはずだが。
相当悩んでいる様子だ。
机を挟んだ向こう側の椅子から、アンリの座っている長椅子に移動しても気づいていない。
*****
「即答しないってことは、希望はあるってことか……」
希望を込めて呟いた。
「……?」
アンリと目が合う。
色白の頬に、ほんのり赤みが差している。
これは。
……いけるか? もう一押しか。
「よく考えるんだな。俺は敵に回すより、傍に置いといたほうが得だと思うぜ?」
長椅子の背に腕を掛け。
手摺にもう一方の手を乗せて、アンリの細い身体を囲み。
「俺を選べ。後悔はさせない」
耳元で囁いてやる。
アンリの忠犬が、殺気を放ってるが。
当人が嫌がってる素振りも見せないし、触れてはいないので手出しができない様子だ。
真面目な性格が仇になったな。
王子だというのに、世話係としての職務に忠実で。アンリへの恋心を表に出せないでいるが。
気持ちなど、口に出してはっきり言わないと伝わらないだろうに。
あんたは俺とアンリが仲良くしているのを陰で見守るだけで満足しているんだな。
「私の女性器に挿入したいのか?」
「!?」
アンリの口からあまりにも直截的な言葉が出てきたので、さすがに驚いた。
そうだ。
アンリは完全体。女の部分を持っていたんだった。
だからこそ、男相手でも結婚が可能だというのに。
すっかり忘れていたことに、我ながら驚いた。
*****
「結婚をしたら、身体を重ねたいとは思っている。当然のことだが、同意を得ず、無理に抱いたりしない」
無理をして嫌われたくない。それは本心だ。
そう言うと。
アンリは少し悩んでから、姿勢を正して俺を真っ直ぐに見据えた。
「わかった。ロロ……いや、トロー伯ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェ。貴殿の提案を受け入れよう」
「ええっ!?」
さすがにそんなにあっさり承諾されるとは思っていなかった。
他にも、色々と断れないような条件を用意していたのだ。
「……いいのか?」
確認してみると。
「考えてみれば、断る理由もないからな」
当たり前のように言った。
「ああ……アンリ、」
感極まって、思わず抱き着いた。
こんなに小さかったか? 初めて出逢った時には見上げるくらいの身長差だったのに。
細い腕、細い身体。こんな華奢な身体で、剣を振り回していたのだ。強い国王になるため努力を厭わず。
アンリはこの国の歪な思想には染まらず、真っ直ぐに育った希少な存在だ。
潔癖すぎるのかもしれない。
世話係のアンドレですら、身体に触れられるのを嫌がっていたのは知っている。
だが、俺は嫌がられたことがなかった。
こうして抱き締めても。嫌がらずにおとなしく腕の中にいてくれるのは。
アンリも、俺のことを少なからず好きだと思っていてくれたのだと。
自惚れて、いいのだろうか?
「信じられない……嬉しい」
目頭が熱くなってきた。
泣くなんてみっともないと思っていたが。
長年の夢が叶ったのだから。
少々泣いても、許して欲しい。
*****
しばらくして、落ち着いた後。
9年前、アンリとの出逢いの時。俺がどう思っていたかを話した。
最初から、王佐狙いだったことを。
アンリは俺の想いには全く気付いていなかったようだが。
どうしてこうもあっさり結婚を受け入れる気になってくれたのだろう。
試しに、アンリを抱き寄せて。
王位継承権をかけた選抜でアンリのことを王佐・王配として支えるが。
その約束として、”ご褒美”が欲しい、と言ってみた。
女の部分は結婚するまでは絶対に挿入しない。乱暴にもしない。
だから、アンリの、男の部分を捧げてくれ、と。
そんな無茶苦茶な取引が、許されるだろうか?
はっきりと言ってやる。
「嫌か?」
アンリの性格なら、嫌なことはすぐに嫌だと言うはずだが。
相当悩んでいる様子だ。
机を挟んだ向こう側の椅子から、アンリの座っている長椅子に移動しても気づいていない。
*****
「即答しないってことは、希望はあるってことか……」
希望を込めて呟いた。
「……?」
アンリと目が合う。
色白の頬に、ほんのり赤みが差している。
これは。
……いけるか? もう一押しか。
「よく考えるんだな。俺は敵に回すより、傍に置いといたほうが得だと思うぜ?」
長椅子の背に腕を掛け。
手摺にもう一方の手を乗せて、アンリの細い身体を囲み。
「俺を選べ。後悔はさせない」
耳元で囁いてやる。
アンリの忠犬が、殺気を放ってるが。
当人が嫌がってる素振りも見せないし、触れてはいないので手出しができない様子だ。
真面目な性格が仇になったな。
王子だというのに、世話係としての職務に忠実で。アンリへの恋心を表に出せないでいるが。
気持ちなど、口に出してはっきり言わないと伝わらないだろうに。
あんたは俺とアンリが仲良くしているのを陰で見守るだけで満足しているんだな。
「私の女性器に挿入したいのか?」
「!?」
アンリの口からあまりにも直截的な言葉が出てきたので、さすがに驚いた。
そうだ。
アンリは完全体。女の部分を持っていたんだった。
だからこそ、男相手でも結婚が可能だというのに。
すっかり忘れていたことに、我ながら驚いた。
*****
「結婚をしたら、身体を重ねたいとは思っている。当然のことだが、同意を得ず、無理に抱いたりしない」
無理をして嫌われたくない。それは本心だ。
そう言うと。
アンリは少し悩んでから、姿勢を正して俺を真っ直ぐに見据えた。
「わかった。ロロ……いや、トロー伯ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェ。貴殿の提案を受け入れよう」
「ええっ!?」
さすがにそんなにあっさり承諾されるとは思っていなかった。
他にも、色々と断れないような条件を用意していたのだ。
「……いいのか?」
確認してみると。
「考えてみれば、断る理由もないからな」
当たり前のように言った。
「ああ……アンリ、」
感極まって、思わず抱き着いた。
こんなに小さかったか? 初めて出逢った時には見上げるくらいの身長差だったのに。
細い腕、細い身体。こんな華奢な身体で、剣を振り回していたのだ。強い国王になるため努力を厭わず。
アンリはこの国の歪な思想には染まらず、真っ直ぐに育った希少な存在だ。
潔癖すぎるのかもしれない。
世話係のアンドレですら、身体に触れられるのを嫌がっていたのは知っている。
だが、俺は嫌がられたことがなかった。
こうして抱き締めても。嫌がらずにおとなしく腕の中にいてくれるのは。
アンリも、俺のことを少なからず好きだと思っていてくれたのだと。
自惚れて、いいのだろうか?
「信じられない……嬉しい」
目頭が熱くなってきた。
泣くなんてみっともないと思っていたが。
長年の夢が叶ったのだから。
少々泣いても、許して欲しい。
*****
しばらくして、落ち着いた後。
9年前、アンリとの出逢いの時。俺がどう思っていたかを話した。
最初から、王佐狙いだったことを。
アンリは俺の想いには全く気付いていなかったようだが。
どうしてこうもあっさり結婚を受け入れる気になってくれたのだろう。
試しに、アンリを抱き寄せて。
王位継承権をかけた選抜でアンリのことを王佐・王配として支えるが。
その約束として、”ご褒美”が欲しい、と言ってみた。
女の部分は結婚するまでは絶対に挿入しない。乱暴にもしない。
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そんな無茶苦茶な取引が、許されるだろうか?
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